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「…ん…」

珍しく椎凪よりも先に目が覚めた。
昨夜あんなに椎凪に攻められて…疲れてるはずなのに…
やっぱりベッドが違うからなのか…何だか眠りが 浅かった。

ここはとある観光地のホテルの一室…
昨日から椎凪と泊まりに来てる。

ちょっと前に椎凪にプロポーズされて…
オレは 『 はい 』  って返事をした。
だから椎凪曰くこれは『婚約記念旅行』なんだって。
皆には内緒の旅行…
椎凪と付き合う前に何度か旅行に行ったけど二人っきりの
旅行なんて本当に久しぶりでオレは凄く嬉しい。
椎凪はもっと嬉しかったみたいで部屋に入った途端オレを
裸にしてベッドに押し倒した。



「ちょっ…椎凪…やっ…こんな…昼間から…ア…ン…」
「オレさ…いつもと違う場所って燃えちゃうんだよね…だからまずは…」
「も…オレ…外…見て回りたい… って…言った…んっ…」

両手を押さえつけられて椎凪の口でオレの口を塞がれた…
オレの意見は聞かないって事?

「んっ…あうっ…あっ!…あっ!…」

もう椎凪は最初から全開…激しくって…ついていけない…
「し…いな…まっ…ちょっと…まっ…あっ!やだっ!!」
「後で一緒に温泉入ろう…初めての時みたいに 露天風呂付きの部屋だからさ…」
椎凪がオレ押し上げながら余裕の声でオレの耳元に話しかける…
オレは…返事なんて…無理っ!!
それに部屋を眺める間もなく 裸にされてベッドに押し倒されたから
露天風呂が付いてるなんて見てないってば…

「んっ…んっ…あっあっあっ…!!やあぁぁ……!!!」

思いっきり 椎凪にしがみついちゃった…
それから何度椎凪に頭を真っ白にされたんだろう…
気が付くと椎凪と一緒に部屋に付いてる露天風呂に入ってた…

「…あれ?… なんで?」
「身体…綺麗にしようと思ってさ…」
「あ…オレまた気を失っちゃったのか…」
最近…特に右京さんに女の子に戻してもらってから
前以上に感じ 易くなって…いっつも最後は記憶が無くなる…
椎凪が加減してくれればそんな事無いんだろうけど…
椎凪がそんな事してくれるはずも無く…オレは毎回とっても 恥ずかしい…

「耀くん…クチュ…ちゅっ!!」
「…んっ……」
椎凪が思いっきり舌を絡ませたキスをしてくる…
「…ふぁあ…んっ…あ…だめ…椎凪…」
オレは強引に椎凪から顔を反らした…
「なんで?耀くん?」
「だって…ここ外だよ?周りの人に聞えちゃうもん…」
多少両隣から離れてるって言っても絶対オレ の声聞えちゃう…
そんなの恥ずかしくって…
「じゃあ声出さなければ良いんだ。」
椎凪がニッコリと笑った。
「無理だから言ってるんだろ?もう…え? あっ…椎凪…?」
「しっかり自分の口押さえててね。」
「え?ちょっと…椎…んあっ!!!」
湯船の中にいたせいか椎凪は座ったまま軽がると
オレを持ち 上げて自分の上に座らせた。
もちろんしっかりオレに入ってくる…
「…し…いな…初めっからこうするつもりで…オレの事…」
「当たり前でしょ?ホテルの 露天風呂でするなんて初だよ初っ!!!」
椎凪の瞳がキラキラと輝いてる…
「何威張って言ってるのさっ!!」
もう流石にオレだって怒る…って
「ひゃっ!!…!!!」
叫んで慌てて自分の口を両手で塞いだ。
「そう…その調子…頑張ってね…耀くん。」
「 !! 」
いつの間にか『あっち椎凪』 だっ!!
「椎凪ズルイ!!やっ…だめ…もうお終い…んくっ!!」
「ホント良い顔だよ…耀くん…その顔が見たくて正面で抱っこしてたんだから…
後でうしろ からね…くすっ。」

本当に悪戯っ子の顔でニッコリと椎凪が笑った。


もう…オレは耐えるのに必死…
椎凪にしがみ付いて…両手で自分の口を 塞いで…
最後はどうにも我慢出来なくて椎凪の肩に思いっきり噛み付いて耐えた。



「…ごめんね…耀くんっ!!!」

いつもの椎凪に戻ってる… しかも半べそ状態…
オレは散々お風呂で攻められて…宣言通り後ろからもタップリと
時間をかけて攻められた…お陰で日はとっぷりと暮れて…
しかもオレは 湯中りしてベッドに横になってたから…

「大丈夫?耀くん…」
「大丈夫じゃない…外にも行けなかった…椎凪のばか…」
オレはタオルでオデコを冷やし ながら椎凪を見もせずに文句を言った。
「ごめんね…本当にゴメンネっっ!!」
「………」
「耀くん…許して…」
「そんなに…オレの事…抱きたかったの?」
ボソリと呟いた。
「…う…ん…オレはいつでも…どんな時でも耀くんを抱きたい…愛し合いたい…」
椎凪もボソリと呟いた。
「明日は…絶対色んな所見て回る んだからね!約束だよ椎凪!」
「…!!…うんっ!!約束するっ!!美味しい物も一杯食べようっ!!」
椎凪が急に明るく元気になった…オレがニッコリと椎凪に 笑ったから。
「じゃあ許してあげる…折角の婚約旅行だもんね…一生に一度だもんね…フフ…」
「うんっ!!」

そう言ってオレ達は唇が触れるだけの軽い キスをした…

…の筈なのに…椎凪は優しくするからってオレをまた抱いた…
確かに優しかったけど…長い時間攻められたオレはやっと椎凪に
離してもらった 後死んだ様に眠った…


「…何で目が覚めちゃたんだろ…うー…でもお腹空いたかも…」
昨夜あんだけ運動させられればお腹も減るよな…
そんな事を 思いながらジッと眠ってる椎凪を眺めてた…
幸せそうに眠ってる椎凪…あ!なんかちょっと悪戯心湧いちゃった?

眠ってる椎凪の顔から身体からプニプニと 人差し指で押して行った。

「えいっ!えいっ!!」

「……んん〜…」
大した事じゃないけど煙たがる椎凪を見るのが楽しかった。
「ふふ…今度は くすぐってやる!」
コチョコチョと爪の先っちょでくすぐっていく…
普段椎凪はくすぐったがらないけど無防備な今はちょっとは堪えてるみたいだ。
うわぁ… 気分良いっ!!
調子に乗って仰向けの椎凪に馬乗りになって上半身を集中的に
くすぐり始めた…きゃぁ〜〜おもしろいっ!!って思った瞬間…

「ひゃあっ !!!」

いきなり両方の胸を鷲掴みにされて思いっきり揉まれたっ!!
「あっあっあっ!!やぁ…椎凪やめっ…やめてっ!!」
「散々人の身体で遊んだ でしょ?今度はオレの番。」
いつから目が覚めてたんだ…椎凪…
「…ホント…椎凪…ずるい…起きてるなら起きてるって…言って…あっ…」
いつの間にかホテル の浴衣の襟元から椎凪の両手が入って来て
直に胸を揉まれてる…ダメ…オレ…胸も弱っ……
「ん…あっ…あっ…はぁ…はぁ…んぁ…」
オレは自然に目を瞑って 仰け反った…感じちゃって…

「オレに抱かれて…耀くん…」

「ハァ…ハァ…椎…凪…」
オレは言われるまま…自分から椎凪を受け入れた…

「 ♪ ♪ ♪ 」
オレは最高に良い気分でシャワーを浴びてた。
気が付けば耀くんがオレの上に馬乗りになってたから。
こんなチャンスは滅多に無いと そのまま耀くんを抱きまくった。
オレの上で感じて乱れてる耀くんは最高だった。

シャワーを浴びて髪を拭きながらベッドの中でグッスリと眠る
耀くんを 見ると自然と顔がほころぶ…
オレと結婚してくれるって言ってくれた…
次の日2人で婚約指輪も買いに行った。
『TAKERU』で選んだけど慎二君がいない時 を狙って買いに行った。
だって…何か…その…だから…あれだ…うん…きっと色々とうるさいから…
だから耀くんの左の薬指には指輪が光ってる…

ああ…オレってなんて幸せっっ!!!
しかも昨日からどんだけ愛し合ってるって!!!ホント最高っ!!


「 ピンポ〜ン♪ ピンポ〜ン♪ 」

部屋の呼び鈴が鳴った…何だ?
「何も頼んで無いぞ?」
オレは不思議に思いながらも入り口のドアに向かう。
「はい?」
「申し訳ありません…ホテルの者 ですがちょっと宜しいでしょうか?」
「は?」
「お届けものです。」
「はぁ?お届けモノ??こんな所に?」
「はい。草g様からでございます。」

ば ん っ !!

オレは何の疑いもせずに思いっきり入り口のドアを開けた。
「おはようございます。椎凪さん。にこっ!」
「 ………… 」

ば た ん っ !!

オレはそのままドアを閉めた。
え…?今…目の前に…慎二君がいた??え?うそ?目の錯覚???

オレは恐る恐るもう一度 ゆっくりとドアを開けた。
「いきなり閉めるなんて失礼ですね!
何か後ろめたい事でもあるんですか?椎凪さん?」
「う…うそ…何…で???」
オレは 絶対顔が引き攣ってたに違いない…
「本当ですよ。椎凪さん。」

ニッコリと慎二君が笑う…オレには悪魔の微笑みに見えた…


オレは目の前の事が 信じられなくて…ただただ呆然と慎二君を見つめてた…