betubanasi part 5

 * 今回のお話は椎凪達が高校生のお話。
 椎凪と耀を一緒に通わせてあげたかったのと全員を一緒にいさせたかったので…
 このお話基本は本編のままですが多少 違いますのでご説明を…
 椎凪 : 高校三年生。(キツイか?)性格・過去設定は本編通り。本編程過去は引きずっていません。
 耀 : 高校一年生。トラウマ有り ですが既に右京によって治療済み。そのせいもあり本編より幼い性格設定になってます。
 今回は始めの方から耀は椎凪LOVEです。 祐輔 : 高校三年生。耀との関係は 本編通り。耀とはとても仲が良い。
 慎二 : 23歳。本編のままです。本編では椎凪より年下なので『さん』呼びなのですが今回は慎二の方が年上…
 でも違和感ありまくりなので本編通り『椎凪さん』と呼ばせてます。
 右京 : 28歳。本編のままです。既に耀の親代わり。なので耀の事は溺愛。
  本編とは違った椎凪と耀の恋愛話。どんな感じでしょうか?本編と被る所も多々ありますが…
 結構続きますので気長にお付き合い下さいませ。 別話編なのでイラスト付き(あえて大人キャラ)
 どんな事があっても2人は付き合う!これ基本です!! *
    


01


「あっ…あっ…」

ベッドが大きく軋む…
オレも相手の女も慣れてるせいかお互いその気になって…
相手の反応で更に激しくなる…
「ねえ…あ…なた…本当に… 高校…生…?」
オレに攻められながら弾む息の合間をぬって女が聞いた。
「高校生だよ。正真正銘17歳…何か?」
オレは普通に聞き返す。
「だって… すごい…慣れてる…私の会社の男より…上手なんだもん…
んっ…遊んでるんでしょ…?あっ…」
「かもね。オレしたい人とは絶対する事にしてるんだ。」
そんな オレの返事も…聞えてないみたいだ…
オレに力一杯抱きついて…思いっきり後ろに反って…
そのままベッドに崩れ落ちたから…


「 ♪ ♪ 」
オレは結構機嫌よくホテルを後にした。
久々に慣れてた相手だったし
終わった後ごねる事無くあっさりとサヨナラ出来たから。

「おい!待てよっ!!」

そんなオレに誰かが後ろから声を掛けた…男だけど。
「ん?」
オレは銜えタバコで振り向いた。
「テメェ…俺の女に手ぇ出した だろっ!!」
「君の女?どの子かな?って言うか本当に相手オレ?」
「テメェだよっ!!オレがこの目で見たんだからなっ!!」
「なんだ…じゃあトボケ られないか…だったらその時声掛けてよ。止めたのに…
いやーでもどの子かわかんないや。ごめん。あはは。」
別にトボケた訳じゃない…本当に思い出せなかったから。
「ふざけてんじゃねーぞっ!!テメェ!!」
「本当に君の彼女?オレ無理矢理抱いたわけじゃ無いぜ。
誘ったらOKだったんだから…オレなら別れるね。 そんな軽い女。」
そんなオレの態度で相手は更に逆上。
「テメェが言うなっ!!落とし前つけさせてもらうぜ。
今更詫び入れても許してやんねーけどなっ!!」
ゾロゾロと奴の後ろから鉄パイプやら金属バットやら担いだ奴等が現れた。
そんな奴等を見てオレは一気に気分が凹んだ…それがモロ顔に出た。
「えーーやだな ーーータルイなーーー面倒いなーーー」
「減らず口もそこまでだぜっ!!ぶっ殺してやるっ!!」
「それは困る。」
そう言うとオレはスッと屈んでそいつらの ど真ん中に滑り込んで
傍にいたヤローに肘鉄を叩き込んだ。
それを合図に他の奴等も一斉に殴り掛かって来た。

「……チッ…」
人の帰り道…邪魔すんじゃねーよ…ったく…道のど真ん中で喧嘩なんかしやがって…

「邪魔なんだよ…どけよ。」

乱闘の最中…そんなセリフで全員視線がその声の 主に集まる。
見れば制服姿の男が一人…もの凄い迷惑そうな顔でオレ達を睨んでる。
「何だ?テメーはっ!!」
「取り込み中なんだよっ!!他の道行けやっ!!」
人数のわりに苦戦中の奴等がそんな彼を見て余計いきり立つ。
でもそんなのも気にしてない様子の彼… ! オレはいい事を思いついた。

「ごめんねー あんまり遅いんで迎えに来てくれたんだぁ!! 」

オレはそう言って初対面の彼に思いっきり手を振った。
「 ! テメェあいつの仲間かっ!? 」
案の定まんまと引っかかった。
「ああ?」
何が何だか分からない様子の彼…だろうね。オレ君の事まったく知らないもん。
「テメーもやってやるっ!!」
そんな彼にいきなり殴りかかった。
「 ! 」

が っ !

その瞬間…ポケットに両手を入れたままの…彼の回し蹴りが綺麗に決まった。
本当に 綺麗な回し蹴り…惚れ惚れする…

「売られた喧嘩なら買うぞ…」

さっきよりも更に鋭い目つきで他の奴等を睨むと…落ち着いた声で言い放った。
…やっぱりね…オレの睨んだとおり…使えそうな奴だった。

それから勝負はアッサリ着いた。
道端にさっきの奴等がうずくまっている。
「もうオレんトコ 来ないでね。次は知らないよー。バイバーイ。」
オレはにこやかに微笑んで手を振ってあげた。
飛び入り参加の彼には結局3人相手をしてもらった。
ホント ラッキー。
「お前…」
半ば呆れ顔の彼が何か言いかけた。
「君!ありがとね。一人でも余裕だったんだけどバイト遅れちゃうからさ。助かったよ。」
「………」
「はいこれお礼。開けたばっかだから沢山あるよ。」
オレは新品のタバコを自分の分の一本取って残りを彼に渡した。
「じゃあありがとねー」
オレは手を振ってバイトに向かった。
彼はタバコを片手にオレをじっと見送ってた。

「……オレタバコ吸わねーんだけど…いらねーよ…こんなの…」


個人営業のカフェレストラン…オレのバイト先。
バイトを始めてもう3年目になる…
元々向いていたのかメキメキ料理の腕が上達して今では一人でお店を任される 時もある。

……カラン…

入り口の呼び鈴が鳴った。
「いらっしゃーい」
オレは愛想よく挨拶をする。


入り口の扉を半分開けて…中の様子を伺ってる

…!…初めて見るお客だ…
高校生位の…可愛い感じの女の子…

キョロ キョロと店の中を見回しながら中に入って来た。
そしてやっと決めたのか席に着いた。

「いらっしゃい。決まったら呼んで下さいね。」
オレはお水と メニューを置いて席を離れた…

「…………」
何だ…何だろ…?
厨房に戻りながら…
自分でもわけの分からない感覚が…


じぃぃぃぃぃぃ…
「………」
無言で…ジッとメニューを長い時間見つめてる…
「あのー…すいません…」
「はい。」
やっと決まったのか。
「はい。何にします?」
「えーっと…ナポリタンとエビピラフとミックスサンドと
ツナサラダとアイスコーヒーと…食後にチョコレートパフェ!」

「え!?」

オレは耳を疑って思わず聞いた。
「あ…後から誰か来るの?」
「ううん。誰も。」
何でって顔してる…
ええっ?女の子が一人で食べる量か?まぁ…いいか…
オレは不思議に思いながらも注文された料理を作って席に運んだ。
「 うわぁあ…美味しそう!! 」
テーブルに並べられた料理を見て感動した様に言う。
ワクワクしてるのが分かるし…
「いただきまーす。」
「………」
本当に食べる気だ…
ぱ く っ!!一口頬張ると…

「 うわぁあああ…美味しいっっ!! んーーーー 幸せっ!! 」

えっ……ど き っ !!

小さく…オレの身体がそう感じた…
「うわっ!サンドイッチも超おいしーーーっ」
そう言って次から次へと料理を制覇していく…
本当に…美味しそうに食べてくれる…
「これって全部君が作ったの?」
「え?ああ…そう…」

「すごいねーー!!君って天才だよぉすっごく美味しいーーー!! 」

そう言って…ニッコリ笑った。


 う っ !!
 どっきーーーーーん !!!!

 こっ…こんなに美味しそうに
 オレの料理食べてくれたの
 この子が初めてだ……
 美味しいとは言われてたけど…
 こんなにハッキリ…
 満面の笑みで言われたの初めて…

 「ごちそう様でした。美味しかったーー♪」
 ケロッとした顔で…余裕の笑顔を
 オレに向けてそう言った。
 本当に全部食べちゃったよ…



「どーもありがとうございました。」
「ごちそう様。」
店の入り口まで見送った。
「あ!君って毎日来てるの?」
「え?ああ…そうだね。ほとんど毎日いるかな…夕方から。」
「本当? じゃあまた食べに来るね。
君の料理すっごく美味しいんだもん。また食べたい。」
「じゃまた来て!待ってるよ。」
「うん。」
…料理で次の約束したの… この子が初めてだな…
「オレ椎凪。君は?」
「オレ?オレ耀!望月 耀だよ。」
「じゃあね。」
オレと耀くんは手を振って別れた。
へーー… 耀くんかぁ…え?オレ…?耀くん…?ん?

なにーーーーっっ!!男の子?うそだろーーーっっ!!!
ときめいちゃったんですけど……オレ……


あれから毎日の様に耀くんはオレの料理を食べに来てくれる。
「何か椎凪君が専属のシェフみたいだね…僕の作ったのじゃ駄目だってさ…はは…」
オーナー兼 マスターの長谷部さんが苦笑いでオレに言う。
「あー…はは…すいません…」
オレも苦笑いしながら作ったサンドイッチを耀くんに運んだ。
「椎凪 美味しいーーよ。オレうれしーー!」
「本当?ありがと。オレも嬉しいよ。」

耀くんは本当に美味しそうにオレの作った料理を食べてくれる。
オレもそう 言ってもらえると本当に嬉しいと思う…

…カラン
「あ!いらっしゃい。」
「椎凪君お久しぶり。友達連れて来たわよ。
椎凪君の事一度見てみたい って言うから。」
常連のお客さん…確かどっかのOLだったかな…?
「へぇ…いらっしゃい。」
「わぁ!本当イケメン!高校生?うわ…うそでしょ?」
店中にはしゃぎ声が響く。

「彼…もてるんだよね。はいコーヒー。人当たりもいいからさ。
彼目当てのお客さんもいてさ。結構売り上げに協力してもらって るんだよね…
料理も上手だし本当助かってるよ。」
「………」


「ごめんね。あんまり相手出来なくて…」
耀くんが帰るって言うから…お店の外まで お見送り。
「ううん。オレ椎凪の料理が食べれれば幸せ。だからオレ最近毎日幸せなんだ。」
「耀くん…」
オレはまた…胸の奥が…ドキンって…
本心から言ってくれてる…何か分かるよ…耀くん…
「じゃあね。椎凪。また来るね。」
「うん。気を付けてね…またね。耀くん。」

…何か…変な気分だ… 相手は男の子なんだぞ…
でもこんな気持ち初めてだ…はーー何か…せつない…

『 また来るね 』

そう言って帰った耀くんが…一週間食べに来てない


オレは超不機嫌…
どうしちゃったんだよ…耀くん…また来るって言ってたのに…
もう今日来なかったら10日間も会って無いじゃん!!
はっ!!ま…まさか… あの日の帰りに交通事故に遭ったとか…?
いや…それとも可愛いから変質者に襲われて連れて行かれちゃったとか?
!!…可愛い…?男の子なのに?
そう… 耀くん可愛いんだ…顔もそうだけど耀くん自体可愛いんだよな…
最近思ってたけど…小動物みたいな可愛さ?癒されるんだよな…
ギュウーーーってしたい…
…って…だから…

耀くんどうしたのぉぉーーーー!!会いたいよぉーーーー
うがぁぁぁぁぁぁぁぁ…

オレは気が狂いそうだった…

オレ…耀くんに会えなくなってわかった…
オレ…耀くんの事が好きだ…男の子だけど関係ない…
初めてオレの料理食べた時のあの笑顔に一目惚れしちゃったんだ…
思えば初めっから心に引っかかってた…
信じられないけどオレ…男の子でも…

耀くんの事が好きだーーーーーーっっ!!
初恋だーーーーーっっ!!
それに耀くんの為に料理作りてーーーーっっ!!

考えてみたらオレ耀くんの事何も知らないんだよな…
今度携帯の番号教えてもらおう…今まで毎日店に来てた から
必要なかったけど…って…ん?
人混みの中に…見覚えのある後姿を見つけた。
「耀くん!!」
思ったと同時に叫んでた。
「 ! 」
オレの 声に振り向くと…
「あ!椎凪だ。」
ニッコリと微笑んでくれた…
……やっと…会えた…
オレは自分でもビックリするほどホッとした…

「なんだ…今行っても椎凪いなかったんだ。会えて良かった。」
川沿いのベンチ…時間があったから2人で座って話をしてる…
「耀くんどうしたの? 全然来ないから心配したよ…」
「あ…ごめんね。家の都合もあったんだけど…あんまりにも毎日
椎凪の所で食べてたらたまには家で食べろって言われちゃって…
行けなくなちゃったんだ…参っちゃった…はは…」
「そうなんだ…」
「うちの連中みんな心配性でさ…オレの事子供扱いなんだ。」
耀くんはとっても不満そう だったけど…
わかる!わかるよ!!それは!心配だよ。絶対!!オレも心配だったし…
「はーでも気持ちいいーー。久しぶりだーーこんなのって…」

そう言って伸びをする耀くんを…オレは横目で眺めていた…そして…切り出した。

「ねぇ…耀くん…」
「ん?」
うわぁ…スゲー緊張する…心臓が… ドキンドキン…飛び出そうだ…


「耀くんって…かっ…彼女とかいるの?」

「彼女?いないよ。
オレ誰とも付き合った事無いもん。」

俯いてるオレを覗き込んで返事をする…
うー見ないでくれ…余計緊張するから…

「そ…そうなんだ…」

オレは更に心臓がバクバク!

ウソだろー…
女の子誘う時なんて全然緊張しないのに!



何だよ…これ…
それから…しばらくオレは何も言えなく なって…長い沈黙が続いた…
…だっ…駄目だ…こっから先が…言えねーー…
オレは深い溜息をつく…
でも!言わねばっ!!先に進まねーー…

「あ…あのさ耀くん…オ…オレと付き合わない?
男…同士だけどさ…オレ…耀くんの事が好きなんだ…」

言った!!言っちゃったよーーーー!!!
耀くん…なんて返事する…
その時耀くんがオレに寄りかかって来た…

…えっ!?なっなっなっなっなにっーーーーーー!!
どーゆー事?これ?OKって事? いいって事?

本当?耀くん…本当に…オレと付き合ってくれるの?
「耀…くん?」
オレにもたれ掛かる耀くんの顔をオレの方に軽く持ち上げると…
目を閉じて… オレの事を待っててくれてた。

えっっーーーー!!なに?キスもOK?うそぉーー

オレの心臓は今にも破裂しそうなくらいドックンドックンと動いてる…




本当にいいの?耀くん…

オレは静かに自分の顔を近付けて…

そっとキスをした…





はぁーオレ…幸せ!!
って…ん?なんだ?なんか…様子が…

「ん?…耀くん?耀くん!!!」

オレは何度も呼んだのに…返事が無い…って…



 うそっーー!!寝てるじゃんっっ!!

 しかも熟睡?……って事は

 オレの告白聞いてないって事ー?

 マジですか…?耀くん…

 生まれて初めての告白だったのに…






気が抜けて…ぐっすりと眠り込んでる耀くんの寝顔を眺めてたら… なんかもう…
ま…いいか…これでハッキリした!オレ本当に耀くんの事好きなんだ…
もう…誰にも渡さない…耀くんがオレの事好きじゃなくても関係ない…
絶対耀くんのをオレのものにするっ!!

オレに寄りかかる耀くんの肩に廻した腕に力を入れて…
さっきよりも強く耀くんを抱きしめてそう決めた。