06

  順番が逆ですが 『 プロローグ 』 の出会いのお話です。(1年ほどさかのぼってます。)
  椎凪 : 耀の高校の美術の教師。(まだ耀にその事はバレてない。)
   耀 : 元気×2な女の子。椎凪と同じ高校の今回は1年生。(椎凪が教師だと知らない。)






椎凪の部屋の寝室のベッドの中…
今まさにオレの初体験と言う時に玄関のチャイムが連打され
椎凪がオレに 『 ごめん 』 って言ってベッドから出て行っちゃった…

「 …え…ウソ… 」

オレはしばらく放心状態…こんな夜遅く…一体誰?
って言うか…オレ…どうしたらいいの?

寝室を出てこっそりと 玄関を覗いた。
だって…何だか揉めてる声がしたから…しかも女の人の声…

「…ったくいきなり来んの止めろっていっつも言ってんだろうがっ!!!
自分家帰れよっ!!」
「なによぉ!いつからあたしにそんな口聞けるご身分になったワケ?椎凪っっ!!
…ウ〜〜水!水ちょうだいよぉ!!」
「うるさいな!喚くなよ!!何時だと思ってんだよ!水飲んだら帰れよな!」

「……椎凪?」

「ギクリっ!!」
椎凪がオレが見てもわかるくらい ビックリした。

「!?…はらぁ?何この子?あんた珍しいわね〜〜〜
声掛けた相手自分の部屋に連れて来たの?」

「え?」
声…掛けた…相手?

「うるさい!黙れよ!余計な事言うな!」
「あ〜?何?随分若い子ねぇ?高校生よねぇ?まさか中学生ってわけないわよねぇ?」
「高校生だよ。 今水持って来るから飲んだら帰れよ!」
「ほ〜〜〜い ♪ ♪ 」

椎凪がオレの横を黙って通り抜けた…オレの事…見もしなかった…

「…ンフ… こんばんは!あたしアイツの3番目の女なの。」
「さ…3番目!?」
「そうよぉ〜〜わかるでしょお?椎凪アッチの方スッゴク慣れてて上手いでしょ?
だからぁみんな放っとかないのよ。あんたは何番目なのかしらねぇ?」

「………」
オレは言葉が出ない…スッゴク…慣れてて…みんなが…放っとか…ない…?

「椎凪ってぇ遊び人だからぁ本気にならない方がいいわよぉ〜〜
ウブなお嬢ちゃんには椎凪の相手なんか出来ないからぁ〜〜」

「…………」

「人がいないの良い事に根も葉も無い事言ってんじゃねーよ!!瑠惟さん!!」
「やーねぇ!ホントの事じゃない!」
「!!」

今までとはうって変わって しゃきっとした話し方と態度だ…

「大体何でこんな若い子遊び相手に選んでんのよ…可哀相じゃない…」

可哀相…?…オレが?

「一晩限りの相手 させたら…」

…一晩限り…?

「この子は違うの!」
「ふ〜〜んどう違うのかしらねぇ?あたしは信じらんないけどね…
あなたも気をつけてね! 甘ぁ〜く囁かれても気を許しちゃダメよ!コイツの手なんだから!」

「………」

オレはさっきから何も言えなくて…
なんか頭の中がぐるぐる廻ってて… 上手く考える事が出来ない…

「あ!あたしはコイツの幼なじみの逆帋瑠惟って言うの!
3番目の女なんてウソよ!こんな男の女なんかに頼まれたってならな いんだから!
呑んで帰るの面倒くさくなると此処に泊めてもらってるんだけど今日は帰るわ。
じゃあ後は2人で話し合ってよ。おやすみ…お2人さん!」

「早く帰れよ!お邪魔虫なんだからっ!!」

「あ!椎凪!携帯出なさいよ!!シカトするからこうやって押しかけられんのよ。」
「シカトしなくても押しかけ んだろ?」
「フフ…スルドイ!!またね!」

そう言ってウインクして帰って行った…何だったんだ…あの人…

「ったく…毎回毎回勝手に騒ぎやがって…
耀くん瑠惟さんの言ってた事なんか気にしちゃ……耀くん?」

「………うっ……」

なぜか涙が出た…だって…あの人が言ってた通りなんだもん…
甘く…囁かれて…オレ…舞い上がって…
椎凪が…慣れてるって言うのはわかってた…
きっといろんな人と付き合ったんだろうって…だって…

『 男は耀くんが初めてだよ…こんな年下も… 』
『 この部屋に女の子連れて来たの耀くんが初めてだよ 』
『 キスで寝られたの耀くんが初めて… 』

言葉のあちこちにオレ以外の相手がいたって…わかってた…

「………耀くん…」
「……ごめん…今日は…もう…」
「……耀くん…」

オレ…どうしていいか…わかんなくなっちゃった……


その日…椎凪はベッドで寝なかった…オレに気を使ってくれたんだ…
優しい椎凪…オレのこと 大事に思ってくれる椎凪…

わかってる…わかってるのに…オレ…なんで…何を気にしてるんだろう…


「…おはよう耀くん。」

椎凪が寝室まで起こしに来てくれた…
「……おはよう…」
「…まだ怒ってる?」
椎凪は至って普通に話し掛けてくる…
「!!…別に…怒って無い…」
オレは椎凪を見もしないでソッポを向いたまま返事をした。
「ウソだ…」
落ちついた…大人の声と話し方…

「…!!…またそうやってオレに上から目線で言うんだ。」

「上から目線なんて 言って無いじゃん。」

「言ってる!」

「耀くん!!」

「どうしてオレなの?今まではオレみたいなガキじゃない大人の女の人相手にしてたんだろ?
なのに何でオレ?おかしいよ!!絶対おかしい!!」

「おかしくない!言っただろ?一目惚れだって!」

「それもウソだ!!今までの相手に飽きたからオレなんだ !!
普通の…大人の女の人飽きたからガキのオレがどんな反応するか…比べて…
笑ってたんだろっっ!!」

「耀くん!!」

「笑えただろ!! バカみたいに反応して…赤くなって…慌てまくって…
今まで相手にした女の人達はどうだった?みんな大人で…
オレみたいなバカな事した人なんて誰もいな かったろっっ!!」

「!!!……耀くん…もしかして…ヤキモチ妬いてんの?」

「!!!」

ヤキモチ!?オレが?

「……な…」
…って 言うか…これが…ヤキモチ?

「?…耀くん…ヤキモキ…初めて?」
「!!…ヤ…ヤキモチが初めてって…何だよ……」

オレはまた1人でパニック!!
ヤキモチ??ヤキモチなの?だからオレ…昨日から胸の中が変なの?

「…………」

耀くんがオレの 『 ヤキモチ 』 と言う言葉に反応して慌ててる…
きっと ヤキモチを妬いたのがこれが初めてだったから…
今まで知らない気持ちで…自分でも理解出来なかったんだ…

何ともまあ…可愛いこと…

「…何だよ… 何ニコニコしてんの?」
「嬉しいから。」
「嬉しい?…何が?」
「耀くんが生まれて初めてヤキモチ妬いたのがオレだったから。」
「…!!」
「でしょ?」
「………ホント…椎凪ってば…意地悪だ…」
「好きだとイジメちゃうってあるでしょ?」
「……子供じゃあるまいし…」

「…クスッ…好きだよ…耀くん…耀くんだけが好きだよ。」

「………」

椎凪がまっすぐオレを見つめてそう言った…




「…あ…椎凪… 待っ…ン…」

あの後…椎凪はオレをベッドに押し倒した…
オレは抵抗せずに椎凪を受け止めた…

パジャマも下着も脱がされて…裸のオレの身体を椎凪に見られてるんだ…
小さかった頃は親父や祐輔に見られた事はあるけど…
小学校の3・4年頃から誰にも…男の人なんかに見せた事なんて無い…
だから恥ずかしい…一応カーテンは閉めてくれたけど…
夏の朝日だもん…カーテン閉めた ってかなり明るい…

……椎凪にはオレはどんな風に見えてるのかな……

椎凪がオレの身体中キスをする…
顔や首筋なんて当たり前で…初めて見せた 胸やお腹…
背中だって今日初めて椎凪に見せた…
そんな所を何の躊躇も無しにキスをする…
胸の先もキスされて…ビクンってなった!
電気が走ったのかと 思ったほど…
それから舌でゆっくり…優しく舐められて…甘く噛まれた…
…くすぐったいとか…痛いとは違う感覚…身体の中から火照って…息が弾む…

「…あ…椎凪…そこは…やぁ…」

いつの間にかオレの脚の間に滑り込んでた椎凪が
オレの脚を優しく開いて顔を近付けたから…
オレは慌てた…だって… そんな近くでなんて見られたくない!!

「……ふぁっ!!…ん…」
やだ…ものすごく敏感な所を椎凪の舌が触れた…
「…ンア…!!アッ…アッ…」
「チュッ…」
「やめ…椎凪…変な…感じするから…力が…抜けちゃう…あっあっ…」
勝手に声が洩れる…恥ずかしいのに…我慢できないんだ…
「…ン! …ン!…ン!…アッ……もう…やぁ椎凪…恥ずかしいし…
そんな所…舐めないで…うあっ…!!」

「何で?一番感じてるかどうかわかる所だよ…」

椎凪が這い上がって来てオレの顔に自分の顔をピッタリ付ける…

「はぁ…はぁ…だって…」

こうなる前はアレコレ色々考えて怖いって思ってて… 不安だったけど…
今は身体が自分の思い通りにならなくて…
身体の奥からわけのわからないムズムズがあって…
自分ではどうしようもなくて…椎凪に抱き着いた。

「…まだ怖い?」
チュッって鼻の頭にキスしてくれた…
「ううん…でも身体の奥からムズムズってする…なんで?」
「それはオレと耀くんの相性が 良いって事…」
「…本当?」
「本当…なら…もっとわからせてあげる…」
「…え?」

椎凪が少し起き上がって体勢を変えた…
その後オレと手を繋いで ベッドに少し強く押し付ける…

「…!?」

…なに?

「 オレの初めての 『 愛してる 』 を耀くんにあげる… 」

椎凪が真面目な顔で…でも優しい 眼差しでオレを見てる…

「椎凪?」

「 愛してるよ…耀くん… 」

「……!!??うっ…ああっっ!!」

身体が押し上げられて…
でも椎凪に ぎゅっと手を握られてたからそのままのけ反った…

「あっ…あっ…ン…痛いっっ!!!椎凪痛いっっ!!!」

身体を押し広げられる感覚で…こんなの初めてで… すごく…いたい…

「少し我慢して…耀くん…すぐ良くなるから…」
「あっ…ンア…椎凪…!!」

押さえ付けられてた手を振り解いて椎凪に力いっぱい 抱きついた!!

「椎凪…椎凪…オレのこと…もっと強く抱きしめて…!!」
「耀くん…好きだよ…愛してる…」

椎凪がオレを抱きしめながら耳元に 囁いてくれた…

「オレのこと…愛してるの?こんな子供なのに?何にも出来ないのに?」
「愛してるよ…耀くんはオレの傍に…ずっといてくれれば… それだけでいいんだ…」
「椎凪…」

椎凪をオレの身体の中で感じながら…
しばらく2人で大人の…深い…深いキスをずっと繰り返してた…
椎凪がすぐに良くなる…なんて言うから…じっとしてればなるのかと思ってたら…
ゆっくりと椎凪が動き出した。

「…!!え?ちょっ…椎凪!?何で動くの?」

オレは焦って喚いた!

「これからが本番なんだけど?」
「え?うそ…ダメ!!動いたらダメっっ!!」

「…う〜〜ん…ごめん!耀くん… それ無理!」

ニッコリ微笑まれたぁぁ!!!

「 !!あっあっ…椎凪の意地悪ぅ−−−−!!! 」


…告白されたのもキスもデートも お泊りも…

初めての『H』も…細かく言えばキリが無いくらい

たくさんの初めてを椎凪に奪われた………



「…あ〜あ…もう最後の夜か…」

椎凪がオレの上でゆっくり動きながらホントに残念そうに言う…

「こんなことしながら言われたって…全然…淋しそうじゃない…ン…うあっ!!」

オレはあの日から時間さえあれば椎凪に抱かれることが多い…ううん…ほとんどだ!!

「んーーー耀くん ♪ ♪ 好きだよ!好き!!愛してる!!
食べちゃいたいくらい可愛いっっ!!」

「言いながら…オレを攻めるの…やめ…あっ…」

オレは日に日に椎凪色に染められていく…
あんなに痛かった 身体もあっという間に椎凪が触れただけで
ビクリと感じる身体になった…

『 オレと耀くんの身体の相性が抜群に良いって事だよ!! 』

って椎凪は言うけど…ホントかな?

「…ねぇ…耀くん…」
「なに?」

やっと満足した椎凪がオレを後ろから抱きしめながら呟く。

「オレ達…もう…何があっても離れたりしないよね…」
「…椎凪?」
「オレを…捨てたりしないよね?」
「は?捨てる?何言ってるの椎凪…いい大人が…」
「大人は関係無い!!約束だよ耀くん!約束だからね!!」
「………うん……」

ものすごく念を押されて…ちょっと不思議だったけど…
今のオレは椎凪と 離れるなんて事は考えられなかったし…だから頷いた…


     あっという間の1週間と…

     あっという間の夏休みだった……