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「はぁ〜〜満足満足〜 ♪ 」

あの後大ちゃんはいつもより豪華な夕飯を約束通り作ってくれてお店で2人で食べた。
大ちゃんはお酒も少し飲んで私にはお祝いのケーキを買って来てくれてた。
2人で後片付けをして…2人でお店を出て…2人で手を繋いで部屋に戻った。


「本当にあれで良かったのか?」

大ちゃんが濡れた髪をタオルで拭きながら私に聞く。
今日で2度目の良かったのか…だよ。

「うん!あたしは大ちゃんの作る料理が好きだもん ♪ 」

私も風呂上りのパジャマ姿でそんな返事をする。

「そう…そういや文香も同じ事言ってたな…
どこに出掛けても食事はオレが作ったのが良いって…」
「だって本当に美味しいもん ♪ 」
「サンキュ。」
「お金掛からなくて安上がりでしょ?」
「まあ…そうだけど…それでなのか?」
「違うけどさ。2人っきりでいられるし…」
「そんなもんかね…」

大ちゃんがキッチンのテーブルに座ったから私は自分の部屋に髪の毛を乾かしに行く。
ふふふ!ちょっとしたサプライズの為に!

「大〜〜ちゃん ♪ 」
「ん?」

まどかが2つの部屋を繋げるあのドアの前でオレを呼ぶから視線を上げると…

「見納めだよ〜〜〜ん ♪ 」

「は?」

制服姿のまどかが立ってた。
しかも腰に手を当てて…

「もう着る機会ないからさ〜」
「だから?」

何だか…嫌な予感がする…
まどかがニヤリと笑ってるから…

「大ちゃんこのあたしの制服姿に萌てたでしょ?」
「も…萌?な…何のことだよ…」

ヤバイ!気付かれてたか?

「いいよ…大ちゃん…このあたしを好きにして…」

「!!」

そう言ってまどかがオレの首に両手を掛けて身体を押し付ける。

「ちょっ…待て!オレは別に…」
「あたしからのお礼だよ…大ちゃん…」
「は?」

「3年間無事に高校に通えたのは大ちゃんのお蔭だもん…それに…
あたしをお嫁さんにもしてくれるし……」

「まどか…」

「これからはずっと一緒にいられるね ♪ 大ちゃん ♪ 」

「……そうだな…」

そう言いながらまどかの着てる制服のジャケットを脱がす。

「その気になってくれた?」
「それ狙ってたんだろ?」
「あたしだってこの格好で大ちゃんに抱かれてみたかったんだよ…」
「何考えてんだ…」
「だって…ドキドキするもん……」

ジャケットを脱がせたまどかを抱き上げてベッドに下ろす。
まどかを跨ぐ様にベッドに乗って両手を着いた。

片手でベストのボタンを外して…ワイシャツのボタンを外す…

「!!」

何もつけてないまどかの素肌見えた。

「なんで裸?」
「だってお風呂入ったし…」
「まさか下もか?」
「そ…そこまでヤラしくないよ!!大ちゃんのエッチ!」
「お前が変な事言うからだろ!」
「大ちゃん顔真っ赤!」
「………」

「きゃっ!」

ワイシャツの開いた隙間から手を差し込んでちょっと乱暴にまどかの胸を揉んだ。

「大人をからかうとどうなるか教えてやる。まどか ♪ 」
「え?」
「……くすっ…ウソだよ。ちょっと興奮気味かもしれないけど…大丈夫優しく抱くから…」
「ホント?」
「ああ…しかし…」
「ん?」
「なかなか…そそるもんだな…制服って…」
「大ちゃん?」
「今夜は着たままな。まどか ♪ 」
「え?あっ…」

そう言って大ちゃんはあたしに制服を着せたまま…いつも以上に激しくあたしを抱いた…

脱げそうで脱げない…腕にベストやワイシャツが絡まってる…
スカートも穿いたままで…捲くれ上がってる…ちょっと恥ずかしいよ…大ちゃん…

そんな状態であたしはやっぱり大ちゃんて大人の男の人なんだなぁ…
なんて思いながら必死に大ちゃんにしがみ付いてた…


それからさらに2ヵ月後…
ムフフ〜〜 ♪ なんと!大ちゃんとあたしは籍を入れちゃいました〜 ♪

それはずっと後になるかと思ってたのに結構大ちゃんは真面目に考えててくれたみたいで…

でも式は挙げずに写真だけを撮った。
披露宴は本当に身内と友達を呼んで大ちゃんのお店でパーティを開いた。
ささやかなパーティだったけどそれでもあたしは満足で…
だってちゃんと指輪もくれたし ♪ 当たり前だけど大ちゃんとお揃い ♪



「彼女〜 ♪ 一緒に遊びに行かない?」

1人で立ってたら声を掛けられて振り向いた。
若い男の人が2人立ってて…もしかしてこれはナンパと言うもの?

「奢るからさ ♪ 俺等と一緒に行こうよ〜 ♪ 」

「ごめんなさい。主人と待ち合わせしてるから ♪ 」

あたしはわざとらしく左手を頬に当ててにっこりと笑ってみせる。
左手の薬指にはキラリと結婚指輪が光ってるはず ♪

「え?」
「は?」

男の人2人がキョトンとした顔してる。

「あ!大ちゃん!!じゃあ失礼!」

あたしはそう言うとサッサとその場から離れて大ちゃんに向かって走り出す。

あたしはいま週に1度電車で3つ目の駅にあるケーキ作りの教室に通ってる。
それは将来大ちゃんのお店であたしの作ったケーキを出すため。

あたしだってちょっとは何かの役に立ちたいもん。
流石にパテシエになるほどの根性は無いから…
でもせめて美味しいと言われるものを出したい…

「なんだ?どうかしたか?」

大ちゃんはいつも教室の前まであたしを迎えに来てくれる。

「ん?ああ…ちょっと声掛けられただけ。」
「はあ?それってナンパか?」
「初めて声掛けられちゃった。人妻なのにね〜ふふ…」
「どう見てもそんな風には見えないんだろ?お子ちゃまだからな…見た目は。」
「もう!何よ〜仕方ないじゃん!まだ18歳なんだから!でも…」
「ん?」

「夜はちゃんと相手出来てるでしょ?」

「!!」

これは大ちゃんの耳元にこっそりと囁いた。

「ふふ ♪ 」
「まどか…」

大ちゃんが呆れた顔してる…でもあたしは気にしないもん。

「こんなあたしでも好きでいてくれるんでしょ?亮平さん ♪ 」

「……まあな…惚れた弱みだな…」

「あたしも亮平さんの事ずっと好きだから ♪ 」

そう言ってギュッと亮平さんの腕にしがみつく。

「大ちゃん大好き ♪ 」

「一体いつになったらその名前は統一されるんだ?」
「えーーいつだろう?」


そんな話をしながらあたしと大ちゃんは駅に向かって歩き出す…

ねえ…文香さん…

こんな2人だけど…ずっと見守っててね…そして文香さんが願ってたみたいに…


大ちゃんと2人で絶対幸せになるからね……


                  FIN…