09
* 途中男同士のキスシーンあり!BL話です。ご注意を!! *
「…………」
見た目は人間でふたり共20代か?
ひとりは黒髪の短い頭で秀才風。
もうひとりは茶髪で黒髪よりも若くて……チャラチャラした感じか?
「勝手に人ん家入ってくんな」
オレは外に面してる窓に移動して庭に立ってる2人の不法侵入者に向かって声を掛ける。
「これは失礼。急いでいたもので」
黒髪の男がそう言って頭を下げた。
「宿主か?」
「ああ……ただ宿主本人はもういないがね」
「本人がいない?何で?」
「死んだからだ」
「殺したのか?」
「だから言っただろ?死んだんだよっ!!」
オレの質問に茶髪男が横からクチを挟んできた。
「まあいいや……お前らが妖魔だってことはわかったから顔見せは済んだだろ?
ならサッサとここから出てってくれ。
オレも居候の身なんで大家に知れたら大目玉の雷が落ちる」
「何だよ?お前他の妖魔の面倒見てんじゃないの?」
「は?」
何だ?茶髪男がビックリしたように変なことを言い出した。
妖魔の面倒?それってロイスのことか?でも何でコイツ等がそんなこと知ってる?
「僕らずっと飛んで来てクタクタのお腹ペコペコなの……チョットくらい中に入れて
もてなしてくれてもいんじゃないの?仲間のよしみで!」
「仲間?……まあそうともいうがオレがお前達の面倒見る義理はないと思うが?」
窓に腕を組んで寄りかかりながらあからさまに嫌そうに言ってやった。
本当にオレが面倒を見てやる義理はないから。
「何コイツ?僕達のこと馬鹿にしてんのかな?ルース」
茶髪男も負けじと威嚇するような態度でオレを睨んできた。
「落ち着けリッシュ。こっちが突然押し掛けたんだ彼が怒るのも無理ない」
「でもさぁ……」
茶髪男は黒髪男には弱いらしい。
何気に上下関係ができてるみたいだ。
「どう思う?ロスト」
『殺気はない』
「フム……」
どうやらオレは今までの生き方と経験とロストと出会ったことで神経がどうにかなったらしい。
大概のことには驚かなくなった。
「まあいいや……入れば。で?何食べんだよ?まさかオレの精気とか言わねーよな?」
そうだと言われたらどうしようかと思ったが返ってきた答えはごくごく普通だった。
「とりあえずシャワーを浴びたい。その後オレはコーヒーをもらえると助かる」
黒髪男が遠慮もせずにそう言った。
あれ?意外と普通じゃん。
「僕はアイスココア ♪ 」
「あっそ……」
なんか肩透かしを食らった感じだ。
「それと……」
「ん?」
面倒くさげに振り向いたら音もなくオレの目の前に茶髪男が現れた。
顔近いって……
「僕の主食人間の精気なの。しかも男 ♪ ♪ 」
「うげ……マジ?」
一瞬でウンザリ感が湧き起こる。
「とりあえず君で我慢するよ」
「とりあえずってなんだ?誰がやるっつった!!勝手に決めんな」
ホントこいつ調子イイな!
「あ!それって偏見!いい気持ちにさせてあげるよ ♪ 」
そう言ってあの妖魔の微笑みでオレに笑いかける。
「宿主のオレにその手は通用しないって」
「あ…そっか…」
あっさりと微笑みが消えた。
アホかこいつ。
「お前には悪いが今は男とする気分じゃないからこれで勘弁な」
ああ……オレって人がいいよな。
なんて自分で自分を褒めてた。
「は?……んぐっ!!!!」
目の前の茶髪男の後頭部を掴んで強引にキスをした。
交わるより大分劣るだろうが足しにはなんだろう。
耀で満足してるオレは今は男とする気分じゃない。
っていうか耀以外とはやりたくないのが本音。
「……ふっ……ン……んんっ…」
オレの精気が欲しいというだけあって茶髪男の反応は早かった。
オレより背の低い茶髪男は下から押し上げるようにオレの舌を絡ませてくる。
「んっ……ん……」
何度も角度を変えて貪るようにオレの口内を犯す。
きっとこの茶髪男にとってはたかがキスだろう。
キスだけでどれほど腹が満たされるかはわからないがそれでもたっぷり1分はしてやった。
「……ふう……」
「………ンア…」
やっぱ男同士でも妖魔同士は激しさが違う。
「……スゴイや……結構満腹!」
「ほう……」
「なんだ。妖魔同士ってこんなに違うの?それならルースとすれば良かった!」
茶髪男が黒髪男に向かってキラキラした瞳で振り向いてそう言った。
おおーー一瞬で狙われたぞ。黒髪男。
「そんなことしたら秒殺で殺してやる」
「ケチ!」
あっさりと却下されたらしい。
でも黒髪男は結構マジだったようだ。
「……………」
『どうした?』
そんなやり取りを横目で見ながらオレはふと考え込んだ。
そんなオレをロスとはすぐに気づいて声をかけてきた。
「いや……オレって一体何なんだろうと思ってさ。精気を吸い取られても何ともない。
そりゃ多少疲れるけどそれは一瞬ですぐ元に戻る」
『私と同化したことが原因か?』
「さぁ……どうだろう?」
ずっと不思議には思ってた。
オレの身体は同化によって一体どんな変化をしたんだろう。
そんなことを考えながら手を握ったり開いたりしてオレは自分の身体を確かめた。