betubanasi part 5

 * 今回のお話は椎凪達が高校生のお話。
 椎凪と耀を一緒に通わせてあげたかったのと全員を一緒にいさせたかったので…
 このお話基本は本編のままですが多少 違いますのでご説明を…
 椎凪 : 高校三年生。(キツイか?)性格・過去設定は本編通り。本編程過去は引きずっていません。
 耀 : 高校一年生。トラウマ有り ですが既に右京によって治療済み。そのせいもあり本編より幼い性格設定になってます。
 今回は始めの方から耀は椎凪LOVEです。 祐輔 : 高校三年生。耀との関係は 本編通り。耀とはとても仲が良い。
 慎二 : 23歳。本編のままです。本編では椎凪より年下なので『さん』呼びなのですが今回は慎二の方が年上…
 でも違和感ありまくりなので本編通り『椎凪さん』と呼ばせてます。
 右京 : 28歳。本編のままです。既に耀の親代わり。なので耀の事は溺愛。
  本編とは違った椎凪と耀の恋愛話。どんな感じでしょうか?本編と被る所も多々ありますが…
 結構続きますので気長にお付き合い下さいませ。 別話編なのでイラスト付き(あえて大人キャラ)
 どんな事があっても2人は付き合う!これ基本です!! *



*今回のみ亨との絡みが少しあります。苦手な方…後半までジャンプ!大丈夫お話はつながりますから!*     

06


「あれ?」

進学塾の中…仕事中とは分かっていたが訪ねた…
「どーも…」
自分から訪ねて行ったのになんとも気が重い…

「慶彦!え?久しぶりだね… えー?何ヶ月ぶり?うわっ嬉しーい!」
物凄い感激ぶり…余計気分が凹む…
「ちょっといい?」

進学塾の応接室。
「久しぶり。元気だった?」
「まぁね。」
「今日はどうしたの?」
「実は急に来て悪いんだけど…亨にしか頼めないから。」
「え?頼み事?僕にしか頼めない事って?」
「…オレに… 勉強教えて。」
「勉強?慶に?なんで?」
「聖徳学園の編入テスト受けるから」
「聖徳?レベル高いよ。あそこ。」
「でも合格しなきゃいけないんだよ。 だから亨に頼みに来た…」
「……」
亨はじっと黙ってオレを見つめる…
「慶が僕の所に来るなんてよっぽどの事なんだろうねー
なんせずっと僕の事避けてた もんね。」
意味ありげに笑う。

「まさかタダで?」

来たよ!絶対そーゆーと思ったぜ…
「どうせ金なんか受け取らねーんだろ?」
「良く分かってるね。」
ニヤリと笑う。分かるって…

「何を…して欲しい…?」

百歩譲って仕方なく聞いた…
「え?」
亨の顔が一瞬で輝いた。
「 ぼ… 『オレと寝る以外で!』 」
先に釘を打っとく。
「………」
亨が黙った。

「エロイ事はしねーぞ!」

「じゃあ何も無い!」
そう言ってぷいと横を向く。
「お前…」
呆れて…何も言えん…
「冗談だよ。いいよ最初と最後にキスしてくれれば。毎回だよ。
恋人にするみたいに甘ーーい キスね!安いもんだろ?
うちの授業料結構するんだよ。その分だと思えばさ。」

そう来たか…それだってオレ的には大譲歩だぞ…

「……ああ…」
「それに分かってて来たんだろ?僕がどんな条件出すか?」
「まぁな…」
分かってたよ…分かり過ぎるくらいにな…

早速勉強を見てくれると言い出した。
素早い対応に嬉しい反面… 目的は別の所か?

「いつ試験?」
「一ヶ月後。」
「ふーん…問題は今慶がどの位のレベルかって事だけど…どう?」
「さぁ…気にしてねーし。」
「じゃあこれやって。」
そう言って何枚かの プリントを渡された。
「あ!そーだ!」
「 ! 」

亨が嬉しそうに笑ってオレに近付いて来た。
チッ…覚えてたか…オレは仕方なく立ち上がって…亨に キスをした。
オレより背の高い亨に机に手を着いたままキスしたから…
下から見上げる格好になった…なんか積極的にしてるみたいで…悔しい…
直ぐさま亨が 舌を入れてくる…絡み合いながら諦めた…

コイツが満足するまでこの行為は延々と続くんだろう…

コイツは『真鍋亨』確か27歳?進学塾の講師。
本当は出来るだけ会いたく無い男…亨がオレに好意持ってんの分かってるから。
知り合ったのは中二の時…不覚にも喧嘩でケガをして動けなくなってたオレを
手当して くれたんだけど…そんなオレを首輪で繋いで動け無いのをいい事に
オレで散々遊んだ男。サドで変態だ。
そして治療費だと言ってオレを抱いた男…
今思い出しても 悔しくて腹が立つ!オレは別に亨の事は何とも思って無い。
色々便利で都合のいい奴だから時々お世話になったけど
あれ以来オレの身体に触れさせて無い。

耀くんの為に色々な事には目をつぶる覚悟で来た…


勉強よりも違う疲労感がオレを襲う…


「おはよう椎凪。大丈夫?あんまり寝て無いんでしょ?」
耀くん…オレの事心配してくれるの…
「大丈夫だよ。ありがと耀くん。」
耀くん…オレを癒して…
オレは耀くんを抱きしめた。



 「ちょっと…」

 ん?

 「ぶっ飛ばしますよ…椎凪さん…」

 「!あれっ!!」

 何故か腕の中には拳を握り絞めて
 プルプルと震える慎二君が…





「だーーーっっ!!祐輔っ!!ヒドイ!」
また耀くんはいつの間にか祐輔の腕の中 にいた。
「一晩中女の相手してれば疲れるよなぁ椎凪!」
耀くんが目を潤ませてオレを見てる!

「ちがーーう!!ほら!耀くんが信じちゃうだろっ!!」



「慶って結構頭いいんだね。基本が出来てるせいかな。」
昨日やったプリントを見て亨が言った。
「あー覚えるのは得意だよ。一度聞くと何となく覚えちゃうかな…」
「遊んだ女の子の事は忘れちゃうのにね!」
「うるさい!余計なお世話!別に覚える気無いだけだから…」
「彼女…出来たの?」
亨が急に優しく聞いて来た。
「まぁね…」
亨の方を見ずに返事をした。
「そっか…」
「そうだよ。」

日にちはどんどん過ぎて行く…
オレは神経を集中して勉強にのめり込んだ…
目で見て覚えて書いて覚えて…理解して…
自分でも気が付かないうちに
ブツブツと独り言も繰り返す。

「――慶…慶!」
「ん?」
「少し休…憩…」
亨が呆れた顔をしながらオレを見てる。
「?」
「もーあっちの慶になってるよ。どうして?」
「ああ…集中し過ぎて気廻すの忘れてた…」
言われて気付く…
「…そっちが本当の慶なんだから隠す事無いのに…」
また呆れた顔された。

「いいんだよ。言っただろ…色々不都合があるって…」
亨はオレが『もう一人のオレ』を隠してるのを知ってる…
今の所オレが『オレ』で過ごしても平気でいられる唯1人の人物だ…
「あ!そうだ。明日は都合悪いからお休み。だからこれ!次の時までにやっておいて。」
山の様な問題集を渡された。
「できっか…こんなに…」
「出来なかったらお仕置きね!」
愉しそうに笑いやがって…このサド野郎…
きっとコイツは本当にお仕置きするんだろうなと分かって更に気分が 凹んだ…


 「え!今夜は出掛けないの?」

 耀くんが嬉しそうにオレを見て叫んだ。

 「うん。」

 「やったー オレ嬉しーい 」

 耀くんがそう言ってオレに抱き着く。

 「オレも嬉しいよ。」

 しっかり耀くんを抱きしめた。

 あー癒される…ホッとするよ。耀くん…




「ん……」

暗い…黒い…
「…くっ…」
動いてる…動いてくる…オレの方に…ダメだ…捕まる!!
「はっ!!!」
恐怖で跳び起きた…
「あ…はぁ…はぁ…」
息が…苦しい…またあの夢…最近見てなかったのに…くそっ…

オレは時々夢を見る…闇に襲わ れて…飲み込まれそうになる夢…

「うっ…」
ズキッと胸の真ん中が痛みが走った…
ダメだ…胸から全身にかけて…ザワザワと重くて暗くて…嫌なモノが広がる… 感覚…
月明かりも無くて…辺りは闇だ…
「ドクン!ドクン!」
ダメだ…このままじゃどんどん広がる…

オレは闇が怖い…
いつかオレは自分の胸の 暗い穴に…内側から取り込まれそうだ…
子供の頃からそうだった…
ただこの恐怖が通り過ぎるのをいつもじっと我慢して耐えていた…

「ハッ…ハッ」
苦しくて…シーツを掴んだ…
「…耀…くん」
搾り出す様に呟く…
耀くん来て!! オレの所に…
そしてオレを助けて!!
…心の中で叫んだ…
「うっ…がっ…」
胸からの痛みがまた走る…
このままじゃオレ…
自分の胸の穴に…
飲み込まれる…耀くん!!


…って無理だよな…くそ…
いくら願っても叶えられ無い事はわかっていた…
でも…どうしよう…マジヤバイ…怖い…

…なんだ?ふと気配を感じて…恐る恐る目を 開けた…

「 ! 」

目の前に心配そうな顔でオレを見てる耀くんがいた!
…優しくオレの頬を持ち上げる…
「はぁ…はぁ…耀…くん?どう… して…」
夢か?そう思いながら耀くんの腕を掴んだ…掴めた…本物…?

 「だって椎凪呼んでただろ?
 オレの 事…」
 「!」
 「大丈夫?椎凪…すごく辛そう…」
 「……はぁ…はぁ…」
 そう言いながら耀くんが
 優しくキスしてくれる…
 何度も 何度も…
 「これでいい?
 これで椎凪楽になれる?」
 耀くんの瞳にうっすら
 涙が浮かんでる…



「ありがとう…耀くん…もう大丈夫… 耀くんが傍にいてくれれば…」

ギュッと耀くんを抱きしめてそう言った…あったかい…柔らかい…

「うん…ずっと傍にいるよ…椎凪…」

そう言って優しくオレを抱きしめてくれた…



…耀くん…

オレを…抱いてて…
オレを離さないで…

お願い…オレを癒して…
オレを満たして…耀くん…


君でしか…オレを救えないから…





目が覚めると目の前に静かに寝る耀くんがいた…
あ…夢じゃ無かったんだ…オレが呼んでたって言ってた… 分かってくれたんだ…耀くん… 
オレ嬉しい…嬉しくて耀くんを抱きしめて頬をスリスリしまくった。
「…ん…椎凪…」
「おはよ。耀くん。」
「おはよう椎凪…もう大丈夫?」
「うん。」
「怖い夢見たの?」
「うん…そうなんだ…ありがとう耀くん。」
眠い目を擦りながら耀くんが微笑んだ。

「ねぇ耀くん…恋人の深いキスしてもいい?」
優しくお願いした。
「深いキス?」
耀くんがキョトンとした顔をしてる。
「オレに出来る?」
「うん。 耀くんは身体の力抜いて目をつぶっててくれればいいんだ。」
「え?それだけでいいの?」
「うん…ダメ?」
「んー…良く分からないけど椎凪ならいいよ。」

耀くんの返事を聞いてオレは右腕を耀くんの首の下に滑らせた…
肘を立てて耀くんに覆いかぶさる…
そして左腕で耀くんをオレの方に抱き寄せた。
そっと唇を 重ねて…舌を入れた。
「…!ん…」
ビックリした耀くんと目が合う…オレはそのまま更に深く入っていく…

ひゃ…こんなの…初めて…椎凪の舌が…オレの 舌に絡んでくる…何これ…

「…んっ……ふ…っ…」
耀くんが小さく吐息を漏らした…それが何とも可愛いくって…
オレはいつまでも耀くんとの深いキスを 止めなかった…

「…あ……」

ちゅっ!
最後に軽いキスをすると耀くんの身体がピクンってなった。
「良く出来ました。」
「…なんかすっごい ドキドキしちゃった…」
耀くんが顔を真っ赤にしてる。
「今日は学校休みだからゆっくり寝てていいよ。耀くん。」
「うん…でも寝るかな…すっごいドキドキ してる…」

――15分後――

静かに寝息を立てて耀くんはまた夢の中…
「はは…寝れたじゃん…耀くんってば…」

オレは上機嫌でベッドから 下りるとシャワーを浴びた。
夕べの恐怖に比べると何ともウキウキした気分だ。
「はーさっぱりした。」
濡れた髪をタオルで拭きならがらスヤスヤ眠る耀くんを 見た。
「やっぱオレの所に泊まったっつーのはマズイか…」
あいつ等の顔を思い出して考えた。
きっとタダじゃ済まない気がする…
散々文句言われて揚げ句 の果てにはオレが連れ込んだなんて言われそうだ…
手に取る様に分かる…

そっと耀くんのベッドに運んで頬にキスをした。
「おやすみ…耀くん。」
静かに部屋の ドアを閉める…

「ん?」
「あ!」

ドアの前で祐輔とばったり会った!

 「テメェ…耀の部屋の 前で何してる?」

 ズボンしか履いてないオレを見て
 疑いの眼差しだ…

  「えっ!!いっ…いや何もっ…!」
 「お前…まさか…?」

 咄嗟に惚けたのがマズかった…
 余計疑われた…
 「えっ?何?何想像してんの?
 オレ何も…してないよ…
 本当だから…その…
 落ち着いて!!」

 オレはそう言いながら後ろに逃げる!

「 問答無用!! 」
セリフと同時に廻し蹴りが入って慌てて よけた。
「うわっ!ちょっと…まっ…止めっ…」
連続で蹴りが来る!
「祐輔…誤解だって…」

ゴ ン ッ !!

「痛っ!」
思っきり壁に後頭部をぶつけた。
「ばっか…折角覚えた公式…飛ぶだろーがっ!!」
頭を擦りながら本気で思った!
「やかましいっ!!このエロ椎凪!!」
聞く耳を持たない…コイツ…
「ホント…いい加減にしろっての…」
もしかして「コレ」を理由にまたオレとやり合うつもりか?
冗談じゃないっつーの…

その後…騒ぎに気付いた右京君と慎二君が起きて来て
結局想像通り…3人から散々疑いの眼差しと文句を言われた…


ホント…オレ何もして無いのにーー…