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「はっ!!」

目覚ましの音で目が覚めた!
条件反射で素早く止めた。

「…はぁ…もう朝?」

何だかとっても違和感?ん?

「ああ…そっか…」

彼の寝顔と温もりと腕と…
数え切れないどの存在感が私と同じベッドに寝てるって教えてくれる。

「これで熟睡出来るって…私って一体……」

何で私が落ち込まなくちゃいけないのよ…
でも…途中1回も起きなかったのは事実で……ただ…ちょっと動きづらい…

だって腕枕はそのままだし反対の腕はしっかりと私の身体に廻されててもう抱っこ状態…

足も交互にお互いの足が重なってる…その重さも何だか丁度いいのよね……

「はあ…」

もうこんなに男の人と密着して寝るなんて…私どうしちゃったんだろう…

でも…その前に何で人気俳優の 『 楠 惇哉 』 がこんな一般人の
私なんかの事気に掛けるんだろう?変なの…

彼なら私なんかじゃ無くても他に世話を頼めば喜んでやってくれる人いるだろうに…

ああ…自分の事を一般人扱いするから気が楽なのかしら?

「さて…起きないと…ってコレ!どうすればいいのよ?」

ジャラリと手錠の音がした…ホントどう言うつもりだったんだろう…

「ちょっと!起きて!」

「……んーー…ねむ…」

「あ…ちょっと…」

彼がモソっと動いて両腕で抱きしめられた。

「遅刻するわよ。」
「……う……ん…」
「起きて!それから手錠の鍵!!外さないとご飯の支度出来ないから!」
「う……ん……」
「返事ばっかり!起きて!起きなさい!起きろっ!!」
「……うーーー……」

ムックリと彼が起き上がった。
でも目は瞑ったまま…まだ半分寝てるわね…

「ちょっと…大丈夫?目…覚まして!」

半分寝てる彼を覗き込んだ…まだダメかな?

「おはよう!起・き・て・!!」
不安定な彼の肩を揺すったらとんでもなく揺れた。
「……由貴……良く……眠れた?」
寝ぼけながらも私に気を使ってくれてるらしい…
「うん…ぐっすり。」

「そっか…良かった…」

「 !!! 」

そう言った彼が…フッと…前に出たかと思ったら……

「 ちゅっ ♪ 」

「 んっ!! 」

いきなり私にキスをした!!

「 !!!! 」
「おはよう…由貴…」

そのまま彼はまたベッドに横向きで倒れ込んだ!!!


ちょっとぉ〜〜〜〜!!一体今のは何なのよぉーーー!!




「だから知らないって…覚えてない。」
「ウソ言いなさいよっ!!しっかりと私と会話してたじゃないっ!!」
「だからそれが記憶に無いっての!ホントにしたの?オレが由貴にキスなんて?」
「しましたっ!!!ちゅっ!って!!」
「……何だか由貴が真面目にキスした!なんて叫ぶとエロイ。」
「!!!ばかっ!!エロイのはどっちよっ!!」

そんな会話を手錠の鍵を取りにやっとベッドから下りた所でしてる。
2度寝した彼を叩き起こしてさっきのいきなりのキスを追及してる!

彼は寝ぼけてて憶えてないって言う。

「覚えてないもんはしょうがないだろ?しかもおはようのキスならそんな怒る事ないだろ?」
「どんな理由よっ!!いきなりキスされて怒っちゃいけないの?」
「相手がオレなんだから怒る理由なしっ!!」

大体そんな嬉しい事して本人が覚えてないんだぞ!
こんなショックな事あるかっっ!!

「謝ってよっ!!」
「だから何で?」
「勝手に人にキスして悪いと思ってないの?」

………カチン!

色々な気分が重なってちょっとカチン!と来た。

そんなに不満なのか?オレとキスしたの?


「悪かったな!これはお詫びっ!!」

「あっ!」

「 ちゅっ!!! 」

ガシッと由貴の肩を掴んで強引に唇を奪った!ざまあみろ!だ!
開き直るとこんなにも大胆な事が出来るのか!!

「………ちょっ…」
「お・詫・び・だ・か・ら・!」

由貴が顔を真っ赤にして震えてる。

「はい手出して。」
「え?」
「手錠…外すんだろ。」
「でも鍵あなたの部屋なんでしょ?」
「そんな面どい事しないよ。下駄箱の中に隠しといた。」

「…………」

更に由貴がワナワナと振るえ出す…あ…もしかして限界来た?

「 こ・の・っ!!! バ カ 男 っっ ーーーー !!!! 」



容赦無いゲンコツの嵐をオレは避けたり受け止めたり…

何発か頭に喰らって…朝から散々な目に遭った!