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「由貴…」

「……ん」

「着いたぞ…歩けるか?」

「……う……ん…」

「ったく…ウソつくな…」

もうオレに抱っこされて寝てるんだぞ…タクシー乗ってる間も寝てたし…


久しぶりに事務所の女の子と役者仲間で飲んだ。
もともとお酒に強い連中ばっかりで盛り上がってガンガン飲んでたら
付き合って飲んでた由貴が潰れた。

まったく…周りにつられてそんなに飲めもしないのに飲むから…

由貴が事務所の女の子と飲みに行くって聞いて気がきじゃなかった…
普段ほとんど外で遊ばない由貴が他の男にチョッカイ出されないか心配で…

居ても立ってもいられなくて撮影が終わった後出演者を誘って由貴達と合流した。

案の定絡まれてて…由貴の隣に男が密着して座ってる!
速攻どかしてオレが由貴の隣を陣取った。

まったく…そんな目立たないと思うのに逆に真面目なスーツ姿が目立って目を惹くのか…



「さて…どっちに寝かすかな……」

お互いの玄関の真ん中で由貴を抱き上げながら悩んだ。

「……気持ち良さそうに眠っちゃって…」

酒が弱いくせに周りにつられて飲むんだから…まったく…

「オレがいなかったらどうするつもりだったんだ…」

そんな理由でオレの部屋決定!


「…ん…」

そっと由貴をオレのベッドに寝かせたら…ちょっと息苦しそうに小さな息を吐いた…

「大丈夫か?由貴…」
「………」

返事無し…熟睡?

「ちょっと待ってろよ…」

由貴を寝室に置いてオレはシャワーを浴びに浴室に向かった。
シャワーを浴び終えて寝室を覗くと由貴はまだ気持ち良さそうに眠ってる…

「…………」

由貴がオレの部屋にいる…オレのベッドで…
あの分じゃ朝まで起きそうも無いからまた一緒に寝れる…

「フフ…くっくっ…あー嬉しい ♪ ♪ 」

リビングのソファでミネラルウォーターを飲みながら1人ニヤニヤ笑ってた。


「ん?」

パタン!と廊下でドアが閉まる音がした気がしてリビングのドアを開けた。

「あれ?」

寝室のドアが開いてる…?

「由貴?」

ベッドに由貴がいない…

「え?帰ったのか?ん?」

浴室に向かって…あれは…

「由貴の服?」

廊下に由貴の服が転々と落ちてる…

「 う っ ! 」

浴室の脱衣所には……

「し…下着?え?由貴?」

こっそり覗くとシャワーの音がする…

「え?シャワー浴びてる?由貴が?」

そんなの…初めてじゃないか?
オレは訳がわからなくて…どきまぎしながらリビングに戻ってソファに座った。

「え…何で?どう言う事だ?」

何で由貴がオレの所でシャワー浴びてる?え?まさか…


オレにすべてを捧げる決意したのか?マジ?



バ ン ッ ! !

「!!」

そんな事を考えてたらリビングの入り口が勢い良く開いて由貴が入って来た!

「 う っ !! 」

オレは自分の目を疑う!だって…リビングに入って来た由貴が…

バスタオル1枚巻いただけの艶かしい姿だったから!!

「………」

由貴はオレの事なんてまったく眼中に無いみたいにずんずんとリビングを
横切ってキッチンに向かう。
ガチャガチャと音がするところをみるとどうやら冷蔵庫を開けてるみたいだ…

「由貴?」

由貴がミネラルウォーターのペットボトル片手にフラフラと立ってる…

「……うー…」
「由貴?」

チラリとオレを横目で見てる…でも…目が据わってる?

「酔ってんのか?」
「アタシの着替えが無いの!どこ!」

あるわけないだろ!ここはオレの家なんだから!

「無いよ。」
「あん?何であんたかここにいるのよぉ?また勝手に合い鍵で入ったわねぇ…
アタシはもう寝るからサッサと帰りなさいよぉ…ふぅ〜〜」
「!!」

由貴が真っ直ぐオレに向かって歩いて来る…え?何?

「はい…あげる!」

そう言ってペットボトル差し出された。

「…………」

目の前に由貴の生脚と生腕とバスタオルで包まれたボリュームたっぷりの生胸が…

オレは目が釘付け!!心臓が…ドッキンドッキン!!目がチカチカ!

由貴はまったくそんな事は気にする気配は無くフラフラとよろめきながらリビングを出て行く…

そんなに酔ってんのか?

無言で後をついて行くと迷いもせずオレの寝室に入って行く…自分の家だと思ってるのか?

寝室のドアを開けて由貴の行動をしばらく観察するとベッドの前でしばらく考え込んでる…

何を悩んでるんだ?

「 !! 」

いきなり巻いてたバスタオルを潔く取ると床に放り投げた。

「…………」

横向きだったけど由貴の裸の身体がバッチリと見えたっっ!オレの心臓が一気に跳ね上がるっ!

由貴はそのまま布団に潜り込んで気持ち良さそうに眠り始めた…

静かにベッドに近づいて由貴を見下ろすと…もう完璧に眠ってた。

「……オレは一体どうしたら…」

据え膳食わぬわ…ってやつか?でも…今の由貴を抱くわけにはいかないだろ?

「これで一緒に寝たら…流石に由貴怒るだろうな…」

別にオレは悪くないとは思うけど…結果が手に取るように分かるから…

「仕方ないか…」

オレはベッドに腰掛けて由貴をしばらく見てた…

「由貴…」

まだ濡れてる髪を撫でた…薄いピンク色の頬を撫でた…ちょっと開いてる唇を指でなぞった…

「…ぁ…」

由貴は唇が弱いらしい…いつもちょっと触るとすぐ可愛い声を出す…

「面倒みたんだからこれくらいはお礼として貰っとく ♪ 」

「…ん…」



そっと由貴に近付いて……

寝てる由貴の唇を優しくかつ濃厚に奪わせてもらった ♪