betubanasi part 5

 * 今回のお話は椎凪達が高校生のお話。
 椎凪と耀を一緒に通わせてあげたかったのと全員を一緒にいさせたかったので…
 このお話基本は本編のままですが多少 違いますのでご説明を…
 椎凪 : 高校三年生。(キツイか?)性格・過去設定は本編通り。本編程過去は引きずっていません。
 耀 : 高校一年生。トラウマ有り ですが既に右京によって治療済み。そのせいもあり本編より幼い性格設定になってます。
 今回は始めの方から耀は椎凪LOVEです。 祐輔 : 高校三年生。耀との関係は 本編通り。耀とはとても仲が良い。
 慎二 : 23歳。本編のままです。本編では椎凪より年下なので『さん』呼びなのですが今回は慎二の方が年上…
 でも違和感ありまくりなので本編通り『椎凪さん』と呼ばせてます。
 右京 : 28歳。本編のままです。既に耀の親代わり。なので耀の事は溺愛。
  本編とは違った椎凪と耀の恋愛話。どんな感じでしょうか?本編と被る所も多々ありますが…
 結構続きますので気長にお付き合い下さいませ。 別話編なのでイラスト付き(あえて大人キャラ)
 どんな事があっても2人は付き合う!これ基本です!! *
    


02


生まれて初めての告白も…眠って熟睡してた耀くんには聞いてもらえなかった…

バイト先で食器を洗いながらオレは深い溜息をつく…
まぁあれから耀くんは 毎日食べに来てくれるから…いいか…

カラン…

店の扉が開く音がした…客か?
「いらっしゃいませ…」
「椎凪」
「耀くん。いらっしゃい。」
…ん?耀くんの後ろに誰か…
「あ…君…あの時の…」
そう…喧嘩の助っ人になってもらった彼だ…彼もオレを見て気が付く…
「え?祐輔椎凪の事知ってるの?」
「ああ…ちょっとな…」
「そうなんだ…」
まさか喧嘩の助っ人したなんて耀くんにバラさないよな…それはマズイ…
「耀くん…えっと…」
「あ!祐輔。 新城祐輔。オレの親友。えへ」
そう言って耀くんがニッコリと笑った。

耀くん達のテーブルに注文した料理が並んでる…
オレは傍に立っているわけにも いかず…気になりながらも厨房から監視していた。
「…………」

親友ってさ…どんな親友だよ…スゲー仲いいじゃん…

「これも美味しいよ。」
「んなっ!!! 」
見れば耀くんが自分のスプーンでアイツにピラフを食べさせてる!!

なっ…なっ…何だよーーーっっ!!
どう見ても恋人じゃねーかよっ!!ふざけんなーーっっ!!

オレは怒り心頭で…2人を見つめていた…
あんなにニコニコしちゃってさあ…
!?付き合ってる奴はいないって言ってたけど…好きな奴はいるって事か?
いや!待て!親友って言ってたじゃないか…
男友達だぞ…そうだ…きっと…大丈夫…
オレは自分で自分を納得させた…

「ごちそうさま。美味しかったよ。椎凪」
いつもと同じ様に耀くんがニッコリ笑ってそう言ってくれた。
「良かった。」
「 ! 耀!ご飯粒付いてんぞ。」
「え?」
そう言うとアイツがスッと手を 伸ばして耀くんの頬に付いた
ご飯粒を摘むとそのままパクリと食べた!

ん が っ !!

「ありがとー祐輔。」
耀くんは平然としてる…

なっ…なっ…オレは片付けた食器を片手に持ちながら
ショックを受けて…ヨロヨロとよろめいた…
それは…オレがやってあげる事だろーがっ!!テメェ…

そんなオレを見ながら奴が『クスッ』っと鼻で笑う…

…なっ!! カッチーーーーン!!



 ガ シ ャ ッ

 オレは厨房に戻って乱暴に
 食器を流しに置いた。

 ムカつくーーーーー!!
 あのヤロー…
 ワザとやりやがってぇ……


 おのれぇ…



そんな怒りまくってるオレに耀くんが声を掛けた。
「椎凪。」

ビ ク ッ !!

「な…なに?耀くん?」
焦った…無理矢理笑顔を作ったから… 顔が引き攣る…
「あのね…コーヒー淹れて欲しいんだ…
でもね…祐輔コーヒーにうるさいから美味しいの淹れてくれる?」
「え?」
「お願い!椎凪!!」
とっても真剣に手まで合わせてお願いするから…
「う…うん…分かったよ…」
オレはまさに顔で笑って心で泣いてた…
耀く〜ん…酷い事…平気で言うよねー …仕方ないけどさぁ…
「オレと椎凪の為にお願いね!!」
席に戻りかけながら更に念を押された。
「はいはい…」
オレは既に泣きが入ってた…ん?
「え?今耀くんとオレの為って言った?」

ご注文通り…全身全霊を込めて美味しいコーヒーを淹れた。
…タバスコでも入れてやれば良かった…でもそんな事 したら耀くんに嫌われちゃうし…
オレは心の中でそんな事を思いつつ…
アイツがコーヒーを飲むのを腕を組んで超不機嫌な顔で眺めてた。
「…どう?祐輔?」
一口飲むと耀くんが即感想を聞いた。
「………」
「?」
何だ?何か…?
「いいんじゃね?」
「本当?」
「ああ…」


「やったぁ!良かった椎凪!!」

「…え?」

耀くんがいきなりオレに抱きついて来た!!

オレは突然の事で
心臓がドキドキの顔が 真っ赤…




「じゃあじゃあ。後あの2人がいいよって言えば大丈夫?」
耀くんが舞い上がりながらアイツにそう聞いた。
「あいつ等耀に甘いから コイツがよっぽど悪くなきゃ平気なんじゃねーの?」
さっきから2人の会話が理解出来てない…


何か良く分からない日だった…

『今度連絡するから 待っててね 』 

って耀くん言ってたけど…
本当アイツはムカつくっ!!
親友なら親友らしくしろっつーの!!どう見たって恋人だろっっ!!くそっ!!
帰る時もしっかり耀くんの腰に手を廻しやがって…その手は何だっつーのっ!!
店の前で2人を見送るオレに見える様に…
アイツが耀くんの頭にチュッって…キスを したっ!!
「 !! 」
しかもオレの方を振り返って…アッカンベーをしやがった…

ウ ガ ッ ーーーー!!あのヤローーッッ!!ぶっ殺すっっ!!


「 ♪ ♪ 」
それから数日後オレはとっても上機嫌で街を歩いていた。

『明日バイト休み?じゃあ2時に公園の前で待ってるね。』

今日は耀くんとの初めてのデート… しかも耀くんからのお誘いだもんねぇ
やっぱりあの男とは友達だったんだよーー

オレは今にもスキップでもしそうな勢いで待ち合わせの場所に急いだ。
遠くからでもわかる…公園の入り口に耀くんが立ってる…良かったぁ…耀くんいたよ
その立ってる姿も可愛いなぁ…相変わらず

オレ達は取りあえず近くの 喫茶店に入った。
飲み物を飲みながらこれからの予定を話し合う…
「何処行く?耀くん。」
オレが話しかけても返事が無い…
「耀くん?」
「え?あ…」
少し強く呼ぶとやっと耀くんが気付いた。
「どうしたの?さっきから…つまんない?」
「あ…ごめん…椎凪…実は…行きたい所って言うか…
椎凪に行って欲しい所があるんだ…」
耀くんが俯き加減で遠慮がちに言う。
「オレに行って欲しい所?」
わけが分からなかったけど…とにかく耀くんの 希望だからオレは従う事にした。
しばらく歩いて…閑静な住宅街に着いた。

「は?」
目の前に…マンションかと思えるほどの大きな屋敷…
でもどうやら 個人の所有物らしき気配で…でも…この屋敷だけダントツにデカイ。
「すっげー家…ここは?」
オレは屋敷を見上げながら耀くんに聞いた。
「オレんち…」
「へーー…?ええっ!?うそっ!!」
オレは驚いて聞きなおした。
「持ち主はオレじゃないけどさ…」
耀くんが苦笑いをしてオレに説明してくれた。

玄関ホール…そこもどこかのホテルを思わせる様な造りで目を奪われる…
「持ってる屋敷では小さい方なんだって。」
「小さい?これで?」
「オレ達も全部の 部屋使ってるわけじゃないんだ。」
「オレ達?何人かで住んでるの?」
「うん。オレ入れて4人。」
「4人?こんな広い所に?」
オレはただただ感心する ばかり…そんなオレを耀くんが覗き込んで言った。
「椎凪…」
「何?」
「プレッシャーに強い?」
「プレッシャー?まあ…強い方だと思うけど?なんで?」
「本当?良かった」
そんな会話をしてると奥からアイツが現れた。


「お!来たか。」
「え?君…何で?」
「祐輔!起きたの?」
「一緒に暮してんだよ。」
またクスッと笑う…

「えっ!!うそっ!!」

「祐輔とは中学からの 親友なんだ。
優しいんだよ。」
そう言って耀くんがそいつに抱きついた。
「そ…そうなんだ…」
オレは内心穏やかじゃない…
でも耀くんの手前大人しく していた…



「お前さ…せいぜい頑張れよ。嫌われない様に…耀の為にな。」
意味ありげに笑う。
「?…耀くんの為に?」
またわけの分からない 会話をされて…オレは首をかしげた。

玄関を上がって突き当たりの部屋…
「はー…」
耀くんがその部屋のドアノブに手を掛けて溜息をつく。
「?」
「椎凪…オレの為に頑張ってね。」
耀くんがすがる様な目でオレに訴える。
「は?え?何?」
一体…何がどうなって…この部屋に何があるっていうんだよ…

キイ…

開かれた扉の奥から人の声がした…
「やっと来た。待ってましたよ。」
うわぁ…すげー部屋…とにかく広くて天井も高くて…何とも上品な…
それでいて豪華な応接間…
「お待たせ…」
耀くんが先に歩く。
「初めまして椎凪さん。ようこそ。」
そうオレに挨拶しながらソファから立ち上がった男は ニッコリと爽やかに笑っていた…
印象は好青年って感じ…
「………」
「僕橘慎二って言います。よろしく。」
「あ…椎凪です…初めまして…」
思わずつられて丁寧な挨拶をした…
「随分耀くんがお世話になってるみたいで…あ!どうぞ。」
「あ…いえ…」
勧められてソファに腰を下ろした。
「そんな緊張しないで下さいよ。それから彼がこの家の家主さんで…草g右京さんです。」
そう説明された方を見ると…
やたらゴッツイ豪華な椅子に少年とも思える男が 座ってた…瞳が何とも印象的な…
「いらっしゃい。椎凪君。」
コイツが家主…?こんなガキっぽい奴が?しかも…
すんげー態度デカっ!!何様だいっ!!
手と足を組んで椅子に深く座りながらオレを見つめてる
そいつを見てそう思った。

「初めに言っておくけど…僕ね…こー見えても28だから!
君よりも かなり年上だって事!覚えておきたまえ!
今君僕の事馬鹿にした眼差しで見てただろ?」

「ええっ!!年上っ?」

更に態度をデカくして… そいつはオレを睨みながら言い放った。
「見えないでしょ?ビックリですよね?でも本当ですから。」
「………」
本当なんだ…
「さてと…さっそく本題に 入りますけど…」
「え?」
オレはとぼけた声で返事をした。
本題って何の事だ?
「もしかして…何も話してないの?耀君?」
そんなオレを見て橘と 言う男は耀くんに話しかけた。
「え?うん…祐輔が言わない方がいいって…」
「ならこのまま帰って貰いたまえ。」
「えー右京さんヒドイっ!ダメだよ……」
「耀に話させると話がややっこしくなりそうだから言わせなかったんだよ。
慎二から言った方が話が早い。」
そう言いながらアイツがコーヒーを持って部屋に 入って来た。
「あ…ありがとう。祐輔。珍しいね祐輔がこんな事するなんて。」
「え?だってよ…こいつが耀と飲むコーヒー…
これが最後になるかもしんねー かんな!記念にな!」
そう言って意地悪く笑う。
「なっ!!どう言う事だよっ!!」
オレはムキになって叫んだ。
「まぁまぁ…椎凪さん。今バイト 幾ら貰ってます?」
「え?バイト?何で?」
唐突に聞かれて戸惑った。
「いいから…椎凪…」
「耀くん…?…え…月に15万位かな?何で?」
「今の倍出しますから…ウチでバイトしません?」
「え?」
何の…話だ?わけわかんねー…?
「あなたも学校がありますからね。働くのは平日・土曜・の夕方。
日曜はお昼から…休みはそうですね…
週一か週二でどうですか?やるべき事は…耀くんの食事の支度。」
「は?」
「耀くんがあなたの料理をいたく気にって まして…毎日の様に食べに行ってたでしょ?
それって僕達にとって大変不都合な事なんですよね。
だったらここであなたに作ってもらって食べれば良い事だから…
どうですか?」

説明を聞きながら…確信した…こいつら…全員…耀くんの事…

オレが急速に思考回路を作動させてアレコレと考えてると…
「まあすぐに返事って言うのも何ですから…良く考えてみてください。
良かったら今日泊まっていって下さいよ。明日日曜ですし…」
「椎凪そうしてよ。 オレ夕飯椎凪が作ってくれたご飯食べたい。」
耀くんがオレの隣に座りながらそう言った。
「うん…いいけど…」
「やったぁ 嬉しいーー 」

そんなオレと耀くんのやり取りを冷ややかな眼差しで
橘という男がジッと見つめている事に…オレは気が付かなかった…


「オレ達が生活してるのはこっち なんだ。」
耀くんが中廊下で繋がってる別の建物に案内してくれた。
「どんだけ広いの?この家…」
「さっきいた所は右京さんが人と会う時に使うんだ。
あっちの建物は使いにくいからさ。こっちはちゃんと普通の建物だよ。」
「それでも…広いね…」
オレは驚くばかり…ホントにここ…個人の家なのか?
「どうぞ。」

通された部屋は100畳はあるんじゃないかと思うリビングダイニング…
部屋の中に階段が下りていて上を見上げれば吹き抜けで
2階の部屋のドアが何個か見える…
更に奥に廊下が伸びている所を見ると
その奥にも部屋があるんだろう…どんだけ広いんだよ…
ってかどんだけ金持ち…?

「ごめんね。ビックリしちゃった?」
「んー急に色々言われたからチョット…ね。耀くんの生活知ったのが一番ビックリ。」
オレと耀くんは窓際に立って外を 眺めながら話してる。
「あの3人に言われちゃうとさ…勝てなくてさ…椎凪の所行きたくても行けなっくて…」
「はは…だろーね…」
オレは納得した。
「今日は何食べたい?耀くん。」
「え?んーとね…んーと…中華って作れる?」
「和・洋・中・伊取りあえず一通り作れるよ。デザートもOK!」
親指を立てて 見せた。
「えーうそーすごーい!! 」
耀くんが尊敬の眼差しでオレを見始める。
「そんなに食べる事好きなんだ…」
「うん!椎凪が作ってくれた料理を 食べるのが好き。」
ニッコリと…また満面の笑みでそう言ってくれる。
…オレは…胸が…きゅん…って…耀くん…

冷蔵庫を覘くと流石金持ち!材料は 完璧に揃ってた。

「耀くんの為に大盛りにしてみた。」
耀くんの目の前には大盛のカニチャーハンと卵スープ。
「ありがとーっっ椎凪」
耀くんは 大喜び。オレも大満足。
「いただき…」
「あれー良い匂いだね。」
まさに一口頬張ろうとした時入り口の扉が開いて3人が入って来る。
「え?それが噂の 椎凪さんの料理?」
「何だ…中華も作れんのかよ。」
「………」
「どれどれ…」
「あ…!」
橘という男が耀くんからスプーンを取ると一口頬張る。
「ん!本当だ。美味しい。イケるよ!」
「どれ?」
いつの間にか3人の手にはスプーンが渡っていて…
次々と3人がチャーハンに手を出す。
「あっ…!!」
耀くんが心配そうな声を出した。
「ね?」
「ふーん…」
「ふむ…」
皿のチャーハンが半分に減った。

「もーみんなっ!!食べすぎだろっっ!!
オレの分が少なくなちゃったじゃないかーーっ!!ばかーーっ!!」

耀くんが泣きながら訴えた。
「あ…ごめんね。耀君…つい…」
そう言って耀くんの頭を 撫でる。
「泣く事ねーだろっ!」
「大体そんなに食べすぎだよ。」
「食べ過ぎじゃないよっ!!いつも食べてるもんっ!!」
「家じゃこんなに食わねー だろ?」
「椎凪の料理なら食べれるのっ!!」

こっ…こいつら…

「もー食べちゃダメだよ!」
「ったく…すぐ泣く。」

今度はアイツが頭を 撫でた。

「ごめんね。耀君。泣かないで…」

ワザと耀くん泣かして…慰めるの楽しんでやがる…
『 S 』だ…こいつ等3人共…S…

オレは半ば呆れた顔で奴ら3人を眺めていた…