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家に帰ってから椎凪のテンションは上がりっ放しだった。
まあ…覚悟はしてたんだけど…
「んー…耀くーん!!」
そう言ってさっきからずっとソファに座ってオレを 背中から抱きかかえてキスをし続けてる…
「………」
オレは抵抗しないでされるがまま…
「あーもうオレ幸せっ!!」
そう言ってオレに頬をスリスリしてくる… もう好きにして…
「ねえ…椎凪…」
オレは振り返って椎凪を見上げながら話し掛けた。
「ん?」
椎凪がデレッとした顔をオレに向けた…ホント嬉しそう。
「オレ…本当に椎凪に迷惑掛けるかもしれないよ…それでも…オレでいいの?椎凪…」
「いいの。耀くんがいいの!」
そう言ってオレのオデコにキスしてくれた…
「耀くんは何も心配する事ないんだよ…耀くんの事でオレ迷惑に思うことなんて何もないから。」
ニッコリと笑ってる…
「本当?信じてもいいの?」
「うん。 信じて。信じられない?」
ちょっと意外と言いたげな顔で覗き込まれた。
「ううん…信じる…信じるよ。」
きっと椎凪はずっとオレに安心をくれる… 今こうやって椎凪に抱きしめてもらってるだけで
こんなに安心できるんだもん…
「でもさ…一つだけ嫌な事があるんだ…」
椎凪が本当に嫌そうな顔で 言い出した。
「えっ?なに?」
オレの事で何かあるの…?ちょっとドキドキした。
「オレ達の大事な告白の場所が堂本君の部屋って言うのが最悪なんだよね…」
「あーそれは…オレのせいだ…ごめんね椎凪…」
「だからそれ以上の初めて愛し合った日で今日を記念日にしようよ!…ね?」
今まで見たことの無い笑顔でオレに 同意を求めて来た。
「ええっ!?ど…どうしてそうなるの??」
椎凪のいきなりの提案にオレはうろたえるばかり…だって…そんな…
「オレ耀くんの全部をオレのものに したい…お願い…耀くん。」
「ええっ!!お…お願いって…オレ…そんな…」
ひーヤバイっ!!こっ…このままじゃ…
椎凪が体勢を変えてオレを そのままソファに倒した。
「えっ…あっ…ちょっと…」
「耀くんの部屋に行く?それともオレの部屋?」
慌てまくってるオレを気にもせず椎凪がオレの 耳元で甘く囁く…えー本気??
オレは何も言ってないのに椎凪がオレを抱き上げて歩き出した。

「え…?椎凪…ホントに…やめて…くれないの?」
一応お願いしてみた… 無理だって判ってたけど…
「もう半年待ったよ…だからもう待たない。」
抱きかかえたオレを優しく微笑みながら椎凪がそんな事を言った。
「半年…?」
「大丈夫…優しくするから…」

そう言って静かに椎凪の部屋のドアを閉めた……