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ほんの数日前に快さんのプロポーズを目の当たりにした…

男らしくて堂々としたプロポーズだった…

生まれて初めて生のプロポーズなんて聞いちゃって…それだけでもドキドキだったのに…

そしたら…その夜の帰り道…

芫くんが…私に… 『 ずっと先になると思うけど…オレと結婚して 』 って言ってくれた…

それって…プロポーズって事だよね?そうよね?うふふふ…… ♪ ♪


私はその時から…胸のドキドキが止まらなくて…
芫くんの事が前よりずっと好きになって……前よりずっと…

芫くんの傍にいたいと思う様になった…



「?どうした?なんか最近のみかげ変だぞ?」

「!!!え?そ…そうかな?そんな事無いよ…」

「そうか?」
「…………」

休日のデートでのそんな会話……
そんな事無いなんてウソ…原因は芫くんのせいだよ……

プロポーズされて…未だに私は毎日ドキドキの…最近は芫くんの顔を見るだけで
ウキウキのワクワクなんだ…
でもその反面…恥ずかしくて芫くんの顔がまともに見れない……

だからそんな態度を芫くんが敏感に察知する。



「おじゃまします。」

もう定番になった芫くんの家のお部屋デート。

「おう。いらっしゃいみかげちゃん。」
「あ!快さん!!おめでとうございます!!」
「ありがと。」
「もうそんなにおだてんな!みかげ…こいつ図に乗るから。」
「なんだ?人の幸せが妬ましいか?弟よ。」
「誰が妬ましいがるかっ!!」
「式はいつなんですか?」
「もう來海の親にも会って結婚の承諾はもらったから…そうだな…早ければ来月か?
「来月!?わぁ…素敵!!」
「来月なんて聞いてないけど?」
「ちゃんと空けとけよ。馬鹿弟!!みかげちゃんも空けといてくれよな。」
「え?私も?ですか?」
「当然だ!あの晩の証人だからな。最後まで見届けてもらわねぇと。」
「……私自分が呼ばれて結婚式に出席するなんて初めて……ありがとうございます!!」
「オレ達の年でそうそう結婚式さんて呼ばれないだろ?」
「そうだけど……嬉しいって事だもん!!」
「……だからそんなに喜ぶとこいつが図に乗るから…」

ただでさえ最近の快は妙にハイテンションで気持ちが悪い。

「ほら行くぞ。」
「うん。じゃあ快さんまた…」
「ああ…」

私は更にウキウキした気持ちで階段を上がって行った。



「まだニコニコしてんの?」
「だって何だか嬉しいんだもん。」
「自分の時にそうやって嬉しがれば?」
「え?」
「まあ…まだ先だけどさ……」
「もしかして…イジケてるの?」
「何でオレが?」

「自分は……ずっと先になるから…」

そう言った後…芫くんが黙って私を見つめた…
私は急に心臓がドキドキ……だって…芫くんの顔がとっても真面目で…
それにこんなに黙って見つめ合うなんて滅多に無かったから…

「……ん…」

そっと芫くんが私にキスをする…
いつもの…優しい…触れるだけのキス……

「みかげ…」
芫くんの腕が私の身体を抱き寄せた…
「……なに?」
私は遠慮がちに芫くんの服を掴んだ…

「みかげが……欲しい…」

「 !!! 」

そんな言葉を耳元に囁かれて私は心臓がもっとドキドキ!!!だって…

「い…今?」
声が震える…
「今…」
「……………」

どうしよう……きっとちょっと前までの私だったら…迷いもせずに断った…
でも…今は…何だか妙に積極的になりそうな気配…

だって…快さんのプロポーズとか結婚とか……自分へのプロポーズとか………
何だか気持ちの後押しをする事がたくさんあって……

怖いって言う気持ちをかき消しちゃう……
芫くんならって………思っちゃう……どうしよう…



ついにみかげに言ってしまった…

どうやら速攻拒否はされなかったって事は多少は脈ありって事なのか?

みかげは無言でオレに軽く抱きついてる……悩んでんのか?

正直今更止める気はさらさら無いんだけど…
相手はみかげだから本当に拒否されたら止めるつもりだった…

どうする?みかげ……

いつまでも黙ってるからちょっと試すつもりでみかげの首筋に唇を押し付けた。


「……ふぁっ!!!」

ビクンと身体が跳ねた…でも嫌がらない…これって……OKって事なのか??
こういう反応今までされた事無いからどうなんだ?これって…いいって事なのか??

今までは最初のキスでベッドに2人して倒れ込んでた。
でも……みかげにはどうなんだ??わからない……

「みかげ?」
「…………」
「…嫌なら…」
「…ううん……」
「 !! 」
「いいよ……大丈夫…」
「みかげ?」
「だって…私芫くんの事が好きだもん…最初にあった頃よりも…好きって言う気持ちが大きいから…」
「オレもみかげの事出会った頃よりもずっと好きだ…じゃなきゃ結婚したいなんて思わない…」

みかげが今 『 結婚 』 と言う言葉に敏感なのはわかってた…
だからあえてその言葉を口にした…気持ちの後押しをする為に…これって…ズルイのか?

「……いいよ…芫くんになら……」

オレの顔を真っ直ぐ見つめてみかげがハッキリとそう言った…

「……みかげ…」

オレはみかげの名前を呼んで…
今度は思い切り舌を絡ませる恋人のキスをずっと繰り返した………