15





「もうテレビ禁止っ!!!」

「え?」

「……くっ…」

そうか…禁止の意味が理解できてないのか!!もう…

「テレビダメ!!」
「え〜〜〜どして?」
「どうしても!」
「どして!どして!どして!!!」
「こういうことするからだよ!」
「こういうこと?」
「勝手にオレのパジャマ脱がす事!」
「………ダメなの?」
「ダメなの!!当たり前だろ!!」
「…ハルキと同じことしただけ…」
「なっ!オレがいつそんな事したよ!?」
「お風呂のとき…」
「バッ…それはお風呂に入るからだろっ!」

「フニャ……やだ…ハルキ変…」

「はあ?どこが?」

「どしてそんな大きな声でましろに言う?」

「……え?あ!」

真白がポロポロと涙を零した…

「ニャ……なん…で…」

「真白…」

「なんで…涙でる?ハルキ…」

「あ…ごめん……」

「ハルキ?」

自然に…真白を抱きしめてた…

「…………」

こんな風に怒鳴って…女の子を…真白を泣かせたのなんて初めてで…


「……………ハルキ…」



どのくらいそうしてたか…

「涙止まったか?」
「うん……」

オレの胸で真白が顔を上げる。

「そう…」

それでもちょっと残ってた涙を手の平で擦ってふき取った。

「ハルキ…」
「ん?」
「ましろ胸ドキドキしたよ…それにあったかい……」
「…………」

「それってましろハルキがすきって事?」

「それは……」

オレが言えるわけないじゃないか…!

「ましろね…前ハルキ見たよ…」

「え?」
「ここに来た時……誰かと話しながらハルキ笑ってた……」
「ここに来た時って…オレに会う前か?」
「そう…ずっと前……」

「………………」

「「一目惚れ」って…なあに?ハルキ…」

「え”っっ!!」

「あの人が言ってたの…ましろのそれは「一目惚れ」って言うって…」

「…………」

な…なんて説明したら…

「ずっと…ハルキのそばにいれたらなーって思ってた…
ハルキの笑った顔…ずっと見れたてたらいいなーって…」

「真白……」

「「人」になれたら……他の人みたいにハルキと話せるって思ったんだよ……」

真白の腕がおれの首に伸びで…廻されたけど…オレはジッとしてた…

「ずっと……呼んでたんだよ…ハルキ……」

「…………」

「ハルキがましろのこと呼んでくれるたびに…「ハルキ」って…ましろ呼んでた…」

「………真白…」

「でもね…いくら呼んでもましろの声ハルキには聞こえない……
だから「人」になりたかったの…ましろ……ハルキのこと……」

真白………


「 ハルキのことが……ずっと前から…すきだった…… 」


「……ん…」


そのまま真白がオレにキスをする…

この姿になった真白とは最初に何度かしたキスだったけど……

真白とのキスはオレの頭の中を真っ白にする……


「…んっ……ハァ……」

「……フ……っ…」


クチュクチュと舌の絡む音が朝の部屋の中に響く……

どこでそんなキスを覚えたのか…

真白のキスはすごく激しくて…濃厚で……

何とか保ってるオレの理性を簡単に壊してしまいそうになる…

だから……


「ぷはっ!……真白…やめ……わかったから…もう…」

大体がオレが根をあげて真白から逃げる…

「……いや……」

「真…白……んっ…」

どこでそんなセリフと言い回しを覚えたんだっ!
絶対昼ドラだろう?絶対そうだ!!!

布団の上に座ってるオレを跨いで膝の上に座ってる真白…

しかも今朝は真白は裸でオレは夜中に真白にパジャマを脱がせられて
上半身裸の状態で……

首に腕を巻かれて…密着状態で…お互いの身体がピッタリとくっ付いてる…

オレよりちょっと体温の高い真白の身体がオレの身体に触れてハッキリとわかる…

オレの首に廻されてた真白の手がガッシリとオレの頬を挟んで

更に深い深いキスをする……

ヤバイ…これって…このままじゃ……


「…わっ!!イテッ!!」


真白に押されて後頭部から床に激突した。

幸い敷布団で直撃は免れたけど…


「ハァ…ハァ……」

「……ハルキ……」

「さ…さて…もう起きないと…」

オレはそのままうつ伏せに態勢を変えてホフク前進で布団から這い出た。

「ハルキ〜〜〜 ♪ 」

その背中に真白がダイブしてくる!!

「も…もうおしまいだって!!終わり!!ほら!もう起きて支度しないと!!
今日は出掛けるんだからな!!」

「ハルキ〜〜〜」

「だから……」

背中に真白の胸が押し付けられて…形も大きさもハッキリとわかる…

「……ちょっ…」

「ハルキ……すき……す〜き〜〜〜 ♪ ♪ 」


やっと覚えたからって……

連呼すんな〜〜〜〜〜〜っっっ!!!





それからは何とか真白に服を着せて朝食を食べて早々に外に出た。


「ほら…これかぶれ…って無理か…」

「ん…」

真白にヘルメットをかぶせて止め具をカチリと締める。

「中に帽子もかぶってるからキツイか?」
「へーき…」
「よし!尻尾も見えてないな。」
「うん…スカート長い…」
「よし!ちゃんとオレに掴まれよ。」
「ん?」
「違う!オレの首に捕まってどうする!ここだよ!」

そう言って真白の腕を持ってオレの腰に廻した。

「ちゃんと捕まってないと落ちるからな!」
「うん…」
「くすっ…」

もの凄いギュッと捕まって目までギュッと瞑る。

「じゃあ行くぞ。」
「ん!」

一応気を使ってゆっくりとスタートした…

オレにとっても久しぶりのバイクで気分が良い…

「…………」

真白は最初と同じにギュッとしがみ付いてギュッと目を瞑ってる。

「真白!」
「……ん?」
「目…明けてみろ…」
「え…」

真白の掴んでた腕の力がちょっと緩んで身体が少し起き上がる…

「わあ…………」

「どうだ?気持ち良いだろ?」
「うんっ!!!気持ちいい!!!かぜ…びゅ〜〜って ♪ 」
「そうだろ…少し走るからな。」
「うん ♪ 」


それから…結構な時間バイクを走らせた…

あまり人との接触は避けた方がいいと思って人混みは避けた。

途中の休憩でオレが飲み物を買いに行ってる間に真白がナンパされてたのには驚いた。
確かに見た目は普通の10代の女の子だもんな…

ボロが出ないうちにさっさと引き上げよう……



「ハルキ楽しかったよ〜また行きたい ♪ 」

マンションに戻ってバイクをしまってるオレに真白が嬉しそうに話す。

「ああ…また今度な…その前にもう少し歩く練習しないと…すぐコケる。」

まだ歩くのが苦手な真白はちょっとの段差で躓いてコケる。

「飛べば楽。」
「だめっ!!!飛んだら絶対ダメだからな!!」

そんな事したら一騒動だよ…

何だかこれで朝の騒動も何となく忘れかけて……

「ん?」

マンションの入口に誰か立ってた。
まあ誰かと待ち合わせなのかと気にも留めずに中に入ろうとした時…

「あなた…猫の飼い主?」

「は?」

年は真白と同じくらい…
真白とは反対の真っ黒な髪とオレと同じ様な浅黒い肌…

ちょっとキツメな瞳に勝気そうな顔…

ホンワカな真白のイメージとは真逆な印象だった…

「猫?……いや…オレ猫飼ってないから…」

もう飼ってるとは言えないからな…

「でもこのマンションペット可だから誰か飼ってる人はいると思うけど…」
「ああ…そっかもう飼ってるとは言わないか…」
「え?」
「あっ!」

その子がサッと真白のかぶってるニット帽を剥ぎ取った。
帽子の下から真っ白な真白の猫の耳が現れた。


「ちょっ…何すん…」


思わず…言葉が止まる…


「今は同棲してるって言った方がいいのかな?」



そう言いながら…彼女がかぶってた帽子を取ると……


真白とは違う…真っ黒な猫の耳が…


真白と同じ様に……その子の頭にあった……