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「よし!頑張るぞ!」


朝のキッチンで私はエプロンをつけてやる気満々!

結婚式から1週間昨日新婚旅行から帰って来た。

一応海外に行かせてもらいました!

そして今日は結婚して初めての日曜日で新妻の私には初めての朝ごはん!
月曜から2人とも会社が始まるし…今日はその予行練習!

私達の部屋は築7年の3LDKのマンション。
芫くんの仕事関係で築年数が浅いのに安い物件を探してくれた。
それに芫くんの会社が少し家賃を持ってくれるから助かってる。
駅から徒歩10分位だし電車でお互いの会社に30分位で着くから掘り出しモノ ♪

「えっと…まずは…コーヒーか!」

この部屋が決まったのは式の2週間前。
たがら色々やる事があって大変だった。
今まで一緒に住んだりせずお互い自分の家で暮らしてた。
だから私は何だかこの状況にドキドキしてる。

結婚する前に2人で旅行とか泊まりがけで出掛けた事はある。
だけど料理なんて外食ばっかりだったしデートでもそんなに手づくりなんて
した事無かったから…

まあ一応はこなせるけど…あんまり自信がない…かな…

「とにかくコーヒー!やっぱり新婚さんの朝は淹れたてのコーヒーの匂いよね ♪
って……あれ?」

ガタゴトとキッチンの棚や食器棚の開き戸を開けても……無い!!

「コーヒー豆…買って…無かった?!」

そうよね…昨日新婚旅行から帰ったばっかりだもん…
買い物…してなかったんだ…

「何があったっけ?」


いざ!キッチンの探検開始!




「あれれ…何もない…」

食器やら料理器具なんかは一通り揃ってる…
でも肝心の食料が…冷蔵庫には飲み物くらい…

「困ったな…でもまあ仕方ないわよね!無いものは無いんだし…
後で芫くんと買い物行けば良いんだし ♪ 」

買い物?

「フフ…本当新婚さんみたい ♪ 」

って本当に新婚さんなんだけどね ♪

「じゃあ洗濯でも…」

なんて呟きながら洗面所に歩き出す。
旅行で使ったものが沢山あるから…

ポカポカと洗うものを洗濯機の中に放り込む。

「ん?ちょっと待って…これって何でも一緒に洗って大丈夫なの?」

確か色落ちしたり縮んだり…洗濯機で洗っちゃいけないのもあるんじゃなかったけ?
でも確か色んな状況の洗濯に対応する洗濯機買った気が…

お店の人が力説してたもん…そこが売りだって…

私は慌てて説明書を引っ張り出して食い入る様に目を通す…
どうやら洗濯物自体のタグに洗い方が載っててそれに合ったコースを選ぶらしい…

「ええ〜??良くわからない…なにこのお好みコースって…自分で決めるの?
標準コース?でいいのかな??」

もう…洗面所に来てどのくらい経ってるんだろう…

「え?ネット?ネットなんて無いよ…あ…ブラの金具が引っかかるから?
え〜〜〜こんなんじゃ洗濯出来ないよ〜〜し…仕方ない…
無難なタオルとか…綿素材の物とかだけでも……って!!もう洗剤が無いじゃないっ!!」

「みかげ?」

「 !! 」

ビクン! と身体が跳ねた!

「げ…芫くん…」

洗面所のドアの所に寝起きのパジャマ姿の芫くんが立ってた。

「何してんの?」
「え?あ…その…洗濯を……」
「こんな朝早くから?」
「だって…主婦は早起きでしょ?」
「はあ〜〜〜もう…いいから!こっち来い!」
「あ!」

ぐい!っと腕を掴まれて洗面所から連れ出された。

「芫くん?」
「あのな…今日は休日で昨日新婚旅行から帰って来たばっかりで
今日はゆっくりする約束だっただろ?」
「そうだけど…」
「まだ朝の6時半だぞ?」
「だって…」
「張り切るのはわかるけど…今日くらいゆっくりしたい。」
「あ…」
そう言って私をベッドに座らせる。
「エプロン姿もそそられるけどさ…」
「芫くん…」

芫くんの手の平が私の頬にそっと触れる…

「オレとしては昼ごろまでベッドでイチャイチャして
午後に2人で買い物に行こうと思ってるんだけど?どうですか?奥さん ♪ 」

「!!……お…奥さん……」

「旦那の意見を聞いて頂きたいんですけど?」

「………は…はい…」

そう返事をしたみかげは顔を真っ赤にして俯いた。

「じゃあエプロン取って服脱いで ♪ 」
「え?」
「その格好じゃ寝れないだろ?」
「え?」
「2人でこれから2度寝するの!またパジャマなんて面ドイだろ?」
どうせ脱がせちゃうし。
「でも…」
それじゃ下着姿に…
「オレも脱ぐから大丈夫 ♪ 」
「え?」
「オレ達新婚なんだぞ!って言ったらやる事は1つ ♪ 」
「ええ〜〜朝から?」
「旅行中だってそうだっただろ?」
「それは新婚旅行だからで…」
「オレそんな事一言も言ってないけど?」
「ええ??」
「オレが脱がせてやろうか?」
「あ…ちょっ…こんな朝から…ご近所に声聞こえちゃう…」
「今時の防音設備をナメちゃいけない!窓開けながらじゃなきゃ聞こえないって。」
「……でも…」
「今更恥ずかしい?」
「………だって…」

「みかげ……」

「………芫くん…」


結局私が負けて…本当にお昼近くまで2人ともベッドから出て来なかった…

でもちゃんと約束通り午後は2人で買い物に行った…



今までとは違う気分で…でも芫くんは今までと同じに…

      

      いつも私の隣にいてくれる……








月曜日の朝…


「きゃあ〜〜〜っ!!げげげ芫くん起きてっ!!」

私は慌てふためいて隣でぐっすり眠ってる芫くんを揺り起こす!!

「どうしよう!!ち…遅刻…遅刻しちゃうーーー!!!」

「ん〜??」

結婚後初出勤が遅刻だなんてーーー!!そんなのいやーーー!!


東雲家の早朝……

寝室でのみかげのそんな声が…これから何度も響いていたとか…


頑張れ!新米主婦みかげさん!



                                   ……… FIN