17




快  (kai)   : 東雲家の長男で人気小説家。來海に惚れている。
來 海(kurumi): 元・快の担当編集者。快から離れたくて担当を降りたのに未だに身体だけの関係が続いている。





「はっ…はっ…んあ!あっあっ…」
「おい來海。」
「あっあっ…」
「來海…」
「あうっ!」
「來海って言ってんだろ?」
「ばっ…だった…ら…うご…の…やめ……ああっっ!!!」
「止めていいのか?」
「あ…だめ……まだ……」
「可愛い奴 ♪ 」

グッと來海の奥深くに入り込んで押し上げた。


出版社から程近いホテルの一室でもう1時間程來海を攻め続けてる。
久々だからじっくり時間を掛けるつもりで仕事帰りを狙ってかっさらった。
3年程前からこんな関係を続けてるが1度オレの女になれと言ったのに
コイツは嫌だと言ってオレを振った。
なのに何で身体を重ね合ってるかと言うと
本心はオレの事が好きでオレから離れられないからだ。
まったく素直じゃない。

「…ひっ…アッ!!んあっっ!!!」

これでもかってくらい攻められて押し上げられて…
思いきり広げられた私の足の間に超俺様の絶倫男が私の身体を良いように堪能し続けてる…

「も…そんな…開かない…って…ば…」

いつも言ってるのに…聞いてくれないんだから…この男はっ!!

「身体の奥までオレを感じられるだろ。」
「ばっ…か!もうやだっっ!!」
「何がやなんだ?」
「……焦ら…さないでっっ!!」

さっきから人がイきそうになるとそれを察してちょっと引く…そうやって私で遊んでる……

「ずっと見てたいんだよ…お前のその顔……」

「?」

「お前だけがオレを…その気にさせる…」

「…え?…ンアッ!!!」

彼の体重を全部支えてるんじゃないかと思える程の重さで押さえ込まれて押し上げられた!

「…うっ……あっ……!!!」

咄嗟に彼の背中に腕を廻してしがみついた。
さっきよりも更に激しく彼が動き始めるから……いきなり激しくしないでよ…もう…本当この男は……

憎らしいったら……でも………離れられない…………

「………」
「!!」

真っ白になる頭で私は本当に囁く様に…彼に聞こえない様に彼の名前を呼んだ…
彼には聞こえてないはず……なんでだろ…彼の名前を呼びたかった……

來海がイきながらオレの名前を呼んだ。
何であんな小さな声で言うんだか…思いきり叫びながらイけばもっと気持ちいいだろうに…
まったくいつまでたっても素直じゃない奴…

でもそこがまた…オレがコイツを気に入ってる所だ。




「來海…」

浅い呼吸を繰り返しながらずっと目をつぶる來海の汗ばんでる頬に
触れるだけのキスを繰り返しながら名前を呼んだ。

「お前今度の創立パーティー出るんだろ?」
「……はぁ…はぁ…」
目をつぶったままコクンと小さく頷いた。
「お前28だっけか?」
「?…な…に?」
「いや…一緒にシャワー浴びるぞ。」
「…やだ…」
「?何で?」
「また…抱くつもりでしょ…?」
「当たり前だろ。」
「だからイヤ…1人で入る……」
「オレが許すか。」
「そんなの…関係ない……」
「じゃあ今ここでする。」
そう言って力の抜けた來海の腿を両手で押し広げた。
「ばっ…やめ……」
慌ててオレの身体を押し戻す。

「じゃあ後で一緒にシャワーだ。」

「……もう…ホント快先生なんて大キライ!!」

「………」


何で 『 先生 』 なんて付けるんだ…馬鹿娘!




「わあ…すごい…」

創立パーティーが行われてるホテルの会場に入った途端みかげが子供みたいな声を出した。
そんな事を思ったが確かに凄い。
テレビでたまに何かの会場になったりしてるのを見た事があるが流石生で見ると迫力が違う。
高い天井に高そうなシャンデリア…部屋全体が真っ白でとにかく広い。
その中にいくつかのテーブルと溢れんばかりの花と…金掛けてんな。

「それにしても芫クンカッコイイよ。その格好。」
輅がさっきから携帯で撮りまくってる。
「輅も似合ってる。」
2人ともフォーマルスーツを着てる…快の知り合いのスタイリストが用意したものだ。
「悠さんは来なかったの?」
「あいつはこう言うのには興味ないんだ。」
「来なくていいんだよ!悠なんて!!」
「?」

そんな輅の言葉に首を傾げるみかげは水色のパステルカラーの膝上の丈のスカートだ。
薄く化粧もして口紅も付けて…アクセサリーも嫌味無く歳相応の可愛いものがついてる…
こんなみかげは初めてで…つい見とれる…

「輅!」
「ん?」
「オレとみかげ撮れ。」
そう言って自分の携帯を輅に放り投げた。
オレにしては珍しい…でも今日は特別だ。
「はあ?」
「真面目に撮れよ!ワザと失敗したら怒るからな!」
「……はぁ〜い…チェッ…」
もの凄い不貞腐れ顔でそれでも渋々撮ってた。

「いらっしゃい。あら輅君珍しいわね?こっちに戻ってたの?」
聞き慣れた声がしてオレ達に近づいて来る。
「佐伯さん!快兄さんがこのパーティーがあるからって呼んでくれたんだ。」
「あら…そうなの。」
相変わらず上品に笑う女。
「あ!快先生こちらです。」
「おうお前達来てたのか。」
「………」
「ん?何だ?」

「何だか嫌味なまでにスーツが似合ってるな。」

普段そんな正装した快の姿なんて見た事なんて無いからきっちり着こなした姿は一段と目を惹く。

「快兄さんカッコイイ ♪ やっぱり大人の男の人だね ♪ ♪ 」

そう言って輅が快に抱き着いた。
快はニッコリと笑顔で輅とハグだ。

「……何だかな…」
「え?」
「いや…」

どう見てもヤクザとその情夫だ……兄弟ながら呆れる…



それから程なくして創立記念日パーティーが始まった。
数人の出版社関係者の話しとゲストの話し…ほとんど上の空で聞いてた。
周りにはどこかで見た事のある顔があっちこちにいる。
そんな芸能人を見つけては輅とみかげが同レベルではしゃぐ。
何だ?案外と仲がいいのか?

やっとお堅い話しが終わって会食が始まった。


「美味しい ♪ ね!芫くん!」

「ああ…来て良かった?」
「うん。楽しい ♪ 」

本当に楽しそうにみかげが笑う。

「僕も楽しいよ ♪ 芫クン!」
「良かったな…」

そうやって対抗すんなっつーの……


「楽しんでます?」
「はい!」

気を使ってか彩が何度かオレ達の所にやって来てた。

「しかし相変わらずジジイ達の話はつまらんかったな…」

関係者のお前が言うな!
こっちはもっとつまらんかったんだよ!

「お!オイ來海!」

「!!かっ…快先生…!!」

快が傍を通り掛かった関係者らしい女を呼び止めて手招きした。
相手は物凄い慌てぶりで引き攣った顔で近付いて来る。

「覚えてるか?」

快がオレに向かってそんな事を言う。

「は?………ああ!前快の担当だった…」
「はい。森川です。お久しぶり…芫君。」

確かコイツが担当代わった時に快の奴荒れたんだよな…でもすぐに機嫌が直った記憶が…

「來海と一緒になる事にした。」

「 「 「 「 は ! ? 」 」 」 」 」


その場にいた全員が呆気にとられた!何て言った?この男?