05






ストーカーを捕まえてくれた見ず知らずの男と…一夜を過ごした…
道で突然腕を掴まれて…知り合ってからたった2日で…
きっとこれは悪い夢だと…思いたかった けど…夢じゃない事は分かってた…

「…うそだぁ…」

私は立ち直れず…浴室で膝を抱え…シャワーを浴び続けていた…



「持って帰って…自分で捨てます…」

問題のシーツを紙袋に入れて抱きかかえてる…もー泣きたい…

「くすっ…オレが捨てとくよ。貸して。」

そんな私を見て彼が手を出した。

「 だっ…だめですっ!! 自分で捨てますからっ!! 」

思わず叫んでしまった…冗談じゃ無いわよ!!

「と…とにかく…あ…ありがとうございました…色々…ご迷惑…かけて…
じゃあ…失礼します…」

お礼なんて言う必要あるのか疑問だったけど…
一応泊めて貰った訳だし……

「本当に憶えてないの?」

「え?」

帰ろうとした私に彼がそんな言葉を投げ掛けた。

「君…昨夜オレに 抱かれながらオレが付き合ってって言ったら
OKしてくれたんだけど?忘れちゃった?」

… は ? …

「う…うそ…そんな事…」

うわ…何だか眩暈がする…そんな事あるはず……

「本当に憶えてない?初めて君がイったあと聞いたんだけど?」

「…イ…」

お願いだから…イったとか言わないで……


『オレの彼女になってよ……オレと付き合って……お願い…』
『 …う…ん… 』


なんか…言った様な気がしなくもない…でも…え?何で?

「思い出した?」

にっこり笑って顔を覗き込まれた。
それがとんでもなくムカついた!!!

「もー!!さっきから何ですか!?人が酔ってるの良い事に…無理矢理あんな事してっ!!
言っときますけど私あなたの事なんてなーんとも思ってませんからっ!!
だから付き合うなんて事ありませんからっ!!さよならっ!!」

とにかく文句だけは言ってやろうと思って…一気に話して…思いっきりドアを閉めた。


「……………」

彼女が乱暴に玄関のドアを閉めて帰って行った。
あらま…怒っちゃったよ…まぁいいけどね…これから少しづつオレをわかってもらうから…

それにちゃんと昨夜耀の身体にオレを憶えさせたし…印も付けといた ♪

もう耀はオレのもんだもん ♪



オレは心の中でそう呟いて…唇をペロリと舐めた…




『えー!!朝帰りぃ?』

携帯の向こうで眞子が驚きの声を上げた。

「………」
『いやぁ…意外な展開…えー…』
「眞子のせいだからね…なのに…何よ! 休みって…」
『ごめ…明日ゆっくり聞かせてもらうから。じゃあ後で講義の内容も聞かせてね。ぶちっ!』
「あ…ちょっ……もう…!!」

こっちは遅刻しながらも講義受けたって言うのに…眞子の奴…大学サボって…
なんだ…文句…言ってやろうと思ったのに…あっさりと携帯を切られた。


「望月さん!」

「はい?」

ブツブツと1人文句を言っていたら後ろから呼び止められた…
でも見た事の無い男の人…誰? この人…?
真っ黒な短めな髪にこれまた真っ黒な上下の服…
ひ弱って感じはしないけど…俯き加減で……背は私よりは大分高い…

「浜田教授が呼んでるんだけど…来てくれる?」

浜田教授の事知ってるならここの学生?

「浜田教授が?…何だろ…」

去年…教授の講義受けたけど… 今頃…何?
私は思い当たらなくて…チョット首を傾げた。

「何でも友達の事で話があるって…」
「眞子の事…?何だろ…」

そう言えば眞子…結構教授と 意気投合してたから…その辺の事かな…

「こっち…」

考え込んでたら彼がそう言ってサッサと先に行く…
私は仕方なく後をついて行ったけど…直ぐにおかしな事に気が付いた…
どう見ても教授の部屋じゃ無い方角に向かってる…?

「え?あ…教授の部屋じゃ無いんですか?ちょ…!!」


しばらく 歩いて急に振り返ったその人は…

持っていたハンカチを…私の口に押し当てた…