03

  順番が逆ですが 『 プロローグ 』 の前のお話です。(1年ほどさかのぼってます。)
  椎凪 : 耀の高校の美術の教師兼美術部顧問。
   耀 : 元気×2な女の子。椎凪と同じ高校の今回は1年生。椎凪と交際中。






椎凪のベッドで椎凪のモノじゃないピアスを見付けた…
リビングのソファで金髪の髪の毛を見付けた…

だからオレは………

「こ……この……」
「え?この?」

「 椎 凪 の 浮 気 者 ーーーっっ !!! 」

「…でっっ!!」


思いきり持ってたピアスを椎凪の顔面目掛けて投げ付けてやった!

ビシッっとモノの見事に額のど真ん中に当たった!我ながらナイス・コントロール!!


「耀くん!!」
椎凪がオレの名前を呼んだけどオレは振り向かずに外に飛び出した。

問い詰めるなんて…オレには出来ない…
だって…きっと椎凪は 『 浮気なんてしてない 』 って言う…
オレと付き合う前に落ちてたんだって…
そう言われたら…オレ…もう何も言えなくなっちゃう……

それにもし頷かれたら……オレは椎凪を許せるの?
あんなにオレの事抱いたくせに…
あんなにオレの事好きって愛してるって言ってくれたのに……

他の女の人がいいの……



「耀くん!」
「!!!」
追い付かれた!慌てて更に逃げようとした時…

「オレは構わないけどさ!誰かに見られてもいいの?」

ギクリっっ!!!

オレは一瞬で動きが止まった!

「はい。確保!」
「…………」

オレの逃亡劇はものの数分で終了した。



「まったく…慌て者だな…」
「何が?」
オレと椎凪はソファに座って話し合いだ。
椎凪はオレの方を向いてるけどオレは真っ正直を向いたまま不貞腐れてる。
「だからご飯あんまり食べなかったの?」
「…食べただろ…」
「無理してね…オレ悲しいなぁ…」
「誰のせいだよ!!」

「もしかして凄く怒ってる?」

「!!!怒ってないよっっ!!!」

ぶん!!っと音が聞えそうなほどの勢いで振り向いて椎凪を睨んで怒鳴った!!

「!!!」

椎凪がものすごく驚いた顔をしていきなり反対を向いた?

「 ……ブッ!!!アハハハ!!!ちょっ…苦し…… 」

大笑いされたっっ!!

「何だよ!!失礼だろっっ!!」
「だっ…どう見ても…おこ…怒ってるのに……くっくっ…」
「うるさいっっ!!」
「可愛いな…本当に耀くん可愛い……」
そう言いながら涙目で椎凪が笑う。
「……何だよそれ…」
「必死に何でもない振りしてるから…」
「必死になんて…なってないもん…」
「そう?それは悲しいなぁ……」
「………」

「耀くんはオレを信じられない?」

「……証拠品あるのに?どうせオレと付き合う前だって言うんだろ?」

「いや…3日前かな。」

「えっ!?」

「会わせてあげようか…このピアスの持ち主に。」
「え?」
「会う勇気があればの話しだけど…」


椎凪がピアスを指で挟んでオレの目の前にかざしながらそんな事を言う……

また…いつもと違う顔だ……どうしてそんな瞳でオレを見るの…椎凪…


「オレの部屋にどんな子が来たか知りたくない?耀くん…?」

ビ シ ッ !!!

「 あ た っ !!! 」

思いきり脳天に空手チョップを叩き込んでやった!

「痛い…!!」

両手で頭を押さえてる。

「ふんっ!!」

いい気味だ!!




……仕方なく手を繋いであげた。

「そんなに怒らないでよ。誤解なんだから…」

「怒ってないって言ってるだろ…」

本当は怒ってる…だってオレをこんな気持ちにさせて…ヒドイよ椎凪…
今はそんなオレにピアスの持ち主を会わせるって言う…
どうせオレなんかより大人の女の人なんだろ……



「え?ココ?」

連れて来られたのは……文化祭真っ最中の…高校?

「え?椎凪?」
「何処だ…」

溢れかえる人混みの中をスイスイと歩いて行く。



「あ…いた。一唏!」
「え?」
「あ!椎凪さん!来てくれたんだ!」

そう言って駆け寄って来たのは……男の…子?
背はオレよりちょっと高目で染めた金髪の髪に両耳にピアスが4・5個ずつついてる…
他にもチェーンやら指輪やら…これで高校生?

それにしても…顔は女の子みたいに可愛い…でもズボン履いてるから男の子だよ…ね?


「し…椎凪?」
「紹介するね。彼は咤鐺 一唏(watanabe ikki)で耀くんより1コ上の高校2年生。」
「誰?コイツ?」
「オレの彼女!」
「は?マジ!?学生だろ?」
「この前話しただろ?」
「冗談だと思ってた。」

「ほらこの前来た時置いていったみたいだぞ。」

そう言ってあのピアスを彼に渡した。

「あ!やっぱ椎凪さんの所にあったのか!」
「おかげでえらい目に遭った。」
「は?」

「浮気したって疑われた。」

「えっ!?マジで?お前さぁ椎凪さんが浮気なんてするはずないじゃん!
だいたい特定の女つくる事自体奇跡なんだぞ!」

「………え?」

「余計な事は言わなくて言いから…と言う訳でわかってくれた?」

「………うん…」

何だか…納得したような…しないような……そんな気分だ……



その後は彼に案内されて3人で文化祭を見学した。
他校の文化祭なんて初めて来たよ…ちょっとドキドキ!!

「でも生徒と付き合ってて大丈夫なのかよ?」

「このスリルもなかなか…」

「オレは心臓に悪いけどね!」

「大丈夫…耀くんが退学になったらオレも一緒だから。」
「それってなんの解決にもなってないだろ!」
「そう?大丈夫…オレがずっと一緒にいてあげるから…」

そう言ってオレの頭を抱き寄せて自分の頭をこつんってした。

「……何だかラブラブだな…」
「だろ?身体の相性もバッチリなんだよ ♪ ♪ 」
「え?」
「バカッ!何余計な事言ってんの!!」
「え?そう?一唏なら平気だよ。」
「ああ…椎凪さんがエロイの知ってるし…それに…」
「一唏!」
「!!…ああ…」

「?」

なんか…今2人の間で何だろ……?





「一唏はオレが最初に受け持った生徒でさ…中学生だったんだけどヤンチャでさ…
でもオレとは気が合ってお互い学校がかわっても付き合いが続いてるってわけ。
時々泊まりに来るんだよ。この前も泊まりに来てその時にピアスが外れたんだね。」

「フーン…」

文化祭からの帰り道…しっかり手を繋いで歩きながら椎凪が彼の事を教えてくれる。
でも一緒のベッドに寝てたんだ…
見た目があんなに可愛い感じだと…ちょっと………


「わかってくれた?」
「何で直ぐに言わなかったの?」

「だってあの時いくらオレが説明してもきっと耀くん信じてくれなかっただろ?凄く怒ってたし…」

「………」

「それに一唏に文化祭誘われてたから耀くんと来たかったしさ。」
「そうだ……もう…誰かに見られてたらどうしよう……」
オレは現実に気が付いてガックリ!!
「さあ…これも運だよ!」
「え?運?」
「そ!でもオレ最近運が良いから大丈夫じゃない ♪ 」

「どんな自信?」

「こんな自信!チュッ ♪ 」

「!!!」

道のど真ん中でキスされたぁーーー!!!!


「椎凪っっ!!」

「愛してるよ。耀くん ♪ 」

ド キ ン !!!

とオレの心臓がまた動き始めた……



「 耀くんだけを愛してる…… 」