14
『耀はオレの飼い主だ。』
リビングのソファの上でしいなが超不機嫌で言い切る。
ついて来るなって言ったのに彼が部屋まで上がり込んだから…
狼なのに不機嫌な顔が何で分かるのかホント不思議…
「嘘つくなしいな…まだお前達は契約を交わしてない…」
『仮契約はしてる。』
「仮契約なんてなんの効力も無い。」
「………!!」
え…そうなの?じゃああの行為は?何だったの?もしかして…ただ…遊ばれた…だけ?
『そんな事無い!オレと耀の間では成立してる。』
「ふ〜ん…何で契約しない?半獣なら…お前なら簡単だろ?」
『…………』
「まあそんなナリじゃ今の所仕方ないけど…」
『この身体でも耀を満足させられる!』
「…………!!!」
ちょっと…変な事力説しないでよ!しいな!!
「お前を飼いたい奴がいるらしい。」
『!!』
「え?」
「俺はその事を伝えに来た。契約が正式に行われてないなら不成立とみなされて
次の飼い主に話しが行く。まあその身体が元に戻ってからになるだろうけどな。」
『亨か?』
「そう真鍋の指示だよ。データの取れないサンプルはいらないってさ!」
『チッ…』
「幸か不幸かお前は真鍋に愛されてるからなぁ…研究材料としても。」
『……あのドSの変態野郎が…』
「猶予は1週間ってところか?元に戻らない事祈っとけよ。」
『余計なお世話だ。』
「耀!」
「え!?は…い?」
急に呼ばれてドキッとなって…しいなが他の人に飼われ…る?
「しいなが他の奴に飼われたら俺の飼い主になってよ。」
『!!』
「は?」
「俺はしいなみたいに威張ったり脅したり乱暴な事しないからさぁ〜 ♪ 優しいよ。
俺耀の事気に入っちゃったんだよねぇ〜 ♪ 」
「え?…いや…ちょっと…」
両手を握られてズイズイと迫ってくる…!!
「あ…あの…」
『貴様!人の飼い主口説くな!』
しいなが彼に飛び掛かった!
「チビは大人しくしてろ。」
『 が っ ! 』
彼がしいなを片手で床に押さえ付ける。
「耀…お近づきの印しだよ…」
「え?」
彼がオレの顎を空いてる手で掴んで瞳を合わせられる…しいなと違うスカイブルーの瞳だ…
『…トウマ!!お前っ…殺す!!』
「早い者勝ちだろ?」
彼の顔が近付く…何だか頭がホワンとなって…良くわからない…
ド カ ッ !!
「 ゲ ホ ッ !! 」
彼がいきなり後ろに飛んだ。
「…ハッ!!」
『!!』
「なっ…なんで?」
彼が鳩尾を押さえてる…
「あれ?トウマさん…あ!オレまた蹴っちゃった??」
どうやらオレは足癖が悪いのか焦ると相手を蹴り飛ばすらしい…
「この子半獣の瞳効かないのか?え?マジ?」
『そう…耀に半獣の瞳は効かない。』
「へえ……」
「え?何?何の事?」
しいながオレに飛び付いて来た。
オレはしいなを胸の上で抱きしめる。
「しいな?」
「ヘェ…余計興味が湧くな。」
『オレの飼い主は耀だ…それはもう決まってる。
他の飼い主の処なんか絶対行かない…亨にそう伝えとけ…ちゅっ…』
「…し…しいな!!!」
もう…2人きりじゃ無いんだから…
でも…彼がキョトンとオレとしいなを見てる。
『 オレは蹴られたりしない…ふふ… ♪ ♪ 』
しいなが得意気な顔と声で彼に言う。
確か最初に一蹴り入れた様な記憶があるけど……??
「慣れただけだろ…フン…」
『違う!!』