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 * 今回のこのお話…結局は子供の話なんですが…私の中では椎凪の子供は葵一人。
   …なんですが…女の子もいたらどうなるの?っと言う気持ちが 抑えきれず…
   本編では絶対(今の所…多分…)登場する事は無い人だと思います。
   なので幻の椎凪の娘のお話。
   だって…きっと椎凪…耀と同じ位にベッタリになると思うんですよね…
   ただ…お話の内容が…オチがあるのか無いのか…うーん(いつもの事ですが…)
   ですので…軽い気持ちでお読み下さい。 *





「なに?お父さん…」

お風呂からあがった私をじっと見て…何気に近づいて来る…
しかもナゼか顔は満面の笑みで…

「いやさぁ…環って出会った頃の 耀くんにソックリ ♪♪ 」
「お父さん僕にも言ってたよね…」
お兄ちゃんが呆れた声で言う。
「だからなに?親子なんだから当たり前じゃん。」
「えー…別にぃ…ただね…」
そう言ってさっきより更に近づいて来る…
ジリジリ近づいて来るから…余計…嫌な感じ…

「 環 !! 愛してるよっっ!!! 」

そう言うと私をギュッと抱きしめたっ!!

「 うぎゃあああああーー!!やっ…やめてっ!離してよっ!変態親父っ!! 」

「ひどいなぁ環…こんなに オレ環の事愛してるのにっ!!」
「おにいちゃ…たすけっ…」
「えーあきらめなよ…お母さんいないから代わりに環で紛らわしてるんだからさ…
僕も良く抱き つかれたもん…」

何よぉ…お兄ちゃんの薄情者…(葵13歳です。)
私は何とかお父さんの腕から逃げようともがいたけど…
ギュウってされてて無理だった…

もう…お父さんの…裸の胸が…思いっきり顔にあたるし…
…昔は…お父さんの胸って…広くて…暖かくて…好きだったのに…
いつから…こんな風に…思い始め たんだろ…

がちゃ…
玄関の開いた音がした…

「あっ!耀くん帰って来た!!」
お母さんが帰って来た…
「耀くんお帰りーー ♪♪」
やっとお父さんが私から離れた…
「………はぁ…はぁ…まったく…」

「ただいま椎凪。」
そう言って2人はお帰りとただいまのキスをしてる…
これも…気になってる事の一つ…
「もー淋しくって環で紛らわしてたよ。」
「ね?」
お兄ちゃんが私に向かってほらねって感じで見る。
「…う…」

私 『椎凪 環』 11歳小学5年生。
お父さんとお母さんとお兄ちゃんの4人家族。
うちのお父さんは少し(大分?)変だと思う…
男なのに料理が得意で…いつも裸でいて…
いつもいつもお母さんの事…愛してるって… 好きって言って…キスしてる…
私とお兄ちゃんの事も愛してる好きっていつもいつも抱きしめる…
友達に言ったら信じられないって思いっきり引かれた…
いつもニコニコしてるお父さん…

…でも…私は最近お父さんの事がウザイ時がある…
お兄ちゃんは全然平気みたいだけど…

…どうしてうちの お父さんは…普通のお父さんと違うんだろ…

    …普通のお父さんが…良かった…


日に日に…私の気持ちは…重くなって行く…
自分でも良く分からないけど…何となくお父さんを避けてる自分がいた…


「環!今日友達と出かけるんだって?」
「……うん…」
「遊びに行くの?」
「…ちがう…」
学校の家庭科の準備を買いに行くんだけど…
「遅くなるの?」
「わかんない…!」
段々イライラしてくる…もう…私に話しかけないで…


 「じゃあさ終わったら迎えに行くよ。
 それでそのままオレとデートしよ。
 最近環と出掛けてないし。ね?楽しみだな。
 何なら友達も一緒に皆で お茶でも…」

 「もう!いい加減にしてよっ!!」

 「…!?…環?」

 「いつもいつも私にベッタリつきまとわないでっ!!
 友達にも 笑われたんだからね!
 いっつもヘラヘラ笑ってて…
 毎日毎日抱きついて来て…
 もうそう言うの嫌なのっ!!」



…お父さんが… ビックリした顔して…立ち尽くしてる…
…言っちゃった…勢いもあったけど…だって…嫌だったんだもん…
お父さんの横を通り抜けて…出掛ける支度をして… 私は家を出た…
お父さん…きっと…落ち込んでるかな…
私や…お兄ちゃんに嫌われるの…泣いちゃうくらいに…辛いのに…
…ダメダメ… これで良かったんだから…いい加減気が付いてもらわなくっちゃ…

私はそう自分に言い聞かせて待ち合わせの場所に向かった。


友達と調子に乗って 遅くまで遊び過ぎた…
電車で隣の駅まで出かけて来たから…
自分の家の駅に付いた時は辺りは暗くなり始めてた…
友達と帰る方向が違くて…でも一人で帰る には…暗い…どうしようかな…
お兄ちゃんに迎えに来てもらおうかな…なんて考えてたら…

「 環… 」
「お父さん…」
「帰って来ないから… 迎えに来たよ…」
「ずっと…待ってたの?」
私は携帯なんか持ってないから…連絡なんてしてないのに…
「別に…待つの苦じゃないし…嫌だった?」
「…そんな事…」
出掛ける前の事が気になって…まともにお父さんを見れない…
それに…何だろう…いつものお父さんと…なんか違う気が…する…

「お父さん…怒ってる…の?」
「え?ああ…昼間の事?別に…怒ってないよ。」
「そう?なんか怒ってるみたい…いつもと感じが…違う…から」

「だってヘラヘラしてるオレ嫌いって言うからさ。
『 こっち 』 で迎えに来たんだよ。」

「こっち?」
「ほら。行くよ。」
「え…?う…ん…」

私は不思議な気分で…お父さんと一緒に帰った…

その日のお父さんはいつもと違ってた…
すごく物静かで…落ち着いてて…
お兄ちゃんは…あ!って顔してた けど…ニコって笑った…
お母さんはずっとテレた様な顔をしてた…

料理もいつもと同じだし…裸のままでいるのも同じなのに…

…いつものお父さん じゃないみたい…

次の日も…そのまた次の日も…お父さんは同じだった…
何でだろ…なんかいつもと違う…お父さんの事もそうだけど…なに?

……あ…そうか…あの日からずっと…

   『 環 愛してるよーーー!! 』

…って お父さん抱きついて来ないんだ…



……予定外… だ…

こんなに…いつものお父さんじゃないのが…気になるなんて……
あんなに…うっとうしかったお父さんの行動が…されなくなったとたん…
物足りなく感じる…

…お父さんに…嫌われたのかな…怒ってないって言ってたけど…
ああ…そうか…私にとって…お父さんに抱きつかれる事は…
私の事…好きでいてくれてるん だって言う…証明だったんだ…
知らないうちに…そうされる事で…安心してたんだ…私…

今頃…気が付いた…


夕飯の後…お父さんはキッチンで タバコを吸ってた…
私は…静かに近づいて…なぜだか…涙が溢れてくる…

「お父さん…」
「! 環…? 」

「あや…まるから…この前言った事… 謝るから…いつものお父さんに戻ってよ…」

私はお父さんを見ないで…見れなくて…俯いたまま…話しかけた。
「環…」
「だって…私の事…愛してるって… 抱きついてこないし…笑わないし…」
「だって…環がそう言うの嫌だって言うしさ。オレ環に嫌われたくない。」
タバコをもみ消しながらお父さんが話す…

「嫌わないから!!……いつものお父さんに戻ってよぉ…謝るから…ごめんなさい…」

ポロポロ涙が零れる…

「……じゃあ…環はオレの事嫌いじゃない?」

お父さんが私の肩を優しく掴みながら屈んで顔を覗いて話し続ける…

「うん…」
「オレの事…怒ってない?」
「うん…」

「 じゃあ… オレの事… 愛してる…? 」

「 !! 」

お父さんが…優しく私に笑いかけてくれてる…

「 うん…愛してるよ…お父さん…」

私は泣きながら…笑い返した…

「オレも愛してるよ…環…生まれる前から…環の事…愛してる…」

そう言ってお父さんは…私のオデコにキスしてくれた…
私は嬉しいのと…恥ずかしいので…
久しぶりにお父さんの胸に自分から顔をうずめた…
お父さんの胸は…前と変わらず…広くて…暖かかった…




自宅の近くの公園でお父さんが私と同じ学校の上級生の男子に向かって言い放つ。

「 二度と環に近づくんじゃねーぞ…次お前の事見かけたら…必ずオレが殺す!! 」

そう言って殺気出しまくりの瞳で男子生徒を睨みつけた…
睨まれた先輩は(私は知らない先輩。)逃げる様にその場から走って行った…
(環は16歳になりました。)

…お父さん…怖すぎ…
「 ふんっ !! 」
ざまあみろって感じでお父さんはずっと睨みつけていた…
「ったく…環の相手しようなんて100万年早いっつーの!!」
「…………」

お父さん…私100万年も生きられませんから……


「もー椎凪は過保護すぎだよ。ちょっと告白されただけだろ?」
お母さんが外での 出来事を聞いて呆れた様に文句を言った。
確かに…もう何度目なんだろう…?

「何言ってんの!耀くん!!環は昔の耀くんと同じ位可愛いんだから!!
オレが気をつけてなきゃダメなのっ!!」

「もー…椎凪ってば…」
お母さんは呆れ顔…お父さんに何言っても無駄なのがわかってるから。
(ちなみに今のお母さんは綺麗なんだってさ…お父さんが言うには…)

「いいよお母さん。だって私も男の子ウザイしさ…興味無いし…」
今の私には男の子と 付き合うなんて事に興味が無い。

「 お父さんの愛で充分だモン ♪♪ 」
「 だろ?環ってば分かってるよねー ♪ 」
お父さんが満足そうに笑って 私を見る。

「いつかお父さんみたいな人現れるの待ってる!!」

その言葉を聞いて更にお父さんは上機嫌。
「いやーなんて親孝行なんだろうね… うちの子供達は…
葵くんは耀くんみたいな女の人と結婚するって言ってるし…
もーオレの子育て間違ってなかったんだよ。ねー耀くん ♪」

そう言ってお母さんをギュッと抱きしめる。

私のお父さんはいつも私達に好きって…愛してるって…抱きついてくる…
でもそれは挨拶とか… コミニュケーション取る為とかじゃなくて…
本当に心から私たちの事好きで…愛してるから…

お母さんとのキスなんて…ウチでは当たり前の事…
小学校の頃は… そんなお父さんが嫌な時もあったけど…お父さんを避けてて気が付いた…
お父さんの…そんな大胆な愛情表現が無いと…私はすぐ…淋しくなっちゃうって事に…


…だって…生まれた時からの事だから…もう…仕方ないよね…

…そんなお父さんのこと…私は大好きだよ……