betubanasi part 5

 * 今回のお話は椎凪達が高校生のお話。
 椎凪と耀を一緒に通わせてあげたかったのと全員を一緒にいさせたかったので…
 このお話基本は本編のままですが多少 違いますのでご説明を…
 椎凪 : 高校三年生。(キツイか?)性格・過去設定は本編通り。本編程過去は引きずっていません。
 耀 : 高校一年生。トラウマ有り ですが既に右京によって治療済み。そのせいもあり本編より幼い性格設定になってます。
 今回は始めの方から耀は椎凪LOVEです。 祐輔 : 高校三年生。耀との関係は 本編通り。耀とはとても仲が良い。
 慎二 : 23歳。本編のままです。本編では椎凪より年下なので『さん』呼びなのですが今回は慎二の方が年上…
 でも違和感ありまくりなので本編通り『椎凪さん』と呼ばせてます。
 右京 : 28歳。本編のままです。既に耀の親代わり。なので耀の事は溺愛。
  本編とは違った椎凪と耀の恋愛話。どんな感じでしょうか?本編と被る所も多々ありますが…
 結構続きますので気長にお付き合い下さいませ。 別話編なのでイラスト付き(あえて大人キャラ)
 どんな事があっても2人は付き合う!これ基本です!! *
    


08


椎凪が耀と同じ高校に編入してから一ヶ月が経とうとしていた…


「あの…望月さん…」
放課後…帰ろうと思って昇降口に向かって歩いてたら呼び止められた…
振り向くと男子が1人…

『 うわっ!!男子だ…!! 』

オレは身体がビクッとなって顔が引き攣る…
「ごめん…少しいい…かな?」
落ち着きの 無い様な仕草でそれを誤魔化す様に頭を掻きながら目を逸らしてる…
「………」
その顔に見覚えがあった…確かクラスの人だったよな?どーしよ…男子苦手…
そんなオレをお構い無しに話続ける彼…
「あ…あのさ…良かったら…お…俺と…その…付き合って…」
「 ! 」
彼が言ってる途中でオレの後ろからにゅうっと 腕が伸びて首に巻き付いた。
「ダメだよ。」
この声…
「耀くんはオレのもんだから。」
もう一本の腕も伸びて来て両腕で後ろからオレを抱き込んで 椎凪が笑いながらそう言った。
「だから…」
「え?!し…椎凪?」
いつの間に…全然気が付かなかった…

「手ぇ出したら殺すよ…お前…」

オレは『オレ』で殺気出しまくりで相手の坊やを睨んで言った。

オレは背中にいる椎凪の事が見えなかったけど
正面にいたクラスメイトが一瞬で怯え出した。
一体どんな顔してるの?椎凪?

「さあ耀くん行くよ。」
椎凪に促されて歩き出した…彼は硬直して未だにその場に立ち尽くしてる。

『バカだな…アイツ…』
影からその光景を眺めていた他の男子生徒が小声で話す…
『あれ3年の椎凪先輩だろ?あの人の彼女って知らなかったのかな?』
『知らねーんじゃん…アイツ登下校 車だし…
先月編入して来たばっかだろ?なんでもあの子の為にここに来たって噂だぜ。』
季節外れの転校生でしかも外見も目立つ椎凪は何かと噂の種に なっているらしい。
『あの子と付き合う前は凄かったんだってさ…女も喧嘩も…』
『本当?でもあの子そんな凄そうには見えないけどな…確かに可愛いけどさ…』

「もービックリしちゃった。椎凪いきなりいるんだもん。」
「だっていつ何処でさっきみたいな奴が現れるか分らないだろ?
だから迎えに来たの。オレ心配で心配で どうにかなりそうだよ…」
椎凪が本当に心配そうに言う。
「もー大袈裟だなぁ…」
「大袈裟なんかじゃ無いよ。オレ耀くんの事愛してるから。」


椎凪が繋いでる手をギュっと握り直す…

「椎凪…あ…」

ちゅっ…

椎凪が素早くオレのホッペに
キスをした…

最近ダメなんだ…椎凪にキスされると
ドキドキしちゃう…顔も真っ赤になるし…

オレおかしいのかな?



「なんで…したの?」
椎凪を見上げて聞いちゃった。
「してって顔してた。」
そう言ってニッコリ笑う椎凪…オレそんな顔してたのかな…?
「え?ホント…?」
思わず顔を触って確かめてしまった…その時…

げ し っ !!

「 いてっ!! 」
椎凪が前につんのめった!なに?
「ったく…学校でイチャイチャ してんじゃねーよっ!!」
「祐輔?!」
「痛ぇ…なに?なんで?背中に膝蹴り?」
背中を押さえながらよろめいて椎凪が文句を言った。
「耀に変態がうつん だろっ!!触んなっ!!」
祐輔が耀くんを抱き寄せてオレから引き離す。
「ちょっ…!貴重なオレと耀くんの時間邪魔すんなっ!!」
「お前にそんなの必要 ねーよ。」
「何でだよっ!!耀くんはオレのもんだぞっ!!返せっ!!」
「うるせーな!誰がテメーのもんだって?寝ぼけた事言ってんじゃねーぞ。バカ椎凪!」
「なんだよっ!!あ…ちょっと祐輔!!何で耀くん連れて行くのさっ!!ちょ…」
「…あー…もー…2人共…」

いつもの…変わらない放課後の風景…
これでも平凡なんだよね…


「ただいまぁ。右京さん」
「おかえり。耀」

玄関を入ると右京君が待ち構えていた様に両手を広げて耀くんを抱きしめた。
耀くんも真っ直ぐ右京君の胸に飛び込んで行く。
「何も問題無かったかい?」
耀くんの頭に唇を押し当てて優しい顔と声で聞いた。
「はい。」
嬉しそうな 耀くん…右京君にギュっと抱きしめられて気持ち良さそうだ…
そんな光景を横目で眺めつつ…
オレ以外の男に抱きしめられるなんて本当は無性に気分が悪いけど…
「お帰りなさい。」
慎二君もお出迎えだ。
「ただいま。慎二さん。」
右京君から慎二君にバトンタッチされた。
慎二君にもギュっと抱きしめられる…
毎日の光景でこいつら相手じゃ気にしても仕方ない…
「椎凪さん。コーヒー淹れて貰えます?」
「あ…うん…」
きっと『 気に入らねー… 』ってのが顔に 出てたんだろう…
『だったらあっちに行ってて下さい。』的な物言いだ…
どうでもいいが…お前ら仕事してんのか?昼間っからなんでいっつも家にいるんだよ…
「今日も元気に行けました?」
「うん。」
未だに耀くんは慎二君の腕の中だ。

まったく…ここの男共ときたら…オレが彼氏だってホント認めてねー… 一度シメるか?
なんて出来もしない想像をして余計気分が萎えた…


「耀君は?」
夕食の後片付けの最中…慎二君がリビングに入って来るなり聞いた。
「お風呂。」
「丁度いいや…2人共これ見て下さい。」
「ん?」
オレと祐輔に声を掛けるとソファに座りながら応接セットのテーブルの上に
数枚の写真を 出した。

「なにこれ?ウチの制服?」
一枚を手に取るとそこに写ってたのはどう見てもウチの学校の女子生徒。
「こいつオレ等と同じクラスの女だろ?」
他の写真を眺めながら祐輔も話しに加わる。
「聖徳学園って色々な面で厳しいって知ってますよね?」
慎二君がオレ達を見上げながら話し始める。
「通っている 生徒は政治家や大企業の重役や社長の子供が殆んどで
一般の家庭では通えない学校です。
その上この辺りでは上位に入る程の偏差値の高い進学校でもあります。
そんな内情なので警備も厳しく文化祭は一般には非公開で行われますし
他校の生徒がこの学園に入る事は皆無に等しいんです…
が!先日どう見ても聖徳学園とは縁も ゆかりも無い
低レベルな学校の生徒がこの写真を持ってました。」



「? 何で慎二君が知ってんの?」
「ああ…僕普段から親しくさせて
頂いてる刑事さんがいまして。」
刑事に知り合い?益々怪しい男…
「補導した子が持ってたんですって。
それで僕の所に 話が来たんですけど…
そこに写ってる娘達は全員車で通学してます。
背景見ても学園内で撮られたのは間違いない…」
「なんでこんなの出回ってんの?」
「聖徳は世間では秘密の花園的な
存在なんですよ。
だから女生徒の制服姿は超レアもの
らしいです。
確かに一般の高校生と係わる事
殆んど無いですからね。」



「で?その中でも美少女系の子の生写真が出回ってるってわけ?くだらねー…」
「学園長の話では学園始まって以来の事ですって。」
「学園長とも知り合い…?」
「はい。」
まあ…何ともにこやかに笑っちゃって…
「重要な人物の御子息も通ってますからこんな事あってはならないんですけど…
どうも不届きな輩がいる らしいですね…」

「だから何だよ!オレは興味ねー…知るかこんなの。」

祐輔が機嫌悪そうに口を開いた。
「オレも知ったこっちゃないって感じ なんだけど?」
オレも祐輔と同意見だった。
「……まったく…少しは感心もって下さいよ。2人共問題はこの2枚ですよ。」
慎二君が呆れた眼差しを向けながら また写真を出した。
「え…?まさか…?」
嫌な予感がした…



「そう。耀くんの写真もあったんです。
それから今年度から就任した深田先生…
聖徳の女教師って事で
結構人気あるらしいですよ…」
耀くんの写真を見ると…
何処だ?廊下らしい…
後姿だけど… 多分美里さんと2人で
並んで歩いてる所が写し出されてる…
女教師のほうは…背景に中庭の木が
写ってる所を見ると…
昇降口に向かう中廊下か?



なかなか可愛い感じの先生だ…オレはまだ学校で教わった事無いけど…
オレと祐輔は無言でその2枚の写真を見つめてた…
「こんなのがこの辺の男子にバラ蒔かれ たんじゃかないませんからね…
2人にはこの件の主謀者を探し出して欲しいんです。
穏便にと言う事で警察には依頼出来ないとの学園長のお願いですので…宜しく。 お二人さん。」


 「この件が片付くまで耀は休ませる。」

 右京君が不機嫌な声で言った。

 「ええっ!!うそっ!!何でっ!?」
 それを聞いてオレは
 思いっきり聞き返してしまった。

 「当然だろ?こんな辱めを受けて
 耀を 更にこんな奴等の目に
 晒す訳にはいかないだろ?
 特に耀は歩いて通学してるんだよ…
 君とそうしたいって言ってね…
 当然の処置だろう? 僕がそう決めた。
 何か言いたい事があるのかい?」


もの凄い瞳で睨まれた…
オレと通う前には祐輔とも歩いて通学してたのに…なんでオレだけ文句 言われんだよ…
祐輔の事は信用してオレは信用してないってのか?ムカつく…
「…………」
そう思いながらも文句も言えず…
右京君の決めた事は絶対だ… 逆らう事は許されない…

くそぉ…オレと耀くんの貴重な学校生活がっっ!!
ワナワナと怒りが込み上げてくる…

オレは耀くんと一緒にいたいからって わざわざ編入までしたんだぞ…
レベルの高いこの学校入るのに脳みそ溶けるかと思うくらい
勉強して下げたくもねー頭右京君に下げて…
お陰でマジ右京君に 頭上がんねーし…やっと一緒に通える様になったって言うのに…
もう一緒に通えるなんて半年も残ってねーんだぞ…
許さねー…写真の事も許さねーけど…
オレと耀くんの貴重な時間奪う奴は…絶対許さねー
必ず捕まえて死ぬほど後悔させてやるっっ!!

そんな決意を燃やしていたオレの横で祐輔は2枚の写真を ジッと眺めていた。





「でも探すって言ってもさ…」

学園の中廊下…祐輔と並んで歩いてる…

「ここの学園の生徒って殆んど
金持ちじゃん?金目当てって事
ないと思うんだよな…」

「そーだな…椎凪みたいな一般庶民
みたいな奴がやってんのかもな…くすっ。」






「どーせオレはビンボー人だよっ!!親もいないよっ!!」
だからなんだっ!!それでも幸せになる権利はあるぞっ!!鼻で笑うなっ!!鼻で!!

「いじけて んじゃねーよ!」

そう…祐輔はこう見えても世界的に有名なデザイナーの孫なんだよな…
慎二君も資産家の一人息子…耀くんも元は結構裕福な家の子らしいし…
まぁ今は右京君が親代わりって言ってたし…
右京君は…右京君だし…いるもんだよなぁ…金持ちって…
はぁ…思わず溜息が出た…こんな事で凹んでどうする…頑張れ オレ!!

「あの写真持ってた奴が言うには街で声掛けられたって言ってたな…
今そう言うオタク系多いから超レアな聖徳女子って事で一枚2000円
だって さ。6枚セットで一万円だって…まったく…」
しっかり割引してるところがムカつく…
「売った男の顔は分んないってさ。多分変装してたみたいだね。」
「随分詳しいな?」
「そいつに会って来た。」
「はぁ?いつの間に…」
「オレそう言うの結構好きなんだよね…
で…素直に話してくれたし二度と買うなって 言ったら素直に聞いてくれた…。」
オレとしてはいつもの如く丁寧かつ優しく話した…
『オレ』で…なんであんなに怖がったのか…?

「じゃどうすっか… そう言う奴等いつまでも見張ってる訳いかねーし…」
「そうなんだけどさ…でね…オレ考えたんだけどさぁ…」




「ふざけんなっ!!誰がするか そんな事っ!!」

草g邸のリビング…
オレと耀くんと慎二君がソファに座ってる…
祐輔は1人立ち上がってもの凄い剣幕で怒ってる。

 「いい作戦だと思うんだけどな…
 ねぇ慎二君。」

 オレは照れてる耀くんをしっかり捕まえて
 「ただいま のキス」をしようとしてるんだけど
 耀くんはジタバタともがいてる…
 もう…恥ずかしがる事無いのにさ。

 「むー……」

 しっかり顎を押さえ込んだ。
  「だってオレじゃ出来ないもん。
 他の子巻き込む訳いかないし…」

 「ぜってーーーヤダッ!!殺すぞっ椎凪っ!!
 …てかお前何してる?」

そんなやり取りをしながら強引に耀くんにキスしようとしてるオレを見て
祐輔がオレの頭に一撃入れて耀くんを自分の方に引き寄せた。
「え?まぁ面白いですけど… 実際実行したら笑えますけどね。くすっ…」
想像して既に笑ってるし…

「祐輔お願い。椎凪に協力して!!オレ早く学校行きたいよ…」

耀くんが祈る ような格好で祐輔にお願いした。
「………」
耀くんに弱い祐輔が何も言えず困った顔で耀くんを見つめてた…
耀くんは相変わらずお願いの眼差し…
「耀君。何するか分かってるんですか?」
「ううん…でも一応お願いしてみようかなって…」
「………」
2人が固まったのがわかる…流石…耀くんのミラクル ワールドだ…
「それじゃあ…オレが…」
そんな2人を見て耀くんが進言した…んだけど…

「 「ダメッ!!」 」

速攻却下された…まあ… 当然だろ…

「んな事許すわけねーだろっ!ったく…」
「まぁまぁ…耀君の事はこっちに置いといて…」

2人が呆れながら話を進める。
「……うー…オレは…ただ…
協力…してあげようと…思っただけなのにぃ…ぐずっ…」
思いの他強烈に却下されちょっと怒られた形になって耀くんがイジケた…
「まぁ…気持ちだけ…ね…ありがとう…耀くん…」
オレは後ろから肩を抱きしめて優しく慰めた…

「祐輔!引き受けてくれたら僕から素敵なプレゼント贈呈 しますよ。」

「はぁ?」
不審そうな顔の祐輔に慎二君が耳打ちする…
「ゴニョ…ゴニョ…」
「…………」
祐輔は少し考え込んでるみたいだ… しばらくすると…
「チッ!……仕方ねーなっ……」
「ええっっ!!ウソっ!!!」

もの凄く嫌そうな顔で祐輔が承諾した…スゴイよ…慎二君…一体どう やって…?

「ふふ…」
慎二君はニッコリと笑ってた。


学園内がざわめいている…



 『潤華女子だってよ…』
 『何でも今度学校同士の交流会が
 始まるらしくってそれに先立っての
 学校見学だってさ…』
 『すっげー…美人…』
 『背も高くって…やっぱ潤華女子は
 レベル高いよなぁ…』

 校内の…特に男子生徒の視線を
 一身に集めながら
 特に気にする様子も無くその少女は
  ただ黙って佇んでいた…




一通りの案内を受け終わったその少女は校舎の一角で校内を眺めている…
その姿を少し遠くの建物の影からカメラで狙う 者が1人…

「やっぱ現れたな!」
「 ! 」
後ろから音も立てずに近付いてそのカメラを持つっている腕を思いっきり掴んだ。
「………」
一瞬の 出来事で掴まれたそいつは動けない。
「ここからしか狙えねぇもんな?そう言う風に仕向けてやったんだよ…
バカが…引っかかりやがって。」
顔を引き攣らせた まま無言の相手…悲鳴もで出ねぇのか?
「潤華女子って超レアなんだってな。
あそこもなかなか一般の学生には手の出せない所だもんな。お嬢様学校で…
しかも此処にいる時間も限られてっから慌てて撮りに来ると思ってたんだ…
こんなチャンス無いもんな?」」
「はっ…離せっ!!」
やっと我に返った奴が急に 暴れ出した。

ド カ ッ!!

「 げ ふ っ !! 」
腹に一発ぶち込んで黙らせる…これでも優しくしてやってるんだぞ…
「お前1人でやった のか?
正直に仲間の名前喋った方が利口だとオレは思うけどなぁ…」
胸倉を掴んで顔をオレの近くまで引きずり上げる…
『オレ』で思いっ切り殺気を込めて お願いしてあげた。

2年の教室…
入り口を開けると3人の男子学生が机を囲んで笑いながら話してる…

「おっ!どーだ?ちゃんと撮れたか?」
戻って来たカメラ小僧を見て中の1人が笑い顔を浮かべながら尋ねた。
「………」
問いかけられたカメラ小僧は俯いたまま答えない…

「お遊びはもう 終わりだよ。お坊ちゃま達!」

カメラ小僧の後ろからオレが声を掛けた。
「何だ!?お前…」
3人が一斉に椅子から慌てて立ち上がった。
「あっ! コイツ…3年の椎凪…」
その中の1人がオレを見てそう叫んだ…
オレって有名人だったのか?知らなかった…
「へー…オレの事知ってんだ?」
でもサインも 握手もしてやらない。
「………」
3人ともオレを見つめて動かない。

「じゃあお前らが売りつけた写真の望月って子の彼氏だってのも知ってるよな?」

ド カ ッ ! 

拳を入り口に叩き付けた!怒りで『オレ』が出る。
「 お前ら全員ぶっ殺すっ!! 」
「うわっ!!やべっ!!逃げろっ!!」
叫んだ瞬間3人が一斉に猛ダッシュで逃げ出した。
オレがいる入り口の反対の入り口に向かって…
そこには潤華女子の美少女が佇んでる…指を鳴らしながら…

「 ボキッ…テメーら…逃がすかよっ!!
この落とし前キッチリ付けさせて貰うからなっっ!!全員殺すっ!! 」

潤華女子の制服に身を包んで…顔面に怒り マーク浮き出しまくりの祐輔が
今までオレが見た中での最大級の殺気を出して3人を睨んでた…

「 !! 」

ご愁傷様…3人…オレの分も残しといて くれよ…祐輔…


「ご苦労様でしたね。こんなに早く解決するなんて意外でしたよ。」
慎二君が紅茶を淹れながらお礼を言ってくれる…
これは本心から だと信じたいね…
「あいつらがお坊ちゃまだったからね。本当にマヌケな奴等だったよ。」
「椎凪さんが言ってた通りお金目当てじゃ無くてあの写真撮らせてた 子に対する
イジメだったんですってね。あの子達の中では一番家柄が低かったらしいですから…」
「写真撮らせて街で売らせて売る方も買う方も見て皆で バカにしてたんだってさ…」

ったく…結局親の権力にモノ言わせてる餓鬼同士のバカな遊び…ホントムカつく…

「写真もあの一組だけしか売ってないって 事でしたから不幸中の幸いでしたね。」
「もともと売って儲けるってのが目的じゃないからね…」
「え?じゃあまた椎凪と学校行ってもいいの?右京さん!」
耀くんが嬉しそうに聞いて来た。
「そうだよ。耀くん!!また一緒に通学出来るんだよっ!!」
オレは両手を広げて耀くんを抱きしめようとした…
さぁおいで!耀くん
「ありがとう。右京さんっ!!」
「 へっ?? 」
耀くんがオレを素通りして右京君の胸に飛び込んだ。

ええっ!!いや…オレの お陰でしょ?耀くん…

「椎凪もありがとー!!」
「 ! 」

耀くんがオレに抱きついてお礼を言ってくれた…えへっ!オレ嬉しいっっ!!

「そー言えば祐輔は?」
オレは耀くんを抱きしめながらもう一人の功労者の所在を尋ねた。
そう言えば夕方から見掛けてない。
「ああ…僕のプレゼントで彼女と 旅行に行きましたよ。僕の所有する別荘ですけどね。
誰にも邪魔されずに過ごしてるんじゃないんですかね。」

「祐輔に彼女っっ??初耳っ!!彼女なんて いたんだ…」

「いますよ。知りませんでした?深田先生ですよ。」
「ええっっ!!うそっ!!」
「彼女が教育実習で来てた時に知り合って…それからです。」
「全然分んなかった…へー…祐輔がねぇ…」
「だから今回の件すっごく怒ってたと思うんですよね…
祐輔ああ見えて人一倍独占欲強いですから…ドキドキものでしたよ…」
慎二君が溜息を吐いてホッとした様に呟いた。
「耀くんの事で協力してくれたのかと思った…そんな事一言も言わないしさ。」
「それもあったと思いますけど祐輔 和海ちゃんの事あんまり大ピラにしないですから…
だから言えなかったんじゃないんですか?」
嬉しそうに話す慎二君…オレと耀くんの時とは エライ違い…何かムカつく…


結局今回の事件を起こした4人は退学。
しかも耀くんと深田先生が絡んでいたせいで右京君と慎二君の怒りをかって
4人の実家の事業まで制裁が入ったらしい…
本当…この2人のやる事はエグイ…


月曜の朝…いつもの様に耀くんと一緒に学園へ向かって歩いてる。
「良かった。また耀くんと通える。」
「うん。オレも嬉しい…ねぇ…椎凪…」
耀くんが照れた様にオレを見上げる…
オレは直ぐに察して耀くんの方に屈むと 目を閉じた。

「 ちゅっ 」

耀くんが優しくオレにキスしてくれた…外で…しかも耀くんからなんて珍しい。
「今日は特別だよ…お礼だから… ありがと…椎凪…」
「いいんだ…オレ耀くんの為なら何でもする…」
お互い微笑んで見つめ合った…

ド カ ッ !!

「公衆の面前でキスなんかしてんじゃねーよっ!! エロ椎凪っ!! 」

「 イ デ ッ !!」

思いっ切り背中に衝撃が入った…また膝蹴り喰らった…くそ…油断した…
「痛ったいな…何だよ折角良いムードだったのにっ!!
祐輔だって深田先生とずっと一緒だったんだろ?2泊もしたくせにっ!!」
オレは負けじと文句を言った。

「どあほっ!!デカイ声で言うんじゃねーっっ!!バレんだろうがっ!!」

あっ!祐輔が慌ててる!!
「へー…祐輔がそんな事気にするなんて意外!」
「オレは気にしねーけど和海が面倒な事になんだろっ!!気付けどあほっ!」
「わーっっ!!和海だってぇ〜〜♪」
からかう様に言ってニヤニヤ笑ってやった。
「椎凪っ!!テメェ…ぶっ殺すっ!!」
「もー…椎凪…祐輔もやめなよ…」


祐輔をからかいながら椎凪がオレの手を繋いだまま逃げる…
やっぱり… 椎凪といると楽しいな…

大きくて…暖かい椎凪の手…
繋いだ手を見つめながら絶対この手を離さないって改めて心に決めた…

椎凪…大好きだよ…