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「………ん」

目が覚めてしばし放心…昨夜からの記憶が無い。

「ここ…どこ?……ああ…」

場所は直ぐに彼の部屋だとわかった…
時間は朝の5時45分…良かった…仕事には間に合う…

「んーー」

ベッドの上で背伸びをした…したら…プルンと裸の胸が揺れた…

「え?……!!…きゃああああっっっ…ちょっとっ!!!……あれ?」

彼に文句を言おうと思ったら……彼はベッドにいなかった…

落ち着いて確かめると…何も着てない!!床にはバスタオルが1枚…
理由は何でだかわからないけどとにかく服!
床のバスタオルを巻いて寝室を飛び出した。

こっそりとリビングを覗くと彼がソファで毛布に包まって寝てる…
本当は彼を起こして色々話しを聞いた方が良いんだろうけど
恥ずかしいやらバツが悪いやら…とにかく記憶が無い私は何かやらかしてるかもしれなくて…
声は掛けなかった。

念のために覗いた浴室の脱衣所に自分の服一式があって多分シャワーを浴びたんだと思うけど…
まったく記憶に無い!
しかも彼の家でシャワーなんて今まで使った事はなかったのに…何で?

バスタオル1枚のまま逃げる様に自分の家に逃げ込んだ。




「おはよう由貴。黙って帰るなんて礼儀知らずだな?」

自分の家に逃げ帰って30分後…彼が超デカイ態度で入って来た。

「…………」

私はあえて視線を外してキッチンに逃げた。

「由貴…オレに何か言う事あるだろ?ん?」

何?その人を見下した態度と言い方…

「…………」

この男は…

「ゆ…昨夜は…なんか…迷惑かけたみたいで…その…ごめんなさい…」
「そうだな…さっさと眠って起きないから部屋まで運んでやったんだぞ。」
「…あ…りがとう………あ…あの…」
「ん?」
「昨夜…その…あっ!」

腕を掴まれて壁に押さえ付けられた。

「……ちょっと…」

彼がもの凄く私に接近してくる…

「由貴…」
「な…何?」

逃げれないけど出来るだけ壁際に逃げた。

「昨夜みたいな事…もう二度とするなよ…」
「昨夜みたいな事…って?」
「飲み過ぎて無防備に男の前で寝る事!
オレがいなかったらどうなってたかわかんないだろ?」
「…昨夜は…」
「ん?」
「昨夜はあなたがいたから…その…気が緩んで…」
「オレを頼りにしてたって事?」
「…………」
「由貴…」
「!!」

クイっと由貴の顎を指で持ち上げてオレに向かせる。

「な…に?」
「昨夜みたいになるのはオレがいる時だけだぞ…」
「!!」

唇がつきそうなくらいオレの唇を近づけた…あと数ミリってとこか…

「他の男にあんな由貴見られたく無いから…」
「あ…あんなって?」

私何かした?

「無防備で可愛くて色っぽい由貴!」
「!!…近いってば…」

彼が更に近づいて私が顔を逸らさないと唇がくっ付いちゃいそう…

「わ…わかったから…」
「わかったの?」
「こ…今回の事は…は…反省してるから…」

壁伝いに逃げようとしたら彼が逃げる方の壁にバシンと手を着いて遮った。

「寝てる由貴を部屋まで運んでシャワーも使わせてやってベッド占領されて
オレがソファで寝る羽目になって…これって大きな貸しだよな?」

「……だから?」

「しっかり返してもらう…」
「ど…どうやって?」

なんか彼が嬉しそうに笑ってるから…嫌な予感がして…

「いずれ…」
「いずれ?」

もう身体が変に力入れてて限界で…疲れる!

「も…いいでしょ!離れて!」
「チュツ ♪ 」
「 !! 」

彼がいきなり私の頬にキスしたっ!!

「ちょっと!何するのよ!」
「昨夜はいいもの見せてもらったから ♪ お礼 ♪ 」
「いいもの?お礼?」

「オレの目の前でストリップしてくれた ♪ 」

「 え え っっ !? 」

一瞬で由貴が茹蛸みたいに真っ赤になった。

「!!!」
「凄い大胆に脱いでたな…」
「う…うそ…」
「何?それも覚えてないの?」
「…………」

嫌な汗が背中を流れる…

「そっか…まあ酔ってたんじゃ仕方ないか…でも裸だったろ?」
「!!…そ…それはシャワー浴びたから……じゃないの?」
「浴びる前にオレの前で着てる物脱いで浴びた後オレの前で身体拭いてた。」
「!!!なっ…う…ウソよっっ!!そんな事しないものっっ!!」
「まあそう思いたいのもわかるけどね…記憶無いんだろ?」
「そ…そうだけど…そこまで……するはず……」
「じゃあ証拠の映像見る?携帯で撮ったから ♪ 」
「なっ!!!ちょっと…冗談でしょ?」
「それは見てのお楽しみ ♪ 」

彼がそう言いながら携帯を取り出した!

「ちょっ…やだ!そんなの見ないでっ!!消してよっ!!ちょっと!!」

彼の携帯を持った手に飛びついた!もう恥ずかしくて…そんなの見せるわけには…

「うそ……由貴はそんな事してないから…」
「…え?」
「ごめん…そんなにムキになるなんて思わなかった…泣くなよ…」
「 !! 」

そう言って彼が私の目の端を指先で拭う…

「……じゃあ…私…」
「シャワー浴びてそのまま寝ただけだよ…」
「本…当?」
「本当。」
「…………」
「由貴?」

由貴が俯いたまま顔を上げない…

「……こ…の………バ カ 男 ーーーー っっ !!! 」

加減無しで思い切り彼に平手打ちをした!

「 !! 」

ガッシリと簡単に受け止められた!

「ごめんって言ってるのに…じゃあお詫び ♪ 」

片手は捕まえられて…腰は彼の腕が廻されて…グイッと身体が抱き上げられた…

「え?あっ!……んんっ!!!!」

また…キスされた!!!!しかもまた思い切り舌も絡まされる!!!

「んっんっ!!!!んんーーーーーっっ!!!」


ジタバタと力の限り暴れたけど……
身体は彼に抱きしめられてて…その上壁と彼に挟まれて動けなくて……

結局逃げられなかった!!





「ハァ…ハァ………」

やっと離してもらった時には…また息が上がってて…
身体に力が入らなくて…彼に支えられて立ってる……もう!!悔しいったら……

「お・詫・び・だから ♪ 」

「……どこが…よ……」



余裕満々のその笑顔……

どう見ても…これって……嫌がらせでしょーーーーーっっ!!!