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    右京 : 草g家55代当主。『邪眼』と言う不思議な能力を持つ一族。耀のトラウマを治療してその後耀を養女に迎える。
          耀の義理の父親で耀を溺愛!椎凪を何故か敵視していて事在るごとに色々邪魔をする。世間知らずがたまにキズ…

    慎二 : 耀の数少ない友人の1人。椎凪の苦手な3人のうちの1人。
          右京とも昔からの知り合いで祐輔の祖父がデザイナーの『TAKERU』に勤務。
          かなりの資産家の一人息子。怒らすと恐い方…








「 ん……眩しい…… 」

開け放たれた窓から朝日が入って来て…気付くとベッドの上で1人だった……

ああ…やっぱり眠っちゃったんだ……ちぇ…


「……はぁ…夢か……」

ジワジワと涙が込み上げてくる……耀くん……


「 パタパタパタ…… 」


「ん?」

誰もいない筈の廊下で足音がする……え?なんで??


「椎凪おはよう!目覚めた?」


開かれた寝室のドアからヒョッコリと耀くんが顔を出した!!

「 耀くんっっ!!?? 」

ズッッキーーーーーーーンンン!!!!

「ぐあっ…いってぇ!!!」

ベッドの上で起き上がった途端頭に激痛が!!!
オレは頭を押さえながらベッドにうずくまる。

「大丈夫椎凪?二日酔いじゃないの?もの凄く酔ってたし…」
「え?」

頭をベッドに押し付けたまま目だけを耀くんに向けてオレは不思議な声を出す。

「オレが来たのに椎凪全然分ってなかったみたいだしさ。」
「え?」
「驚かそうと思ってこっそり来たのに椎凪酔ってて…」
「こっそり?」
「そう!誕生日のサプライズだよ!」
「サプライズ?」

「椎凪の誕生日に何をしてあげたらいいかと思って右京さんと慎二さんに相談したんだ。
そしたらたまには椎凪1人でゆっくりさせてあげて…12時になったらオレが現れるって事に
したらどうかって言われてさ。」

耀くんが名案でしょ!と言う様ににっこりと笑ってそんな事を説明してくれる…

「……………」

名案って……

「驚いてくれると思ってたのに…椎凪ってば…」
「………」
「椎凪酔ってるからすっごい強引で乱暴でさ…」
「……乱暴?」

………そう言えば夢だと思って…

「オレの事また縛ってさ。強く縛るから痕ついちゃったし…身体中噛むし…
外でするって聞かないし……」
「外?」
「そうだよ。プールの中でしょ…プールサイドでしょ…テラスでしょ…
それからリビングにキッチンに…寝室……」

耀くんが指折りそんな事を言っていく……

「そんなに?」
「そうだよ。え?もしかして椎凪覚えて無いの?」

「……………コクン…ちょっとは…記憶がある…でも夢だと思ってた…」

「やっぱりなぁ…どう見ても酔ってて無理っぽかったもん。」


ガアーーーーーーン!!!


もうオレは目の前が真っ暗!!!!
何がショックって…そんな超レアなプレイを殆んどオレは覚えていないって事で……

ウソだろーーーーーーーっっ!!!


「……うっ!!イテ……」

さっきから頭がズキズキと痛む…
これは二日酔いなのか…後悔が原因なのか…それとも……

「何か飲む?」
「ううん……今からする!!」
「え?」
「だってこんなの納得いかない!!!せっかくのサプライズオレ全然驚いてない!!」

どっちかと言えばさっき耀くんが入って来た方が驚いた!!

「え?今から?」

耀くんが困った様な顔をするから…

「何で?今日はオレの誕生日だよ。」

思わず強めな言い方になる。

「そうだけどさ…だってもすぐ右京さんが迎えに来るよ。」
「ええっっ!!??もう??」

いくらなんでも早すぎだろ?
耀くんが来てから夜まで2人っきりにしてくれたっていいだろうに!!

ワザとだ…
今までの諸々の事……絶対ワザとに決まってる!!!
オレが耀くん無しでいればどんな風になるかなんてお見通しで…
そしたらオレがどんな行動に出るかだって分ってた筈なんだ……

くそぉーーーーー!!!右京君めぇーーー!!!

「うわっ!!」

ベッドの端に座ってる耀くんを引っ張ってベッドに押し倒した。

「ちょっ…椎凪…待っ…」
もの凄い慌ててる。

「そんなに右京君が来るのが気になるなら抵抗しないで!!オレの言う事聞いてよ!!
ずっと1人だったんだ……ずっとだよ…」

「……椎凪……」

オレは1人興奮して…肩で息をする……頭も割れる様に痛い…
でも……もっと痛い処があるんだ……

「……1人にさせて…ごめんね…オレ…本当に椎凪をビックリさせたかっただけなんだよ…」

そっと…耀くんの手がオレの頬を撫でる……

「……耀くん……」

あ…オレ……興奮して……耀くん攻める様な事言ってる……

「そうだ……椎凪…」
「?」

「お誕生日おめでとう。まだちゃんと言ってなかったね。」

にっこりとオレの下で耀くんが微笑んだ……

「……ありがとう…耀くん……」

オレはそんな耀くんの言葉であっという間に満たされる…

「でもね…本当に寂しかったんだよ…この世の中で1人ぼっちかと思ったほど…
耀くんに会いたくて…会いたくて……ずっと耀くんを呼んでた…
オレをビックリさせてくれようとしてたのは分るけど…もう二度とこんなの嫌だ……1人は…嫌だ…」

これは…本心だ…
だから夢で耀くんと会えたと思ってあんなにはしゃいで…舞い上がって……

「わかった…もう椎凪を1人にしないから……チュッ!」

「!!…耀くん…」

耀くんが上半身だけ起き上がってオレに軽い触れるだけのキスをしてくれた…
オレはそれだけで心臓が早鐘の様に動き出して……きっと顔が真っ赤だ…

「好きだよ…椎凪…愛してるよ…
来年も…これからも…もっともっと先も2人で一緒にお祝いしようね。」

オレは椎凪に向かってそんな言葉を言ってあげる…
でもそれは…オレの誕生日に椎凪が言ってくれた言葉だ……

「…………」

オレは耀くんのそんな言葉に何も言えないほどの感動に嬉しさだ!!
昨夜の寂しさも…悔しさも…全部吹っ飛ぶほどの気分だ!!!

「椎凪……」
「ん?」
「抱いて……オレを…思いっきり……」
「うん……」



オレの腕の中で耀くんが乱れて…仰け反って……感じて……そんな耀くんがとっても可愛くて愛おしい…

耀くんを押し上げて攻める度に頭が割れそうに痛かったけどいつの間にかそんな事も忘れてた…


オレの耀くん…オレだけの耀くん……

ずっと傍にいて…オレを愛して……オレだけを見てて……




「あっ…あっ…椎…凪……ンッ!!!」

「耀くん……」

「はぁ…はぁ…し…いな…んん…」

息が出来ないくらいの深い深い恋人のキスをずっと耀くんと交わす……

「愛してるよ…耀くん…耀くんだけを…愛してる……」

「………う…ん……」


お互い相手の瞳をじっと見つめて…確かめ合った…






「どうだった?楽しんでもらえたかい?」

納得いくまで耀くんと愛し合ってお互いぐったりしたまま何とか2人共ベッドから這い出して
シャワーを浴びて身支度を整えて…それからジャスト10分後に右京君と慎二君が迎えに来た。

ヤバかった…
裸でベッドにいる所なんて見られたら2人にどんなお仕置きされるか……

しかし…自家用ヘリって…流石金持ち!

しかも結構な大型機じゃねーか…そのくせ音は静かで…
これじゃ夜中に此処に降りて来ても気が付かないのは仕方ない…

それにきっと怪しい機能が付いてるに違いない……

「……まあ…ね…」

オレは引き攣り笑顔だ。

「耀…上手くいったのかい?」
「はい!ありがとうございました。右京さん!」
「そうかい…それは良かった。」

もの凄いにっこり笑顔だ!!
右京君は耀くんが満足ならそれでいいんだから…まったく!!

『すみません椎凪さん…これでも右京さん引き止めたんですけど…上手く行かなくて…
もっと2人の時間楽しみたかったでしょ?』

慎二君が飲み物を運びながらこっそりとオレの耳に耳打ちした。

『もう…諦めたよ…あれでも右京君耀くんに協力してあげられたって満足なんだろうから…』
『そう思っていただけると……右京さんやる気満々で…あ…耀君に対してですけど…』
『…わかってるよ…』

なんせ此処に連れて来られる時何の迷いも無くオレの項に一撃食らわしたんだから…
それでオレがどうにかなろうと知ったこっちゃ無いんだろう…

「出来れば耀くんが後から来るって知ってたらもっと良かったんだけどねぇ!」

嫌味ったらしく言ってやるっ!!

「何言ってるんだい。そんな事したらサプライズにならないだろう?
まったく…相変わらず馬鹿だな君は…」

「グッ!!!!」

もの凄い横目で言われたっっ!!!
思いっきり…はっきりと…馬鹿って言ったな……くそっ!!ムカつくっっ!!

しっかり自分の隣に耀くん座らせてるのもムカつくっっ!!!!


でも…ふと今回のオレの誕生日に一体いくら金を掛けたんだろうか?と思ってしまった。

多分…島ごと一晩貸切のオレや耀くん…それに右京君や慎二君たちが此処に来る為の燃料費…
それにこれから皆を連れて帰る為にまたヘリを飛ばすわけで……

そう考えると何だか結構なサプライズをしてもらったんだなぁ…なんて思う。

まあオレの為じゃ無くて…耀くんの為なんだろうけど!ココが重要なんだけどさ…


「そんなに感動したのならまた来年今度はもっと違う趣向で君の誕生日を祝うとしよう。」

右京君が満足気な顔でそんな恐ろしい事を言い出す…
今度は目が覚めたらアマゾンのジャングルで1人なんて事もあり得そうだ…


「 結構ですっ!!!! 」


だからオレは速攻間髪入れずにキッパリ!ハッキリ!!お断り申し上げたっ!!!