betubanasi part 5

 * 今回のお話は椎凪達が高校生のお話。
 椎凪と耀を一緒に通わせてあげたかったのと全員を一緒にいさせたかったので…
 このお話基本は本編のままですが多少 違いますのでご説明を…
 椎凪 : 高校三年生。(キツイか?)性格・過去設定は本編通り。本編程過去は引きずっていません。
 耀 : 高校一年生。トラウマ有り ですが既に右京によって治療済み。そのせいもあり本編より幼い性格設定になってます。
 今回は始めの方から耀は椎凪LOVEです。 祐輔 : 高校三年生。耀との関係は 本編通り。耀とはとても仲が良い。
 慎二 : 23歳。本編のままです。本編では椎凪より年下なので『さん』呼びなのですが今回は慎二の方が年上…
 でも違和感ありまくりなので本編通り『椎凪さん』と呼ばせてます。
 右京 : 28歳。本編のままです。既に耀の親代わり。なので耀の事は溺愛。
  本編とは違った椎凪と耀の恋愛話。どんな感じでしょうか?本編と被る所も多々ありますが…
 結構続きますので気長にお付き合い下さいませ。 別話編なのでイラスト付き(あえて大人キャラ)
 どんな事があっても2人は付き合う!これ基本です!! *
    


03


オレは耀くん達と夕飯をとった後キッチンでタバコを吸っていた。
そこに慎二君が来てオレに声を掛けた。

「椎凪さんちょっといいですか?」
「? 何?」
そう声をかけるとさっさとオレを誘導して先に行く。
「あ!タバコの臭い落として下さいね。右京さんタバコ嫌いですから。」
スタスタと先を歩きながらそんな事を 言われ…
昼間最初に通された応接間に連れて来られた。
「耀は?」
「お風呂入ってる。」
「!」
中には既に右京君と新城君がいた…何なんだ?
「どうぞ。椎凪さん。早速始めましょうか…本当の話し合いを…」
慎二君が呆然と立ってるオレに向かって話し始めた。
「昼間は耀君がいたから本当の事言えません でしたから。」
「…………」
「今は簡単に説明しますけど…まず祐輔が中学の時耀君と知り合いました。
そして僕が高校の時に右京さんと知り合い…僕と祐輔が 祐輔が高校入学してすぐに知り合って…
そして僕達も耀君と知り合って現在に至ってます…
四人で暮らし始めたのは半年位前ですかね…」
そこまで話すと一息 ついてオレをまっすぐ見つめた。

 「はっきり言います。椎凪さん。
 耀君と関わるのはもう止めてください。」
 「!」
 「耀君は色々問題があるんですよ。
 僕達耀君とは他人ですけど
 自分の家族の様に耀君を愛してる。
 ですからあなたみたいに気まぐれに…
  興味本位にチョカイ出されるのは
 非常に困るんです。ですから今回の
 件あなたから断って下さい。もしこの
 ままあなたが耀君に付き纏って耀君
 の事 傷つけたりしたら僕達あなたを…」

「殺す!」
「この世から消すよ。」
「潰します。」

「 ! 」
三人同時に凄まれた。
「あなたの事少し 調べさせてもらいました。」
「……」
「あなた孤児ですね。生後一ヶ月で施設の前に捨てられていた…」
「!」
身体がピクリと動いた。
「結構きわどい事もやってますね…女性にも手が早いみたいだし…
そのノリで耀君に手を出されたら困るんですよね!!」
思いっきり強い口調で言われた。

「孤児の…」
オレは俯きながら答えていた…
「孤児のどこが悪いんだよっ!!」

ムカついて普段抑えてる本当のオレが出た…
「 ! 」

本当は 暗くて…冷たくて…重い自分がいる…
オレは普段それを隠して軽いオレを演じてる…
そうしないとオレは生きていけないからだ…
今それが外れて…それに三人が 気付いて顔が一瞬変わる。

「仕方ねーだろ親が勝手にオレ産んで
勝手にオレの事捨てたんだから!
オレにはどうしようもねーだろうがっ!」
奴等を睨んで言い続けた。
「お前達に分かるか?
人間として扱ってもらえない悔しさが…
イジメられて悔しくて悔しくて
でも置いてもらってる施設の人に
迷惑かけない様にって笑って
生きて来たオレの気持ちが
お前達にわかんのかよっ!!
オレの胸のど真ん中に空いてる
暗くて深い穴が
お前達に見えるのかよっ!!」
オレは自分の胸を 掴みながら言い続けた。


「耀くんはその穴を埋めてくれるんだよ…お前達だって癒されてるだろ…耀くんに…
だからオレは耀くんを誰にも渡さない!
それを邪魔したりオレから耀くんを取り上げ様とするなら容赦しない!!
耀くんが男だって構わない!絶対オレのものにする!だから邪魔すんな!!」

「 ! 」
三人が同時にピクリとなった。
「お前…耀が男ってわかってても…好きなのか?」
「ああ!男だって構わない!オレは『耀くん』が好きだから!」
「……」
奴等はしばらく無言だった…

「ふーん…いいんじゃねーの?そこまで言うなら見せてもらおうか?
耀がお前を好きになるか…」
新城君が笑い ながら言った。
「言っとくけど耀はな『 椎凪の料理 』が食べたいから作ってもらえないかって
オレ達に相談したんだ。お前の事が好きだからじゃねーぞ!
お前が作る料理が好きだからだ!分かってんのか?」
「それに僕達三人に宣戦布告したんですから覚悟して下さいね。」
軽く笑ってる…
「僕はお前達なんて 言われたのは初めてだよ…実に不愉快だね…絶対許さないよ。」
椅子から立ち上がりながらムッとして言う。
ムカついた場所そこかよ…
「じゃあバイトの件は OKするって事ですね。
分かりました…仕事は仕事ですからちゃんとやって下さいね。
そこは耀君も絡んでいるので僕達も邪魔しませんよ。
それではおやすみなさい。椎凪さん…明日の朝はごゆっくり…
今はまだ客人ですから…」


用意された部屋のベッドの上…
オレはベッドに入りながら壁に 寄り掛かって考えてた。
あいつの言う通り…耀くんはオレの作る料理が好きなんだ…
別にオレの事が好きって訳じゃ無いんだよな…
そう再確認してため息が出た…

コンコン…

「 ! 」
誰かがドアをノックした。
「椎凪起きてる?」
「耀くん!?」
オレは少し驚いた…まさか耀くんが来てくれるなんて 思わなかったから。


 「どうしたの?」
 「うん…椎凪と話しがしたくて…」

 そう言いながら ベッドに乗って
 オレの隣に座った。

 「みんなにバレたら怒られない?」

 「みんなオレが寝ると思ってるから平気だよ。
 オレ一度寝ると 滅多に起きないから…
 寝たフリしてたんだ。えへ…」

 「耀くん…」


「椎凪パジャマは?用意してくれたでしょ?」
「え?ああ… オレ裸で寝るの。裸好きだから。」
「へーそうなの?」
耀くんが座り直して切り出した。
「椎凪…あの話し…OKしてくれるの?」
「うん。OKするよ。 でもすぐにバイト辞められ無いからちょっと待っててね。」
「本当!ありがとう。オレうれしい!!」
耀くんが本当に嬉しそうにそう言ってくれた。
やっぱ可愛いよな…癒される…そんな耀くんの顔を見てそう思った…
「わーこれからは誰にも気兼ねしないで椎凪の料理食べれるんだね。
うれしいなぁ…オレ幸せ。」
「オレの料理食べれるから幸せなんだ…」
一応聞いてみた。
「うん!」
思いきり元気な返事が返って来た。

やっぱり料理の為だけかよーなんか嬉しい けど…微妙ー…

「あ!でもね。椎凪と一緒にいれる時間が増えるのもうれしいよ。」
「え?」
「だってオレ椎凪といるの楽しいもん。」
「耀くん…」
「色々な話ししてさ。いつも優しくオレの事見ててくれるし。椎凪といるとオレ安心するんだ。」
え?…ちょっとドキドキして来た…
「それってオレの事好きって 事かな…」
恐る恐る聞いてみた。
「うん!好き。」
ニッコリと満面の笑みだ。
「耀くん本当!?」
ええー!!うそ…
オレは嬉しくて心臓がドキドキ。
「みんなと同じ位好き!」
ニッコリ笑ってはっきり言う。
「えっ?!」
オレは軽くショックを受けた…え?そう言う…好き?
「そ…そうなんだ…」
「 ? 」
耀くんがキョトンとしてる。
だよな…どー見てもオレを恋人として見てる様には思えないもんな…
「あふっ…あれ…?」
耀くんが小さく欠伸した。
その仕草がなんとも可愛い。
ヤバ…理性が…しかもベッドの上で二人っきり…
「ねぇ耀くん…キスってした事ある?」
「キス?おやすみのキスならみんなと…」
「ううん…違くて恋人同士のキス。」
「え?無いよ…オレ恋人なんて今までいないし…」
「そうだよね…そうだった…もう寝た方がいいよ。
いつもは寝てる時間 なんでしょ?眠そうだもん耀くん。」
「んーごめんね椎凪…オレなんかダメなんだ…子供っぽくってさ…
だからみんなに子供扱いされちゃうんだ…きっと。」
「そこが可愛いよ。耀くんは…おやすみ…」

「 ! 」

優しく耀くんの頬を掴んでオレの方に引き寄せて…
おやすみのキスをした…離れても耀くんは 黙ったままじっとオレを見てる。

「え?何で椎凪…何で…口にするの?」
耀くんがちょっとびっくりしてる。
「恋人のキスだから…」
「え?え?椎凪オレの恋人?オレの事…好きなの?」

「うん。好きだよ…でもそれは…
耀くんが言うみんなが好きの
好きじゃない…
耀くんだけが好きって言う好き」
笑顔付きで言った。

「耀くんただ一人が
好きって言う好き…」

もう一度耀くんにキスをした…
今まで…した事の無い…
優しいキス…



自分の部屋に戻ってベッドの中で眠さと闘いながら考えていた…
やっぱり椎凪ってみんなと違う…いつもオレの事ドキドキさせてくれる…
ずっと一緒にいたらもっとドキドキするのかな…
オレの事…いつも優しく微笑んで見てて くれるのかな…
オレはウトウトしながら考える…
ずっと…一緒にいれたらいいのに…ずっと一緒にいたいな…みんなみたいに…
…みんなみたいに?そっか… そーだよね…ふふ…

次の日…
オレは久しぶりにぐっすり眠って目が覚めた。
「流石高級ベッド…寝心地が違う…」
率直な感想を述べて少しの間 シーツの肌触りを堪能してた。
「もう9時か…久しぶりだな…こんなゆっくり寝たの…
さて耀くん起きてるかな?朝ごはん作ってあげなきゃ…」
オレは ゆっくりとベッドから起き上がった。

「あふっ…」
欠伸をしながら階段に向かうと…ん?なんだ?なんかモメてる?
吹き抜けだから下の話し声が聞こえて 来る。

「よ…耀君ちょっと落ち着いて…」
「なんで?なんでダメなの?」

慎二君と耀くんが言い合ってる。
「おはよ。どうしたの?」
オレは階段を下りながら声をかけた。
「おはようございます。椎凪さん。」
「椎凪!」
耀くんがオレの傍に近付いてニッコリ笑いかけながら言う。
「ね!椎凪もその方がいいよね。」
「へ?」
唐突に言われて…何の事やら…訳わからん…?
「もー耀君は椎凪さんにも話してないんでしょ…」
慎二君が 困った顔をしてる。
「そうだけど。椎凪だってそうしたいに決まってるよ!
みんなみたいに一緒に暮らしたいよね?椎凪!!」
「え?」
どんな話しの展開…? 良くわかんねー…
「そう言うの住み込みって言うんでしょう?
オレ椎凪といつも一緒にいたいんだ…椎凪の事が好きなの!!」
「 ! 」
彼等が固まった!
「え…?」
オレも固まった…びっくりで…思考回路がイマイチ働かない…
え…?耀くん今…何て言った?

「そ…それは料理を作ってくれるから好きなんで しょ?」
慎二君が耀くんに確認する様に聞き直す。

「ちがう!!オレ椎凪はみんなとちがう好きなんだもん!!
椎凪といるとドキドキするんだそれに 楽しいし…みんなと違う安心をくれるの…」

オレは今だに訳が分からず耀くんを見つめてた…
えっと…これって…オレの事好きだって…言ってくれてるのか…?



 「夕べだって恋人のキスしたもん!!

  オレ椎凪の恋人だもんっ!!」

 耀くんが思いきり大きい声で
 三人に叫んだ。

 ええっっ!!ちょっと!耀くん…
 そんな暴露の仕方あり?
 ヤバイんじゃないの?それって…





「 ! ! 」

誰も喋らない…何とも重い…嫌な空気が漂ってる…
オ…オレはどうしたらいいんだ…?
耀くんのこのゲリラ的な告白に…どう対応したらいいものか…
頭の中が… グルグル廻ってる…

ガチャン!!

その時…カップが乱暴に置かれた音がした。