01





「航…起きてる?」

ちょっと朝晩の寒さが堪える様になった早朝…
航志朗の部屋のドアを開けて声を掛けたけど…返事が無い…

「くう…」

「まだ寝てるんだ…そしたらぁ…」

航の寝てるベッドの端から潜り込んで奇襲をかける。

「ん…?!」

「航志朗!起きろーーーっ!」

冷たい手で航志朗の顔を挟んでやった!ムギュウって!

「うわっ!冷てーーっっ!」

やった!飛び起きた!

「目覚めた?あはは!」

無理矢理起こされてまだ霞む視界で目を凝らすとニッコリと笑ってる溜の顔があった…
しかも鼻先が今にもくっ付きそうな程近い。

「お前なぁ…」

「ん?」

不思議そうな顔で俺を見てる…

「お前さぁ…自分が何してるか…分かってんのか…?」

溜息交じりで呟いた…

「何が?」

分かってねー

「何でもねーよ…」

布団から這い出てタバコを吸う…
溜はそのまま俺のベッドで布団の温もりを楽しんでる…


まったく…男の布団に潜り込んでんだよ…お前は…抱いちまうぞ…くそっ…


なんて出来もしない事を心の中で呟いた。

俺のそんな気持ちなんて全くお構い無しで無防備にも眠り始めてる溜…

そんな溜を視界に収めつつ紛らわす様に吸い込んだタバコの煙を溜息と一緒に吐き出した…



俺と溜は隣同士の幼なじみだ。
俺が7月生まれで22で…溜は3月だからまだ18か?来年19…大学4年と1年…
俺の後を追い掛ける様に同じ大学に入って来た。
良く受かったもんだと驚いたが結構真面目に勉強してたな…

溜はオレの事が好きなのか?良く分からない…

オレ以外の男を見ると溜は大体が 『航よりもいい男だ!』 と必ず言う…

本心か俺をからかってんのか不明だが…
その割には俺の後をいつもチョロチョロとついて来た。

一体アイツは俺を何だと思ってるのか?

俺は?…俺は…



「オイ航!」
「ん?」

同じ学部の金井に後ろから呼び止められた。

「お前さもう就職先決まってんだろ?」
「ああ」
「いいよな…今バイトしてるトコだっけ?」
「ああ…もとは此処の大学の先輩がやってる所だからな…」
「今の就職状況でうらやましいよ。」

大学3年の時前から知り合いだった先輩が会社を立ち上げて仕事を手伝う事になった。
仕事はIT関係の会社でもともとそっちに興味もあったしそれなりの知識もあったから…
その流れで就職の話は簡単にまとまった。

「何だその話しか?」
「いや…違くてさ…お前女の子と付き合う気無い?」
「は?」
「実はさお前との間取り持ってくれって頼まれてさ…お前に惚れちゃったんだってさ。
2年なんだけど結構可愛い娘だぞ!就職決まってんなら焦る事無いしさ…いいだろ?」

「…悪ぃけどパス!」

「え?お前付き合ってる娘いたっけ?」
「いないけど…今別に女と付き合う気無いし。」
「はぁ?好きな娘とかいるわけ?」
「そう言うわけじない…」
「ならいいじゃん。卒業までの間だけ楽しんだってさ。」
「いや…悪ぃけど断っといてくれ…」

「航〜〜〜!」

「ゲッ!!」

ドカッと溜が俺に抱き着いた。

「いてぇな…」
「お昼!一緒に食べるって言ったでしょ〜〜航の奢りで!」
「…覚えてるよ…イチイチ飛び付くな!ほら行くぞ。じゃあな金井。」
「おう…」
「じゃあ金井さん!」

溜が調子に乗って初対面の金井に馴れ馴れしく敬礼するから後頭部から頭を小突いてやった。

まったくコイツは人懐っこいのか何も考えて無いのか…昔から誰にでもすぐ懐く。




「え?溜?」
「ああ航の彼女か?」
「は?」

次の日…金井が俺にそんな事を聞いてくる。

「別にそんなんじゃ無いが…何で?」
「いやさぁ〜昨日チラっと見かけて可愛いな〜ってさあ〜 ♪ 」
「かっ…可愛い?」
「ああ…ショートヘアで活発そうで背がちっちゃくて…可愛いじゃん ♪ 」

何だコイツ…就職決まんなくて頭おかしくなったのか?

「大丈夫か?お前…」
「何が?」
「いや…」
「だから彼女の携帯の番号教えろよ。」
「………」
「あ!彼女この大学にいんだっけ?じゃあ直接…」
「まっ…!溜には俺から話す!」
「そっか?」

嫌な心臓の動きでバクバクしてる…何だか…初めての経験だった。



「航?どうしたの?」
「え?」
「いつになく阿保面!」
「うるせぇ!」

ったく誰のせいだと思ってる…

溜は相変わらず勝手に人の家に上がり込んで…勝手に人の部屋に入って…
勝手に人のベッドの上で寝転んでる…しかも風呂上がりのパジャマ姿だ。
もうウチの親も溜の親も何にも言いやしない。

「おい溜…」

とりあえず金井の事言うだけ言っとかないと…か…その後どうするかは溜が決める事だし…

ってそれでいいのか?俺?


「あ!舷見て!」
「ん?」
「航が見逃した映画がDVDになるって!」

そう言って雑誌を指差してベッドの上で正座して片手を着きながら俺を見上げる…
そんな溜のパジャマの胸元から胸の谷間が見えた…


いつもの事なのに今日はなぜか見て見ないフリが出来なかった…

コンポのリモコンを取ってスイッチを入れる…ボリュームを上げながら溜のいるベッドに近づいた。


「航?」

床にリモコンを放り投げて溜の目の前に膝を着く。
溜が不思議そうに俺を見上げてる。

さっきの一瞬で溜が金井と2人で並んで歩いてる姿が思い浮かんだ…
2人で笑いあって…何でそんなのが頭を過ぎったのか…


俺は中学高校と溜以外の女と付き合った事がある。
なんせ俺が中学の時は溜はやっと小学校の中学年だったから対象外なのは仕方ない。

ファーストキスは中学3年の時付き合った相手だし
初めての相手は高校の時付き合った3年の先輩だ。

その後も身体だけで何人か経験がある。

ただ溜には全部内緒にしてた…
何故と聞かれると返事に困るが言わない方が良いと思ったのは確かで……
中学も高校も溜が入って来ると俺は卒業だったから1度も一緒に通わずに終わった。



「航?」

もう一度呼ばれた時は溜の頬を両手で挟んでキスしてた。

「!!」

嫌がられたら…止めようと思ってた…
なのにベッドに押し倒しても溜は嫌がらなかった…

「ん…ぁ…」

オレが舌を絡ませるキスで溜がそんな声を出す…初めての溜とのキスだ…
慣れないながら俺についてくる…俺の背中に溜の手の感触が触れる。

これって…OKって事なのか?なんで嫌がらない?これじゃ…余計止められないじゃねーか…

なんて止める気なんて無かったが…


「ん…ン…」

溜の身体…いつも洋服ごしに感じてた感触…キスをしながらパジャマのボタンを外す…
外して肌けたパジャマの間から手を入れた…直接触れた溜の身体は暖かくて柔らかくて…

そのまま顔を近付けて唇と舌で溜の身体を確かめた。


「…航」

なんだ?止めてほしいのか?

「ん?」

「優しく…してね…」

「!!」

嫌がられたら止めようと思ってた微かな踏ん張りもその一言で掻き消された。


「…ん…」

さっきよりもっと丁寧に溜の身体を確かめる…

パジャマを脱がせても溜は抵抗しなかった…
意識的なのか無意識なのか隠そうとする手足を約束通り優しく押さえ付けた。

溜は今のこの状況をどう思っているんだ…まあ今はいいか…


「あ…」

溜の上に覆いかぶさると遠慮がちに俺を溜の脚の間に入れてくれた。
顔は俺を見てない…恥ずかしいのか?だから掌で顔を俺に向かせる。

「……」

今はいつもの溜の顔だ。

『何でそんな事すんのよ〜』 

って顔…ガキの頃から見てる顔だ…

「あっ……」

溜の両膝の後に手を掛けて少し開かせたら焦ってる。
そうか…多分…いやきっと溜はこれが初めてだ。

だよな?今まで付き合った相手もいないし…って言うかコイツと付き合おうなんて奴いたのか?
今まで男の影がチラついた事もない…

溜の身体にキスをしながら下に下におりていく…
今まで触れた事の無い溜の身体…

「…アン…」

溜の一番敏感な場所にキスをして俺の舌でもっと感じさせてやる…

「や…ん…航…だめ…」

グッっと頭を掴まれた。
だから俺はもっともっと俺の舌で溜の身体のずっと奥を攻める。

「あっあっ…」

閉じようとする溜の腿を両手で押し広げて閉じさせない。

「や…航…ンン!恥ずか…し…」

舌を離す瞬間に今度は指を入れた…溜の身体がまたビクリと跳ねる。
空いてる片方の肘を着いて身体を溜と同じ位置に持って行く。

「ん…ちゅっ…ふぁ…あっ…」

舌を絡ませるキスをしながら指で溜の身体を開いていく…

「んっ…んっ…ンン…」

閉じようとする溜の腿を俺の脚と身体でさっきより開かせる。
溜が慌てたのがわかった…名残惜し気に溜の唇から離れて身体の位置を整えた。

今度は両手でがっちりと溜の両膝を抱えながら大きく広げる。

「航…?」

俺を受け入れる溜の身体の準備は十分だ。
だから躊躇する事無く一気に溜を押し上げた!

ビ ク ン !

と溜の身体が大きく跳ねて…俺の身体にギュッと抱き着く。

「やっ…!航っ…!」

「溜…」

溜の中は思いの外キツくて…途中勢いが削がれてもう一度押し上げた…

「あっ!あっ!…うっ…こ…う…」

溜がギュッと…俺の首を力を込めて抱きしめる。

「ンア…や…航!」

「ダメだ…溜…止めらんねぇ…悪い…」

「あ……」

押し上げる俺の腰に爪を立てて溜が俺の攻めに堪える。
俺に押し上げられる度に溜の形の良い結構なボリュームの胸が揺れる…

いつの間にこんな大きくなったんだ…ガキの頃なんてペッチャンコだったのに…
こんな女らしい身体にもなって…


「あ…航…航!!やっ…なんか…身体が……あっ…」

「溜…」

お互いの身体をぎゅっと抱きしめ合いながら俺は溜を攻める速度を速めていく…

「あっあっあっああっっ!!」


ギシギシとパイプベッドの軋む音が激しくなる…


そう言えば下にオフクロが居たんだっけ…


なんてその後溜と2人…ベッドの上で折り重なる様に動けないまま…

浅い早い息を繰り返しながら…そんな事を今更ながらに思い出してた…