04





「しいな!お帰り!」
「大丈夫だったか?」
「うん!」

オレは玄関に入って来たしいなにギュッとしがみ付いて抱き着く。

「ならいい…」

しいなはそんなオレをお姫様抱っこで抱き上げてリビングに連れてってくれる。
その間のキスは当たり前だ。
そっとソファに下ろされた。


「どこに行ってたの?」
「…まあ…ちょっとトウマの所に…」
「トウマさんの所?珍しいね。」
「…ああ………」
「?しいな?」

しいなの様子が何だかおかしい…オレと初めて新月を迎えた時みたいに挙動不審…

「しいな…何?本当にどうしたの?」
「………あーー」
「?」

しいながドサリ!とオレの隣に座った。
でも顔はオレの方を見て無い…真っ正面を向いてわざと視線を外してる。

「?」

オレはさっきから頭の中で 『 ? 』 マークが…

「ん!」

しいなが上着のポケットに握って入れてた手を乱暴に出してオレの目の前に差し出す。

「え?」

下向きに握られてる指の隙間から何か見える。

「何?」

今度はその握ってた手をひっくり返した。
そのまま上向きに握られた掌がゆっくりと開いていく…

「え?」

しいなの掌の上に小さな箱が…

「やる!」
「え?何?」

びっくりしてるとしいなが小さな箱に手を掛けて蓋を開けた。

「あ!」

開けた箱の中に銀色に光る指輪が2つ…

「しいな…これ…」
「人間の夫婦はお互いに指輪をするんだそうだ。トウマが言ってた。」
「買って…くれたの?」
「……契約の形だ…目に見えるな…
これをしてるとオレと耀が結婚と言う契約をしていると周りにわかる。」

「………」

オレは本当にびっくりで…言葉が…心臓も良い意味でドキドキしてる…

「本当は一緒に買いに行くつもりだったんだが…
オレが買っていきなり耀に渡した方が耀も驚いて喜ぶってトウマが言うから…」

「しいな…」

物凄い照れた顔だ…

「嬉しいか?」
「……うん!!嬉しいよ!しいな!」
「!!そうか!!手出せ!あっと…左手だ。」
「うん……」

オレはまたドキドキしながら左手をしいなの方に差し出した。
しいながそんなオレの手をそっと掴んで箱から取り出した指輪をオレの薬指に嵌めていく…

「…サイズ…ピッタリだ…」
「耀の指をしっかり記憶していったからな!」

スゴイ得意気…

「ありがとう…しいな…」

オレは自分の指に嵌まったばかりの指輪を見つめて本当に嬉しくて…

「また泣く…嬉し泣きか?」
「うん!」

「人間のする 『 結婚式 』 ってのはやれないが…オレはこれでも十分だ。」

「……うん…あ!しいなも…今度はオレがしいなに嵌めてあげる。」

「ああ…」

今度はオレが箱から指輪を出してしいなの指に嵌めた…


「ドキドキした…」
「このくらいでか?」
「このくらいなんかじゃないよっっ!すごく大切な事だよ……」
「そうなのか?」
「もうしいなは…本当に意味がわかってるの?」
「結婚って言う契約の証拠だろ?だから絶対外すなよ!」
「うん。わかってるよ…絶対外さない…大事にする……」

その後しいなとオレはどちらともなくお互い近付いてキスをした。

「…ンッ…ふぁ…ンン…」

とってもとっても深いキスで息が詰まるけど…嬉しいから気にしない…
そのままベッドに運ばれて優しく服を脱がされた…

最近しいなはすごく優しくオレと交わる…

もうすぐ満月を迎えるのにきっととっても我慢してるんだろうなと思う…
子供が無事に生まれるまで交わる事は真鍋教授から禁止されてるんだけど
しいなはそんな約束お構い無しだ…




「…あ…ンン…」

優しくオレを押し上げるしいな…それでもオレは満足だ…

「旦那様……」
「ん?」
「こう言う呼び方もあるんだよ…」
「へえ…様か…いい響きだ。」

オレとしいなはお互いの身体の温もりを確かめながらいつまでも絡み合う…

「じゃあ今度からそう呼ぶか?」
「いやだよ…」
「何で?」

「だってオレしいなの事は 『 しいな 』 って呼びたい…」

「そっか…じゃあ今まで通りだ…」
「うん…」

そんな他愛もないない会話だけどオレはとっても気持ちが落ち着いて…安心できる。



「あ…そう言えばしいなってさ…」
「ん?」

「子供の頃お気に入りのウサギのぬいぐるみがあったんだね。ふふ…可愛いな…」

オレは散々見せてもらった昔のしいなの事を思い出して愉しそうにしいなに話した。

「!!!…なっ…何でその事知って……」

「あっ!」

しまった…!!

「ハッ!前園だなっ!」
「え?違くて…しいな…」
「あの女っっ!!」

しいながオレの上で怒り出した…どうしよう…


「…耀…」
「なっ…何?」

しいなが今までと違った眼差しでオレを見てる…

「その記憶は消去しなきゃならない。」

「え?」

しいな…何言ってるんだ?

「頭真っ白になれば忘れるよな…」
「しい…な…?」
「たまには頭真っ白になってみるか…耀…」
「あ…ダメだよ…赤ちゃんが…」
「大丈夫だって言っただろ…加減する…」

しいなが意地悪そうに笑う…そんな顔久しぶりだ…

「あ…あ…あ…しいな?落ち着いて…」

オレは逆に慌てふためいてる!

「オレは至って冷静だ。」

「ええ…!!あっ…あっ…やあっ!!!」



本当に久しぶりにしいなに散々攻められた。
加減するなんて嘘だ…オレがどれだけ泣いて…頭の中が真っ白になったか…

オレの身体に付いたしいなの歯型とキスマークと印がいつもより多いのも気のせいじゃない…


しいながとっても満足してオレから離れた…
離れる時に優しくオレのオデコと頬にキスをしてくれたけど
オレは反応出来ずにただ目をつぶっただけ…


     オレも…お腹の赤ちゃんも…頑張ったよ!!