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* 今回軽めのR15のお話が最初にあります。隠してませんのでご注意を…



「……んあ……」

なんだろう…いつもと違う…

「んっ…んっ…」

身体がホンワリとしてて…
でも自分の身体に与えられてる刺激には敏感に反応してて…
さっきから恥ずかしいくらい声が出てる…

何だかいつもと違う様な気がするのは酔ってるから?

ほろ酔い気分で気持ちのいいまま…でも眠くて眠くて…

そんな意識の境界線で何とか眠らないでいるらしい…

「あっ……や…」

仰向けだったり俯せだったり…あ…こんな格好…今までした事あったかしら?
どんな格好なのか確かめるにも眠くて目が明かない…

もう…惇哉さん…そんな格好無理だから…

「…はぁ…はぁ…あっ…」

何…?どこ触ってるの…やだ…そんな所…

「やぁ…ダ…メ…あっ!!」

身体がずっと揺れ続ける…

酔って火照った身体が熱くて手の平がシーツの冷たい場所を探して握り絞める…

「………惇哉…さん…」

伸ばした腕を惇哉さんの身体に巻き付けてしがみついた。

「あっあっ…」

ガクガクと身体が揺れて押し上げられる強さがどんどん強くなる…

「………ンアッ…!!!!」


そんな事が何度も繰り返されて…

私は疲れ果てて…あっさりと睡魔に負けて眠りに落ちた……





♪ ♪ ♪ ♪

「………ん?」

なに?

♪ ♪ ♪ ♪

何か鳴ってる?

「………ん?」

重い瞼を無理矢理片方だけ明けると…すぐ横に私の携帯があってそれが鳴ってた…

「んー……誰?」

変だとは思ってた…薄暗い部屋でも何となく部屋のイメージがいつもと違うのがわかる…
大体身体に感じるベッドと布団の感触も何となくいつもと違う…

「 ? 」

そんな事を思いながら携帯を鷲掴んで通話のボタンを押した。

「………はい?」

何気に視線が行ったデジタル表示の時計は 『 AM04:15 』 …

こんな朝から一体誰?確かめもせずに出たから………

「ん?」

ってこんなデジタルの時計って惇哉さんの寝室には無いわよ…
って言うか此処どこ???

『由貴?』

「えっ!?」

電話の相手は惇哉さん!?ウソ……じゃあ…
慌てて隣を見ても誰もいない……なんで?一緒にいるのは惇哉さんじゃ無いの??

心臓が一気にバクバクドキドキ……

『由貴?』

もう一度名前を呼ばれた。

「は……はい!!」

一瞬で眠気が覚めた!
どう見てもここは惇哉さんの寝室じゃ無くて…何処かのホテル……ウソでしょ……?

しかも私は裸で…朝は付いてなかったキスマークが身体のアチコチに付いてる…

あまりの緊張で呼吸困難!目の前がクラクラしてきた……

『今…何処?』
「え?…ど…何処って…」
『全然連絡来ないし…掛けても出ないし…皆に聞いたらちゃんと帰ったって言うし…』
「………えっと…」

帰った?1人で???ちょっと待って……

一瞬で昨夜の記憶を辿る…
事務所の女の子とお酒を飲んだのは覚えてる…
酔い潰れない様にって気をつけながら飲んでたし…

でも…途中から記憶が曖昧になってる…
結局…惇哉さんとの事も色々聞かれて…気恥ずかしさを紛らわす為に勧められるまま…
お酒をガンガン飲んでた様な気がする……惇哉さんが迎えに来てくれるって…思ってたし…

でも……これって……ちょっと待って……うそぉーーーー!!!

『由貴?』
「は…はい?」
『今何処にいるの?迎えに行くから…』
「え?…あ…だ…大丈夫だから…1人でちゃんと帰れるから…」

もう私はパニックのシドロモドロの……とにかく1度電話を切って…じっくり考えなきゃ…

『こんな時間にそんな事させるわけ無いだろ!今から迎えに行くからそこ動くなよ!』
「え?…っと…その…とりあえず一度電話切るわね…また掛け直すから…」
『切ったらダメだって!何だかもう2度と繋がらない様な気がするから…』
「そ…そんな事無いから……」
『ダメだ!由貴!切るなよ!!』
「………惇哉さん?」
『ん?』
「……今……何処から掛けてるの?」
『リビングからだけど?何度か由貴の事探しに出て…もう帰ってるのかと思って1度戻った所…』
「……そう…」
『で?由貴は今何処にいる?』
「…………」

どうしよう……私……私……取り返しのつかない事……

『由貴?』
「……惇哉さん…」

掛け布団をギュッと握り締めた……
おぼろげな記憶で…そう言えば抱かれてる時いつもと違う様な気がしてた…

それは…相手が惇哉さんじゃ無かったから?

『今から迎えに行くから…』
「……ううん……いい…から…自分で…」

会えない………こんな状況で…惇哉さんの所になんて帰れない……

「 !! 」

奥の方からドアの開く音と閉まる音がして誰かがこっちに来る気配がする…

まだ…いたんだ……きっとあっちは浴室で……ちょっ…どうしよう…

見回しても私の服が何1つ無い!それに逃げる時間も……


「 由貴…迎えに来た…帰るの遅すぎだっての! 」

「………え?」

これは……一体…どう言う…?

目の前に…リビングにいるって言ってた惇哉さんが…
腰にバスタオル1枚の姿で……立ってる??

「…………」
「何て顔してんだよ?由貴。」

パチリと惇哉さんが携帯を閉めた。

「だって……」
「焦った?」

「………あ…当たり前でしょっ!!何で?何でこんな事!!!」

「だって由貴がオレの言う事聞かずにまた酔い潰れたから!」

「え?」
「お仕置き!オレとの約束ちゃんと守れ!」
「………」

ベッドに座った惇哉さんが私のオデコをコツンと人差し指の指先で弾いた。

「痛い……」
「由貴が潰れたって寺本さんから連絡があってさ。迎えに行ったんだぞ。覚えてない?」
「……全然…」
「まったく…どうして由貴はいつもそうなんだか…?ホント無防備過ぎ!」
「…………」
「何?何か言いたい事でも?」

納得のいかない顔で由貴がオレを見てるから…

「だって……」
「だって?」
「今日は…惇哉さんが…後で…迎えに来てくれるって言うから…」
「だから?」
「それなら…万が一酔い潰れても大丈夫だな……って…」
「…………」
「どうしてか惇哉さんがいると思うと安心して飲み過ぎちゃうの!
前はこんな事本当に無かったんだから!
でも…最近はどうしてだかこんな風になっちゃって……」

「……頼られてるのは嬉しいけどね…もう少し自重しろ!由貴。」

「……はい…」
「………でも…」
「?」

「酔ってる由貴ってスッゲー大胆になるんだな ♪ 新発見!」

「え?」
「そう言えば酔った由貴抱いたの初めてだった ♪ 」
「………なっ…」

何?そのニコニコの締まりの無い顔は!

「あ…!」

惇哉さんがいきなりギュッと私を抱きしめた。

「オレさ…今日ホント色々遭ってずっと由貴に会いたかった…」

「惇哉さん?」
「本当に…由貴に会いたかったんだ……」
「………でも…これってやり過ぎなんじゃない?」
「そう?」
「私の服は?荷物は?」
「携帯以外全部隠した ♪ 」
「………もう……本当…やり過ぎよ…」
「由貴?」

「……私…てっきり…惇哉さんじゃない人と……って…思っ…うっ…」

手で顔を隠しながら由貴が俯いた…

「由貴?え?ちょっ…オレそんな…由貴を泣かせるつもりじゃ…
ちょっと反省してくれればと思って…」

「…………」

「由貴?……あっと…えっと……オレそんな怒ってないし……」

「良かった。怒ってないんだ。」
「は?」

顔を上げた由貴は泣いてなんか無くて……

「ウソ泣き?」
「だって…あんまりにもヒドイんだもの。どれだけ私がショックだったかわかる?」
「……元は由貴がちゃんとしてないのが原因だろ!」
「だからこれでチャラって事で。」
「は?」
「次からは本当に気をつけるから…ごめんなさい…」
「……やけに素直じゃん。」
「だから今回は私も悪かったって思ってるって事…」
「へえ〜〜いつもそうやって素直なら良いのにな ♪ 」
「私はいつも素直です。さて!私もシャワー浴びてこようっと…
1度戻って着替えないと…あっ!」

ベッドから出ようとする由貴をそのままベッドに押し倒した。

「惇哉さん?」
「まだ帰らないよ由貴…まだまだこれから2人の時間を満喫するんだから ♪ 」
「無理よ…仕事遅れちゃう…」
「大丈夫!着替え類全部持って来たしお泊りセットも持って来たから。
朝ご飯は何処かでモーニング食べてそのまま出勤すれば良いだろ?
オレ車で送って行くし ♪ 今日の由貴の服はオレのコーディネートだぞ。」
「随分準備が良いわね…」
「ちょっと旅行気分かな?……由貴……」
「……もう…」

由貴は昨日オレと兄貴とメグの間でどんな事があったのか知らない…

その話は後でゆっくりするとして…オレはずっと由貴に会いたかった気持ちを…

やっと解消する事が出来る……


「由貴……ちゅっ…」

首筋の…一番由貴が感じる場所にキスをした…

「あ……惇哉…さん……」
「ん?」
「……もう…変な格好……しませんからね!」
「 え?! 」
「私が酔ってるの良い事に変な格好させたでしょ?」
「……まさか…」
「顔…引き攣ってるけど?」
「はは…ヤダな……それは由貴の誤解だよ……」


そんな事を言いながら…頭の中で今夜はどうやって由貴を酔わせようか…

必死に考えてる自分がいる………




オマケの話…

「ん?」

朝のファミレスでモーニングを食べて由貴を事務所に送って行こうと
車に乗り込んだ所でオレの携帯が鳴った。

「メール?兄貴から?」
「え?お兄さんから?」
「?」

こんな朝っぱらから…なんだ?

「 なっ!!! 」

「え?」

「 ウソだろーーーーーっっ!!マジかよ!!! 」

オレは携帯を握り締めながら車のハンドルにうっつ伏す!

「どうしたの?」

助手席に乗り込んでた由貴がそんなオレを覗き込む。
オレは無言で持ってる自分の携帯を渡した。

「え?何?」
「…………」
「 え え !!! ??? 」

由貴も驚いてる!そりゃそうだろ…
送られて来たメールのタイトルは 『 結婚しました! 』 で貼付されてる写メには
役所の前で婚姻届の端を兄貴とメグがお互いに持ち合ってニッコリと笑ってる写真だ!

しかもメールには 『 これから指輪を買いに行く。式は後日。 』 なんて書いてあるし……

確かにメグは認めれば早いって兄貴は言ってた…だからって昨日の今日に出すか?
しかも最後には…

 『 先に悪いね惇。惇も1日も早く結婚出来る事を願ってる。 柾哉&霈 』

なんて書いてあった!!

「一体どうなってるの?惇哉さん?」
「…………」
「惇哉さん!」


由貴が何度もオレを呼ぶけど…

オレはしばらくの間…起き上がる事が出来なかった……