07





「そんなに警戒しなくてもいいじゃないか。」

「お前は信用出来ないんだよ!」


次の日仕方なく大学の亨の部屋を訪ねた。
念の為に耀に草g家に連絡させてアイツと話したらちゃんと話はついてるって事だった。

でも油断は出来ない!なんせ相手は亨だ!一応研究室よりまだ安全な大学を選んだ。
飲み物は口にするなと耀には言ってある。

オレの傍を離れるなとも…だからオレと耀は同じソファに密着して座って
オレの腕はしっかりと耀の腰に廻されてオレの方に抱き寄せてる。

そんなオレ達を亨が呆れた眼差しで見てる。




「……単刀直入に聞くけど本当にその子はしいなの子供なの?」

いきなり本題に入った!

「…はい…」

耀は警戒しまくってる。

「しいな以外の人間の男性としたんじゃなくて?」
「はい。」
「……ふーん…そう…」

「何だよ!信じないのか!」

「うるさいよお前は!大体お前がそんな事言えた義理じゃ無いだろう!」

「!!」

確かにそうだが…面と向かってズバッと言われると結構傷付く……


「だとするとこれはとても大変な事だよ!人間にとっても半獣にとってもね!」


「その異常な目の輝き止めろ!」

まったく…危な過ぎる!

「とりあえず今のお前達の関係なんだけど…」

ド キ ン ! と2人で身体が動いた。

「分かってるだろうけど同じ半獣は同じ飼い主が2度飼う事は出来ない。」
「なら飼い主の関係が無しで構わない。」
「…話は最後まで聞きなよ。お前達2人に特例が出た。」
「!?」

「2人を夫婦と認めるそうだ。」

「は?」 「え?」

「半獣と人間との夫婦第1号だよ。」
「マジ…か…?」

「………本来半獣は飼われるための存在だからそんな契約有り得ないんだけど
今回望月君の妊娠と2人がお互い一緒にいたいと言う意志が強いと言う事で
特例として認めるそうだ。」

「………」
「しいな…」

オレは自然と耀に廻した腕に力が篭る。

「まあ…後は運が良いと言うのもあったかな。」

亨がとんでもなくかったるそうに言う…何だ?そんなに不満か?

「お前達2人の後ろ盾に草g家が付いた。」

「は?」
「右京さんが?」
「半獣の研究の費用を全面的に出資するそうだ。その条件の中にお前達2人の事があってね。
上層部の方も既に手をまわしていてどこからのクレームも無く2人の特例がすんなり認められた
と言う事だ。まあこちらとしてはマイナスになる事は無いので当然と言えば当然だけどね。」

「…じゃあ…」

オレは…

「そう…もうお前が飼われる事によって生み出される研究費を当てにしなくてすむと言う事だ。」

「!!!」

「一部分でお前は自由になったと言う事か?」
「…自由…?」
「良かったね!しいな!」

「………」

何だか…気持ちの整理が…


「ただ2人には協力してもらうけどね。」

「は?」

やっぱそう来たか!

「そんな顔するな。別にどうと言う事は無い。これから2人は僕等の監視下に置かれる。
諸々の事情からこちらの指定する場合で生活してもらう。」

「は?何でだ?」

「まず1番の理由は子供の成長と経過を見守る為に万全の体制でいるため。
もしお腹の子供に何かあってもすぐに対応出来る様に研究所の敷地内に住んでもらう。」

「はぁ?あんな所にか?お断りだ!」

殺風景で面白くも無いあんな所!

「…一応お前達の生活には干渉しない様にはする。それが草g家との条件に入ってるからね。
ただこちらも初めての事だから細かいデータが欲しい…それくらい承諾しな。
その代わり無事に出産を迎えられる様にするから…お前もその方が安心だろ?
別々に暮らす訳でもないんだから。」

「じゃあ監視カメラも盗聴も無しだぞ!!」

これは絶対だ!

「了解してる。とにかく2人のプライベートにも踏み込むなとも言われてるんだよね…
まったく…細々とした条件が多くて……」

亨がブツブツと文句を言い続けてる…
きっと自分の思い通りに行かないもんだから気に入らないんだろう…

でも草g家に手を引かれるのも困るもんだからあっちの条件を呑むしか無いって事か…


「!!何笑ってる?」

「別に…」
やべっ…亨に見られた。

「ああ…そうだ!しいな。」

「ん?」

「今日から子供が産まれるまで交わるの禁止だよ。」

「 ! ! ! は あ ???? 」

オレは突然そんな事言われて…納得できずに変な声を出した。

「当然だろ。今は特に不安定な時期だしこれから先もそれがキッカケで取り返しの
つかない事になったらどうするんだ?お前それでもいいの?」

「 …………… 」

「 クスッ 」


亨が見下した眼差しで鼻で笑いやがったっ!!!

お前それ…ザマアミロって思ってるだろうっっっ!!!!!