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    * 今回イラスト付きです。 BLとまではいかないと判断しました。

      …が…軽い挨拶のキスがあります。ちょっと嫌だな…と思う方はご遠慮下さい。 *




「ちょと…葵くん待って!危ないって…」

葵くんと2人保育園の帰り。
もう葵くんは4歳になった…
どんどん大きくなって…先に走り出して…追いつけない…

「大丈夫!平気だもん。」
そう言って止まる気配はない。
「車来るからっ…!!」
「きゃははっ ♪♪ 平気!平気!」
「葵くんっ!!」

ド ン っ !!

葵くんが人とぶつかった。
と言うかワザと葵くんの前に立って止めたって感じだ…

「そんなに走ると危ないよ。」

「あーっ!とおるさんだぁ♪♪」
「久しぶり。葵君。」
「きゃはははっ!くすぐったいっ。」

見れば亨が葵くんのホッペにキスしてる!!

「 亨!!葵くんに変な事すんなっ!!」
「なんで?慶彦の子供は僕の 子供でもある。」
「そんな事無いからっ!!
それに親代わりだって言ってんだから 『 孫 』 だろ? 『 孫 』 !!」
「僕がおじいちゃんなんて…似合わないだろ? だから僕の子供でいいんだよ。」

「勝手な事言わないっ!!葵くん 『 おじいちゃん』 だからね!!」

ひたすら強調して念を押して教え込んだ!







      

 「おいしーとおるさん 」


 バニラ味のソフトクリームを食べながら
  葵君が僕を見上げて笑った。








保育園の帰り道…葵君と寄り道をした。








「そう?良かった。

早く食べなさい葵君。溶けちゃうよ。」


僕はニッコリと満面の笑みで返してあげた。








「あ!ほら…付いてるよ。」
「あ…」
ホッペについたクリームを指で拭って 僕の口に運んだ。
「ぱくっ!」
美味しい
「………」
葵君がそんな僕をジッと見上げてた。
「葵君は可愛いね。慶彦の次に可愛いな」
そう言って頭を撫でた。
「おとうさんがかわいいの?あんなにおおきいのに?」
もの凄く不思議そうな顔で僕を見上げて聞いてきた…
「そう。僕にとって 慶彦はいつまで経っても可愛いんだ。不思議?くすっ…」
「んー…とおるさんはおとうさんのことがスキなんだ?」
スルドイね…葵君…



 「そう…好きなんだ…愛してる…

 ずっと昔から…ね…」

 思わず自分のそんな感情に
  身体を預けてしまった…


    しばし沈黙…


「とおるさん?」
「葵君の事も愛してるよ。慶彦の子供だから」
「ほんと?」
「本当!」
「じゃあおかあさんのこともあいしてる?」
「 えっ!? 」
子供って…時々痛い所を突いてくる…侮れない…
「とおるさん?」
「……君を…産んでくれた事には感謝してるよ…」
嘘じゃない…
「かんしゃ?んー…なに?よくわかんないや…」

葵君が悩んでる顔がこれまた可愛かった。



「きょうとおるさんのところにとまりたいなぁ…」

繋いでいた小さな手が僕の手をチョットだけ強く握りながらそう言った。
「え?本当?僕は嬉しいけど…夜寂しくならない?大丈夫?それに僕と一緒に眠れる?」
「うん だいじょうぶだよ。ぼくとおるさんとならさびしくないもん。」

そう言ってニッコリ笑う…ふふ…嬉しい事言ってくれるなぁ…


「おいしー!とおるさんおとうさん みたいりょうりじょうずなんだねー」

特別に作ったお子様ランチ風の夕飯を見て葵君が褒めてくれた…小さいながら褒め上手だ。
「ありがとう。たくさん食べなね。」
「うん。」

楽しい時間はあっという間に過ぎる…
一緒にいれる短い時間をフルに活用しないとね。

「さあ合わせていくつでしょう?」
お風呂に浸かりながら身体を温めるまでの勉強タイム。
「えーっと…んっと…」
一生懸命指で数えてる…可愛い…
「6こ?」
「正解!ちゅっ!」
ご褒美にホッペにキスしてあげた。
「 きゃはっ くすぐったいっ 」


葵君がベッドでスヤスヤ可愛い寝息を 立てて眠ってる…
ぐずりもせず…ワガママも言わず…ホント素直でいい子だ…
しかも慶彦に似てるときてる…







 「本当…可愛いね…」

 そっとベッドに入って葵君を抱きしめた…
 小さいし…あったかいし…柔らかい…ふふ…

 「おやすみ…慶彦…」








「ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン !!」

朝から騒がしく玄関のチャイムが 連打された…

「何?こんな朝早くから?」
僕は仕方なく玄関のドアを開けてあげた。
無視しても良かったんだけど放っておくといつまでも煩くて近所迷惑 だから。
案の定慶彦がとんでもなく不機嫌な顔で立っていた。

「 亨〜〜〜 お前なぁ… 」

額に青筋立ててる…まったくカルシュウム不足なんじゃ ないのか?
「人が夜勤の時狙って葵くん連れ出すの止めろよなっ!!」
「別に狙ってないけど?」
「ウソつくなっ!!お陰で夕べは耀くん一人だっただろ! 可哀想に寂しかったぞ!きっと!!」
睨まれた…
「寂しいわけ無いだろ…いい大人が…まったく…慶ってば相変わらず過保護!」
「ウルサイっ!!」
どっちが煩いんだか…
「葵くんに変な事してないだろーなっ!!」
慶彦が寝室のドアを開けながら僕に疑いの眼差を向けた。
「何?変な事って?」
冗談じゃない!人を変態みたいに…
「変な事は変な事だよ!!」
「してないよっ!!いいから静かにしなよ!葵君が起きるだろ!!」
「 すー… 」
静かに眠ってる葵くんの寝顔…可愛いし…愛おしいし…大丈夫らしくて安心した…
「葵くん…」


「まったく毎回毎回怒鳴り込んで来るのやめなよね…」
コーヒーを飲みながら亨が呆れた様に溜息交じりで言った。
「亨が何度も同じ事するからだろ!!……ん?」
亨を睨みながらその後ろの空間に目が行く。
「なんか…また更に増えてね?」
「そう?」
いや…絶対増えてる!
リビングの一角に葵くん専用の空間がある…
最初は机と本箱とぬいぐるみと…ホントに ちょっとした遊びの空間だったのに
今では本箱には絵本よりも子供向けの問題集や教材の雑誌の方が多い…
机の上も何気に子供向けっぽい物が飾られてるけど… 使用目的は勉強重視の物ばっか…
それを隠すように大き目の熊のぬいぐるみがわざとらしく置かれていた…



 「これって…亨…使ってんの?」
 オレは教材に付いてくる可愛らしい人形を
 右手に嵌めて亨に聞いた…
 その姿が想像出来なくて…
 したく無いの方が正解か?

 「もちろん!教育の為だよっ!!」

 キッパリと言い切る…

 あ…駄目だ…頭の中で想像しちまった…怖い…





「夕べはお風呂では算数。寝るまではひらがなの練習!寝る時は英語の歌!
ちゃんと楽しませながら教えるのがコツ!!!」
亨が教育論を語り 出した…至って真面目らしい…

「いいからっ!!そんなに詰め込まなくてもっ!!まだ4歳なんだぞっ!!」

机に向かってカリカリと鉛筆を走らせる 葵くんを想像してしまった!

「何言ってんの!!もう4歳だよ!
こう言う事は早く始めた方がいいにこした事ないんだよっ!!」

「オレは伸び伸び 育てたいのっ!!」
「伸び伸び育てればいいだろっ!!!僕は勉強を教える!そこは譲らない!!」

腕まで組んで何でそんなに態度デカイ?父親はオレだぞ…

「お前…」
もう…呆れて…萎える…
「あ!慶!おはようのキスがまだだよ!」
「は?」
何今更…てかこの状況でそれを求めるのか?
「ほらっ!!」
「…………」
スゲー催促の眼差しと態度が続く…
「お…はよ…亨…ちゅっ 」
「おはよう。慶彦。」
なんか…納得出来ねぇんだけど…
亨は全く気にせず 上機嫌だ…
「朝食食べてくだろ?」
「…ああ…」
丸め込まれたのか?くそ…

それから暫くして葵くんが起きて来た。





「あれ…?おとうさん…?なんで?」


「おはよう葵くん。
迎えに来たんだよ。一緒に帰ろうね!」


寝起きの仕草が相変わらず可愛い。
「うん…わかった。とおるさん…」
「ん?」
葵くんがコーヒーを飲んでる亨に近付いていく…?






 「おはようとおるさん。ちゅっ!」



 「おはよ。葵君 」








「  !!  」


え?…何してんの?この2人…

思わずジッと見てしまった…

ハ ッ !




 「 うわああああ!! 葵くんっ!! 」


 オレは速攻葵くんを抱き上げて
 亨から 引き離した!





2人はキョトンとしてる…

「いっ…いつの間にそんな事に??
亨っ!!お前葵くんに余計な事教えんじゃねーっっ!!」

最悪だ!!オレの葵くんが…葵くんが…マジで亨に教育され始めてる!!

「え?どうしたの?おとうさんとおかあさんもしてるし
ぼくもおとうさんとおかあさんと してるじゃん?なんで?
おはようのキスじゃないの?」

葵くんが純真無垢な眼差しでオレを見上げて正論を言う…

「そ…そうだけど…」
その… なんて言うか…素直にそう思えない所が…

「 おやすみのキスもしたもんねー♪♪ 」

とびっきりの笑顔で亨に同意を求めないで…葵くんっ!!

「うん!葵君上手だもんね ♪♪ 」

「上手とか言うなっ!!何で口にするっ!?ホッペでいいだろっ!!ホッペでっ!!」

ああ…オレの葵くんがこの 変態野郎に汚されていく…

「うるさいなぁ…慶彦は…ねー葵君。 」
そう言って亨は葵くんを抱きしめた。
「どうしたんだろうね?おとうさん…?」

葵くん…騙されちゃ駄目だ…こ…これは家に帰ったら話し合わなくちゃ…ん?…

「ちょっと待てっ!!
って事は葵くんのファースト・キスの相手ってお前なのかっ!? お前になるのか?」

だよな?オレと耀くん以外っつたらこいつしか…
亨がニヤリと笑う…う…うそだろっっ!!

親子揃って…こ…コイツが… 最初の相手かよーー!?うそだろーーっ!!冗談じゃねーーっ!!

ガラガラとオレの中で何かが崩れて…しばらく立ち直れなかった…
耀くんに申し訳 なくて…葵くんに申し訳なくて…
オレがこんな変態野郎と知り合いだったばっかりに…
どうか…どうか…葵くんが亨の毒気に染まりません様に…

そんな打ちのめされてるオレをわかってる亨が明るい声で言った…


   「 子育てって楽しいね。ねえ…慶彦! 」