betubanasi part 5

 * 今回のお話は椎凪達が高校生のお話。
 椎凪と耀を一緒に通わせてあげたかったのと全員を一緒にいさせたかったので…
 このお話基本は本編のままですが多少 違いますのでご説明を…
 椎凪 : 高校三年生。(キツイか?)性格・過去設定は本編通り。本編程過去は引きずっていません。
 耀 : 高校一年生。トラウマ有り ですが既に右京によって治療済み。そのせいもあり本編より幼い性格設定になってます。
 今回は始めの方から耀は椎凪LOVEです。 祐輔 : 高校三年生。耀との関係は 本編通り。耀とはとても仲が良い。
 慎二 : 23歳。本編のままです。本編では椎凪より年下なので『さん』呼びなのですが今回は慎二の方が年上…
 でも違和感ありまくりなので本編通り『椎凪さん』と呼ばせてます。
 右京 : 28歳。本編のままです。既に耀の親代わり。なので耀の事は溺愛。
  本編とは違った椎凪と耀の恋愛話。どんな感じでしょうか?本編と被る所も多々ありますが…
 結構続きますので気長にお付き合い下さいませ。 別話編なのでイラスト付き(あえて大人キャラ)
 どんな事があっても2人は付き合う!これ基本です!! *
    


04


耀くんがオレの事を好きだと言ってくれた…
しかも夕べオレとキスした事も思いっきり暴露してくれた…
皆が黙る中カップが乱暴に置かれる音がした…



見れば右京君がテーブルに
両腕を着いてワナワナ震えてる。
きっと寒いからなんかじゃ
ない事はオレにも分かる…

「右京さん…」

慎二君が心配そうに声を
かけたけど聞こえて無いみたいだ…

「やはり…君に関わると
耀には悪影響の様だ…」

右京君の周りの空気 までもが変わり始めた…
俯いてた顔を上げた右京君の瞳が
異様な光りを発している…何だ…アレ…


「死…」

言いかけた時…

「ベシッ!!」

「 !! 」

右京君の顔面に新城君の左手が叩き込まれた!
「バカ!落ち着けよ!ったく…」
慎二君が凍りつく…
「耀がいる んだぞ!本当バカだな。」
「新…城…君…今…僕に何をした…?」
怒りに震えながら右京君が言葉を絞り出す。
「ああ?オレにテメェの『邪眼』は効かねえの 知ってんだろ?力で勝てんのか?」
「………」
右京君が何か言いたげに新城君を睨みつけてる…
「いいじゃん。耀の初恋だろ?好きな奴と一緒に
いたいと思うのは当たり前なんだからよ。
やっと耀が当たり前の事思い始めたんじゃねーか。」
「?」
どういう意味だ?
「オレは構わねーよ。毎日いるん なら毎日虐めてやるからさ。覚悟しとけよ!」
「………」
「それに耀がお前の事ずっと好きとは限ら無いもんな。
せいぜい捨てられない様に気をつけろよ。 クスクス…」
鼻で笑いながらオレに言う。
すっ…
右京君がテーブルを離れた。
「右京さん?」
慎二君が心配そうに声を掛けた。
「耀がそうしたい なら…好きにしたまえ…」
諦めた様に呟く。
「でも僕は…二人の事は絶対認めないけどね!」
そう言って部屋を出て行った。
「………」
耀くんも慎二君も 黙ってる。

「もー耀君は言い出すと聞かないんだから…」
溜息交じりで慎二君が口を開いた。
「ごめんなさい…」
「後で右京さんに謝るんだよ。」
「うん…わかった…」
「……」
オレはなんか置いてけぼりで一人理解不能…
「ああ!すみません。椎凪さん…勝手に話し進めちゃて…
何となく分かってると 思うんですけど
耀君があなたと一緒に暮らしたいんですって…」
「えっ?!」
初耳で驚いた!
「まぁ僕達も別に家族でも無いのに一緒に暮らしてますから 気が合うからって感じですかね…
椎凪さんがよければですけど…でももう断れる雰囲気じゃ無いですけどね。」
クスッと笑う。
「部屋は沢山空いてるしバイトの 件もその方がやりやすいですかね。」
「本当にいいの?なんか迷惑かけてるみたいだけど?」
「気にしないで…みんな分かってるんだ本当は…」
「?」
「じゃあ全部準備出来たら連絡下さい。」
そう言ってニッコリ笑った。

コンコン…
「右京さん…」
右京さんの部屋のドアをノックして静かに扉を開けた。
右京さんが部屋に置かれてる大きな椅子にちょっとムッとした顔で座ってる…
オレはゆっくりと近付いて右京さんの前で膝を着いて身体に抱き着いた。

 「耀の事…怒ってる?」

 右京さんを見上げて聞いた…

 「別に…耀の事を怒ってるわけではないよ。」

 「じゃあ椎凪の事?」

 「!…まあそれは無いわけではないけれどね…」

 「じゃあなぁに?」

 「……耀のね…成長が辛いんだよ。」

 「耀の…成…長?」


右京さんがそっとオレの顔を両手で持ち上げて自分の顔に近づける…
「分かってはいたんだよ…いつか耀も好きな人が出来て
僕達よりその人を選ぶ日が来るだろうってね…
でもこんなに早くその日が来るなんて思いもしなかった…
何故?どうして彼なんだい?」
「わかんない…」
「耀…」
右京さんが心配そうにオレを見る…
「でもね…椎凪には怖いって思わなかったんだ…
オレいっつも他の人って怖くてさ…でもね椎凪は平気だった…
初めっから普通に話せたし二人っきりになっても全然平気なんだ…変でしょ?」
「……」
右京さんがじっとオレを見つめて目を閉じた。
「そうか…分かったよ… 耀。」
右京さんがオレを抱きしめる…
オレも右京さんの首にしっかりと抱き着いた…優しい右京さん…

「わがまま言ってごめんなさい…右京さん… でも右京さんの事好きだよ。
椎凪とは違う好きだけど…大好き…」

「僕も好きだよ…耀…」

耀をギュッと抱きしめる…ああ…僕って耀に甘いのか…


人生ってわかんないもんだ。
まさかオレの生活がこんなに変わる事になるなんて…
施設はもともと一日でも早く出たかったしバイトはちょっと
申し訳なかった けどでも金はいいしなんにしても…
これからはずっと耀くんといられる。 

「椎凪ー」
耀くんが玄関でオレを待っててくれた。思いっきり手を振って。
「この部屋使って下さい。」
慎二君が部屋に案内してくれた。
「本当はねあっちの部屋でなんて右京さんと祐輔が言ってたんだよ。」
「え?あっち?」
耀くんが指差す方を見た。
廊下の先の奥まった部屋でなんか誰も来なさそうな
なんとも淋しげな部屋…
「使用人だからなんて言ってさ…」
おいおい…
「オレのお向かいさん。隣はもう使ってるし。」
部屋を覗いてびっくり…
「うおっ…凄い部屋…」
いきなり目の前に20畳程の部屋…机にソファ…
高級ホテル並の室内…奥には別に寝室がついてる…
「部屋にお風呂とトイレ着いてますから洗濯も乾燥機付きですから
自分でやって下さいね。」
致せり尽くせり だな…

「あ!お風呂大風呂もありますからたまにはどうぞ。」
「大風呂?そんなのあるんだ?」
流石金持ちか?
「うん。広いよー 気持ち良いよ」
「じゃ耀くん今度一緒に入る?なーんて…」
半分本気で言った。
「アハハ。やだなぁ椎凪のエッチ!恥ずかしいからやだよー」
「オレは全然気にしないけどねー」
男同士だしさ。
「 ! 」
慎二君が微妙な顔をした…
「あはははは♪♪」
オレと耀くんは楽しく笑った。

ついさっき自分の部屋となったベッドの 上で仰向けに寝っころがりながら
ボーっとタバコを吸ってた…しかし…いいのかねぇ…
こんな豪華な部屋…まぁ金持ちだから気にする事ねーか…なんて考えてると…
「椎凪!」
部屋のドアが開くと同時に耀くんが入って来た。
「耀くん…」
「お腹空いた!何か作って。」
「OK!すぐ作るよ。」
オレはニッコリ笑って ベッドから起き上がった。
「わぁお!!オムライスだぁ美味しそう きゃぁ〜〜しかも大きい!!」
耀くんが大感激で目の前の料理を見つめる。
「どーぞ」
「いただきまーす。」
嬉しそうに耀くんが一口食べた。
「美味しいー…オレ幸せ。」
「オレも幸せ!耀くんの為だけに作れるなんてさぁ♪」
そう言いながら オレは耀くんの隣に座った。
「耀くん…」
「あ…」
オレはそっと耀くんに顔を近づける…
そうなんだ…何か知らない内にオレ達恋人同士なんだよな。 うれし〜〜


「美味しそうですね。」
ヒョイと横から慎二君が顔を出した。
ビ ク ッ !!
「うわっ!!
なっ…なっ…何?いつの間にっ…?」
オレは心臓がバクバク…焦った…
「僕ねこっそり近付くの得意なんですよ
神出鬼没なんです。
殺されますよ。
祐輔と右京さんに見つかったら。」


クスクスと笑ってる…
「し…慎二君も食べる?作るよ。」
「え?良いんですか?じゃ頂こうかな。」
「おいしいよー」
「本当?」
「そうだ。夕飯みんなの分作っちゃっていいのかな?」
「え?良いんですか?」
「うん。別に平気。」
「じゃあお願い します。耀君中心の献立でいいですから。」
「OK!」

その日の夕飯。
「なんか久しぶりにまともなメシだな…」
テーブルに並べられた料理を見て新城君 が言った。
「でしょ おいしいよー」
耀くんが自信ありげに誉めてくれる。
「今まではどうしてたの?」
慎二君に聞いた。
「え?そうですね…僕が 作ったり…僕以外作れないし後は右京さんの所の人に
作ってもらったり…ですかね…外で食べたりもしましたけど…
耀君がダメで…あんまり食べてくれなくて…ね?」
「え?あ…ごめん…」
待ちきれず一人先に食べ始めてた耀くんが慌てて謝った。
「だって…あんまり食欲なかったから…でね。
おいしいお店探してたら椎凪の お店見つけたんだ 」
「うわぁ本当?運命だね!!」
耀くん相手だと歯の浮く様な台詞も照れなく言える。

「え?光熱費?」
食事を進めながら気に なってた事を聞いた。
「うん…だって家賃も良くてさ本当いいのかなって…」
「ああ!平気ですよ。椎凪さんがここで生活する為にかかる費用なんて
右京さん にしてみたら『 塵 』にもなりませんから!
気にしないで下さい。やだなぁそんな事気にしてたんですか?」
「え…?そうなんだ…」
塵にもですか? なんか言い方にトゲ…ありません?
「一般人一人位僕にとっては何も問題無い。君一人位養ってあげるよ。」
なんの感情も無い台詞で言われた。
「そっ…そりゃどーも…。」
思いっきり引き攣った顔で礼を言ってやった。

「食べるか?耀。」
「うん。」
みれば新城君が手を着けていないオカズを 耀くんに渡す所だった。
「あれ?新城君サラダ以外食べて無いけど?口に合わなかった?」
「ああ…祐輔ねあんまり食べないんですよ。」
「え?」
「パンが好きで後は生野菜かな…パスタとか食べるけど
ご飯ってあんまり食べないんですよね。
コーヒーは好きだよね。すいません…先に言っておけば良かった ですね。
つい言いそびれちゃって…」
「………」

すまなそうに笑ってるけど…全然すまなそうに見えない…
本当にうっかり?なんかワザと言わなかっ たんじゃねーの?
親切っぽいけど結構トゲあるんだよな…わかんねーこの男…


オレの住み込み生活は始まったばかりだ…