08





「…ン…チュウ…クチュ…」

自分の身体に猫耳と猫の尻尾を持った全裸の女の子を抱き抱えながら
舌を絡めるキスをずっとしてる…

それはとても不思議な感覚で…頭の中が痺れて真っ白になりながら飽きる事なく続く……

こんなキス…猫の真白とはしてなかったのに…

何でだろう…お互い初めてのはずなのに…止める気が無いんだ…


「ハニャン……」

流石に相手がギブアップでオレから離れた。

「なんだかヘンなの…ハルキ…ましろどうなった?」
「真白…」

本当に真白なのか……

「ハルキ…なんでちいさい?」

小さく首を傾げる…その仕草が何とも可愛く見える……

「オレが小さいんじゃなくて真白がデカクなったんだよ……」

多分…
オレはまだ半信半疑だ…でもそれは当たり前だろう。

「ハルキ……」

何だか困った顔だ…

「ん?」
「…でる…」
「は!?」
「フニャ……」
「真白?」

オレから飛び降りてキッチンに飛んで行く…

やっぱり飛んでるよな?足…床に着いてないよな?しかもお尻丸見えだよ!!

何をするのかと思えば今まで使ってた猫用のトイレに飛び付いた。
そして一生懸命蓋を外そうとしてるし!

「バッ…何してる?」

「フニャァ〜〜〜」

「そんな顔すんなよ…もうそこじゃ無理だろ!」
「?」

首を傾げながら今にも泣きそうだ…

「とにかくトイレに………って…えっ!?オレが拭くのかっ!?」

だよな?きっとトイレの使い方なんて知らないだろうし!!

いや…無理!!絶対無理っっ!!!


オレは速攻米澤に電話して直ぐに来てもらう事にした。




「ハニャ〜〜」

「…………」

「一応ちゃんと教えたから後はもう1人で大丈夫よ。」
「サンキュ…ありがとう…助かった…」

オレはソファに深く座って全てが終わるのをジッと待ってた。
もうドッと疲れて…項垂れる…

「ハルキ〜 ♪ ましろできた ♪ 」
「………」

フヨフヨと飛んで来てドサッとオレの膝の上に横抱っこ状態で座る。
両手はオレの首に廻されて脚はグッと曲げてどうやっても膝の上に身体の全てを乗せるつもりらしい…

無理だって…

「ん?あれ?ハルキだっこ!」

何だよ…そりゃいつも抱っこしながら色々用事済ませたけど…

そんな所でこの子が真白なんだと訴えてくる…でもどう見てもそうとは思えない…

「今はちょっと待ってて…あーー米澤…これなんだけど…さ…誤解しないで欲しいんだけど…」

って無理だよな〜シャツ1枚のしかも猫耳尻尾の子なんて…
ああ…今流行のコスプレって言っとけばいいか…オレの趣味を疑われるけど…
それが一番手っ取り早い…

「風間君…」
「あーだから…これはだな…」

「あなた…そんなにこの子の事好きだったのね。」

「………は?……えっと…」

「風間春悸さん。」

改まって名前を呼ばれた。

「…な…何だよ…」

オレは何気にドキドキしてる…何だ…何か言われるのか?
変態だったのね…なんて言われたら言い訳出来ないぞ……

「これからとても重要な話をします。心して聞いて下さい。」

「は?何だよ…米澤…改まって…しかもそんな他人行儀な……」

って他人は他人なんだけど…でもいつもそんな話し方しない…

「何よ!一応気を使ってあげたんでしょ?まあ私もこんな喋り方性に合わないんだけど…
手っ取り早く言うわね。その子は貴方の大事な大事な真白ちゃんよ。」

「 !!! 」

サラリと……何の迷いも無くそう言った。

オレの中のもしかして違うんじゃないかと言う微かな希望はものの見事に打ち砕かれた。

「…………」

もう…オレの思考回路はショート寸前だし…
ちょっと残ってた気力がたった今…口から抜け出た様な気がする……

「ハルキ?」

そんなオレを真白が不思議そうな顔で見上げてくる…

「ちょっと落ち込むの止めてよ。話はこれからなんだから。」
「……はぁ?」

オレはやっと顔を上げて米澤を見た…

「風間君は選ばれたの。」

「え?何に?」
「この子の相手に。」
「………え?」

「貴方を大分前から観察させて貰ってたわ ♪ 」

「観察?」
「そう…ちゃんとこの子を飼ってくれるか…ううん…大事にしてくれる人どうか…」
「…………」


オレはそんな話も理解不能で…頭の中は真っ白になっていく…


「ちょっと!本当に大丈夫?まだまだ話は続くのよ!」


そんな米澤の怒鳴る声が辛うじて飛びそうになったオレの意識を引き戻した。