08

  * 葵 (♂) : 2ヶ月で人の7ヶ月〜1歳ほどに…





「なっ…!!」

真鍋がとんでもなく驚いた顔をした。

「ほ…本当だ…たっ…立ってる……」
「な!スゴイだろ?」

「葵っ!!君は何て素晴らしい子なんだ!!」

「あー」

真鍋がグインと葵を抱き上げる。

「ンーーーチュッ!チュッ!」
「!!」

真鍋が何度も何度も葵の頬にキスをする…
しいなが見たら即スキンシップ禁止だろうな…

「昨日はそんな素振り何一つ見せてなかったのに…まったく君って子は…フフ ♪ 」

「真鍋…ちょっと怖いぞ。」

流石にちょっと引く…

「葵…」

聞いちゃいない…

まあ真鍋にとっては葵は目に入れても痛くない位の溺愛だからな…
葵可愛い=しいな可愛いだもんな…男の子だし…

「で?しいなは?良く葵をお前に預けたね。」
「ああ…しいなの奴やっと人型に戻れたからな…
最近葵が邪魔して耀とゆっくり出来ないんだってさ。」
「………ふん…まったく…情けない!」
「まあいいじゃん。そのお陰でこうやって葵と遊べるんだろ ♪ なあ葵 ♪ 俺と楽しい事しような ♪ 」

真鍋から葵を受け取って抱き上げる。

しいなの子供…半獣と人間の子供…

「葵…お前は本当に素晴らしい子供だよ…皆でお前を守ってやるから…大きくなれよ…」






「ンア…アッアッ…ああっ!!!やっ…しいな……あっ!!」

ギシギシとベッドが軋む…
人型に戻ったしいなが朝からオレをベッドに放り投げて乱暴に攻める。

「…あ…しい…な……やだっ…やあ…」


ベッドに押さえ付けられて…何度も何度も強引に押し上げられるから…

オレはあっという間に頭の中が真っ白になって…

身体中感じすぎて痺れて…言う事利かなくなって…しいなに攻められるままだ…


「しい…な…もう…少…し…優しくして…」

浅い呼吸の合間にしいなにお願いする。

「無理……頑張れ…」

「も…しいなの意地悪!!!」


そう叫んだ瞬間…しいなが更にオレの身体の奥を攻めるから…

オレはしいなにしがみついて…背中に爪痕が残る程抱きしめて…大きくのけ反った……





「 ♪ ♪ ♪ ♪ 」

研究室の亨の部屋にオレは超ご機嫌で訪れた。

「葵迎えに来た。」
「なんだ?その締まりの無い顔は!」

亨がオレを見るなりイヤミを言う。
多分トウマから話しを聞いてオレが今まで何してたかわかってるから余計だ。

「うるさい!お前には分からない苦労がオレにはあるんだよ。で?葵は?」
「ああ…一通りの朝の検診が終わったからトウマが散歩に連れて行った。」
「はあ?ったく…あの犬野郎…」
「トウマに葵預けたクセに文句言うんじゃない。まったくはこっちだよ!」
「は?何でだよ!ってか亨お前何してる?」

さっきからパソコンに向かってる亨だが…映し出されてるのは葵の写真じゃねーかっ!!

「え?ああデータの整理だよ。」
「はあ?この半端無い数の葵の写真がか?」

どう見てもプライベート的な写し方だろ?

「当然だろ。僕は研究者だよ。」

そう言ってその画面を閉じる。

でも画面の中のタイトルが 『 葵の成長 hoto nikki 』 だったぞ!この変態野郎め!!



「ほーら!高いか?葵 ♪ 」

研究所の中庭でトウマが葵を肩車して立ったり座ったりしてる。

「葵の下僕に成り下がったか?犬っころ。」
「別に葵なら構わない…」
「は?」
「葵は俺にとっても特別な子供だからな…絶対にありえないと言われてたのに…
でも…その前にしいなの子供だからか…」
「何だそりゃ?」

「だって友達に子供が生まれたら嬉しいだろ?」

「……トウマ…」

「お前が何と言おうと俺はしいなとは友達だと思ってる…」
「………」
「だからお前にもしもの事があったら俺が耀と葵の面倒みてやるから安心しろ!」
「は?」
「次は俺と耀の間で子作り頑張るから心配するな!耀は俺がお前以上に愛してやる!」

カ プ っ !!

「ん?」

肩車されてた葵がトウマの耳に噛み付いた。

ガシ ガシ ガシ ガシ !!!

「い…あ……イってーーーーーーっっ!!!」

噛まれた瞬間トウマが跳びはねた!

「あー歯が生えたから…痛いかもな…」

オレも何度か噛み付かれた事あるし…指だけど。

「ばっ…わかってんならサッサと止めさせろっ!
葵!ストップ!!タンマ!!イテテテテ…マジ痛い!オイ!しいな!!」

「ははは…葵なら何されても構わないんだろ?」
「バカ!笑ってんな!!葵〜〜〜ホントマジ勘弁して〜」
「葵はオレ程じゃないが耀の名前に敏感だからな。敵視されるぞ。」
「何だよ!親子揃って耀を溺愛か?わかった!葵!耀はお前等2人のもんだって!!イテー!!」
「葵もう勘弁してやれ。」

仕方なく葵をトウマの肩から下ろした。

「イテ〜〜まったく葵は…チギレるかと思った…」
「チギレれば良かったのに…箔が付くんじゃね?」
「結構だよ。」
「あう…」
「ああ…帰るか。」
「何?葵が何言ってるかわかんのか?」
「あ?まあ何となくな…」
「へえ…」
「亨には内緒だぞ。またうるさいからな!」
「ああ……」
「葵耀が待ってるから帰るぞ。」
「あー」

今度はオレが葵を肩車して帰った。



「あーあー」

葵が部屋に戻った途端ハイハイで廊下を移動する。
まだ歩くよりそっちの方が早い。

耀を探しに…はっ!そう言えば!!


「わっ…ちょっと葵!」

寝室から耀の声がする。やっぱりまだ寝てたか…

「ちょっと…くすぐったいってば…もうミルクはオシマイってこの前…葵!」

「ちゅう…」

「もう…ミルクは卒業だって言ったのに…」

「うっ!」

寝室を覗くと耀が真っ裸で葵にミルクを飲ませてる!
葵の奴…もうミルクは卒業だって言ってんのに…

「甘やかすな!耀!」
「だって…まだ出るし…」
「んく…んく…」

葵は目を瞑って一生懸命ミルクを飲んでる…

「葵も喉渇いてたんだよ…」
「………」

まったく…嬉しそうな顔しやがって…まあでも…こればっかりは仕方ないか…



「寝ちゃった…」

しばらくして耀が着替えてリビングに入って来た。

「しいな…」
「ん?」
「葵って…普通の子供が通う幼稚園とか…通えるのかな?」
「幼稚園?」
「だって同年代の友達も必要だと思うんだよね…」

「……さあ…どうかな?後で亨に聞いてみるか…」




「無理だね。」

軽い気持ちで聞いたのに……亨に即答で否定された。