* R15のイラストあり。要注意! *
椎凪 過去編。 07
「ちょっと待って。」
一晩限りの夜の相手をして帰り際声を掛けられて立ち止まった。
相手の女がオレのボタンの開いた胸に顔を近付けて唇を付ける。
「 !! 」
オレはその女をすぐ引き離した!
「きゃっ!」
「何勝手な事してんだよっ!! 」
「なっ…何よ…そんなに怒んないでよ。今日の記念よ…
いいじゃない。」
少しビックリして慌ててオレに説明する。
「 ふざけんなっ!記念なんかいらねーんだよっ!! 」
オレはマジにムカついて乱暴に
ホテルの部屋のドアを閉めた。
家に帰ってシャワーを浴びながら自分の胸にうっすら付いたキスマークを擦った。
すぐ気が付いて引き離したから…でも微かに
付いてるのが判る。
「くそっ…最悪…油断した…」
オレはキスマークを付けられるのが好きじゃない。
なんだか相手のモノになった様な気がしてイヤ
だからだ…
でも…今はもっと違う意味でイヤなのは何だ?
思い出せないけど…ここにキスマークを付けちゃいけない気がするのはナゼだ?
くそー…次は気を
付けないと…
シャワーを浴びてそのままベッドに身体ごと倒れ込んだ。
はー…会いたいな……誰に?
いつも…わからないのに…会いたくなる…
オレはそのままウトウトと眠りに落ちていった…
数時間後…オレの布団が盛り上がる…それはどんどんオレの上半身へと移動してくる…
「…ん…」
オレはその重みに気が付いて…目が覚めだした…
あったかくて…柔らかいモノが…
オレの身体を…這って行く…
「…うっ…」
思わず感じて…声が出た…
ついに首筋にソレが来た時…
オレは目が覚めて…
掛け布団ごとソレを捕まえる。
「 え? なにっ?? 」
思わず飛び起きた。
「 えっ!? 耀くん? 」
「えへへ…来ちゃった。」
「びっくりしたぁ…ユーレイかと思った…」
オレは心臓がバクバクいってた…
「ごめんね急に…でも気が付いたら椎凪のフトンの中だったんだ。」
耀くんがニッコリ笑ってそう言った。
「本当に椎凪昔
からハダカで寝てるんだね…」
「え?あ…うん…一人暮らし始めた時からだけど…」
そう答えて…ずっとオレの上に乗っている耀くんを襲ってもいいのかなぁ…
なんて思っていた。
「 ? どうしたの? 」
ジッとオレを見つめる耀くんにそっと触れて尋ねた…
「ううん…」
耀くんは首を横に振る…
…今…オレと暮してる椎凪だ…もう少しで…オレと出会うんだね…椎凪…
「そーだ…椎凪…約束したよね。」
「 えっ!?」
ドキッ!!
耀くんに怒りマークが出た?なん…で?
「ここはキスマーク付けちゃダメだって… 」
「 ああっ…!!」
…そっか…耀くんとの約束だったんだ…
胸と背中…
やべーっっ…前も確かこんな事が…
オレは心臓が早鐘の様にドキドキ言い出した…
「 ごめん…耀くんっ!!許して…わぁーー
いでででででででででっっーーー 」
思いっきり耀くんに噛み付かれた…
「 あ… 」
耀くんがオレの下で乱れてる…
オレはキスマークの
後ろめたさを紛らわす為と…耀くんにお詫びを込めて…
いつもより念入りに耀くんを抱いてる…
「 ん… 」
椎凪が…激しくオレを求める…
ああ…本当に…今のオレと暮してる椎凪と同じ抱き方だ…
錯覚しちゃう…どっちの椎凪に抱かれてるか…わからなくなる…
「椎…凪…ハァ…」
「なに?耀くん」
「オレの事…好き…?」
「好きだよ…」
「愛…してる…?あっ…!!」
椎凪が…強引にオレを上に押し上げた…
「愛してるよ」
「あっあっあっ…んっ…オレも愛してるよ…!
椎凪…
だから…忘れないでっ…オレの事…必ず………」
…くん…耀くん…?
オレは椎凪に呼ばれて…目が…覚めた…でも…頭がボーっとしてる…
「耀くん大丈夫?」
「椎…凪?」
椎凪が心配そうにオレを覗き込んでる…
「ごめん…オレ寝ちゃってた…」
目を擦りながら笑った。
「良かった…
寝てたの?もー全然起きないから心配したよ…」
椎凪がホッとした様な顔をした。
「またオレ…やり過ぎたのかと思っちゃった…」
そう言ってオレの頬に
キスをしてくれた。
「ごめん…大丈夫だよ。」
「なに?」
オレは椎凪の胸元を人差し指でなぞった…
「んー…ここにキスマークあったような…」
「え?無いよ。耀くん付けてないでしょ?」
「うーん…オレじゃなくて…」
「何言ってんのっ!!耀くん!!オレがそんな事するはずないでしょっ!!」
椎凪がすごく慌ててる…
「だよね…何だろう?変なの…」
「もー耀くん夢見てたの?」
そう言って…椎凪が少し呆れた顔でオレの事を見ていた…