102

 * R15のイラストあり。要注意! *

椎凪 過去編。 03



「くそっ!」

オレは朝から超が何個も付くほど機嫌が悪かった。
鎖骨の上にキスマーク…
何度触っても消えるはず無いのに…ちっ…
「おすっ! どーした椎凪?朝からご機嫌斜めか?」
同じクラスの志水が声を掛けてきた。
「うるせーなっ!!」
「おっ!キスマーク!珍しー…ってか初めてか? キスマークなんて?
何だ遂に一人の女のものか?」
「ちげーよっ!!夕べ寝た女が勝手につけたんだよ!
ちょっと聞き分けの無い女でさ…超ムカつくっ!!! 触んじゃねーよ。」
オレはワイシャツの襟元を引っ張ってる志水の手を振り払った。
「お前が女選びで間違える事なんてあるんだ?へーー…」
感心したように 頷く。
「はーーまだまだ修行が足んねーのかな…」
「ったく…この外道が!!女を何だと思ってるっ!!」
「なんかさキスマークついてっと昨日の女のモノに なったみたいでスゲーやだっ!!
ムカムカするっ!!」
「だな?お前が一人の女のモノなんて考えられねー…
じゃあさオレが上からつけて消してやろーか? なーんて…」
「え?本当?やってよ。やって!」
「ば…ばかっ!!ジョーダンだって!!やめっ!!
身体…押し付けんなって!!離せっ!!椎凪…!!」
「なんだよ…ケチ!」
「アホかっ!!」


その日は一日中気分が重かった…
一人で不貞腐れながらの帰り道…
でも…何でこんなに気分悪いんだ… たかがキスマーク付けられた位…
どうせ2・3日で消えるのに…何だろ…すごい罪悪感が…

「椎凪!」

「 ! 」
名前を呼ばれて声の方へ顔を向ける…
その声を聞いた瞬間からオレは耀くんを思い出す…
…耀くんが…目の前に立っていた…


久しぶりに耀くんに会えた…手をしっかり繋いで歩く…

こんな話してるよりも…キスして…抱きたい…

でもキスマーク…見られる…耀くん怒るかな…

それともオレを軽蔑する?

くそっ…他の奴らに何思われても平気だけど…

耀くんだけは…イヤだ…

でも…抱きてー…!!



「どうしたの?椎凪?気分悪いの?」
「えっ!!いやっ!!何でもないよっ!!」
ヤバイ…耀くんに心配かける…
でもどうしよう…今日は耀くん抱くの諦めるか…いやっ!!絶対耀くん抱きたいっ!!

そんな事をオレは一人…頭の中で巡らせていた…

「あら?もー他の女の子 相手にしてんの?」

オレ達の後ろから声がした…
「夕べつけたキスマークが消えないうちはあたしのモノだと思ってたんだけど?
あなたどんだけ女が 好きなの?」
こいつ…夕べの…
「キスマーク…?」
耀くんが反応した…

「余計な事言ってんじゃねーよっ!これ以上オレに付き纏うと女でも容赦 しねーぞっ!!
あんたとは夕べ一晩限りだっつてんだろーがっ!オレしつこい女大嫌いなんだよっ!!」

「なっ…何ムキになってんのよっ…」
オレの言葉に ムッときたらしい…そんなの知るかっ!オレの方が頭にきてんだぞっ!!
「へー…そっかぁその子が本命って事?でもやらせてくんないんだ?
だからその辺で声掛けて 一晩限りで遊んでるんだ。最低!」
「最低?何言ってんのお前。」
オレはムカついて『オレ』を出した。

「お前みたいな女初めてだよ。他に寝た女は 皆大人の女だったって事だな。
ちゃんとルールはわきまえてたぜ…
そんなにオレとの『H』が良かったのか?正直に言ったらどうだよ。
もう一回オレと したいってな!してやんねーけど。」

見る見る女の顔が変わっていく。
「なっ…何よっ!ちょっとあんたっ!この男はねこーゆー男なのよっ!!
他にも何人もの女と遊びで寝てる奴なのよっ!!」





 …うっ!!しまった…


 そうだ…耀くんがいたんだった…


 怒りですっかり忘れてた…やべー…







耀くんが…俯きながら口を開いた…

「オレが…オレがいつも傍にいてあげられないから…
椎凪が他に女の人を抱くのは…仕方ないんだ…」
「耀くん…」
「あなたが椎凪と寝て…椎凪に惹かれるの わかる…
一晩限りって言われても納得出来ないかもしれないけど…」
耀くんが真っ直ぐ夕べの女に向かって顔を向けた。

「椎凪はオレのものだから! 椎凪の心も身体も全てオレのものだから!
誰もオレから椎凪を奪う事は出来ないんだ!!
これはもう決まってる事。誰にも変える事の出来ない事だから。
だからあなたにも他の誰にも椎凪は渡さない!
椎凪はオレの為に…オレだけの為に存在してる人だから。
あなたのモノには絶対ならない!!」

耀くんが繋いでた手をギュッと強く握る…

オレはそんな耀くんを今にも泣きそうな顔で見つめてしまった…
耀くん…オレ…オレ…死ぬほど…嬉しーーーよ…



「…あっ…」
オレは嬉しくて嬉しくて…その気持ちを身体で表現した。
あの女は耀くんに言われて何も言い返せずその場から立ち去った…



「ありがとう。
耀くん…オレ凄く嬉しかった。」
「 ぎしっ! 」
「だって…あっ…本当の…事…
んっ…だもん…
あっ…ちょ…椎凪…そんなに…
激しくしない…で…んんー…」
「だめ…オレの今の気持ちだから…」
「…あ…ん…もー…」



耀くんがオレの身体についたキスマークを指でなぞる…
「…怒って…る?」
「ううん…でも…ね…椎凪…」
「ん?」
耀くんがニッコリ笑ってオレに話し かけた…次の瞬間…
「ここと…」
「え?」
そう言いながらオレの胸元に耀くんがカブリと噛み付いた!

「 !!!…いでででででで………」

「それから…」
耀くんがもそもそと起き上がってオレの背中に回る…
オレは訳が分かんなくて…????
「ここ!」
今度はオレの背中を思いっきり 耀くんが噛み付いた。
「ギリギリギリギリ……」

「 !!…いでででででで………ぎゃぁぁぁぁーー 」

ホント訳わかんない!!
「………????へ? なんで…?」
すげー痛いんですけど。
オレが耀くんの方に振り向くと耀くんはチョコンとベッドの上に正座してニッコリ笑ってオレを見てる。
「そこはオレの お気に入りの特別な場所だからオレの場所。」
とっても可愛い笑顔で話す。
「う…ん…」
オレはちょっとビビッてる…何か怖い…
「だからそこにキスマーク 付けたら…」
さらにニッコリとオレに笑いかける…


 「 オレ許さないよっ!!椎凪!! 」

 耀くんがもの凄い怖い顔でオレを睨む。

 「 はっ…はいっ!! 」

 オレは思いっきり素直に返事をした。

 もしかして…やっぱり耀くん…
 怒ってる…?




次の日の学校…
「おっ!何だよ椎凪?今度は歯形か?一体どんなプレイだよ?」
ワイシャツの間から見える歯型を見て志水が声を掛けてきた。
オレは窓枠に肘を ついて…ボーっと外を眺めていた…
「んー?いいんだ…これは…」
「はあ?」
「何でだか…コレは消えて欲しくないんだ…良くわかんないけど…」
オレは溜息を一つしてまた外を眺めた…
「はあ?」

耀が帰ると耀の事は忘れてしまうので気持ちだけが残る椎凪でありました。

「どんな相手だよ?」
「わかんない…でもすごく嬉しい事があった様な…うーん…」
「…おっ!おい背中にも歯型があんぞ?」
「うん…痛いから分かる…あー…この痛みずっと続かない かなぁ…」
「はぁ…?」

志水が訳が分からないと言いたげな顔でオレを見つめたいた…