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あたしの上で顔見知りの男が何度も何度もあたしを押し上げる。
もうどのくらいこんな事してるんだろう…
たまにどうしようもなく暇になると彼から電話が掛かって来て
彼氏いない歴2年の恋人募集中でも無いあたしはそんな彼の暇つぶしに付き合う。

こんな関係の相手は何人かいるらしい…
まああたしも後腐れ無いし時々ならいいかな…ってもう何度目かの呼び出しだ。

彼は何処かの会社の営業マンらしいけど詳しい事はお互い聞かないし話さない。
1人でお酒を飲んでたら声を掛けられてそのままホテルに直行。

あたしはこんな関係の男は彼だけだ…
最初は何だか初めての事でスリルを感じてドキドキたけど…
今は何だか飽きて来てる…最初は上手だと思ってた彼も最近じゃ普通だったかな…って…
でも何だか悪いから感じてるフリをする……疲れるけど仕方ない…だから物足りない。

そろそろ潮時かしら……

先にシャワー浴びて早々に部屋を出る。
終わった後良かったかなんて感想聞かれた時は流石に引いた…
やっぱりもうこの男会うのは今日で最後にしようと決めた。

そうなってもあたしには何の感情も湧いて来なかった…


あたしは海藤深雪26歳。
電気メーカーの事務で働いてるごく普通のOLだ。
あんな風に男の人と付き合うなんてほんの1年ほど前からで…
自分としては遊んでる女とは思わないし誰とでも寝る女じゃない。

こんな風になったのは2年前に…和裕と別れてから……



「わっ…!」

そんな事考えながら歩いてたら人とぶつかった。
確かに繁華街で人も多いけどどうみても今のは相手からぶつかって来たでしょ?

「いった〜〜っっ!!ってちょっと!!」

見ればぶつかって来た相手の方が道路に倒れ込んでる?ウソでしょ?あたしそんな怪力じゃ…

「……う〜〜〜」
「は?やだ…お酒臭い!酔っ払い?」

道路にヘタリ込んだまま起き上がれずに俯いてる男…
どうやら酔ってあたしにぶつかって倒れたらしい。そうよね?
じゃなきゃ大の男がか弱い女のあたしとぶつかって起き上がれないほどの
ダメージ受けるはずないものね!?はあ…びっくりした…

服装からすると若い子みたいだけど…顔は俯いててわかんない…長めの髪は後で一つに縛ってる。

「まったく…自分の許容範囲もわからずに飲み過ぎたクチ?」

放っとくわけにもいかず声を掛けた。

「ちょっと大丈夫?立てる?」
…立つ気配無し!
「……ふう〜〜〜」
「しっかりしてよ!あたしもう行くわよ?」
「すいまへん…だ…大丈夫れす……」
そう言って立ち上がったけど…

「…うっ!!」

「え?」

いきなり自分の口を押さえ込んだ。

「……吐…く…」
「ええっっ!!ちょっと…!!」

仕方なく手短な所で今出て来たばかりのホテルに駆け込んだ。
流石に違うホテルにしたけど…



「ふあ……」

ドサッと彼がベッドに倒れ込んだ。
速攻トイレに駆け込んでセーフ!

「まったく…なんであたしがこんな事……」

落ち着いて呼吸を繰り返す男を見下ろしながら観察!すぐ眠ったみたい。
良く見ると可愛い顔してる?背も高いし…デブでもない…
服のセンスも至って普通で白のワイシャツにジーンズ…
長めの髪の毛もまあそこそこ似合ってる…かな…歳は…もしかすると年下?っぽい?

「ちょっと失礼。」

眠ってる彼にそう声を掛けてズボンのポケットに手を入れた。
後ろのポケットから財布発見!

「良く盗まれたかったわね…」

今時の世の中こんな無防備じゃお金盗まれたっておかしくない。

「……何とか一晩泊まるお金はあるわね…それから…如月洸…22か?ふーん…4つ下か…」

見つけた免許証で確認した。
一応…ね。別にそれを悪用しようなんて思ってない。

「感謝しなさいよ。親切なお姉様でラッキーだったわね!じゃあね…」

眠ってる彼に向かってそう言って財布を戻した瞬間ガシッと手首を掴まれた!!

「え?ちょっと何?」

「 オレは…オレは…」

「は?」

「 童貞なんかじゃれーーーーぞぉぉぉっっ!!!! 」

「 !!! 」

いきなりガバッと跳ね起きたと思ったら大きな声で彼が叫んだ!!何?コイツ!?
「…………」
酔って据わった目であたしをみてる。

「なっ…何よ!!離してよ!!」

掴まれた手首を離そうとしたけどびくともしない。

「オレは童貞じゃらい!」
「わかったわよ。わかったから離してよ!」
「いや!わかってらい!!」
「は?」
「らから証明する!」
「え?何言って……あっ!!」

強引に腕を引っ張られてベッドに倒れ込んだ。
酔ってるせいなのかもともと男だからか物凄い力で押さえ込まれた!

「ちょっといい加減に…」
冗談じゃないわよ!何でこんな酔っ払いと!!
でもラブホテルのベッドの上じゃ武器になりそうな物なんてありゃしない…
やっと触れたのはベッドの装置のスイッチで照明が落ちて逆に良いムードになっちゃったし!!

もう!!

「あっ!やめ!!」

ビリッと服のどこかが破けた音がした。

「やだって…」
抱きしめられて覆いかぶさられて動けない!

「…この…っ…!!」

独身OLナメんな!!って…

「アンッ!!!」

そんな声が思わず洩れた…だって首筋舐め上げられて耳たぶ噛まれた!

「ホン…ト…やめ…あっ!」
今度は反対の耳たぶを噛まれた。
しっかりと彼の手は捲くり上げたブラウスの裾からあたしの身体を撫で上げながら胸に届いてる!

「やっ…バカ!目覚ましなさ…ンッ!!」

何コイツぅ〜〜キスまでして来た!!でも…上手い……

「は……ん…ぅ…」

最初から嫌いなタイプじゃなかった…一応若いしそれなりにまあまあな顔だったし…
それにさっきの中途半端な行為が物足りなかったと後押しをする…

どうしよう…このままこの子と…しちゃう?