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* 今回R15のお話が最初にあります。隠してませんのでご注意を…



「……由貴…」

「……あ…」

キシキシとベッドが軋む…
寝起きを襲われて抵抗出来ないままあっという間にこんな事になってる…

「惇…哉さ…やあ!…あっ!」

両手は手首をしっかり押さえられて頭の上にある…

「……うっ…ンン…」

あんまり喋ると惇哉さんはすぐ私の口を塞ぐ。

「…んー由貴 ♪ イヤじゃないだろ…」
「イヤよ…朝からなんで……あ…」
「今日は式場探しだろ ♪ テンション上げとかないと ♪ 」
「これじゃ…逆に…疲れて…ンア…ア…」
「由貴……」

逃げてもすぐに捕まってイヤって言うほど攻められる…

「惇哉…さ…本当…動けなく…なっちゃう…から…」

離してもらった両手で惇哉さんの肩を掴んだ。
じゃないと身体が上に上に押し上げられてまた逃げてるって思われそうだから…

「あっあっあっ…」

肩を掴んでた両手を首と背中に廻して無意識に惇哉さんを力一杯抱き寄せる…

「由貴…朝は外で食べるから…支度しない分こっち頑張れ…チュッ ♪ 」

耳元に囁かれて頬にキスされたけどもうそんな言葉私の耳には入って来ない…

「やっ…あっあっ…」

何で朝からこんな…部屋の中も明るくて余計恥ずかしいのに…

「由貴……」

惇哉さんがぎゅうっと私を抱きしめる…
抱きしめて逃げれない様にして思いきり押し上げられた!

「あっ!あっ!……も……やあ!!」

身体中に力がこもる…

「逃がさないって…由貴…」


本当に長い時間…惇哉さんは私を逃がさなかった…




「由貴…」
「………」
「由貴!」
「………」

「いい加減機嫌直せよ。」

「誰のせいで機嫌悪いと思ってるのよ!」

「さあ?」

バ シ ッ !

「イテっ!!」

思いきり背中を叩かれた。

「何で叩くんだよ…あんなにオレ愛情表現したのに…」
「一方的なね!私の事なんてお構いなしで!」
「何で?満足出来なかった?」
「!!」

バ シ ン !

「もう付き合ってられない!」
「冗談だって!由貴!」

由貴がもう一度オレの背中を叩いてスタスタと先を歩く。

「由貴!」
「どちら様?」
「由貴の一番大切な人 ♪ 」
「そんな人いたかしら?」

まだスタスタと先を歩く。

「由貴!そんなに先歩いて何処行くかわかってんの?」

「!!」

ピタリ!と由貴が止まる。

「何で?行く所決めてるの?」
「満知子さんご推薦の場所!」
「お母さんの?」
「ある程度融通がきかせられるってさ。」
「………」

いつの間に…って言うか…

「ん?何?」
「え?ううん…ただ結構真面目に考えてくれてるんだと思って…」
「当たり前だろ!一生に一度の事じゃん。それに満知子さんだって気合い入ってるし
オレだってそれなりに盛大にするつもりだし…」
「え?盛大?」
「当たり前だろ?満知子さん関係にウチの親関係にオレの仕事関係に…」
「………」
「何?もしかしてその辺の事考えてなかった?」
「……うん…普通の…一般的な式だと思ってた…」
「本当…由貴は甘いなぁ〜」
「………」
「自分が誰と結婚するかわかってない?」
「そう言う訳じゃないけど…あ!お兄さんは?」
「ああ……ちゃっかりメグが帰る時一緒について行ってそのまま
あっちの教会で2人だけで式を挙げたってさ…」
「じゃあ…正式に2人は夫婦に…」
「そう!オレの方が早かったはずなのに…誰かさんがモタモタしてるから…」

しまった…聞いて失敗…

「由貴 ♪ 」

グッと肩を抱かれた。

「ちょっと!」

「好きだよ ♪ 」

「!!」

耳元に囁かれた…

「今日まだ一度も言ってなかった ♪ 」
「……もう…」
「3ヶ所結構かたまってるから楽だよ。
ちゃんと今日の分の体力残しといてあげたから大丈夫だって ♪ 」
「だからそう言う事言わないでってば…」

「好きだよ由貴…由貴が気に入る式場が見付かるといいな。」


そう耳元に囁いて肩に廻してた惇哉さんの手が私の指先に触れてそのままギュツと握られた…

あんなに籍だけって言ってる惇哉さんだけど本当は色々私に気を使ってくれてるのよね……

ちょっとわかりにくいけど…

私なんかより惇哉さんの方が結婚を待ち望んでる…


「でもいつ頃にするつもりなの?」
「え?あーそうなんだよな…この後ドラマ入ってるし多分途中からこの前撮った
映画が公開になるからそっちも色々あるしな…」
「じゃあ当分無理じゃない?」
「無理じゃない!何とかその合間をぬって式挙げる!」

グッと拳に力が入る!

「………クスッ……日取りは惇哉さんに任せるわ。」
「え?」
「私はいつでもいいから…」
「え?ホントに?」
「うん…」
「じゃあもし明日って言っても?」
「現実的に無理だと思うけど可能ならね。」
「ウソ…」
「だからって本当に明日なんてしないでよ!いくら早くてもいいって言っても
常識の範囲内でね!呼ばれる人達だって困るわよ。」
「そっか…」

そのガッカリ感……やろうとしてたわね…

「でも…」
「ん?」

「やっとここまで来た…」

「え?」

「由貴と知り合って好きになって…やっと由貴に好きって言ってもらって…
あ!まだ言ってもらってなかったか…」
「え?!そ…そうだった?」
「まあそれはいずれ…な?由貴 ♪ 」
「………」
「あんな記念に残るプロポーズも出来て…こうやって2人で結婚する為に式場を探してる…
ウソみたいだ…」
「惇哉さん…」

「本当…ウソみたい…………イテテテテ!!!って何すんだ!!由貴!」

由貴がオレの頬を結構強めに抓った!

「え?だって…ウソみたいだって言うから…現実だって知らせてあげようかと…」
「それって夢の時の確かめ方じゃないの?」
「あ!そうね…そうだった…」
「…………」

由貴め…絶対ワザとだ!何気に朝の仕返ししたんじゃないのか?

「ん?」
「いや…相変わらず気も強いなって…」
「そう?」
「だからベッドでは困らせたくなっちゃうんだよな…」
「え?」

ボソリと呟いた言葉は由貴には聞えなかったみたいだ…
また今夜…今の仕返しをさせてもらおうかな〜〜〜 ♪

「いや…さてまずは1箇所目…あのデカイビル目指してGO!」

グイッと由貴と繋いでた手を引っ張って歩き出す。

「あ!ちょっと…」
「今日で絶対決めるからな由貴!」
「わかってるわよ…もうあきらめてるもの…」
「そ?理解してもらって嬉しいよ ♪ 」
「惇哉さん…」
「ん?」
「本当に…後悔しない?」
「え?」

「私なんかと結婚なんてして…」

「由貴……」

「…………」

「由貴はオレと結婚して後悔しない?」

「え?」

「きっとこれからも色々あると思う…オレの仕事柄…由貴はオレの事信じられる?」

「………」

コクンと由貴が頷いた。

「だって…惇哉さん私を裏切ったりしないって…言ってくれたじゃない…」

「だからオレも由貴を信じる……大丈夫…お互い後悔なんてしない…
逆に一緒にならない方が後悔すると思うけど?」

「………本当?」
「本当だって ♪ すぐにわかるよ…由貴…」
「うん……」
「由貴…」
「ん?」

「ここでキスしていい?」

「………ダ…ダメ!!こんな公衆の面前で……」

チュッ ♪

「 !!! 」

惇哉さんが軽く触れるだけのキスをした…

こんな…皆が…見てる…目の前で………

「…………」
「ごめん!我慢出来なかった ♪ 半分は由貴のせいだから勘弁ね ♪ 」
「……もう……勘弁じゃ無いでしょ!!!!おバカ!!!あっ!」

手を振り上げた瞬間惇哉さんが私と手を繋いだまま走り出すから…


いつも強引で…自分勝手で……

でも…自分ではなかなか前に進めない私には…
きっと惇哉さんのそんな所が丁度いいのかな…なんて思う…


「惇哉さん……」

「ん?」

走るのを止めて惇哉さんが後ろ向きで歩き出す…

もう…当分言わないから…ちゃんと聞いててよ……

「 好きよ…… 」

「……え?」

惇哉さんの動きが一瞬で止まる…
今のちゃんと聞いてくれたかしら?

「由貴……今……」

「フフ……さあ!あのビル目指して早く行きましょう!」

「由貴?」

「ほら…早く!」

「由貴……もう1回……」

「何の事?」


その後も惇哉さんはずっともう1回って言ってたけど…私は惚けて言わなかった…


だって…私…惇哉さんの言う通り 「 意地っ張りな彼女 」 だから……