96





メグが言い寄られてる相手を諦めさせる為にオレ事が好きだと言う事になってるらしい…
その事を追求するとメグはコクンと頷いた!!


「何でそうなるんだよ!他にいるだろ?それに本当に好きな奴にすりゃいいんだよ!!」
「だって!!……だって…いなかったんだもん…」
「だからって何でオレ?それに相手良くそんなんで納得したな?」
「あたしの片思いって事に…だから惇クンが結婚さえしなければまだ希望は残るでしょ?」
「何?今までそれで誤魔化してたの?」
「誤魔化してたって言うか…納得してもらってたって言うか……
だから惇クンが結婚したらそれ通じなくなるでしょ?困るの!!」
「…………」

開いた口が塞がらない…なんで…そんな事に?

「今まで別に惇クンには何も迷惑掛かってなかったでしょ?」

「今まではなっ!今は最大級に迷惑被ってるよっっ!!」

オレの方が人生掛かってるっての!

「ん?ちょっと待てよ?それって一体いつからだよ?5年前か?」
「え?…あ…ん…と…こ…高校の1年の時…から…」
「高校1年?じゃあもう10年にもなるじゃん!!」
「……うん…」
「……付き合えば?」
「は?」
「だってフッてるのに10年間も思っててくれてるんだろ?そいつマジなんじゃないの?」
「……そう…かな…」
「どうみたってそうだろ?しかしそいつも良く続いてるな…何?高校の同級?」
「同級じゃ…無い…」
「オレの知ってる奴?」
「………う…ん…」
「誰?」
「え…?……それは…言えない…」
「なんで?オレに知られたらマズイ相手?」
「……ちょっと…」
「じゃあオレそいつに10年間も恨まれてるんだ。」
「え?」
「だってそうだろ?そいつにしてみればオレって恋敵で邪魔者の何者でもない。」
「………」
「オレがいなきゃメグの気持ちだって変わると思ってるかもしれない。
しかもオレはメグの事なんて相手にしてないのわかるだろうし…」
「………」
「で?オレが結婚するってわかって相手がまた迫って来たんだ?」
「うん…」
「ふーん…」
「惇クン?」

「悪いけどオレ結婚止める気も延期する気も無い。」

「えーー……」
「オレも必死なの…このままズルズル行ったらいつまで経っても由貴はOKしない気がするし…」

何気に由貴は籍を入れる事を先延ばしにしようとしてるから…

「その相手にはじっくり話し合って諦めてもらうしかないんじゃない?」
「だから…諦めてくれないんだってば!!」
「何?メグはそいつの事嫌いなの?付き合う気も起きないほど?」
「えっ!?」
「 !! 」

メグの顔が…ハニカんだ様な顔になる…なんだよ…

「あながち嫌では無いんだ?」
「そっ…そんな事無い!困ってるもん!!」
「ふーん…」
「………」
「じゃあメグが本当に好きな奴作ってサッサと結婚しちゃえば?
そうすれば相手の奴も諦めんじゃ無いの?」
「無理!他の人じゃ無理なの!だから惇クンじゃなきゃダメなの!!」
「意味わかんねぇ…何でオレじゃなきゃダメなわけ?オレが芸能人だから?」
「…ち…違う…」
「…はあ…まあ事情は分かった。後はお互い自分で何とかしよう。」

オレだってこの事を由貴に説明して納得させなきゃいけないし…
納得させて…サッサと籍入れる!!

「じゃあな。」
「惇クン!!」
「あ!そうだ……昨日兄貴がメグが帰った後オレんトコ来て
メグがいないからって帰って行ったけど…メグ兄貴と会えた?」
「えっ!?……やっぱり柾クン惇クンの所に来たんだ……」
「ん?」
「ううん……会ってないよ…」
「そう?でも兄貴メグにメールしといたのにって言って……」


何だろう…今までのメグとの会話が頭の中で渦巻いてる…
10年も前からで…オレの知ってる奴で…でもオレには教えられない相手で……
オレがメグの相手じゃないと納得しない相手……

そいつにはオレは邪魔な存在で……

昨日の兄貴の言葉に…メグの態度に……

全ての事が頭の中でおぼろげに繋がっていく……

そう言えば兄貴のオレを見る視線が冷たく感じられる様になったのは…いつ頃からだった…?

こんな時…自分の勘の鋭さが恨めしい……



「メグ……」
「ん?」
「お前の……その相手って………」
「え?」


「 兄 貴 ? 」