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「おはよー耀くん！！朝ご飯できたよー。」
いつもの様に椎凪がオレを起こしに来る。
「うーん…」
朝が苦手なオレは一度で起きたためしがない。
「起きて。」
椎凪が布団をめくろうとするのを無意識に押さえる。
「だめだよ。大学遅れるよ。」
両手でオレの顔を正面に向かせて椎凪がオレを起こそうと
試みる。
「うーん…」
この位じゃ起きない…いつもの事。
「じゃあキスしてあげようか？」
「うーん…」
分かってない…
「起きないと最後は口に
しちゃうよー」
「んー…」
そう言いいながら既にオレのオデコやら頬やらにキスをしだしている…
やっと自分に何か起きているみたい…と…気が付いた時は
遅かった。
「チュー！！」
と…思いっきり口にされどんなにもがいても椎凪は止めてくれなっかった…
そんな日常がここ最近当たり前のように
繰り返されている…
なんで？一体いつの間にこんな風になっちゃったんだろ？
「もー椎凪！何でキスするんだよっ！」
これもいつものセリフ…
何度言ったか分からない…
「起きないとするって言ったよん。」
ヘラヘラしながら答える椎凪を見て余計怒りがこみ上げる。
「もーキスしないでっ！！前にも
言っただろっ！」
「前は知り合って直ぐだったけど今は違う。だからキスしていいんだ！」
「どーゆー理屈っ！！それっ！！」
椎凪がここに下宿し始めて
もうすぐ半年になる。
「オレと耀くんは深い深ーい所で結ばれてんのだからキスぐらい当たり前なんだ。」
「ちがうっ！！オレと椎凪はただの友達！！」
「へーそう？」
また人をバカにした様な返事をする…オレの言う事相手にしてないな…
「 もーいいっ！！明日からオレ自分で起きる！椎凪オレの
事起こしに来なくていいからっ！！」
「 ！ あ…そ？本当に起こしに行かないよ？いいの？」
「いいよっ！前は一人で起きれてたもん！」
椎凪なんかあてに
するもんかっ！！
次の日…
「耀くんオレもう仕事行くからね。」
…椎凪の声がする…
「んー…ん？」
…仕事？椎凪が仕事に行く時間？
「ええーーーっっ！！もうそんな時間？！」
オレはガバッと起き上がると目覚まし時計を鷲掴んだ！
「うそっ！目覚まし止まってるじゃんっ！！
うーーオレいつの
間に止めたんだ？ヤバイよー遅刻だよーーー！！」
オレは慌てふためいてベッドから転げ落ちた。
椎凪は背中でクスクスと笑いながらサッサと
玄関を出て行った。
もー笑われたっ！！悔しいっっ！！
また次の日…
オレはベッドの上で跳ね起きた。
「うわーーまたこんな時間っ！！また目覚まし止まってるよーー！！うそーっっ間に合わないよぉ…」
ワナワナと目覚ましを掛けておいた時間から大分過ぎた時計を見つめながら情けない声を出した。
椎凪は休みらしくのんびりとイスに座ってコーヒーを飲んでる…
悔しいっっ！！
更に次の日…
また起きれず完璧に遅刻決定…オレはリビングの床に崩れ落ちた…
「…なんで？…なんで起きれないの？
オレそんなに寝起き悪かったっけ？うそだーー…うっく…」
ついに情けなくて涙が出た。
「………」
そんなオレを椎凪は呆れた様に見下ろしてる…
「ね？わかったでしょ？」
椎凪がオレの顔を持ち上げて言った…哀れみの目で見てる…
「オレが起こしてあげないと耀くん起きれないんだからさ。
明日からまたオレが起こしてあげるから。」
「椎凪…」
オレは椎凪に起こしてもらわないと起きれなくなちゃったのかなぁ…
「オレは耀くんの事愛してるから
気にしなくていいんだよ…」
いや…そう言う事じゃないんじゃないかと思うけど…
ドサクサに紛れてなんか変な事言ってるよね？椎凪…
自分の不甲斐なさに落ち込んで椎凪がきつくオレを抱きしめても抵抗する気力も起きなかった…
でも…オレは知らなかった…
その時椎凪がオレに見えない様に
ニヤッと微笑んだのを…
疑う事を知らない耀に卑怯な手を使う椎凪…
毎朝…目覚ましが鳴る前にこっそり止めに行っていた椎凪でした。