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ベッドの中…
オレの隣には…耀くんが裸で眠ってる…
夕べも…激しく愛し合ってそのまま寝ちゃったから…
耀くんは裸のままって言うわけ…
耀くんが裸で寝るなんて珍しい…いつもちゃんとパジャマを着て寝るからだ。
何故だかわからないけど…
オレは静かに寝息を立ててる耀くんの唇にそっと指で 触れた…
次は肩…腰…脚…優しく撫でていく…そして…ここ…
「あっ…」
珍しく耀くんが反応して目を覚ました。
「あ…やだ…椎凪…恥ずかしい…から…」
「恥ずかしくないよ…」
そう言いながらオレは耀くんの間に滑り込んでオレの身体ですっぽりと包み込んだ。
「あ…んっ…」
優しく耀くんを押し上げると…耀くんはシーツを掴んで身体を反らした…
ギシッ…小さくベッドが軋む…
耀くんはずっと目を閉じたままオレが動く度に可愛い声を漏らす…
「あ…椎…凪…ダメ…だよ…」
「なんで?」
「だって… 大学…遅刻…しちゃう…あっ…」
「大丈夫少しだけだよ…間に合うから…」
「本…当?」
「本当。少しだけだから。」
本当はずっと抱き続けたい…耀くん… 大学なんて行かせないでさ…
口では少しだけ…なんて言いながら身体はそんな事思ってなくて…
どんどん激しくなる…
「ん…あ…あっ…やだ…椎凪… そんなに…動かないで…
やっ…ダメだってば…椎凪…!!」
慌てる様にオレの腕をギュッと掴む。
オレはそんな事はお構い無しに…耀くんを思いっきり攻め 始めた。

椎凪のベッドの中…椎凪と耀が気持ち良さそうに熟睡中。

「……ん?……─── はっ!!」
オレは一気に目が覚めて飛び起きた。
「やばっ!!遅刻しちゃうっ!!やだ…眠っちゃったんだ…」
オレは慌てて起き上がった。
「ん?」
椎凪も目を覚ます。
「椎凪も遅刻しちゃうよっ!! 早く起きてっ!!」
オレはベッドから飛び出して椎凪に向かって叫んだ。
自分がハダカだって事忘れて。
「オレ今日休み。」
「え?」
今…椎凪… 何て言った?オレはキョトンとした顔をして
椎凪を見つめた…
「オレ今日休みなの。いい眺めだな…」
椎凪がベッドでくつろぎながらニッコリと笑ってそう 言った。
「えーーーーーーっ!!ズルイっ!!椎凪っ!!自分だけ…
オレヤバイのに…って…はっ!! 」
椎凪の視線に気付いて我に返る!オレハダカだっ!!
「見るなっ!!椎凪のスケベっ!!」
「今更でしょ?耀くん。」
にこやかな笑顔で椎凪がそう言った。

20分後…
オレは玄関で靴を履きながら溜息を 付いていた…
「良かった…何とか間に合うよ…」
「良かったね。」
椎凪がクスッって鼻で笑う…もー椎凪のせいなのに…
「帰り迎えに行くからね。慎二君達も大学の方に行くって言ってたよ。
大学で待ち合わせだって。」
「うん。分かった。」
今日は皆で食事する事になってるんだ…
月に何度か皆で食事して…今日は午後の講義が無いから…
そう言えば…右京さんも来るって 言ってたな…
オレはあの人…ちょっと苦手なんだよな…近寄りがたいって言うか…
ま…皆と一緒だからいいんだけどさ…
「はい。耀くん。」
「え?」
椎凪がナプキンに包んだ小さな包みをくれた。
「おにぎりだよ。朝ご飯抜きなんて耀くん無理でしょ?」
「え?本当?ありがとう。椎凪!うれしー」
オレは 一気に気分上昇!ニコニコだ。
「それと…ここ!キスマークあるから見られない様に気を付けてね。
ちょっと服がズレると見えちゃうよ。」
そう言って椎凪が オレのシャツの襟を引っ張った。
「ええっっ!!もー椎凪!そんな所に付けないでよっ!!気になるだろっ!!」
「ごめん。つい無意識に…じゃあ気をつけてね。 行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
オレと椎凪は行ってらっしゃいと行ってきますのキスをした…
「オレ今すごく幸せだよ…耀くん…chu…」
「オレもだよ…椎凪…chu…ん…あ…椎凪…遅れちゃう…んっ…椎…凪…」
椎凪がオレを抱きしめて深いキスをしだしたから…
そうなるとしばらくオレは放して もらえなくなっちゃうから…
オレはキスをし続ける椎凪を何とか引き離して部屋を出た。

休み時間…大学のベンチで椎凪が作ってくれたおにぎりを頬張っていた。
椎凪の作る料理はいつも美味しい。
椎凪はオレ用に大きなおにぎりを作ってくれるんだ。
一つ目のおにぎりを一口頬張った時…目の前にオレの食べる姿を
ジッと 見つめる人影が一つ…
……ジィーーーとオレを見つめて固まってる。
しばらく2人共沈黙。
オレはおにぎりをくわえたままその子と見つめ合っていた…
男の子…?え?女の子?
でもオレは警戒態勢に入らなかったから…女の子?
「食べる?」
オレと言うより…オレの持ってるおにぎりを見つめて…
とっても 食べたそうにしてたから思わず言っちゃった…
「 !! 」
一瞬にして明るい顔になる。わかりやすい人…
「いいの?」
「うん…」
オレからおにぎりを 受け取るとオレの隣に座って嬉しそうに食べ始めた。
「おいしーっ!!」
「…そう?良かった…」
オレ達は2人でニコニコ笑いながらおにぎりを食べた。

「困ったな…」
さっきの子がオレの腕にしがみついて離れない…
下心が無いから別に不快ではないんだけど…どうしよう…

「何だ?コイツは?」
「!!ひゃっ!!」
「あ!祐輔!!」
祐輔が後ろからその子の襟首を掴んで引っ張り上げた。
「 ……… 」
じっと祐輔を見てる…?
「ん?」
「わぁっ!!いい男!!」
「!!なっ…」
祐輔を見るなりいきなり飛びついて抱きついた!

「…ん?」
迎えに来た椎凪の顔が変わる。
「ちょっと君!! 耀くんに何してんの?何しがみついてんだよっ!!」
露骨に怒った顔になった。
「あ!椎凪!!」
オレは慌てて椎凪を止めた。
「ちょっと待って!椎凪。」
「耀くん?何でかばうの?」
「この子女の子なんだ。」
「え?女の子?」
そう言って少し近寄ってその子の顔を椎凪が覘く。
「 わぁいい男! 」
「 ! 」
そう言うとまたいきなり椎凪に抱きついた。
思いっ切り体が密着してる。
「本当だ…胸あった…小さいけど…ちょっと離れてよ…」
椎凪が 気だるそうに言う。
「椎凪…小さいって…」
失礼だろ…

「おにぎり?」
椎凪が不思議そうに聞きなおす。
「うん…椎凪が朝作ってくれたおにぎり 分けてあげたんだ…
そしたらそれからオレの傍離れなくてさ…」
「お腹空いてんの?困ったね…もうすぐ慎二君達も来るよ…」
「なんか良く分かんないんだ… この子大学に用があるみたいなんだけどさ…」
「 お前もう帰れ! 」
見かねた祐輔がその子に向かって言い放った。
「祐輔ストレートすぎ!」
椎凪が間に 入る。
「ガキじゃねーんだから自分でどうにかすんだろ?なぁ?」
「え?やだー…もー少しみんなと一緒にいたいよぉ…」
シュンとした顔をした…そんな彼女を 見て耀くんが反応する。
『ひゃー…なんか…放っておけないかも…』
無意識に顔に出てたらしい…そんなオレを見て祐輔が突っ込む…
「ったく…耀は甘え上手に 弱いな!」
呆れた声で言われた。
「えっ!?そっ…そんな事ないよっ!」
「椎凪がいい見本だろーが。」
「えっ?オレ?何でオレなの??」
何だか変な 方向に話が進んでる…
「どうしたんですか?この子は?」
もめてる最中に慎二君達がやって来てその子を見てそう言った。
「わぁーい!またいい男だ。」
そう言って慎二君に飛びついて抱きついた。
「え?何?」
突然の事で慎二君もわけが分からない。
「あ!こっちもっ!!わぁーい。」

「 あっ!! 」
オレと慎二君と耀くんは同時に叫んだ。
祐輔は呆れた様にタバコを吹かしながら黙ってその状況を見つめてた。

「ん?」
抱きつかれそうになった瞬間右京君が あの瞳で彼女をひと睨みした。
「 …!!…ド ク ン !! 」
彼女は右京君に抱きつく前にそまま倒れ込んで道路で伸びた。
「はにゃ〜」
目を回してる…
「何だい?この子は?」
足元に伸びてるその子を見下ろして右京君が不思議そうに慎二君に聞いた。
「さぁ…?」
慎二君も素っ気ない…この子に興味が無いからだろうけど…
起こしてやろうと言う気持ちは無いのか?2人共…
「…あ……」
耀くんが慌てて駆け寄った。

「ごめんね…椎凪…」
「いいよ。大丈夫。」
伸びたその子を椎凪が抱き上げてくれた。
「え?おにぎり?」
慎二君が祐輔から事情を聞いて不思議そうな声を出した。
「♪♪♪♪」
「そいつの携帯じゃねーの?鳴ってんの?」
「え?あ…! ホントだ…」
祐輔に言われてオレは仕方なくその子の携帯に出た…
出てから…無謀な事をしたと後悔した…
「あ…は…はい…あ…あの…その…」
ひー…どうしよう…男の人だ…

耀くんがもの凄く動揺しながら携帯に出てる…なんか凄い事になってるけど…大丈夫かな?
「大丈夫?耀くん…」
思わず声を掛けた…

「すいません…引き取りにきました。」
「 !! 」
そう言って現れたのはこの子供っぽいこの子とは結びつきそうも無い
長めのちょっとウェーブのかかった髪を一つに束ねたワイルドな感じの人だった…
両耳のピアスも半端無いくらい付いてるし顎の髭も中々似合ってる。

「なんか…一体どんな関係って聞きたいほどの人間関係に見えるんですけど…」
慎二君が不思議そうに聞いた。
「え?あーオレこいつの幼馴染みなんです…」
「えっ?じゃあこの子いくつ?」
慎二君が興味深げに聞く。
「18です。 オレ20…ここの3年で…」
「え?じゃあ君探しにこの子ここに来てたんだ。」
それはオレ。やっぱ目的あったのか。
「…にしてもこの子18?ウソでしょ…?」
慎二君がずっと不思議そうな顔をしてた…
「すみませんでした。真っ直ぐオレんとこ来いって言ってあったんですけど…
すぐフラフラして…こいつ…抱きつきませんでした?」
「全員。」
椎凪が代表して答える。
「やっぱり…すいません…こいつ自分の好みの奴に抱きつくクセあるんで…
深く考えてやってるわけじゃないんで…許してやって下さい…」
バツの悪そうな顔で頭を下げる。
「別に気にしてないから…」
椎凪がニッコリ微笑んで返事を した。
彼は漣 航志朗(さざなみ こうしろう)君この大学の3年生。
彼女は彼の幼馴染みで遠山 溜(とうやま しずく)ちゃん。高校3年生。
「ほら!溜…起きろ。」
「右京君…彼女起きれるの?」
椎凪がそっと右京さんに聞いた。
「多分。そんなに力を込めていないからね…」
「…ん…」
「大丈夫か?起きれるか?」
「あれ?航…なんで?ここにいるの?」
「なんでって…お前オレに会いに来たんだろ?ったく…
あんま人様に迷惑掛けんなよ。」
「ああ…そっか…航もういいよ。溜この人達と一緒に行くから。」
「はぁ?何言ってんだよ。いい加減にしろよ!溜!」
「だって航よりいい男一杯いるんだもん。だから溜 この人達と一緒に連れてってもらう。」
「溜!!」
何だかモメ出したぞ?
「まぁまぁ…どうですか?僕達これからお昼食べるんですけど…
せっかくお近づきになれたんですから一緒に?」
いつもの如く慎二君が優しげな物腰で間に入った。
「やったぁ!!溜行く!」
大はしゃぎだ。
「いや…もうこれ以上迷惑掛けられないんで…」
「いいですよね?右京さん。」
「僕は別に構わないよ。」
…僕は慎二君さえ一緒なら他に誰が いたって構わないから…
「祐輔もいいよね?椎凪さんも?」
「うん。別に構わないけど?耀くんは最初っから気にしてるみたいだし…」
椎凪が意味ありげな 眼差しをオレに送る…
「…椎凪……」
何だよぉ…椎凪まで…
「ね?行きましょう。」
断る事もはばかれる様な慎二君の笑顔だった。


「どうも…ご馳走様でした…すいません…何から何までお世話になっちゃって…」
頭を掻きながら照れ臭そうに笑う。
でも中々の好青年だ。
「いいんですよ。 楽しかったですし。僕等もご馳走になったクチですから。」
今日は右京君がオレ達を招待してくれたんだ…
「溜!帰るぞ。」
「えー?もう?」
耀くんに 抱きつきながら文句を言ってる…女の子じゃなきゃ張ったおす所だ…
「ほら…帰る前に皆に謝れ。迷惑かけて…しかもまたお前抱きついたんだってな…」
「だって…みんな航よりいい男なんだもん。」
「そう言う問題じゃねーだろ…ほら!」
「わっ!!」
そう言って彼女の頭を無理矢理押さえて下げさせた。
「もう航キライ!航なんて全然いい男じゃないもんっ!!」
「それで結構!じゃ…失礼します。」

溜ちゃんが文句を言いながら…それでも何だか2人仲良く 帰って行った…

「あの子…彼の事好きなんですね…」
「えっ!?」
思わず慎二さんの方を振り向いた。
「だって…彼女…彼に振り向いて欲しくて他の 男の人に興味ある様な
素振りしてるんだもん。可愛いよね。」
「え?そうなの?」
「彼は気付いてないみたいだけどね。」
「幼馴染みなんていいのか悪いの か…難しい所かね?」
椎凪まで…え?椎凪も気付いてたの?うそ…
「…ったく人騒がせだな…勝手にやってろっての…」
祐輔が不機嫌そうに言う…え?祐輔も 気付いてたの?
えーーっっ?分からなかったの…オレだけ…?

「あの子…ただの男好きじゃなかったのかい?」

右京さんが至って真面目に納得出来ないと 言いたげな顔でそう言った。
「  !  」
…良かった!!…仲間がいた…
オレは救われた思いがしたっっ!!
今日ほど右京さんに親近感を感じた事は 無かったよ…
なんかチョットだけ右京さんが身近に感じて…
しばらくウルウルの眼差しで右京さんを見つめてしまっていた。