07



  順番が逆ですが 『 プロローグ 』 の前のお話です。(1年ほどさかのぼってます。)
  椎凪 : 耀の高校の美術の教師兼美術部顧問。(耀の事は”ようくん”と呼ぶ)
   耀 : 元気×2な女の子。椎凪と同じ高校の今回は1年生。椎凪と交際中。(”オレ”と言う)






「あ…あ…あ…ンン…」

身体が乱暴に押し上げられてどのくらい経つんだろう…
噛み付くようなキスと舌を絡めるキスをずっとされて苦しくて…

逃げたりなんかしないのに両手を後ろ手に椎凪のベルトで縛られた…

こんな事初めてでオレはどうしていいのかわからない…

「…椎凪…こわ…い…これ解いて……」
「ダメ…耀くんが逃げるかもしれないから…」
「逃げない…逃げないから…」

もう…苦しい…畳み掛ける様に押し上げられ続ける…

「ああ…もっ…椎凪やめ……やだ…!!やあ!!」

椎凪の指で…舌で…椎凪自身で…
何度も何度もイかされて身体はもう自分の身体じゃないみたい…

「まだ…足りない…オレがどれだけ耀くんの事が好きか…どれだけ愛してるか…身体で感じて…」

「ンア!!あっあっあっ!!」

俯せで力が入らないオレの腰に椎凪の手が触れて抱き上げられて
思いきり後ろから攻められて抱かれた…

「あ…あ…椎凪…も…オレ…身体変になる…身体…壊れちゃう!!」

「耀くん…」

「うっ…ああ!!」

オレを包み込める椎凪が背中からオレを抱き抱えて更に押し上げる。
逃げられないオレの身体の奥まで椎凪に押し上げられて
頭が変になるほどの刺激がオレの身体を這い廻ってる…

「ああ…あっあっ」

もう自分がどんな恰好でどんな状態かもわからない…

「し…いな…も…やめ…て…お願い……」


泣きながらお願いしたのにその返事は仰向けにされて…

奥の奥まで椎凪に何度も押し上げられた後抱き起こされて椎凪の膝に座らされた…

「あ…あ…」

オレはまともに座ってられなくて椎凪がオレの背中と腰に腕を廻して支えてる。

「解いてあげるからオレの事…抱きしめて…」

「はあ…はあ…」

コクコクと条件反射の様に頷いた。
コトリと音がして床にオレの手首を縛ってた椎凪のベルトが落ちる…

言われた通り椎凪の肩に腕を廻して抱き着いた…
抱き着いたと言うよりもう自力では起きてられなくて
ぐったりと椎凪にもたれ掛かったと言った方が正しい…

「耀くん…しっかりして…まだ終わって無いよ…」

「…はぁ…はぁ…?…」

椎凪の甘く囁く声がオレの耳に優しく響く…
でもまだ終わって無いって…どう言う事…?


「愛してる…今の耀くんを…愛してる…子供の耀くんを愛してる…

これからの耀くんも愛し続ける…だからずっと…オレを好きでいて…ずっとオレを……愛して…」


「ビクンっ!!ひゃっ…ああっ!!!」

オレの腰の後ろで交差してた椎凪の両腕が椎凪の方に引かれながらオレの身体を下に押し込む…
同時に下から押し上げられてものすごい衝撃がオレの身体を貫いた!

「はっ!!!あっあっ!ンアア!!!」

ギシギシとベッドが軋む…

押し上げられる度にのけ反るオレから汗なのか涙なのか滴が飛ぶ…

のけ反った身体が倒れないように椎凪にしがみつく…それの繰り返し…


「椎…凪…あっ…」
「耀くん…」
「ふぁ…ん!!」

上から押さえつけられて下から押し上げられてキスで口を塞がれてオレ…もう…

「ふあっ……うっ…」

頭も身体も痺れて真っ白で…だめ…オレ…もう………


「ああああっっ!!」


何度目かに押し上げられた後……オレは…意識を失った…



「はぁ…はぁ」


こんなに…好きで…愛してる…ずっと傍にいて欲しい…オレだけを見てて欲しい…

なのに…耀くんはオレに抱かれてる間…


      一度もオレを好きとも愛してるとも言ってくれなかった…


「耀くん…」

オレの膝の上で気を失ってる耀くんをそっとベッドに寝かせた…
涙で濡れた頬を掌で拭いた…縛って赤くなった手首にキスをした…

こんなになるまで抱いて…辛い思いもさせた…

「はあ…」

ちゅっ…っと眠ってる耀くんの頬にキスをした…

ああ…明日学校だった…と今になって思い出した…





「……ん…」

身体が重くて苦しくて目が覚めた…あれ…ここって…オレどうしたんだっけ…

「…ン?」

抱き抱えられてる…確かめると椎凪がオレを背中から抱きしめて寝てる…ああオレ…

「え?あ…今何時?」
そうだよ…寝ちゃたから…部屋の中の時計を見付けて目をこらすと…
「えっ!?1時?」
夜中の?ウソ!?
ガバッっと跳び起きたらクラリと眩暈がした…身体も重くて怠い…

「耀くん?」

「…椎凪…」

「寝ないと今日学校もたないよ。」
「……………」
「そんな目で見ないでよ…」
「誰のせいだよ…」
「怒った?」
「怒った!だって椎凪乱暴だったし強引だったし激しいから…
オレついて行けてなかったのに…無理矢理した…」

それに…恥ずかしかった…感じすぎて…あんなに叫んで泣いて…


「…ごめんね…」

「やだ!許さない!」

「耀くん…」

椎凪が途端に不安げな顔になる。
そうだよ少しは反省すればいいんだ!

「そんな事言わないでよ…オレ…不安で…耀くんと離れなれなくなる…
鎖で繋いで…ここから出さないかも…」

「恐い事言わないでよ!」

ただ…椎凪は本当にやりそうで恐い…

「チュッ…」
「!!」

振り向いて椎凪に触れるだけのキスをした。
椎凪はものすごいびっくりしてる…

「甘えさせてくれたら許してあげる…」
「え?」
「オレ…椎凪に甘えたい…安心したい…癒されたい…」

言ってる間も椎凪の首筋に顔を近付けてスリスリした…
だってさっきの椎凪は強引過ぎてオレは少し怖かったから…

「耀くん…」
「…………」

今度は椎凪の胸にスリスリした…

「…………」

椎凪が黙ってオレをそっと抱きしめてくれた…
抱きしめながら頭や顔や色んな所に触れるだけのキスをする…

「くすぐったい…椎凪…」
「癒しのキスとごめんなさいのキスだから…受け取って…」
「何であんなに怒ったの?オレ船越君と帰ろうなんて思わなかったのに…」

そう…今回のこんな事になった原因だ…

「オレだって焦るんだよ…オレなんかより同級の男がいいのかなってさ…
耀くんオレとの関係煩わしく思ってるし…教師のオレより学生の彼氏の方が気楽だもんね…」

「煩わしいって訳じゃないよ…そりゃ気は使うけど…」

「ほら…やっぱり…」
「だからってそれを理由に椎凪と別れたりはしないよ…椎凪が浮気とか…」
「浮気なんてしない!」
「オレに飽きたりとか…」
「飽きたりなんかしない!」
「大人の女の人が良くなるとかしない限り。」
「耀くんがいいの!耀くんだってすぐに大人の女になるよ。」
「オレが大人の女の人?」

「 「 ……… 」 」

2人でオレの大人の姿を想像した。らしい…

「ぷっ!」

椎凪がいきなり噴出した!

「あ!何で笑うんだよ!」
「いや…」
「何?」

「大人になっても耀くんはいつもオレを怒ってオレに迫られて慌てまくるのかなぁって…」

「そ…そんな事無いよ!高校さえ卒業すれば…きっと普通になるもん!」

「ホントに?」
「多分…」
「そっか…ふふ…楽しみだな…」

「まあオレが卒業するまで付き合ってればの話しだけどね。」

「!!」

「ん?」
「耀くんもしかして 『 S 』 ?」
「は?何で?どう見ても椎凪の方が 『 S 』 だろ?今日の自分のした事覚えてないの?」
「だって…オレを不安にさせる事ばっかりするし言うし!」
「そう?椎凪が大袈裟なんだよ。」
「そんな事無い!耀くんが気にしなさ過ぎなんだよ!」

「あ…どうしよう…祐輔心配してるよな…」

オレは椎凪をワザと無視してそんな事を言う。

「ちゃんと連絡しといたよ!耀くんの携帯にも祐輔から連絡あったし。」
「そっか…よかった…朝早目にここ出て一度家に寄らないとな…」
「起きれるの?」
「え?あ…無理…かな…椎凪ぁ〜〜〜」

お願いの眼差しで訴える。

「はぁ〜…はいはい…ちゃんと起こすし朝ご飯も食べさせてあげる。愛してもあげる。」
「朝からそれはいらない!起こしてご飯食べさせてくれればいいよ。」
「 !!!! 」
「ん?」

「だからそれが耀くん 『 S 』 でしょって言ってるんだよっ!!」

オレは頭を捻るばかり…どう見たって椎凪の方が 『 S 』 なのに…




次の日の朝…なんとかごねる椎凪を黙らせてご飯も食べて家に戻った。
黙らせるのに椎凪の感覚の軽く抱かせて!をされて…

オレは昨夜の疲労も癒えないまま…また椎凪が満足するまで抱かれてしまった…
ホント椎凪ってばタフだ…ホントオレって…椎凪には勝てない…



「ったく…何やってんだ?耀…ちゃんと前もってオレに言え。」
「ごめんなさい…」

祐輔はカンカンで…でもオレに怒ると言うより年上の尚且つ
教師の椎凪の方に怒りの矛先が向いてるらしいからオレはあんまり怒られない。

ごめんね…椎凪…


教室に行くと船越君がオレに話し掛けてきた。
オレはドキリとする…だって…昨日は彼が原因で大変な事になったから…

「望月って付き合ってる奴がいるんだってな。」
「はい?」

え?何?何でいきなりその話題??

「昨日さ帰り際に椎凪先生に呼び止められてさ…」
「し…椎凪……先生…に?」

オレは一気に心臓バクバク!!
あの後船越君に話し掛けれるって事は…やっぱり教室の近くにいたって事??

「そう。まあ最初は委員会の話とかしてたんだけど…色んな話になってさ…
椎凪先生って何か気さくで話盛り上がっちゃって…」
「………」
「そしたら望月の彼氏の話になっちゃってさ…」

どんな話の展開でそうなるの???



「あれ?望月さんは?一緒に帰らないの?」
「え?ああ…俺達そんな仲じゃ無いし…それに今一緒に帰るかって誘ったんだけどフラれたし。」
「へえ…もしかして密かに狙ってるとか?」
「え?ああ…望月結構男子に人気あるからね…狙ってる奴多いらしい。
でも同じ1年に新城って奴いるだろ?アイツ義理の兄妹らしくてスンゲェ目光らせてるから
1年で望月にちょっかい出す奴なんていないよ。売られた喧嘩は買うタイプらしいしね。」
「そうなんだ…」
「俺は…まあ…クラスメイトってくらいかな…特別な感情は無いって言うか…」
「それに彼女彼氏いるらしいから…」
「え?そうなの?」
「友達が見たらしいよ…年上の男でとんでもなくヤキモチ妬きなんだってさ。」
「へえ…まあ望月ならいるだろうな…」
「あ!読書週間の企画良い案浮かびそう?」
「え?ああ…今の所思いついてないんだよね…望月もそう言うの苦手って言ってたし…
ウチのクラス厳しいかも…先生…」
「そっか…でも船越君のクラスだけじゃ無いから気楽に考えてみてよ。
じゃあ引き止めて悪かったね。気をつけて帰ってね。」
「んじゃ!先生もお疲れ!」



「へ…へぇ…」

椎凪自分で自分の事説明するなんて…ホントにもう…
だからあの時準備室にいなかったんだ…

「で?企画考えたか?」

「え”っ!!」

急に船越君が話題を変えた。

「その顔じゃ無理だったか…」
「あ…ごめ…」

だって昨夜は無理だもん…
でも原因は責任者の椎凪のせいなんだから仕方無いよね!!

そんな事を思いつつ…また各自宿題と言う事でお互い何とか頑張ろうと決めた。



オレはその日1日…

筋肉痛の身体と疲労と何度と無く襲ってくる睡魔に何とか耐えながら

1日を過ごさなくちゃいけなかった……