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ここは耀の働いている会社のオフィス。
会社と言っても社長の岡田を入れて総勢10人と言った所か?
耀が大学1年の時にパソコンの腕を見込まれて
その時
大学4年だった社長の岡田に勧誘され
時々仕事を手伝っていたりしてたのでそのままこの会社に就職。
耀と話をするのが大変で祐輔に間に入ってもらいながら
やっと
OKしてもらったと言う…
(耀の事情を分かっていてとっても理解のある方です。)
耀は引きこもりの時にパソコンがお友達だったので
パソコンの知識はナカナカ
のもの…
ば ん っ!!
勢い良く会社の入り口のドアが開いた。
「あれ?椎凪さん?お久しぶりですね…今日は一体…」
仕事前のコーヒー
タイム。
岡田と社員達がそれぞれの席でコーヒーを飲んでいた。
「 ? 椎凪…さん? 」
彼が…脇目も触れず真っ直ぐ僕の所に歩いてくる…
どうしたんだ?
なんか…ヤな予感…
「おはようございます。お久しぶりです。岡田さん。」
「あ…お…おはようございます…」
何だかえらく真面目な言い方で怪しい…
「これ差し入れです。皆さんでどうぞ。オレの手作りケーキです。」
「あ!はぁ…いつも…ありがとうございます…」
僕はドキドキしながらケーキの入った袋を
受け取った。
「実は!」
が し っ !
「はい…?」
「めでたい事に!」
が し っ !
「は…い…」
彼が僕の肩を…ガッシリと掴む…
「 オレと耀くんに赤ちゃんができましたぁ!!!えへへ ♪♪ 」
「 え え っ !!!」
「予定日は来年の1月。今妊娠8週目。赤ちゃんは男か女か…
まだ!判りません!」
「はぁ…」
何だ?力説し始めた…
「しかもまだまだ不安定な時期!その上つわりも始まってます!可哀想な耀くん…」
「は…ぁ… 」
あ…何か…やだなぁ…
「と!言うわけで岡田さん!!」
「 はい? 」
がしっと両肩をさっきより強く掴まれた。
「仕事中に耀くんとお腹の赤ちゃんに
もしもの事があったら…
オレ何するかわかりませんからっっ!!岡田さんを殺すとは言いませんけど… 」
「 !! 」
もの凄い怖い顔で僕を睨みながら
そう言った!
いやっ!…何かあったら殺すぞって事ですよね?…そう言う顔…してますよね??
「耀くんの事…よろしくお願いしますね!!」
そして振り向いてオフィスの他の人達を指差
して言う。
「皆さんもっ!!くれぐれもよろしくお願いしますねっ!!」
一斉にみんなビクッと怯える…
「オレ2人に何か遭ったら生きていけないんで…
ああ…可哀想なオレ…
だから皆さんオレの事殺さないで下さいね。」
ワザとらしく額に手を当ててよろめいてる…この人ってば…
「 椎 凪 !!! 」
望月さんが顔を真っ赤にして入って来た。
「あ!耀くん。あいさつ終わったよ ♪♪ 」
「もー恥ずかしいだろっ!!やめてよっ!!」
「何言ってんの。
皆さんの協力無くして仕事続けられないよ!ね!みんなっ!!」
…協力?脅しでは…?
社員一同そう思っていた…
「しかし相変わらずだよね…
望月さんのダンナ…くすくす…」
椎凪が帰った後…
休憩時間に椎凪が作ったケーキを食べながら…みんなに言われた…
「確か入社する前も手土産持って来て
『耀くんに手ぇ出したら何するか判りませんから!』 って
全員に言ってたよね?」
「もー恥ずかしい…チョット変だよね…ゴメンネ…みんな…」
「まー面白いから良いけどサー…」
「愛されてんだね…望月さん…」
「はぁ…良く…言えば…」
やっぱり普通の人は…引くよね…
オレは深い溜息をついた…
「でも心配しすぎだよね…椎凪オレの事となるとちょっと異常なくらい過敏になるからさ…」
『いやー結構当
たってるんだよねー』
『そーこのビルに入ってる会社の男…結構望月さんの事狙ってたもんねー…』
『知らぬは本人だけだよねー…』
『うん…望月さん時々
天然出るもんねー…』
オレは皆がそんな事を思ってたなんて知らなくて…
これから先…椎凪が毎日今まで以上に心配するんだろうな…
なんて思って…
どうしたものかと考えてしまった…