02





「は?指輪?」

「そう!人間の夫婦はお互いに指輪をするんだぞ。」

トウマがそんな話を切り出した。

「………指輪…」

「お前は首輪か?イ デ ッ !! 」

ゴ ン ! とトウマの頭にげんこつを叩き込んだ。


「あれ?そう言えば耀は?」
「寝てる。昼寝中だから起こすなよ。」
「………」
「なんだよ。」

「お前耀が戻って来てから耀にベッタリだな…」

「?そうか?」

「じゃあお前耀が戻ってから1人になった事あるのか?」

「1人?………何で耀を1人にしなきゃいけねーんだよ?」

「ああ…そう言う事か…」
「は?」

「お前が耀を離せないと思ってたんだが…そっか…耀がお前を離さないのか……」

「………」


確かに耀を連れ戻してから耀はオレの傍を離れなくなった。
オレがちょっとでも出掛けるそぶりをすると必ず不安そうな顔で
『どこ行くの?』 『すぐ帰って来る?』って聞く…
多分あのもめたのと2週間離れてたからだと思う…

オレはどれだけ耀を傷つけたんだろう…



「まあ妊娠って言うのもあるのかもしれないけどね…多少その事でも不安はあるだろう。」

しいなの所から真鍋の部屋に寄った。
耀の事がちょっと気になったからだ。

「じゃあこの前の事は原因じゃない?」

「…無いとは言えない…あの子は特に感受性が強い傾向にあるからじゃないかな…
それとも半獣の子供を身篭ると情緒不安定になるのか…なんせ前例が無いからね…
今の所しいなが傍にいれば安定してるみたいだから…あの子に任せてるけど…」

「何か問題でも?」

「しいながね…傍にいると言う事を履き違えてなければいいんだけどね…」

「ん?」

「全てベッドで対処しようとしなきゃいいんだけど…」

「……有り得そうだな……」


俺と真鍋は思わず無言になってしまった…




「耀…ちゅっ…」
「ん…あふ……」

寝起きの耀に目覚めのキスをした…

「あん……」

そのまま首筋に唇を這わす…本当はこのまま抱きたい…

「しいな?」
「少し…」
「うん…」

耀のパジャマのボタンを全部外してあらわになった耀の胸に顔をうずめる…
交わっちゃいないからOKだろ?

「…あっ…あっ…あ……」

いつの間にか耀が裸だ……?何でだ?ああ…オレが脱がしたからか?


「耀…」
「…ぁ…ん?…」

「オレが一緒で安心か?」

「…うん…」

「もう…耀を離したりしないから安心しろ…」

「!!!…うん!」

耀はオレがそう囁くと安心しきった顔をする…
まったく…その顔でどんだけオレが耀を押し倒したいか……だから押し倒してる時もある。

ああ…ヤバイ……

「…ぅ…あっ…!しい……な?」

耀の脚の間に滑り込んで有無も言わさずゆっくりと押し上げた…
だから耀がちょっとだけ驚いた声を出す…

「優しくする…」


交わらないと思ってても身体は勝手に耀を求める…

満月が目の前で自分を押さえられなくなってきてるのか…

亨との約束なんてもうオレの頭の中から殆んど消えかけてる。

どう見ても耀はオレを求めてる…必要としてる…癒しをオレに求めてる!!

それに応えなくてどうする!!!


「…んっ…アンっ……」

気を使って耀と交わるのはなかなか難しい。

自分がいつまでも満足出来ないから…でも今はグッと我慢か?

それでも何とか自分が多少!満足するまで耀を攻めて…
仕方なく今回は諦めた…

「…………」

クッタリとなってる耀をジッと見つめる…
少し…後悔が無いわけじゃない……でも耀は大丈夫そうだ…

腹の子も…

亨達は大袈裟に腹の子の事を心配するがオレは何となく感じる…
コイツはそう簡単に命を失ったりしないって…何でだかわかる…

耀の腹の中にいるからか…耀の気配を感じられる様に腹の中の子供の事も
なんとなく感じ取る事が出来る…

亨達に言うとまた何だかんだとしつこいから言わないが…

これはオレとオレの子供だけの秘密だ。


「くう…」

また耀が気持ちよさ気に眠った…


「あ!しまった!一緒に出掛けるつもりだった!」

その為に耀を起こしに来たのに……まあいいか…また後でで……


それから耀の寝顔をしばらく眺めて…

いくら眺めてもキリが無いからおやすみのキスをして寝室を出た。