順番が逆ですが 『 プロローグ 』 の前のお話です。(1年ほどさかのぼってます。)
椎凪 : 耀の高校の美術の教師兼美術部顧問。
耀 : 元気×2な女の子。椎凪と同じ高校の今回は1年生。椎凪と交際中。
「副担の山崎街でヤンキーに絡まれて怪我したんだって!」
「そうそう!でもたまたま一緒にいた椎凪先生は難を逃れたらしいよぉ〜 ♪ 」
「いやぁ〜よかったぁ〜 ♪ ♪ 」
「山崎なんてどうなったっていいけど椎凪先生は怪我なんてして欲しくないもんねぇ〜」
「やっぱ運も顔次第ってか?」
「やだ!比べたら可哀相だって〜!」
「…………」
さっきからお昼休みの教室でそんな話が盛り上がってる…
女子の間だけだけど…
オレはもうお昼を食べながら耳がダンボだ…でも話の内容が椎凪じゃしょうがない…
だからご飯なんて食べた気がしなくて…今度椎凪にたっぷりと責任取ってもらう。
「可哀想だけど仕方ないよねぇ〜かたや36歳冴えない現代社会のメタボ教師と
かたや25歳独身イケメン美術教師じゃねぇ〜〜」
「…………」
こんちゃんのそんな話にもオレは無言だ…
学校ではなるべく椎凪の話題には触れない様にしてるし…
どこでどんなボロが出るかわからないから…でも今回何でオレが黙ってるのかと言うと…
山崎先生が怪我をした真相を知ってるからだ………
昨夜遅くにいつもの如く椎凪がオレの部屋に来た。
相変わらずベランダから入って来る…なんでなんだろう??
もう祐輔にだってバレちゃったんだから堂々と玄関から入ってくればいいのに…
「遅かったね…」
いつもより1時間くらい来るのが遅かった。
「え?心配してくれたの?」
「そりゃ心配したけどちょっとだけね…って言うか…オレもう眠い…あふ……」
「ちょっと!耀くんヒドイなぁ〜彼氏の心配より自分の睡眠時間?」
「だって……それに椎凪喧嘩強いんだから心配する必要無いじゃん…」
オレは眠い目を擦りながらそんな話をする…だって椎凪ってば祐輔相手に互角なんだもん…
空手の有段者の祐輔が椎凪に掠りもしないって…どう言う事だよ…
椎凪は 『 オレ逃げ足速いから ♪ 』 って言ってるけど…
祐輔が言うには椎凪は結構強くていつもそれを隠してるって言う…
確かにオレも椎凪が強いって言う証拠を見た事が無いんだよな…
だから未だに半信半疑。
「いやさぁ〜今日耀くんのクラスの副担の山崎先生と飲んだんだけど…」
「え?椎凪他の先生と交流あるの?」
「そりゃ大人のお付き合いで。」
「山崎先生って確か独身だよね?」
「うん…?…それが?」
「………別に…」
「ん?…ピン!!ああ…独身男が2人で怪しいお店に行ったんじゃないかって心配してんの?」
「 !!!…そっ…そんな事無いもんっっ!!」
「可愛いなぁ〜耀くんってば ♪ 最近ヤキモチいっぱい妬いてくれるからオレ嬉しいな ♪ 」
「ヤ…ヤキモチなんて妬いてないからっ!!で?それでどうしたの?」
「飲んだ後街中でヤンキーのお兄さん達に絡まれちゃって…」
「え!?ホント?大丈夫だったの?」
「オレはね…見ての通りピンピンしてるんだけど…」
「だけど?」
ナンカ聞くのも怖いけど…
「山崎先生がド突かれて思いっきり倒れて…」
「倒れて?」
「身体に数箇所の打撲と擦り傷と左足首捻挫!」
「ええっっ!!」
「それから警官が駆けつけて…何だかんだと色々聞かれて…山崎先生を病院に送ったり
その後家まで送ったりしてたら遅くなっちゃって…1度家に帰ってシャワー浴びたら
こんな時間になっちゃったって言うわけ。わかった?」
「…わかったけど…山崎先生大丈夫なの?」
「彼氏の心配より副担の心配?」
そう言ってベッドの上に座ってるオレの顎を椎凪がクイッと片手で持ち上げた。
「 ……ンッ!!…ンッンッ…!!! 」
思いっきり舌を絡ませるキスされた!!
「…んっ…もう椎凪…やめっ…だって椎凪何処も怪我してないじゃないかっ!!」
必死に逃げて本当の事を指摘した。
「怪我でもしてたら心配するけど…」
「オレそんなドジじゃ無いもん!!」
「ドジって…そう言う問題?」
「で…1週間くらい学校休むらしいんだ…山崎先生。」
「そんなに酷いんだ…」
「あの体重だからね…突き飛ばされて自分の全体重が足に掛かったんだから…相当じゃ無い?」
「確かに……」
あの体格じゃね…
「でね…オレが誘ってそんな風になっちゃったから…」
「え?椎凪が誘ったの?」
「そう。前から飲もうって誘われてたから…この機会にって…」
「…………」
何だか…嫌な予感が…するのは…気のせい???
「明後日1年生ってテーマパークに遠足でしょ?
だからオレが山崎先生の代わりに行く事になったからぁー ♪ 」
「 !!! 」
椎凪が両手を自分の目の前で握り締めて満面の笑顔で微笑んだ。
「椎凪っ!!!」
オレは間髪入れずに椎凪の名前を呼んだ。
「ん?何耀くん?嬉しい?」
「……まさか…ワザと?」
「え?」
椎凪はにっこりと笑ったままだ。
「まさか…オレの遠足について来る為に山崎先生に怪我させたんじゃ……」
「いやだなぁ〜〜〜耀くんってば ♪ とんだ濡れ衣だよ。オレがそんな事するはず無いじゃん ♪ 」
「だって怪しいじゃないかっ!そんな偶然に絡まれて怪我なんてしないだろ?」
「偶然だって!運が悪いよねぇ〜〜山崎先生ってば!」
「椎凪!!正直に言って!!」
「じゃあ耀くんはオレがワザと今夜山崎先生を誘って…酔わせて…悪ガキ達に絡ませたって言うの?」
「…そ…それは…」
「オレはただ…たむろってるなぁ…って眼差しで見てただけなのに相手が絡んで来たんだよ。
オレ喧嘩なんてしたく無いから逃げてたら山崎先生が酔った勢いでそいつらに説教し始めて…
そしたら突き飛ばされて…たまたま立ってたオレの足につまずいてコケただけなのに…
それがオレのせいなの??」
「どどど…どう見ても椎凪のせいじゃないかっっ!!! 」
怪しさ100%だろ!!どう見ても椎凪の策略に山崎先生嵌められただろっっ!!
倒れ込んでる山崎先生を椎凪がニンマリと笑って見下ろしてる顔が想像出来た!!
「そう?」
「椎凪!!…あっ!!」
いきなりベッドに押し倒された。
「一緒には回れないけどずっと同じ場所にいれるね…」
「…椎凪!!」
「なに?」
「どうしてそんな事…」
「耀くんの事愛してるからに決まってるだろ…ずっと傍にいたいんだ…」
「……椎凪…」
「耀くん…」
「悪どすぎ!最低!!」
「えっ!!ナンデ?愛情の深さの現れでしょ?」
「そう言う問題じゃないよ!腹黒!!」
「!!………ヒドイな…オレの一途な愛情をそんな風に……」
「一途って…そんな事言いながらパジャマ脱がせないでよ!説得力無い!」
「後は身体で…」
「あ…」
「時間無いから…」
「あ…ちょっと…いきなりなんて無…」
椎凪がさっさとオレの足を開いて間に入って来る。
「だって耀くんお眠になっちゃうもん。だから ♪
それにいつでもオレを受け入れる体勢は万全でしょ!」
「万全って何だよ!
いかにもオレがいつも椎凪とこんな事したいって思ってるみたいじゃ…うあっ!!」
オレは椎凪に押し上げられて大きくのけ反った。
「や…ホントに…した…」
呟きながら椎凪の洋服を握りしめた。
痛いわけじゃない…ただ椎凪がオレの身体の奥の方まで入って来たから…
突然の事で息が詰まる…
「…あ…ン…」
「当たり前でしょ…」
「アン!!」
椎凪がゆっくりと動き出すからそんな声が洩れちゃう……
「オレは耀くんが欲しいんだから……」
「あっあっあっ!!や…椎凪…もう少し優しく……」
何で…?すごく乱暴だ…グイグイと身体が押し上げられて持って行かれる…
「ダメ!オレ以外の男の心配したから!」
「だって…苦し……うっ……」
両手は身体の両脇にベッドに押さえ付けながら椎凪の方に引っ張られてる…
両足もそんなオレの腕を引っ張る椎凪の腕がオレの腕を引きながら下から持ち上げるから…
足が持ち上がって自分の身体の上に乗る…
そんなオレの身体を椎凪が体重を掛けて押し上げるから…苦しい!!
でも……同じ位に…身体が感じて……ダメだ……どうにかなっちゃう!!!
「…あっ!…あっ!」
「耀くん声大きい…彼に聞こえるし近所にも聞こえちゃうよ。」
「そ…そんな…こ…言って……も……うあ!!…ふっ…う!!」
唇を噛んで必死に声が出るのを我慢した。
「…その顔もいいな…くすっ…」
「…………」
目はギュッとつぶってたから何も見えなかったけど…しっかりとそんな声だけは聞こえてた……
椎凪め〜〜後で覚えてろ!!!
「……ン…」
目が覚めたら身体に何かがへばり付いてた……
「…ん〜何?」
オレは朝が苦手…
だから寝ぼけ眼で自分の身体を確かめたらオレの身体に背中から腕が回されてた…
「ん?椎凪?」
「んー…おはよう…耀くん……」
椎凪も今起きたみたいだった…
「帰るの面倒くさくなって泊まっちゃった…」
「だって明け方までしてたじゃん…半分寝てたオレの事たくさん攻めてさ……」
「へえ…分かってはいたんだ…感じてはくれてたみたいだけど1度も目を明けないから
寝ちゃってたのかと思った。」
「そう思うなら止めてよ……朧げながら覚えてた……」
そう…身体が感じ過ぎちゃって抵抗出来なかったんだもん…
そしたらいつの間にか寝ちゃってた…
「朝ごはん作ってあげる…何がいい?」
「ご飯と味噌汁…」
「じゃあおかずはお任せね。待ってて愛情たっぷりの朝ごはん食べさせてあげる…チュッ ♪ 」
そう言ってオレの頬に軽い触れるだけのキスをして椎凪がベッドから抜け出した。
「 !!! 」
何一つ身につけてないオールヌードの椎凪の後ろ姿がオレの目の前に飛び込んで来る!!
「ご希望ならこのままそっち向いてもいいよ ♪ 」
「やっ!!けけけ…結構ですっっ!!!」
オレの視線に椎凪が気が付いてそんな事を言う…
オレは椎凪とあんな事いっぱいしてるけどそう言う免疫はついてない!!
「そう?朝からいいもの見れたのに…後悔しないでよ。」
「し…しないよ!!朝からそんな刺激の強いモノ見たら今日1日大変だもん!!」
今だって椎凪のお尻が………
「は…早く服着てよ…!!」
「いい加減慣れたんじゃないの?」
「慣れないよ……」
「フフ…まあいいか…じゃあ支度できたら下りておいで。」
「うん……」
椎凪がそう言ってシャツのボタンを掛けながらオレの部屋から出て行った。
「まるで自分の家みたいな振る舞いだな…椎凪ってば……」
オレはそんな事を呟きながら床に落ちてる自分の服を拾い始めた…
「 ………何でテメェが朝から此処にいる? 」
祐輔がキッチンに入るなり超不機嫌な態度で文句を言う。
「え?お泊りしたからに決まってるだろ。初お泊りだよ ♪ 」
椎凪がコーヒーを持ちながら綺麗にターンして笑顔付きでそう言った。
「浮かれてんじゃねー!いつ来やがった?この夜ばい男!」
「え?オレって神出鬼没なの!何なら今度は祐輔の部屋に忍び込んでやろか?」
「やってみろ!瞬殺で殺して部屋から叩き出してやる!!」
「もう朝から止めてよ2人共…すぐ喧嘩するんだから…」
「そうだよ。折角の愛情たっぷりの料理が冷めちゃうじゃん。」
「冷めきって別れちまえ!」
「ムッ!!何!?折角美味しいコーヒー淹れてあげたのにその態度!」
「もとはウチのコーヒーだろうが!威張んなっ!スケベ野郎!」
「!!!」
「もう…祐輔…椎凪…」
ダメだ…2人共何でいつもこんなんなんだろう……仲良くしてくれればいいのに…
ギャイギャイとまた2人が揉め出したけどオレが何を言っても収まらないから
最近は放っておく事にしてる…
「ふわぁ〜〜美味しい…オレ幸せ ♪ 」
朝から椎凪の作ってくれた味噌汁を啜りながらオレは超幸せ。
「でしょ ♪ オレの愛情たっぷり入ってるからだよぉ〜〜 ♪ 」
椎凪はニコニコだ…凄く嬉しそう。
「ならオレにはお前の愛情が一欠けらも入ってねえ味噌汁!」
「!!!無いよっっ!そんなのっっ!!!」
「なら今から作れ!馬鹿教師!!」
「作るかっっ!!」
「…………」
そんなこんなで朝から一悶着!
椎凪は諸々の事情でオレ達より一足先に学校に出掛けて行った。
そんな事があったお昼の話でオレは山崎先生に申し訳ない気持ちがいっぱいだったんだ……
だって…山崎先生が怪我をしたのは……オレのせいだから……