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「きゃあ〜〜〜〜 ♪ ♪浜南さんの彼氏って落ち着いててかっこいいわぁ〜〜」

「え?」

学友とおぼしき彼女がいたく感激してる?

「珱尓さん…本当?」
「はい?」
愛理さんが恥ずかしそうに…ハニカミながら僕を見上げてる…?

「さっきの……あたしが珱尓さんの彼女だって……」

「ああ…あれはあの時はそう言った方が彼も諦めて尚且つ納得してくれるかなぁって!」


「  「 ……!!!!…え?? 」  」

女の子の2人がとんでもなく驚いて…固まった。


「だってあの時は保護者よりも恋人の方が説得力あると思って。
咄嗟だったんですけど上手く行って良かったです。」

僕はニッコリと愛理さんに向かって微笑んだ。

「……………」

「?…愛理さん?」
何故か愛理さんが俯いて黙ってる…しかも肩が何気に震えてるし?

「え?大丈夫ですか?愛理さん…今頃怖くなって来ました?震えてますけど?」

「え…珱尓さんの……」

愛理さんがボソリと呟いた。

「はい?」

「 珱尓さんのばぁかぁーーーーーーっっ!!!!!! 」

「わっ!!!」

思いっきり目の前で怒鳴られたっ!!!
僕は予期してなかったからビックリで……

「ちょっっと…愛理さん??」

「バカ!!珱尓さんのバカっ!!!!」

そう言ってサッサと靴を履き替えて外に走り出してしまった。

「ええ?一体なんなんですか??え?あ…すみません…お先に…」

「え?あ…はい…さようなら………」

とっても呆れた顔の彼女に挨拶をして…愛理さんの後を追い駆けた。



次の日の夕食…
珍しく2人の時間が合ってテーブルを挟んで食べてる…
昨夜から愛理さんは僕と口を利いてくれない……

「いい加減機嫌直してくれませんかね?息が詰まります。
それに食事の時ぐらい気分良く食べたいです。」

流石に我慢出来ずに僕から口を開いた。

「…………」
それでも黙々と僕と視線を合わせずにご飯を食べ続けてる。
「僕と話すのも嫌なんですか?ちゃんと丸く収まったんですからいいじゃないですか…」
最後の方は僕もブツブツと……

食後の後片付けも無言の彼女…ホント困った。

「愛理さん…本当にどうにかなりませんか?その態度…
一緒に暮らす最低限のマナー守りましょう。」

「……珱尓さんの…珱尓さんのせいじゃないっ!!!」
「僕の?」

「あたしが…珱尓さんの事好きだって知ってるくせに…
あの言葉であたしがどんなに喜ぶか分かってるくせに!!」

「ですから…あの時はああするのが一番…」

「それでもヒドイっ!!!あたしがどれだけ傷ついたか珱尓さんわかってないっっ!!!」

「愛理さん……」

愛理さんの瞳から…涙がポロポロと零れて落ちた……

「……うっ……」

「………あの時は本当にああ言うのが一番良いと思ったんです…
それで…愛理さんがこんなに傷つくなんて思ってもいませんでしたから…
僕が…軽率でした…やっぱり嘘はいけませんでした。次からはちゃんと
保護者って言いますから…ごめんなさい…だからもう機嫌直してくれませんか?」

「ううーーーーっっ!!!」

何故か更に愛理さんが泣き出した!?

「え?どうしてですか?僕の謝り方ダメでした??」
「違うっ!!それじゃ…ひっく…あたしのこと完全否定じゃない!!!ヒドイ……ぐずっ」
「え?そんな事言われても…じゃあ一体どう言えば?」

もう僕は訳がわから無くなって来た…
女の子をこんなに泣かしたの初めてだし…目の前でこんなに泣かれたのも初めてで…

「本当に…悪いと思って…る?グズッ…」
「…思ってますから…もう許して下さい…」
僕は何だかぐったりだ……

「じゃあ…」
「じゃあ?」

「ん!」

「えっ!?」

彼女が目を瞑って僕からのキスを受け入れ態勢万全で待ってる!!!


「ちょっ…そ…それは…何か違う気が……」
「じゃないと許さないし機嫌も直らないわよっ!!!」

「ええ??」

既に機嫌は直っている様な気もしなくは無いんですけど…??

「珱尓さん!本当に悪いと思ってるんでしょ?」
「はあ…それは…」
「じゃあちゃんと誠意を見せて!」
「ええ……?」
「一瞬じゃなくて…ちゃんとしたキスよ!」
「ええっ!!そんな…」

「大人なんでしょ?」

「……………」


納得してたわけじゃない…
諦めが殆んどを占めてたし…あとは愛理さんの涙を見たのと…
泣かせてしまった事への後ろめたさと…お詫びの気持ちからだ……

そっと愛理さんの肩を両手で掴んで顔を近付けて行く…

自分から…キスするなんて…もう随分前の事だな…
なんて思いが頭を過ぎった…

「………ん…」

唇が触れた瞬間…
愛理さんが小さく声を漏らして…ピクンと身体が跳ねた。

ご要望通り…ちゃんとしたキスを彼女にした……


「愛理さん?」

しばらく放心状態の愛理さんに声を掛けた。

「大丈夫ですか?」
一体どうしたんだろう??ちょっと心配になった…って…

「ちょっと愛理さん??どうしたんですか?」
愛理さんがまたポロポロと泣き始めた!!どうして???

「う…うれ…嬉しい…のと…」
「嬉しい?」
ああ…何だ…焦った。

「昨日…あ…あいつに…胸…触られて…すごく嫌だったぁ〜〜〜う〜〜」

「はあ??そんな事されたんですか?何ですぐ言わないんですか?
だったら一発ぐらい殴っても…」
「…珱尓…さん…腕力無いから…む…無理…ひっく…」
「そうかもしれませんけど…その時くらい頑張りますよ。」
「う…あ…ありがとう…うっ…」

「……本当は昨夜から…ショックだったんですね…」

そう言いながら泣きじゃくる愛理さんを抱き寄せた。

「…うん…本当は…こわ…怖かった…の…うっく…」

泣きながら僕の胸に顔をうめる…本当…強がりなんだから…

「もう…大丈夫ですから…安心して下さい。」
「うん……」

しばらくそんな状態で…一体どの位時間が過ぎただろう…

「愛理さん…もういい加減いいですかね?立ってるのがちょっと辛いです。」
なんてオジンくさいセリフでこの状態に終止符を打った。
そうしないといつまでもこのままの様な気がしたから。

「………」
愛理さんはもう泣き止んで…照れた顔してる。
「愛理さん?」
「珱尓さんて…」
「僕って?」

「キスが上手なのね。」

ニッコリと微笑んでそう言われてしまったっ!!

「 !!!! 」

ちょっっと…そんな事そんな顔で言われると…
何だかすごく照れるんですけど……

ピンポ〜ン ♪ ♪

丁度良いタイミングで玄関のチャイムが鳴った。

「あ…あたしが出る。」
「あ…すいません…」
もう今度はこっちが放心状態ですよ…
でもこんな時間に一体誰だろう?まあそう遅い時間ではないけど…
誰か来るなんて予定無いし…


「ん?」

何故か玄関の方が騒がしい?何だろう?

「愛理さん?どうかしました?」

ヒョイと廊下から玄関を覗くと…同じ位の歳の女の子が2人…?
1人は愛理さんで…もう1人は……

「富田さんっっ!!??」

何で彼女が?こんな時間に僕の家に???
そんな驚いてる僕をお構い無しに…僕に気付いた2人が振り向いて……


「珱尓さんっ!!」

「鳴海さんっ!!」

「……はい?」

「  「  こ の 女 一 体 誰 っ っ  ! ! !  」  」


って2人同時に叫ばれた。