06





「ん?」

夢うつつで目が覚めた。

「はれ?此処…どこ?」
いつもと天井が違う…高いし綺麗だし…広いし…
「えっと……」
身体も違和感がありまくり…この開放感は……

はだ…か?裸?裸ぁーーー!!そうだ!思い出した!
昨日のウソの様なホントの話!!半獣の狼男に散々遊ばれて…遊ばれて…遊…ばれ…て……

「 わ あ あ あ あ ーーー !! もうお嫁に行けない事されたんだあぁぁ !!」

ベッドに顔を押し付けてシーツを力一杯握りしめた。
「うっ〜〜〜」
お嫁なんて考えて無かったけどさ〜〜
「……あ!!」
裸のお腹の場所に頭が見えた。視線をずらすと…
「……えっ!!」
彼も裸だ!
「ちょっと…!!」

慌てて自分の身体を確かめた…確か交わったりしないって言ってたよね?
掛かってた布団を剥いでベッドも確かめたけどどうやら本当に最後まではされてないみたい…
ってそれに近い事されたからあんまり安心出来ないんだけど……

身体中歯型と擦り傷?とこれって…キスマーク?どんだけ付いてるんだろ?
その張本人に視線を戻す。
俯せで…気持ち良さそうに眠ってる…

「飼い主…ね…」

そんな…決意して飼おうなんて思ってなかった…
頼まれたのが一番で…ちょっと話し相手になってくれたらって…
人と違って半獣なら気兼ねしないで傍にいてくれるかと思ったから……

そしたら…淋しくないかなぁって……


「まさかこんな事されるなんて……」
眩暈がした……
「……」

さっきから視界に入る彼の頭に生えてる耳とお尻にあるしっぽ!

「狼って言ってたよな…どう見ても犬みたい…」

ホントそこ以外は人間だ…でもやっぱり人と雰囲気が違う…特に瞳が……

「…ハッ!!」

彼の瞳を思い出しただけで頭がぼーっとする。

「絶対何がされんだ……じゃなきゃあんな事許すわけ無いし…
自分もこんなに気分が軽いわけがないもん……」

無理矢理……あんな事されたのに…そんなに精神的にダメージが無いんだ…

「……!!仕返し決定!」

両手の人差し指を立てた。
そのまま彼の両方の耳に突っ込んだ!

「 ! ! … い っ て えぇぇぇっっ ーーー !!! 」

うわ!凄い!跳び起きた!!

「……痛えな!!何すんだっっ!!」

両耳を手で押さえて涙目で喚いてる。

「半獣の耳は敏感なんだぞっ!!」

へぇ〜〜そうなんだ…良い事聞いた。

「仕返し。」
「はあ?何だそれ?……!!! おい…」
「何?」

「オレにおはようのキスしろ。」

「は?なんでさ?ヤダ!!!」

腹いせに速攻超嫌な顔で拒絶してやった。

「…おい!!」
「だからヤダって…」

文句を言うのに彼の顔を睨んだら視線が合ってしまった……しまっ…

「オレにおはようのキス!」

「………」

耀が両手を着いてオレにゆっくりと近付いてくる。
そう…これが正解だ。昨日はきっと何か条件が悪かったのか?

「ん?」

オレの唇に触れる寸前で止まった?

「するもんか!べ〜〜!」

「なっ!!」

ぜったい!!おかしいっっ!!!
何でオレの虜にならない?半獣の瞳の能力効かないのか?こいつ…

「気が向いたらしてあげるよ。」

カ チ ン !!

「は?」
「だってこっちが君を飼うんだもん!してほしかったら君からすればいいんだ。」

調子に乗ってそんな事を言ったのが間違いだった。
すぐに後悔…

「じゃあそうする。」
「わっ!ちょっとストッ……!!やだっ!!うぐっ…!!わっぷ!やめっ…」

どんなに逃げ回ってもベッドから降りれないって……どんだけ広いのこのベッド!!

「やん!!」

足首を掴まれて引き寄せられた。
物凄い馬鹿力!!そう言えば裸だった!!余計恥ずかしい…

「何で逃げる?自分からしろって言うからしてんだろ?」

「………」

ごもっともなんだけど冗談で済ませてくれないかな……
ってちょっと少しは隠して!!そんな…堂々と真っ正面に来ないで!!目のやり場に困る!!

「もうこんなのヤダ!帰る!」
「はぁ〜〜振り出しに戻すな。お前は一応オレの飼い主だって何度言えばわかる?」

「話つける!何処に行けば手続き出来るの?」

「!!」

「……?」

何でそんな顔するの?彼が怒った様な…悲しそうな顔をする…


「それは出来ないんだよ。お前に決まった時点でお前の責任は発生してる。諦めろ。」