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「…………」

シーンと部屋の中が静かになって…部屋の外の音が響き出した…

私はどうしていいかわからなくて…だって…こんな風になってバツが悪いと言うか…
どんな話すればいいのか…それに…惇哉さんとずっと話してないから……どうし…


「  こ の バ カ っっ !!!!  」


「 !!! 」


私を抱きしめる惇哉さんに思いっきり怒鳴られた。

「オレが来なかったらどうなってたと思ってんだっ!由貴っっ!!!」

「……ご…ごめんな…さい……」

「散々あの男には気を付けろって言ってただろっ!!
簡単にくっ付いて行くからこんな目に遭うんだよっ!!!」

「……な…何よっ!!半分は惇哉さんのせいでもあるんだからっ!!そんなに怒らないでよっ!」

「何でオレのせいなんだよ!」

「……さっき…花月園さんと2人で外に出て行ってたじゃないっ!!!そんなの見せられて……」

「由貴…」

「惇哉さんのバカッ!!!」


もう……自分でも…どうしていいか…わかんない……

勝手に涙が込み上げて零れて落ちた…

どんなに気持ちの整理をつけようとしても自分ではどうにもならなくて…

惇哉さんが花月園さんと一緒にいるのを見ただけで私の思考回路が止まったらしい…

だから氷野君にこの部屋に連れて来られても全然気付かなかった…



「由貴…」

「いやっ!!もう…やだっ!!!惇哉さんの事考えると自分がおかしくなる!!!」

「由貴っ!!!」

「 !!! 」

両方の肩をグイッと掴まれて惇哉さんの方を向かされた。

「……ごめん……今までの事…全部謝るから……」

「惇哉…さん…」

「謝るの遅くなってごめん…本当にごめん…
でも美雨さんの事は本当に何でもないから…さっきちゃんと美雨さんには話した…」

「さっき?」

「そう…そこの廊下で…きっぱり美雨さんとは付き合う気は無いって言った…
それにこの前は本当に他にも人がいると思って出掛けたんだ…
美雨さん1人だってわかってたら…行かなかった……」

「……本…当…に…他にも人がいるって…誘われたの?」
「ああ…この前仕事したスタッフとの飲み会だって言うから…オレそう言う繋がり大事にしてるから…」

そう言って惇哉さんがそっと笑う…
そう言えば前彼女に誘われた時は惇哉さんちゃんと断ってた……

「…………」

「由貴…」

「……うっ…ひっく…」

「辛い思いさせてごめん……」


泣いてる由貴を抱き寄せて…オレの胸にギュッと抱きしめて離さない…

本当は…今…由貴に 『 好き 』 と言いたかった…

でもオレは…この期に及んでも由貴にはその一言が言えなくて……

また…その一言でこの前みたいにオレを拒絶されたらと思うと言えなかった……

だから…


「由貴…」


軽く由貴の顎を持ち上げてオレの方を向かせる…

何日ぶりの由貴とのキスだろう…さっきのは挨拶の様な軽いキスだったから…

あんなに待ち焦がれて…夢にまで見てた…由貴との…キ…



「あっ!!!」

ビ ク ッ !!

「なっ…なに??」

相変わらす由貴はこう言う空気を読まない!!

「メガネ…メガネが無いっ!!!」

今頃無い事に気がついた!きっとさっきもみ合った時に何処かに落ちたんだ。

「今まで気付かなかったの?」
「だって…逃げるのに必死で…」
「暗くて良くわかんな……あっ!!!」

探す為に動いたらオレの足元でビシリ!!と言う嫌な音と足の裏に違和感が……

「やっ…ちょっと!!今の音何??踏んだんじゃないのっ!!!!ちょっと!!!惇哉さん!!」

「………ごめん…」

……マジ?何でこのタイミングで……

「もう!何やってるのよっ!!弁償よ!弁償!!」

「いいだろ!どうせ伊達メガネなんだからっ!もう掛ける必要なしっ!」

「勝手な事言わないでよ!あれがないと私…あっ!」

またベッドに押し倒された!
でも今度の相手は惇哉さんだから…抵抗はしない…

「もうあんなの必要無いだろ…由貴はもう大丈夫だから。」
「そう…かしら…」
「オレがずっとリハビリの相手してあげるから…すぐ完治だよ。」
「自意識過剰…」
「だから由貴だけに自意識過剰だって言ってる…ちゅっ…」

押し倒したまま由貴の唇を奪う…

「人が…来る…」
「来てもいい…」
「見られちゃう…から…ん…」
「見られてもいい……由貴……」
「惇哉…さん…」

そんな会話を2人で交わしながらずっと舌を絡めるキスをしてた…


「誰かいるのか?」


「 !! 」

ゆっくりとドアが開いて誰かが中を覗く。

とっさに2人で転がってベッドから思い切り床に落ちた。
しかも惇哉さんが下敷き!

『 ぐっ!! 』

ごめんなさい…惇哉さん…
でも最近ちょっとだけ軽くはなったと思うの…ほんのちょっとだけだけど…


「いないか…」

そんな声がして入り口のドアが静に閉まった。



「はぁ…痛かった。」
「大丈夫?でも見られても良かったんじゃないの?」
「由貴とのキスシーンはやっぱり誰にも見せたくない…オレだけのシーンだから…」
「あ…ごめんなさい…乗っかったままで…重たいでしょ…しかも床だし…」
「いいよ…しばらくこのまま……こうしてたい…」
「床の上で?」
「だって由貴がオレの上にいてくれるから…胸の形もハッキリ分る ♪ やっぱり由貴って胸大きい ♪ 」

「………!!!」

カアーーっと顔が赤くなったのがわかった!時と場合を考えなさいって言うの!!

「もう!!イヤらしい!!!惇哉さんのバカッ!!!」

「いてっ!」

バシリと頭を叩かれた!

「由貴!」
「なに!」

「今夜からまたオレの部屋で一緒に暮らそう ♪ ♪ 」

「………どうしようかしら…」

私はワザと拗ねてみる。

「一緒に暮らすよな?由貴…オレが一緒に暮らそうって言ってるんだから……」

そう言って惇哉さんがにっこりといつもの笑顔で笑う…

「……仕方…ないわね……はい…わかりました……」



そう返事をした私の項と背中を惇哉さんは引き寄せて…

時間がわからなくなるくらい…私にキスをした……