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一方的に…告白して…
しかも…慌てた僕は吉野さんを一人残して…走って帰って来ちゃったんだ…

何か凄い事言っちゃったよ…
吉野さんの気持ち何も考え ないで…

だあぁぁぁぁぁぁ…恥ずかしいー!!…一人で舞い上がって…勝手に話して…


「あれ?葵くん…吉野さんは?」
家に入るなりお父さんに 言われた。

「 ああっ!!忘れてたっ!!今日は吉野さんウチに連れて来るんだったっ!! 」

あまりの出来事に…すっかり忘れて…
吉野さん置いて 来ちゃったよ…まずい…
僕は速攻着替えて吉野さんを迎えに行った。

吉野さん何処行っちゃったんだろ…
僕は慌てて吉野さんの家に迎えに行ったけど… 吉野さんは居なかった…
だからまずは家の周りと…そこにいなかったから…駅前やら飲食店やら…探し回った…

とりあえず吉野さんの家に一度戻ろうとした時…
あれは…吉野さん…?

「吉野さんっ!!」
「椎凪…君…」
吉野さんが大学生らしい男の人に腕を掴まれてた…

「 吉野さんを放せっ!!」

 吉野さんを掴んでいた相手の手を振りほどいて僕は吉野さんの前に立った。

「何だ?お前?ふーん…今の男か?」
僕を見回した彼がそう言った。

今の?…まさか…前の…彼氏?

「また焦らすだけ焦らしてんだろ?男たらっしだからな…お前。」
嫌な…感じの人だ…

「お前もキスだけはさせてもらってるだろ?でもなコイツ絶対身体には触らせないんだぜ。
力ずくでやってやろうと思ったらコイツ噛み付きやがった…」
「…!」
吉野さんが怯えてる…
「え?でも…初めての人って…」
確かに前…吉野さんそう言ってたけど…
「初めて?ああ…男と付き合ったのは俺が初めてらしい けどな…
キスだけなら俺なんか何人目だかわかりゃしないぜ。なあ?」
「…そんな事…」
「だからすぐ別れたぜ。面白くも何ともねーもんな。 いつもいつもお預けじゃあな。
でも本当は男なんて知り尽くしてんじゃねーのか?」 

ガ ッ !!

「吉野さんの事悪く言うなっ!!」

僕は頭にきて思わず彼を殴った。
「 いててててて…… 」
初めて人を殴って…凄く手が痛い…
「椎凪君…」

「吉野さんはあんたみたいな男には 勿体無い位可愛い女の子なんだよっ!!」

バ キ ッ !!

「 !!…がっ… 」

「椎凪君!!」
…いってーー…目が…まわる… 生まれて初めて殴られた…

「やめてっ!!放してっ!!」

僕の服を掴んで引きずり上げるのを…吉野さんが止めようとしてくれた…
ダメだよ…吉野… さん…離れて…
頭がクラクラして…声にならなかった…

「安心して伸びてろよ。これから俺がコイツの事可愛がってやるからさ。
ここでコイツに会ったのも ツイてたよ。
今度は最後までタップリ付き合わせてやる。じゃあな!」

…また…殴られる…でも…動けな…

「はい。そこまでね。」

バ キ ッ!!

「 がはっ! 」
「 お父さん!? 」

何処から現れたのか…
お父さんが僕の後ろから彼の顔面を殴った…

「まったく…」

そう呟くとお父さんは倒れてる彼を引きずり上げて
お腹に膝蹴りを入れて…耳元で囁く。

「今後この2人につきまとったら… 必ず君を探し出して殺す…
あーでも…その前に…職権乱用して君を逮捕ってのもアリか?くすっ…」

お父さんが警察手帳を見せた…
『あの』お父さんに なってる…

彼が…慌てて逃げて行った…

「大丈夫?葵くん。」
「殴る前に警察手帳…見せれば良かったんじゃないの?」
「えー? 何言ってるの?葵くん。あいつ葵くんの事殴ったんだよ?
オレだって殴った事無いのにっ!!親として倍返しでしょ?」
「もー…でも僕から殴ったんだし… で?もしかしてずっと僕の後…つけてたの?」
「まあね。ちょっと気になってさ。オレの直感て当たるんだから。
後つけるだけにするつもりだったんだけど葵くん 殴られたの見たら我慢できなくてさ。」

吉野さんがずっと僕に抱きついたまま…泣きながら震えてる…
「あ…吉野さんごめんね…怖がらせちゃって… もう大丈夫だから…」
「葵くん。やっぱりこの娘だったろ?」
「え?」

お父さんがほらねって顔して僕にそう言った。

「さ!帰ろ。耀くんが 待ってる ♪♪ 」
「う…ん…」

お父さん…分かってたのか…相変わらずスルドイな…

「椎…凪君…ごめん…ね…痛いよね…ぐずっ…」
「大丈夫だよ。もう泣かないでよ。」
そう言って僕は吉野さんの涙を親指で拭き取った…

「帰って一緒にご飯食べ…」
言ってる途中で… 吉野さんが僕に抱きついてキスをした…
お父さんが…ニッコリ微笑んでそれを見てる…

「…あ…」
「今のは…淋しいからしたんじゃないよ…」
「うん…なんか…わかった…」
だから…いつもと違って…照れる…

「椎凪君…私の事何でも分かるんだね…」
「え?何か…分かるって言うか…感じるんだ… 吉野さんの気持ちが…」
「感じるの?私の気持ちが?」
「うん…」
「今は…?感じる?」
「え?あ…うん…多分…分かってる…」

「 「 好 き 」 」

2人の声が重なった。
僕は吉野さんにニッコリ微笑んだ…
吉野さんも…瞳に涙を一杯溜めて…僕に笑いかけてくれた…



高校を卒業するまでは…彼女を抱かないって決めてた…
自分なりの小さなケジメ…でも…1年半実行してきた…
結構大変だったんだ…
でも… 今日僕達は…無事高校を卒業した…

僕の彼女…吉野 楓さん…とっても素直で…心の繊細な人…

そして…僕の一番大切な人…


「大丈夫?」
僕は楓さんの頬にそっと手を触れた…
「うん…」
ここは楓さんの部屋…
楓さんは…シャワーを浴びて…今僕の所に戻って来たんだ…
「無理…してない?」
「うん…」
そっと…優しく楓さんにキスをした…
キスは何百回…何千回ってしてる…
だって…好きな人とのキスはとても気持ちが良くてすごく嬉しい事…
父と母が教えてくれたから…

楓さんの…シャツのボタンを外す…
楓さんは…真っ赤になりながら…黙って僕のされるがまま…
キスをしながら…シャツを 肩から…滑り落とした…
そのまま…楓さんとベッドに横になる…

将来の事を考えて…絶対妊娠しない日を選んだ…
今はまだ…子供が出来ても僕達には 早いと思うから…

「…あ…」
楓さんが…不安なのが僕に伝わってくる…
なぜか楓さんの気持ちが僕には分かる…感じるんだ…
だから僕は楓さんを 安心させてあげる…

「楓さん…これからもずっと…僕の傍にいてね…
僕これから先もずっと楓さんと一緒にいたい…
そしていつか結婚して…子供を育てて…
世界一仲のいい家族を僕と作ろう…
僕の夢…楓さんとなら叶えられるから…」

「うん…葵君…私に嘘…ついた事ないもんね…信じる…ずっと…一緒ね…」

僕達は…お互いに微笑み合った…


「あっ…ん…葵…君…」

楓さんの身体が…緊張してる…
「ごめん…ね…楓さん…少し…我慢して…」
楓さんの手をギュッと握ってあげた…
「うっ…あっ…」

楓さんが…僕の胸に顔をうずめて…そんな楓さんを見つめながら…
僕は楓さんの事が…今までより… ずっと…愛おしくって…

…好きだよ…愛してるよ…楓さん…


高校の卒業式の日…
             僕達は…心も…身体も… 愛し合ったんだ…


「2人共…卒業おめでとう ♪♪ 」
お父さんが家に帰った僕達にそう言ってくれた。

「あ…ありがとう。」
「ありがとうございます。」

…お父さんは色々な事に鋭い…
刑事のせいなのかは分からないけど…だから…今日の事も…もしかして…

「2人で デートして来たの?」
「え?うん…」

「今日は記念のデートになったんじゃない?」

「 えっ!? 」

お父さん…何もかも…分かってるの…? かな…

「椎凪!遅れちゃうよ。」
部屋の奥からお母さんが声を掛ける。
今日は僕の卒業のお祝いをお祖父様の所で祝ってくれる事になってる。
だから楓さんも一緒にお祝いしようって事になって…

「うん。そーだね…葵くんも着替えて。」
「…うん…」
何だ…大丈夫なのか…な?
「葵くん!」
「えっ?あ!はい!!何?」

「何があっても楓ちゃん守るんだよ。
絶対楓ちゃんを裏切ったり悲しませる事しちゃダメだからね。
オレそう言うふうに 育てた憶えないから!」

お父さんが真面目な顔で…僕に言った。

…お父さん…

「うん!大丈夫!ずっと2人の事見てきたから…僕2人の息子だよ。」

僕は真っ直ぐお父さんを見て答えた。

「くすっ…そうだね…そうだよね。」


お父さんは…そう言って…ニッコリ笑って…僕を抱きしめてくれた…



   ↓ ちょっとまだ続きます。

「……耀くん…」
「……ん?」
「起きて!今日は2人で久しぶりに出掛けるんだから。」
「…うん…」
オレはベッドの中でモソモソ…相変わらず寝起きが悪い…
「おはよう。ちゅっ ♪♪」
「おはよう…」
いつもの様に寝ぼけながら椎凪とおはようのキスをした。
「ん?どうしたの?」
ボーっとしてるオレに椎凪が声を掛けた。
「……んーー…何かね…夢見てた…」
「夢?」
「うん…すっごく長い夢…だったような…んー…」
「どんな夢?」
「良く憶えてないけど…楽しい夢だったよ。」
「憶えてないのに?」
「うん。みんなが 出てくるの。祐輔も慎二さんも右京さんも。」
「え?オレは?オレ!!」
「出て来たに決まってるじゃん!」
「ホント?良かった! ♪♪ 」
「くすっ… 椎凪ってば…」
「で?夢の中でもオレと耀くんラブラブだった?」
椎凪が瞳をキラキラさせてオレに聞く。
「うん。椎凪はいつもオレの傍にいてくれて… いつもオレの事愛してくれてたよ。」
「だよねぇ〜今だって愛してあげる!!」
「あ…ちょっ…ダメだって椎凪…時間が…あっ…あっ…」
「大丈夫!大丈夫! ちゃんと時間気にしてるから!!」
「うそだっ…いっつも最後はオレの事動けなくなるくらい抱くくせに…」
「いいじゃん…それでも…予定変更して1日中愛し合ったってさ!」
「椎凪……」

「耀くん…愛してるよ…いつも…いつまでも…」
「オレも愛してるよ…椎凪…」

いつもの様に…そう2人でお互いの気持ちを確かめ合って…

        いつまでも…オレ達は愛し合う……
 
さてこの椎凪と耀のお話も出逢いから お付き合い…結婚…出産…子育てと
一通りお話の紹介が終わりました。

自分でも未練かなぁ…なんて思って おりますが
でもどうしようも無いほどこのお話が気に入ってまして…
それにこのキャラ達の事を考えるのをやめてしまうと
自分の中で椎凪が消えてしまい そうで怖いと言う気持ちもあります。
なのでこんな終わり方にしました。

これからは昔にちょっとプレイバックで2人のお話を書こうと思っております。
他のキャラの話とか別バージョンのお話…小説の漫画なんかも
描きたいと思って おりますので。
ですが…今までと違い毎日の更新にはならないと思いますので
時々椎凪達に会いに来て頂けると嬉しいです。
今まで毎日お付き合いして下さった方々には感謝の気持ちで 一杯です。

ありがとうございました。( ペコリ! )

沢山の訪問と拍手・メッセージ送って頂いてとっても嬉しかったですし励みにもなりました。
これからは毎日お会いする事は出来ませんが…これからも宜しくお願いします。

                                     yutaka。