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「……いたたた……」

もう身体中が痛い!
身体中に付けられた歯型と八重歯で付けられた擦り傷と…
何度も抱かれて散々遊ばれた身体と壊れちゃうかと思った腰と…
もう身体で痛くないっていったら頭と指先と掌と足の裏くらい!
昨夜はオレの知らない間に契約が実行されてて……
だからオレの初めてがあっさりとしいなに奪われてたわけで……
想像はしてたけどあんなにあの行為が…交わるって事が激しいなんて知らなかった……


「耀!」
「ん?あ…トウマさん…」
振り向くとトウマさんがニッコリと笑って立ってる。
でも足音がしなかった…?

「ついに契約したんだってね。」
「え?何で知って…?」
「しいなが得意げに真鍋に宣言してたよ。」
「ええっっ!!」

やだ…契約したって事はオレとしいながどんな事したのかトウマさんと真鍋教授に
思いっきりバレてるって事で…恥ずかしいじゃないかっ!!しいなのバカ!!

「契約したのに耀は変わらないんだね。」
「え?」
「普通少なからず何かしら影響されるのに…耀の瞳はそのままだね。」
「?」
「契約すると飼い主は無条件に半獣を好きになる。どんな半獣だろうとね。
半獣のお願いもほとんど聞いてあげたくなる…」
「え?そうなの?」
「でも耀は違うだろ?」
「え?」
「しいなが言ってた…裸で寝ろって言ったら即答で拒否されたって。」
「だ…だって…そんなの恥ずかしいじゃない……」

「…クスッ…本当…君は不思議な子だね。」

「?」

「真鍋がね君も研究したがってる。」
「えっ!?」
「半獣の能力が効かない子だからね。」
「え〜〜そんな…」
「ま!上手くかい潜ってよ。」
「…………」

そんな脅し文句を残してトウマさんは帰って行った。
『まだ諦めてないからね。』ってオレの耳元に囁いて…




しいなと契約したけど今までと何も変わらない…
変わったと言えば大学で知らない人に話し掛けられる様になった事…
しいなの事を聞かれるのがほとんどだけど…人と話すのが苦手なオレはちょっと困ってる。

1日がやっと終わって逃げる様に大学を後にした。
捕まると根掘り葉掘り色々聞かれて大変だから。

正門にしいなはいない……でも……

「しいな?」

オレはそう呟くと塀に沿って歩き出す…
路地を何度も曲がって大学から5分程の小さな公園に着いた。

そこでしいながにっこりと笑って立ってた。


「もう…もっと判りやすい所で待っててよ。」
「でもオレが待ってる場所…判ったじゃないか。良く出来た。」

「だって…しいながオレを呼んでたから…」

そう……しいながオレを呼んでるのが身体でわかったから…迷わず此処に来れた。

「これが契約したって事なの?」
「ああ…もうお互い相手が何処にいるか感じる事が出来る。」
「それって良い事なの?」
「浮気したらすぐバレる。」
「浮気なんてしないもん。って言うかオレ達付き合ってるわけじやないだろ?……あ!!」

しいなの両方の掌がオレの頬に触れてしいなの方に顔を向かせられた。
サングラスを掛けてないあのエメラルドグリーンの瞳に見つめられる。

「付き合って無いけど耀はオレの飼い主だろ?世間的にはだが…
それに耀はオレのモノだ。ちゃんと印も付けてある。」
「印って…アレ身体中ヒリヒリ痛いからやめて!」
「?なんで?耀はオレのモノなんだら付けられるのは当たり前だろ?」
「当たり前じゃない!あ!それから真鍋教授とトウマさんにベラベラ喋らないでよ!」
「?何を?」
「な…何をって…べ…ベッドでの事だよ!ああ言う事は人に話す事じゃないんだから!」

「?何でだ?今度はビデオに撮って自慢してやろうと思ったのに。」

「そっ…そんな事したら飼い主やめるからね!!!」
冗談じゃ無いよ!!

「ふ〜ん…何だか良くわからんがとりあえずは止めといてやる。」

良かった…阻止出来た…危なかったよ……


「さて…帰るぞ!」
「うん…」
「耀!」
「ん?」

「ただいまのキスは?」

「…………」

オレが黙ってしいなをじっと見てたらしいながちょっと不安な顔をした。

「ただいま…しいな。」

そう言ってオレから初めて人型のしいなにキスをした。
触れるだけの軽いキスだけど…

「!!!」

一瞬でしいなの顔が明るくなる。

「おかえり…耀。」

しいなからのおかえりのキスはとっても深くて濃厚な舌を絡ませたキスだ…
しいなのそんなキスは何でだかすぐ頭が真っ白になって痺れて…
立ってられなくなっちゃうからわかってるしいなはオレをしっかり支えてくれる…

「……ん…はぁ……しいな…」
「車でしてみるか?」
何なのその悪戯っ子の顔は?
「……やだ…よ…」
何とか否定した…結構精神力が必要だった。
「じゃあ速攻家に帰って寝室のベッド。」
「……いいよ……」
「よし。決定!」

それからしいなはオレを抱き上げて車まで運んでくれた。
助手席にそっと座らせるとまた舌を絡ませたキスをたっぷりされた。
これできっとオレは寝室のベッドまで頭の中は痺れたままだ…

トウマさんはオレには半獣の能力は効かないって言うけどどうやらしっかりと効いているらしい。
だってこう言う時オレってばしいなに抱かれるのが気持ちいい事がわかってるから
拒んだりしなくなっちゃったから…そうなるのはしいなに抱かれる時だけらしいんだけど…

これが半獣の魅力なのかな……



「…ん……あ……」

寝室のベッドの中でしいなに抱かれて…オレは身体が溶けちゃいそうだ…
だから離れない様にしいなにしっかり抱きついてる…

「しいな…しい…な…」
「なんだ?」
オレを押し上げながらしいながオレの耳元に囁く…

「オレ…だけのモノだって…言って…」

オレは時々おねだりするんだ。

「いいけど…その代償はなんだ?」
「……何が…いいの?」


「……オレの………最後の飼い主になれ……」


しばらく黙ってたしいながそう呟いた。

「………それって…ずっと一緒にいるって…事……?」

「ああ……」

また…不安げな顔をする…

「……いいよ…オレしいなの最後の飼い主に……なる…
ずっとしいなと一緒に……………ンア!!あっあっあっ…しい…な…」


また……しいなが激しく動き出す……

その刺激が波紋みたいに身体中に広がってどうにかなりそう……


「し…いな……」

ボンヤリとする視界でしいなを見つめる……
そんなオレをしいなが優しく見つめてる…どうしたんだろう……


「オレは…耀のモノだ……飼い主様……」




オレの耳元にしいながそう囁いて……優しいキスをいっぱいしてくれた……

半獣の言葉は特別だから…言われた言葉はそのままオレの頭の中にずっと響いてる…



しいなの…いつもの甘く囁く響で……