06

  * 軽いR15のお話があります。





「ん…ぁん…」

希愛を連れて生徒会室に戻るとドアの鍵を締めてソファに座った。
希愛は僕の膝の上だ。
生徒会室に入った途端希愛の唇に触れるだけのキスを繰り返す。

こんなふうに希愛にキスするようになったのはいつからだっただろう?

確か自分が中学のころだったか?
最初はテレまくってた希愛だったけど何度か繰り返すうち大人しく受け入れるようになった。

っていうか拒否なんて僕が許さない。

「希愛…」
「聖くん……クスン…」

未だに希愛はグズグズと泣いてる。

「いい加減泣き止みな」

そんな言葉をかけながら希愛にするキスはやめない。

「ごめんなさい…私のことき嫌いにならないで…聖くん…」
「だから希愛は悪くないって言ってるだろ」
「でも……」
「じゃあ希愛は僕に怒ってほしいの?呆れてほしい?嫌いになってほしい?」

僕はわざと責めるように希愛に詰め寄る。

「そ…そんなこと…」

いつも卑屈になる希愛が言い過ぎたと後悔して心配そうに上目使いで僕を見つめるのがたまらない。
だから必要以上に希愛を責めて僕に許しを請うように追い詰める

「ならもう黙りなよ希愛」
「うん…」

僕は赤くなった希愛の唇をペロリと舐めた。

アイツ……絶対許さない。

まだ社会人ではないけれど高校生になってから父親や祖父さんにくっついて
会社にも出入りするようになってた。
大学生になればもっと会社に絡んでいくのはわかってるし
それなりの仕事も任されることになるだろう。
だから結局祖父さんに頼ることになるだろうがきっと祖父さんも
僕と同じ思いになると断言できるから貸しになろうが構わない。

今すぐアイツにはもう2度と希愛に近づけないように制裁を与えてやる。

「はぁ……聖くん……」

一途な希愛はきっと自分を責めてるはず……僕はそんな希愛の気持ちを軽くするだけだ。

「ちゅっ……」

軽い触れるだけのキスから希愛の舌を絡める激しいキスへと変えていく。
もう何度となくしてるキスに希愛はいつまでたっても慣れない。

「希愛……力抜いて…」
「ふ…ぅん……はぁ……」

散々希愛の口内を堪能して唇を離すと希愛はいつも大きく息を吸う。

「いい加減慣れなよ」

片手で希愛の背中を支えて片手で希愛の顎を持ち上げる。

「……」

赤い顔して潤んだ瞳で見上げる希愛に僕はどうしようもないほど愛しさが込み上げる。

「好きだから……嫌いにも呆れたりもしないから安心して」
「本当?」
「本当だって」

希愛の制服の胸元に顎から離した指をかけて鎖骨がはっきりと全部見えるように広げる。

「あ…ダメだよ聖くん……ここ学校……真樹ちゃん来ちゃう……」
「真樹は当分帰って来ない」

いくらなんでも気を使うだろ。

「でも…ひゃう!!」

希愛の首にチュッと唇を押し付けたらピクンと身体が跳ねた。
ああ……可愛い。

「あ…ダメなの……聖くん……んんっ!」

啄むキスを希愛の首と肩と鎖骨に落とす。
鎖骨にキスマークを付けることを忘れない。

「は…やん……」
「……」

まったく希愛は可愛い声をだすよね……

本当ならここで最後までいきたいところだけど……僕と希愛は今のところをココまでだ。
これが自分か希愛の部屋ならもう少し大胆なこともしてるけど……

高校3年の……たとえ金持ちの息子だろうと身体は世間一般の男と同じだ。
だから人並みに高校生らしい性欲だってある。

しかも誰かを探さなくたって愛しい 『婚約者』 までいる身だし。

「希愛……早く大きくなれ」
「んっ……え?」

僕の首と鎖骨にと落とすキスとさらに加わった僕の膝の上に乗ってる希愛の滑らかな素足を
撫でる手の刺激に意識を取られてる希愛には聞こえなかったみたいだ。

幼い希愛に今手を出すのはここまでと自分に言い聞かせる。
せめて希愛が16歳になるまでは忍耐の2文字だ。

僕は希愛が大事だ……本当なら僕の部屋に閉じ込めてしまいたいほど。
でもそれは流石にできないから……

「希愛……好きだよ」
「うん……」
「希愛は?」
「うん……大好き……」

そう言って僕の首に廻してた両腕に力を込めて僕に寄り添うと恥ずかしそうに希愛は僕の胸に顔をうずめた。




──── 翌日。

朝自分の教室に入ろうとする丹下は教室の前の廊下で声を掛けられた。

「お前が丹下良成か?」
「ん?」

見ればひと組の男女が目の前に立ってた。
制服姿だったからこの学校生徒だろうと思うが顔は自分のクラスにはいない…初めて見る顔だった。
男は短めな真っ黒なストレートな髪で凛とした雰囲気を漂わせ腕を組んでる。
隣に立ってた女は男より背が低くてやっぱり黒髪の肩より長めのストレート。
ちょっとキツイ感じの顔つきで腰に手を当てて……

ただ2人に共通の印象は運動神経良さそうというのと俺に対して怒りを露わにしてるってこと?
なんでだ??

「お前ら誰?」
「オレは錦織(nishikiori)こっちは長雅(nagamasa)」

俺の方を向きながら自分の紹介と女のことは顎で指した。

「は……ぁ?」

だからなんだ?

「ったく!余計な仕事増やしてくれたよな?丹下良成!!」
「ホントよ!!このエロボケナス男が!」
「は?」
「お前のせいでオレとコイツは聖にこの学校に転校させられだんぞ!」
「な?」
「オレはお前の監視でコイツは希愛の監視でな!ホント腹立つっ!」
「うわっ!!」

いきなり胸倉掴まれて殴られる勢いだ。

「いいか?これ以上オレ達の仕事増やすんじゃねぇぞ!希愛の半径10メートル以内に近づくな!
近づいたら殺す!」
「それじゃ廊下でもすれ違えないじゃないか!」
「ああそうだ!希愛を見かけたら回れ右しろ!希愛の視界から消えろ!」
「無茶苦茶な…」
「話しかけても殺す」
「1秒以上見つめてもただじゃおかないからね!」

女にも言われた。

「なんなんだよ…」

ホントわけがわからない!?

「お前が希愛に手を出したからだボケ!自業自得だ」
「あんたの親も可哀相〜今頃大損害被ってるわよ〜フフフ ♪ 」
「?」
「ま!自分が育てた子供がしでかしたことだもんね ♪ 仕方ないわよね」
「何だよ?」
「お前の軽率な行動が宝仙グループの怒りを買ったってことだよ。
自分が誰にどんなことをしたのか身をもって知るんだな」
「………」
「とにかくお前は残りの人生まっとうに送りたかったら二度と希愛にかかわるな。出来れば転校しちまえ。
そうすりゃこっちも面倒が省ける」
「そうよ。まぁもしかしたらあんたの親が勝手にそうするかもね ♪ 」
「??」

訳のわからなかった良成だったがその日家に帰ると怒りをあらわにした両親に詰め寄られることになる。



『お前宝仙さんのお孫さんに一体何をしたんだ!?』

そう言いながら胸倉掴まれて今度は冗談抜きに親父に殴られた。
話によると今日の朝 『宝仙州太郎』 氏(宝仙家・本家当主兼宝仙グループ総帥)から親父に電話があったらしい。

『宝仙家の嫁になる私の孫の許婚がそちらのご子息に不埒なマネをされたのでそれ相応の対応をさせていただく』 

と親父が取り付く島がないほど素っ気ない電話が掛かってきてあっという間に切られたらしい。

それから昼を迎える頃には決まりかけていた大口の契約が何本も破棄の状態になり今まで取引を
していた幾つもの会社からは今月一杯で取引を中止するとの電話が入った。

『とんでもないことをやってくれたな……良成……』
『………』

まさか自分のあんな行動が……こんな大ごとになるとは思わなかった。
いつもの軽い遊びのつもりだった……大体は最初は驚きながらもお互いちょっとの間楽しむ。
そんなキッカケを作るつもりだった……確かに気になってた女の子だったけど……
そこまで執着してたわけじゃないし本気だったわけじゃない。

『宝仙家のすべてがお前の相手だ。覚悟しとけ』

アイツはそう言った……

『2人の結婚を決めた聖のお祖父様も希愛ちゃん可愛がってるから聖をとめないと思うし』

『お前が希愛に手を出したからだボケ!自業自得だ』
『あんたの親も可哀相〜今頃大損害被ってるわよ〜フフフ ♪ 』

数々の言葉が頭の中で繰り返される。
だからって……だからって……こんなことまでするのか?宝仙聖!?



「こんなことまでするか普通?まあ聖だからありえるっちゃーありえるけど」

そう呟いたのは生徒会室のソファにだらけて座りながら飲み物を飲んでるのは錦織だ。

「やっぱり転校になったのねあのエロボケナス男。まあ早いうちに人生勉強できて良かったんじゃない?
あんなの大人になってやられてもそれこそ迷惑だし」

窓際に寄りかかって同じく飲み物を飲んでるのは長雅だ。

「君達も折角転校してきたのに役目が終わっちゃったね」

彼らがここに転校して来て1週間もしないうちの出来事だった。

「あたしはこの後もここに通うんだ〜 ♪ 来年聖達は卒業でしょ?
だからあたしはそのまま希愛ちゃんの傍にいるのよ ♪ 」
「何だか嬉しそうだね?」

真樹が自分の淹れた紅茶を錦織の隣でソファに座りながらコクリと飲んだ。

「希愛ちゃん可愛いもん ♪ 最近屋敷のほうで会えなかったし〜 ♪ 」

錦織も長雅も宝仙家の分家の息子と娘で聖の親戚にあたる。
本家の命令とあれば言う事を聞くしかないというわけで強制的に聖に従ったのだった。

歳の近い2人とは昔から付き合いはあったが聖と仲が良いかと言えば……そうでもない。

どっちかというと希愛のために動いたようなものだ。
2人とも子供ころに会った希愛が気に入っていた。

「オレもこのままここに通うかな…退屈しなさそうだし」
「聖もいるけどいいの?」

そんなことを言う真樹だが顔は面白いことがありそうだと笑っていた。

「希愛がいるから別にいいかなって。聖の邪魔すんのも面白いし」

ニヤリと悪戯っ子のように笑う。

「だよね?でもホント聖が邪魔だけどね ♪ 」

長雅も面白そうに笑ってる。

「からかいすぎて怒らせないでよ。後々面倒だからさ」
「そんなのわかってるって。アイツ希愛のことになると見境ないからな……大人げないし」
「ホント大人げない ♪ 」

「あそこはお祖父様もだし……」
「血筋か?」

真樹がボソリと呟くとそれを聞いていた錦織が間髪入れずに返事をした。

「はは……」

かもしれないと真面目に思う真樹だった。


その頃希愛の教室では迎えに来た聖にせかされて希愛が慌てて荷物をカバンに詰め込むいつもの2人の姿があった。