prologue

* このお話はBL要素を含んだお話です。苦手な方はご遠慮下さい。
  本編とは全くの別なお話になっていますので本編とは切り離してお読み下さい。 *

  一雅(Kazuma) : 慶彦の幼馴染み。子供の頃から『慶くんLove!』。亨に目の敵にされてます…    




〜 プロローグ 〜

孤児だったオレは5歳の時亨に引き取られた。
その日にオレの事を 『 愛してるから一緒に暮したかったんだ。 』 って言われた。
子供だったオレにはその言葉の意味は 分らなかったけど
とにかく亨は優しくしてくれたし大事にしてくれたからオレは気にしてなかった。

「いい?慶彦…これからは僕との挨拶はキスを必ずするん だよ。
おはようのキス行ってきますのキスただいまのキスおやすみのキス
あと嬉しい時も悲しい時もキスしていいんだ…わかった?」
「うん…わかった…」
本当は良く分かっていなかったけど頷いた。

幼稚園の時の挨拶のキスは頬にキスだった。
小学校に上がると口にする様になって初めての夏休みには亨が舌を 使った…
オレはされるがまま…別に嫌じゃなかったし舌の先が当たるだけのキスでくすぐったかった。
高学年になるとオレも舌で返した…亨の真似してだけど… 亨が喜んでたのを憶えてる…
中学に入ると亨がベッドでオレのパジャマの中に手を入れてきた…
それまでに散々パジャマの上からチョッカイ出されてたし
首筋や 鎖骨辺りをキスと舌が振舞われてたから別に気にならなかった…
それからは毎晩の様に慣らされて…裸にされて遊ばれた…
「愛してるよ…慶…」
毎晩毎晩そう 囁かれて…
亨がオレにくれる何とも言えない心地良さを堪能してる自分がいて…拒まなかった…
…いつだっただろう…亨と一線を越えたのは…確か…オレの14の誕生日 だったか?

亨との関係が普通の家のものとは違う事には気付いていた。
亨はオレの親じゃない。親代わりだと最初から言われた。
だからオレの苗字も「椎凪」 のままだ。
何故だかわからないけど…オレに息子は求めて無かったって事だろう…
「お父さんとキスする?」
小学3年の時友達に聞いた事がある。
「するわけないじゃんっ!!何お前してんの?」
もちろん「してない」って答えた。
その日の夜さっそく亨にその事を話すと
「だって僕と慶彦は親子じゃないん だからキスしたって構わないんだよ。」
ニッコリ満面の笑顔で言われた…
そうだよな…オレと亨は親子じゃないんだ…
他人なんだから…キスしたっておかしく はないんだ…
子供心に納得した。

「オレんトコ無理!亨うるさいから。」
高校のクラスメイトの知り合いの女を一晩預かってくれって言われたけど…
とにかく亨の奴は自分の家に女子が入るのを極端に嫌う。
相手が小学生でもダメだった…異常なまでに毛嫌いをする。
だから泊めるなんてとんでもない事で直ぐにバレるのは目に見えているし…
それにそれ以前にオレには そんな事をする義理は無い!
クラスメイトも友達ってわけじゃないし…
困り果ててるみたいだけど知ったこっちゃないし…
「そーだぞっ!慶くんが女なんか泊める かっ!」
一雅もオレ以上に拒絶してくれてるから助かる。


「慶くーん!遊そぼ。 」
鍵の掛かっていない玄関を開けて勝手に上がる。
僕の為に 開けておいてくれてるんだから当然の事だ。
リビングに入ると慶くんがソファで眠ってる…
うひゃぁ…コレはチャンスじゃないの?
眠ってる間に慶くんにベタベタ しまくっちゃおう
「ん?」
何気に勘が働いてそっと慶くんの洋服の襟をめくった…

「ええーーっっ!!」
うそっ…慶くんの胸に…慶くんの胸に…

キスマークがついてるぅーー!!

なんで?なんで?慶くん…キスマークなんて…いっ…一体誰に…?
すんごいショックなんだけどぉ…僕というモノがありながらぁ… 慶くん…
そうだ!僕も付けちゃお!!
慶くん起きそうも無いし…今がチャンス!
僕はドキドキしながらそっと慶くんの胸に唇を近付けていく…
もう少し… もう少しだぁ…初めて慶くんの素肌に口で触れられる…
まさにあと数ミリの所で頭に激痛が走った!

「 がしっ!」
「カズ…何してるの?」
自称親代わりの亨ちゃんが僕の頭を鷲掴みにしながら力を込めていく…

「ぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎり……」
「あだだだだだだだだ…」
頭が割れる… 潰れる…変形しちゃう…
慶くんは今だスヤスヤとお昼寝中。お互いに慶くんを起こさない様に
小突き合ってる所は敵同士感心する。
「痛いなぁ!!離してよっ!!」

なんとか身体を捻って締め付ける亨ちゃんの掌から逃れた。
「慶が寝てる間に何しようとしてるの?このセクハラ小僧!」
「何だよっ!!幼馴染みに向かって侮辱 しないでよっ!!
僕は慶くんの事好きなんだからいいの!」
「セクハラの上に妄想癖まであるなんて…もうここに出入り禁止だよ。」
真面目に言ってる所が余計 ムカつく!

「大体おかしいじゃん!!」
「はー?何が?」
「どうして慶くんの部屋にベッドが無いの?
この家昔からベッド一つしか無いじゃんっ!!
未だに慶くんと亨ちゃんが一緒に寝てるなんて…絶対おかしいっ!!
って言うかそれこそセクハラ!!」
「別におかしくないよ。僕達親子でも兄弟でも無いんだから
一緒に寝てたって何処もおかしくないじゃないか?君ってホントバカだね。」
「バカって言うなっ!!言ってる亨ちゃんの方がバカなんだぞっ!!」

もーなんだよ…だんだん訳分かんなくなちゃったよ…
そりゃ親子や兄弟で毎晩一緒に寝てたらチョットおかしいけど…
血が繋がってなくたって大の男が2人で寝てる なんておかしいよ…
慶くんのキスマークの犯人は絶対亨ちゃんなんだっっ!!くそぉ…
「こっ…このエロ親父っ!!これ以上慶くんに変な事したら僕が許さない からねっ!!」
「……エロ親父?ふーん…そう?別にいいんだよ…このマンションから引っ越したって…」
意地悪く半目の横目で言われた。
「わぁーーー ごめんなさいっ!!もうエロ親父なんて言わないからっ…
引っ越すなんて言わないでよぉ…」
ダメだ…それを言われると僕は即敗北…
「そう?判ればいいんだよ… カズ…」
ざまあみろと言う顔してる…うー…このサドめ…
小さい頃から僕をイジめて楽しいのかよ…僕は慶くんと離れるなんて死ぬほど嫌だ…
それを分ってて 何かって言うと「引っ越す」って言うんだ…くそぉ…


偶然カズと帰りが一緒になって歩いてたら3人組の男にイチャもん付けられた…
「カズ…」
「OK!」
なかなか開放してくれないから仕方ない。
「とりあえず手加減してよ。」
「判ってるって!」
カズは空手を習ってて強い。道場でも上のクラスだった。
慶も一緒に通って2人共メキメキ上達した。もう2人共辞めたけど…
(慶彦が辞めたら一緒に辞めた…まったく…)
でもカズは外見に似合わず喧嘩が好きらしい… 型を自己流に変えて楽しんでる…
僕が慶に纏わり付いてるカズを黙認してる理由の1つがコレ…
それにななかなかどうして頭も良い…
慶と競ってる… 見た目軽そうなのに…不思議としか言い様が無い…
一番の理由は慶がカズを親友と思ってるからだ…