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警察署の食堂。
珍しく中でお昼を取る事が出来た。

「え?寝る時?オレ裸。」
「えー?ハダカって全部ですか?下着も着けないんですか?」
「うん。」
「きゃー!!うそぉーっっ!!」
「はずかしーですっっ…」

同じ署の若い女の子が椎凪さんと話している。
明らかに女の子達は椎凪さんと話す事が嬉しくて たまらないと
言った感じがはしゃいでいる態度から判る。
「だって自分しかいないんだからいいじゃない?
あ!それとも一緒に寝てる人がいるのかなー?」
椎凪さんも相手に合わせて楽しそうに話してる。
「えーいないですよー。そんな人。」
「もー椎凪さんってばっ!」
そんな世間話をしばらく続け女の子達は満足 したらしい…
「スイマセンでした。お食事中に…」
「どういたしまして…全然平気。またね。」
まったく…人懐っこいんだから…椎凪さんは…
「もー椎凪さん …刑事辞めてホストになった方がいいんじゃないんですか…?」
呆れた様に話し掛けた。
「え?なんで?」
「だって…」
顔良くて…おしゃべり上手で… 落ち着いた声で…
男の色気もあって…女の人に好かれそう…
「そうかい?僕は椎凪君は刑事が向いてると思うけどね。」
向かい合って座ってた内藤さんが話しに 加わって来た。
「でしょ?流石内藤さん。大人の男ですね…堂本君は見る目無いなぁ…」
何ですか?そのもの凄い呆れた顔は??
「どーせ俺はガキですよっ!!」
不貞腐れてた俺の耳元に椎凪さんがそっと顔を近づけた…ドキッと心臓が波打つ…

「オレが大人にしてあげようか…」

甘い声で…そっと囁かれた… 椎凪さんの息が…フワッと耳にかかる…
「 !!…うわっっ!!ちょっと…」
ガタッっと椅子から転げ落ちた。
「え?」
椎凪さんが不思議そうに俺を見下ろしてる…
「やだな…何ビビッてんの?クスクス…堂本君からかうとおもしろーいっ。」
真っ赤になりながら立ち上がった…超恥ずかしい…
「え?なに?堂本君まだ大人じゃないの?」
内藤さんが面白そうに加わってきた…さっきの聞えてたのか…?
「おっ…大人ですよっ!ハタチですもん!!」
ムキになって…後から考えると超恥ずかしい事を口走ってた。
「年齢いってれば大人ってワケじゃないよー。クスクス」
「椎凪さんっっ!!!」
一言多いっっ!!
「え?なに?」
ワザとらしく内藤さんが聞き返す。

早々に食堂を後にした。

今日は珍しく内籐さんが一緒だったんだ…
内籐さんも掴み所無い人なんだよなぁ…などとジッと見つめていると…
「何?オレに 何か言いたい事あんの?」
軽く笑われて顔を覗き込まれた。
「えっ?あ…いえっ…」
マズイ…気付かれた…
「残念だけどオレは女の子紹介出来ないよ。 悪いね…大人にしてあげられなくて…クスッ」
「ちがいますっっ!!何スかっ内藤さんまでっっ!!」
楽しそうに笑ってるし…
「オレも最近女の子に縁が無いん だよなぁ…だから紹介出来ないからなぁ…
やっぱりオレが相手しないとダメか…男でもOKだよね?クスクス 」
椎凪さんもそんな事を言って笑ってるし…
「遠慮しますっっ!!!」
そんな相手いらんっっ!!
「えーしてもらえば?椎凪君上手だよ。きっと。」
内藤さんが平然と言ってる…
「何が上手なんですかっっ !!何がっ!!」
まったく…2人して俺の事からかって…
俺は顔を真っ赤にしてこの勝てそうも無い2人の間に挟まれて
食堂からの廊下をブツブツと文句を言いながら歩いていた。

『あーいいオモチャ。』と椎凪と内藤さんの2人は同じ事を思っていたのでした。