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「…は…ぁ…はぁ…」

崩れそうなあたしの身体を珱尓さんがぎゅっと抱きしめて支えてくれる…
だから2人の身体はすき間無く密着してて…お互いの心臓の音や動きが伝わって来る感じ…


「……ハァ…ハァ…」

浴室でシャワーを浴びながらだったからか…いつもより呼吸が速く浅い…
いつもの愛理さんらしく…とっても積極的に僕を誘ってくれる……

僕はそんな愛理さんの要望に応える振りをして…
本当は自分が愛理さんを抱きたい事を誤魔化してるんだ…
僕も普通の男だったんだと思い知らされる…
でも…好きな人と愛し合う事がこんなに癒されて…幸せな気持ちになる事を思い出した。

抱きしめて…支えてる愛理さんの身体がすき間無く僕と密着してるから…
愛理さんの心臓のドキドキがはっきりと伝わる…僕のドキドキも愛理さんに聞こえてるのかな…


「大丈夫ですか?」
「…ううん…駄目……」

「…ごめんなさい…加減出来なくて…」

「…珱尓さんに抱かれるってこう言う事なのね…
今度はちゃんと珱尓さんの相手出来る様に…頑張るから……」

そう言ってにっこり笑う淡いピンク色に染まった頬とシャワーで濡れた髪の毛が何とも色っぽくて…
可愛くて……愛おしくて…

「愛理さん……」
「ん?」

「もう少し頑張ってもらえますか?」

「え?…あっ…珱尓さん?」


びっくりした声が聞こえたけど僕の耳には届いていない……


2人で浴室の床で絡み合う…愛理さんは僕にされるがまま…
僕に必死にしがみついて…何度大きくのけ反っただろう…

そんな愛理さんと繋がったまま僕の膝に座らせてお互い向き合った。
愛理さんは朦朧としてるみたいだ…浅い息でずっと目をつぶってるから。

絡ませたお互いの舌が条件反射で動いてる…それでも僕は愛理さんを離せなかった…

僕って…こんなに情欲的だったかな?
なんて思いながらチュッと愛理さんの鼻の頭にキスをした。
愛理さんはわかってるのかな?にっこりと笑ってくれたけど……ちょっと怪しい。

こうやって貴女は……僕をただの1人の男に変えてしまうんですね……
でも…ずっと忘れてた感情を…想いを…思い出させてくれた……


「好きだよ…愛理…」

抱きしめて耳元に囁いた。
嘘みたいに素直に言える…今まで何で言えなかったんだろう…

「…あ…たしも…好きよ…珱尓さん……」

僕の耳元に呟き返してくれた…そんな声を聞いて…何でだろう…


また愛理さんにキスをして…そのまましばらくの間……浴室で愛し合った……




「え?18!!」
「はい…もうびっくりでした。」
「18って言ったらちょうど珱尓君の半分?」
「はあ…」
「自分の子供って言ってもおかしくないわね…」

「………」

気にしてる事をズバリと言うんだから…江里さんは…

「 ………ンフフ ♪ ♪ 」
「なんですか?」
物凄い含み笑いでニンマリ笑う。

「やっぱり最初っから気になってたんでしょお?
まったく…自分の気持ちに気付くまでに時間掛かるわねぇ…」

「すいませんね。ニブくて…」
「まあ楽しませて貰ったし!」
「楽しませて貰ったって…?」
「だっていい歳した独身彼女無しの男が最初っから惚れてる相手とどうやって
一つ屋根の下で暮らして行くのかなぁって…振り回されてる珱尓君見るの楽しかったもん。」

「………」

意地が悪いと言いたかったけど止めた…
返ってくる言葉が半端無いかな…なんて思ったから…

「で?すぐに籍入れるの?」
「いえ…やっぱりもう少し様子をみたいと思ってます。」
「あら…なんで?」
「なんででしょう…性格なんですかね…愛理さんの気が変わったら…って思うと…
結婚してたら可哀相かなって…もしかしてこれから僕の嫌な所発見されちゃうかも
しれないじゃないですか…」
「それでも彼女珱尓君にぞっこんなんだから大丈夫でしょ?」
「それじゃ長続きなんてしませんよ…無理して一緒にいる事なんて無いんですから…」
「…はぁ…これだから年上はいやよねぇ…年下の彼女が可愛くて仕方無いんだから。」

「いいじゃないですか。可愛くて仕方ないんですから…」

「!!!ええっっ!?珱尓君の口からそんな台詞聞くなんて……
ちょっと!大丈夫?ね…熱あるんじゃない?」

そう言って向かい合って座ってるテーブルの向こう側から身を乗り出して
オデコに手を当てられて熱を測られた。

「熱なんて無いですよ。僕…ストッパー外れると駄目みたいです。」

「は?」

「こうなるまで結構自分にストップ掛けて…相手の気持ち考えて…
本当に僕と付き合う事が相手にとって良い事なのかとか…
ちょっと引いて客観的に見ちゃうんですよね…
だから…そう言う事気にしなくて良くなると…突っ走ってしまうらしくて…
あ…でもだからって舞い上がったりはしないんですけど…
愛理さんしか見えなくなってるみたいです……」

「……やだ…それもちょっと疲れるかも…」

もの凄い呆れ顔だ。

「……すいませんね…融通がきかなくて…」

自分でも驚いてる…今までは…未緒の時はどうだったか…
良く覚えてないけど…ここまで独占欲あったかな??



「あれ?江里さん!ここで食事してたんですか?」
「あ…守野。」
「?」

見れば今からお昼なのかお店の入り口の方から若い…20代の女の子が入って来た。
江里さんと親しげと言う事は江里さんの会社の人?

「あ…同じ会社の後輩。今からお昼?」
「はい。ちょっとしつこい取引先の人に捕まっちゃって。もうヘトヘト…
最後にはどうでも良い世間話になっちゃって…参りましたよぉ…」
「お疲れ。」
「こちらは?」
「ああ…友達の鳴海珱尓君。」
「友達?へえ〜江里さんにもこんな素敵なお友達いたんですね。」
「 !! 」
そう言って断りも無しに僕の隣の席に座る。
長い髪に毛先がカールが掛かってて…何か香水を付けてるのかな…何とも言えないニオイが…
「どう言う意味よ!」
「だって江里さん全然そう言う人紹介してくれないから…いないのかと。」
「だってあなた私達位の年齢相手にしないでしょ?」
「え?って事は鳴海さんも?」
「そう36歳よ。」
「えーー見えないですよ。若く見える。」
「…どうも…」

「鳴海さん今度一緒に飲みに行きません?
なんか年上でも鳴海さんみたいなタイプだったら良いかも。」

「は?」

僕はちょっとびっくりで…最近何だかこんな感じが多い…
やっぱり江里さんが言う通り恋愛運のピーク時?

「ダメよ。彼つい先日彼女が出来たばっかりなんだから。」
「え?そうなんですか?なんだ…じゃあその彼女にちょっと飽きちゃったら誘って下さいよ。
たまには若い女の子も良いですよ。」
そう言って腕を組まれてウインクされた。
「…は?」
「無理無理!この人超が付くほど真面目なんだから。それにクドクド説教されるわよ。」
「しませんよ…よっぽどの事が無い限り…」
見境無くお説教してると思われてるのかな??
「はいはい…それにたまには若い子って…守野いくつだっけ?」
「え?23ですけど?」
「残念!この人の彼女18なのよ。」
「ええっっ!!!うそ…まさか援交?」

「そんなわけ無いでしょっっ!!!!」

今度は僕が初対面で思いっきり叫んでしまったっっ!!


「それにそんな事したら愛理さんに殺されちゃいます。」